「これから会社を設立しようと考えているのだけど、そもそも会社にはどんな種類があるのだろう?」
「万が一、間違った種類を選んでしまったらどうしよう…」
これから会社を設立しようとしているあなたは、具体的にどの種類を選ぶべきか分からず困っているのではないでしょうか。
結論から述べると、会社には4つの種類がありますが、そのうちおすすめできる種類は2つとなっています。
この記事では、会社の種類や特徴について解説しているので、これを読めば迷うことなく会社を設立できますよ。
なお、事業を成功させるためには、会社を設立する前からしっかりとした準備を行う必要があります。
以下の記事では、会社を設立するポイントや大まかな手順を解説しているので、こちらも参考にしてくださいね。
目次
1.会社の種類は4つ
現在のところ、新たに設立できる会社の種類は以下の通り全部で4つあります。
- 株式会社
- 合同会社(LLC)
- 合名会社
- 合資会社
このうち、合同会社・合名会社・合資会社の3つは持分会社と呼ばれるものに分類されます。
ちなみに、かつては有限会社と呼ばれる形態もありましたが、こちらは新会社法の施行に伴い、現在は新設することができなくなっています。
(1)株式会社
株式会社とは、出資者である株主が資金を出資し、株主が委任した経営者によって会社経営をしていく形態です。
会社の種類としては最もポピュラーであり、日本における法人の9割以上は株式会社となっています。
というのも、株式会社は非常に歴史が長く、社会的信頼度が高いからですね。
また、株式会社は出資者の責任範囲が有限責任(自分の出資した範囲内でのみ責任を負う仕組み)であることも大きいでしょう。
後述の合名会社でも触れていますが、会社の中には無限責任という出資者が会社の負債の支払い義務を負うものがあります。
それと比較すると、株式会社は低リスクで出資できるといえるのです。
この株式会社については、以下の記事でも解説しているのでぜひチェックしてくださいね。
(2)持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)
持分会社とは、合同会社・合名会社・合資会社の3つの種類の会社の総称です。
株式会社は、出資者と経営者が区別される「所有と経営の分離」という原則がありますが、一方で持分会社の場合は、出資者自身が経営者となっています。
これによって、株式会社のように株主と経営者による意見の対立が生じず自由に経営を行うことができます。
また、株式会社は株保有率によって配当が決定しますが、持分会社の場合は保有割合に従って利益を還元する決まりはなく、会社に貢献した社員に多く支払うなど柔軟に決定することが可能です。
持分会社にも合同会社・合名会社・合資会社の3種類があるので、順に解説します。
#1:合同会社(LLC)
合同会社は、新会社法の施行によって新たに誕生した会社形態です。
通称LLCと呼ばれており、元々はアメリカ各州の州法で認められていたものを、2006年に日本が取り入れました。
出資者と取締役を区別しないことで自由な経営が行える持分会社の特徴を持ちつつ、後述の合名会社や合資会社とは違い、合同会社は有限責任社員でのみ構成されています。
そのため、会社が抱えている負債まで支払う義務がなく、社員は少ないリスクで業務に携わることができます。
設立時のコストが少ないのも、合同会社の魅力でしょう。
より詳しい特徴を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
#2:合名会社
合名会社とは、無限責任を負う社員のみから構成される会社形態です。
無限責任社員だけで構成されていることで、万が一会社が負債を抱えた場合、自分が出資した額以上の支払い義務を負います。
その分、定款や就業規則などを自由に決められますが、リスクとメリットが見合っていないため、ほとんど選択されることはありません。
この合名会社については以下の記事でも解説しているので、興味がある方はこちらをチェックしてください。
#3:合資会社
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員から構成される会社形態です。
業務に携わらない出資者が合名会社に加わったようなもので、最低でも社員が2人いないと設立できません。
こちらも無限責任社員に対する支払い義務が重すぎるため、選択されることはほとんどないでしょう。
より詳しい特徴については以下の記事で解説しているので、合資会社に興味がある方は是非読んでみてください。
2.基本は株式会社と合同会社のどちらかを選択
「会社を設立するにあたって、どのような種類があるのか分かった」
「でも結局どの種類を選べば良いのだろう…?」
結論から述べると、会社の種類は株式会社と合同会社のどちらかを選択すると良いでしょう。
というのも、合名会社と合資会社は設立するリスクとメリットが見合っていないからですね。
ここではそれを分かりやすくするために、それぞれの違いを一覧でまとめました。
株式会社 | 合同会社 | 合名会社 | 合資会社 | |
資本金最低額 | 1円 | 1円 | 0円 | 0円 |
必要出資者 | 1人以上 | 1人以上 | 1人以上 | 2人以上 |
責任範囲 | 有限責任 | 有限責任 | 無限責任 |
有限責任 無限責任 |
設立費用 | 約20万円 | 約10万円 | 約10万円 | 約10万円 |
社会的信用度 | 高い | 低い | 低い | 低い |
節税できる範囲 | 広い | 広い | 狭い | 狭い |
ポイントとなるのはやはり責任範囲で、無限責任社員で構成される合名会社と合資会社は、出資者に対するリスクがあまりにも大きすぎます。
また、社会的信用度が株式会社に比べて低いにも関わらず、節税できる範囲は合同会社よりも狭いので、合名会社・合資会社を選択する場面はほとんどないでしょう。
では、株式会社と合同会社のどちらがおすすめなのかというと、それは以下のようになっています。
株式会社が向いている人 |
・社会的信用度を重視する人 |
合同会社が向いている人 | ・1人で会社経営したい人 ・設立の手間をなるべく掛けたくない人 ・設立費用をなるべく安く済ませたい人 |
株式会社と合同会社の違いについては、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。
3.会社の種類は後から変えられる?3つのパターンでのみ可能
これから会社を設立する人にとって、株式会社か合同会社にするかは大きな決断だと思います。
しかし、もし選択した会社の種類が最適でなかったとしても、会社法743条に定められている通り、実は会社の種類は後から変更することができます。
変更可能なパターンは、以下の3通りです。
- 株式会社→持分会社
- 持分会社→株式会社
- 有限会社→株式会社
たとえば、株式会社から合同会社への変更は可能ですが、同じ持分会社である合同会社・合名会社・合資会社間での変更はできません。
とはいえ、前述の通り合名会社と合資会社はそもそも選択肢に入らないことが多いので、大きな問題ではないでしょう。
変更に必要な期間はどのパターンも1ヶ月〜2ヶ月程度で、変更費用もそれぞれ約10万円程度となっています。
後から変更できるとはいえ、手続きに時間とお金のコストが発生するので、なるべく設立時点で最適な種類を選ぶようにしましょう。
まとめ
この記事のまとめは以下の通りです。
- 会社の種類は計4つ
- 基本は株式会社と合同会社のどちらかを選択
- 会社の種類は後から変更可能
株式会社や合同会社はいずれも責任範囲が有限責任ですが、合名会社や合資会社は無限責任となっています。
そのため、出資者に対するリスクが極めて高いです。
しかも、会社としての信頼度もそこまで高くないため、基本的には避けたほうが良いでしょう。
この記事を読んで、あなたが株式会社に向いているのか、合同会社に向いているのか判断してくださいね。
以下の記事では、合同会社を設立する流れについて解説しているので、こちらも参考にしてください。