合同会社を設立するためにやるべきこととは。準備を万全にしておこう

合同会社は最近注目されている会社の形態です。注目されている理由は設立するメリットがあるから。合同会社を設立するためにはやるべきことがあります。そしてビジネスを成功させたいなら、会社設立前後の流れを知り、準備を万全な状態にすることが大切です。

会社設立の流れ

設立項目の決定をする

会社を設立するにあたってまずしなければいけないことは、設立項目の決定をすることです。設立項目はいろいろあります。

第一に、株式会社にするか合同会社にするか、会社の形態をどうするかを検討しましょう。他にも合資会社や合名会社という形態がありますが、会社を設立するなら株式会社か合同会社のどちらかで検討するケースがほとんどです。合同会社のほうが株式会社よりも手続きが簡単で、決めなければいけない設立項目も少なくなります。

決めなければいけない設立項目とは

☑ 1.会社の形態(株式会社にするか、合同会社にするかなど)
☑ 2.会社名(商号)の決定
☑ 3.事業目的
☑ 4.本店所在地
☑ 5.資本金の額の決定
☑ 6.株主及び出資者から資本金を集める
☑ 7.機関設計の決定(株式会社は代表取締役や取締役、監査役、会計参与などを決め、合同会社の場合は代表社員、業務執行社員、社員を決める)
☑ 8.事業年度を決める
☑ 9.会社の印鑑の作成
☑ 10.個人の印鑑証明書を取得する
☑ 11.設立費用を用意する

定款の作成

設立項目が決定したら定款を作成して認証をします。ただし合同会社の場合は定款の認証手続きは不要です。

空欄になっている部分を穴埋めするだけで、初めてでも簡単に定款を作成できる雛形がWEB上にアップさせれており、無料でダウンロードができます。定款は紙で作成するだけでなく、電子化にすることも可能です。定款の作成が終了したら製本して定款の認証を行います。

定款の認証とは

定款の認証とは、作成した定款が正しいかどうかを第三者が見て判断し証明してもらうこと。株式会社の場合は本店所在地を管轄している公証人役場で認証を受ける必要がありますが、合同会社の場合は定款の認証は不要です。

公証人役場には、定款3通(会社用、保存用、登記用)、発起人(出資者)全員の印鑑証明書、収入印紙4万円、公証人に支払う手数料現金で5万円、定款の謄本の交付手数料で約2,000円、代理人が定款認証を行う場合は委任状を持っていきましょう。株式会社の場合は認証をしないと会社の設立登記をすることができません。

登記書類の作成

会社設立のために必要な登記書類は、株式会社か合同会社かによって違いがあります。合同会社のほうが用意しなければいけない書類は少ないです。

必要な書類の種類については以下にまとめます。書類の作成が済んだら法務局で設立登記をしますが、法務局で審査しやすいように書類の順番を正しく並べてから最後に書類を綴じることが理想的です。書類の順番についても以下にまとめます。

株式会社設立に必要な登記書類とは

☑ 1.登記書類申請書
☑ 2.登録免許税の収入印紙を貼ったA4用紙
☑ 3.登記すべき事項を保存したCD-Rもしくはフロッピーディスク
☑ 4.定款
☑ 5.発起人の決定書
☑ 6.取締役の就任承諾書
☑ 7.代表取締役の就任承諾書
☑ 8.監査役の就任承諾書
☑ 9.取締役全員の印鑑証明書
☑ 10.払込を証明する書面
☑ 11.印鑑届出書

書類を綴じる順番(株式会社)

CD-R及びフロッピーディスクを除き、上記にまとめた通りの順番に書類を綴じましょう。登記申請書と登録免許税の収入印紙を貼ったA4用紙には契印をします。

代表取締役の就任承諾書については、取締役が1人の場合は必要ありません。取締役全員の印鑑証明書についても、取締役会設置会社においては代表取締役の印鑑証明書のみで大丈夫です。

合同会社設立に必要な登記書類とは

☑ 1.合同会社設立登記申請書
☑ 2.登記用紙と同じ用紙
☑ 3.定款2通(会社保存用と法務局に提出する用)
☑ 4.代表社員の印鑑証明書
☑ 5.払込を証明する書面
☑ 6.印鑑届出書
☑ 7.(場合によっては)本店所在地及び資本金決定書
☑ 8.(場合によっては)代表社員就任承諾書

書類を綴じる順番(合同会社)

☑ 1.合同会社の設立登記申請書と収入印紙を貼った台紙
☑ 2.本店及び資本金決定書
☑ 3.代表社員の就任承諾書
☑ 4.代表社員の印鑑証明書
☑ 5.払込を証明する書面

法務局で設立登記をする

必要な書類の作成が終わり準備が整ったら、法務局で設立登記をしましょう。設立登記の方法は、法務局で行う方法と、法務局宛てに郵送する方法と、オンラインで行う方法があります。

手続きに慣れていない場合は、法務局に直接行く方法が安心です。登記が完了したらそれで手続きのすべてが終わりということではありません。まだ行わなくてはいけない手続きがあるので、そのために必要な登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書を法務局(郵送もしくはオンラインも可能)で取得しておく必要があります。

税務署等に開業の届け出をする

法務局での設立登記の手続きが終了し、登記事項証明書(登記簿謄本)と印鑑証明書を取得したら、税務署等に法人設立届出書を提出しましょう。この開業の届け出の手続きの他にも、青色申告の承認申請書をはじめ、税務署に提出する書類はいろいろあります。

さらに税務署に提出する書類には会社の状況によって提出する税務関係の書類や、消費税関係の提出書類もあり、提出期限が定められているものも多いので、税理士等に相談しながら慎重に手続きを進めていきましょう。税務署だけでなく、都道府県税事務所や市町村役場などの自治体にも開業の届け出書類を提出します。

従業員を雇う予定がない場合に必須になる提出書類

☑ 1.法人設立届出書(税務署、都道府県税事務所、市町村役場に提出)
☑ 2.青色申告の申請書(税務署に提出)
☑ 3.給与支払事務所等の開設届出書(税務署に提出)
☑ 4.健康保険・雇用年金保険新規適用届出書(管轄する年金事務所もしくは事務センターに提出)

従業員を雇う場合の提出書類

☑ 1.法人設立届出書(税務署、都道府県税事務所、市町村役場に提出)
☑ 2.青色申告の申請書(税務署に提出)
☑ 3.給与支払事務所等の開設届出書(税務署に提出)
☑ 4.源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書(税務署に提出)
☑ 5.棚卸資産の評価方法の届出書(任意で税務署に提出)
☑ 6.減価償却資産の償却方法の届出書(任意で税務署に提出)
☑ 7.労働保険・保険関係の成立届(管轄する労働基準監督署もしくは公共職業安定所に提出)
☑ 8.雇用保険適用事務所設置届(公共職業安定所に提出)
☑ 9.労働保険概算保険料申請書(管轄する労働基準監督署もしくは公共職業安定所)
☑ 10.雇用保険適用事務所設置届(公共職業安定所に提出)
☑ 11.雇用保険被保険者資格取得届(公共職業安定所に提出)
☑ 12.健康保険・雇用年金保険新規適用届出書(管轄する年金事務所もしくは事務センターに提出)
☑ 13.健康保険・雇用年金保険被保険者資格取得届(管轄する年金事務所もしくは事務センターに提出)
☑ 14.健康保険被扶養者(異動)届(管轄する年金事務所もしくは事務センターに提出)

合同会社設立後やるべきこと

何が起きてもいいように資金を調達する

合同会社を設立する手続きは簡単ですが、無計画に設立しても経営に行き詰まってしまいます。会社の設立資金だけでなく、何が起きてもいいように運営資金も調達するようにしましょう。

自己資金ですべて補えればいいのですが、ほとんどの方が自己資金と借入金で必要となる資金を捻出しています。資金調達をする方法は、日本政府金融公庫などの融資制度を利用したり銀行などの金融機関からの融資を受ける方法と、社債を発行して出資を受け資金調達をする方法があります。

利益を上げていくための社内マネジメント

利益を上げていくためには、社内のマネジメントがしっかりとできているかどうかが重要なポイントになります。会社の理念やビジネスモデルを理解しあい、従業員に気持ちよく働いてもらえる環境を作ることが大切です。

社内のマネジメントができていると、会社の品質向上にもつながります。問題が起こった時にもサポート体制が整っていることで問題の解決がスムーズにできるでしょう。

社外でのパイプ作り

ビジネスをうまく進めていくためには、社外でのパイプ作りをしておくといいでしょう。例えば自分だけの知識では完璧に行うことが難しい財務や税務や労務関係の方とのパイプを作り協力者になってもらうなど、専門的な知識を持った優秀な人材に協力してもらえる体制が整っていると会社のためになります。

ビジネスは人と人との出会いがとても大切です。社外の方と接する機会があれば、積極的にコミュニケーションを取りましょう。

会社運営資金の管理と把握

起業後間もないのであれば、会社の運営資金の管理と把握のために、社長や経営者が経理や帳簿付けを自分で行うことになるケースが多いです。しかし起業後間もない時期だからこそ、本来であれば本業のビジネスに時間をかけて少しでも早く軌道に乗せたいと思うことでしょう。

会計や経理をすることは必用不可欠な業務ですが、時間を最低限に短縮させるための方法はいろいろあります。例えば信頼できるパートナー企業に記帳業務をアウトソーシングするという方法、会社の数値を把握できるクラウド会計ソフトを活用するという方法など。他にも効率化する方法はあるので、自分に合う方法を見つけてください。

事業計画や利益計画の策定

大切な取引のチャンスはいつ訪れるかはわかりません。特に起業したばかりの時期は会社を成長させるために少しのチャンスも逃すわけにはいかないので、いつでもだれに対してもプレゼンテーションできるように事業計画や利益・行動計画の策定をしっかりと行いましょう。

出来れば事業計画書や利益・行動計画書をいつでも持ち歩いてすぐに出せる状態にしておくことが理想的です。取引を成功させるためにも、それらの計画書を丁寧に作成しておきましょう。

合同会社に向いている業種

企業との取引に法人格が必要な医療関連会社

会社の形態を選ぶときには株式会社、合同会社、個人事業主などの選択肢が出てきます。いろいろな事情で会社の形態を選択することになるでしょうが、それぞれの会社の形態には向いている業種というものがあります。

合同会社に向いている業種の1つに医療関連会社があります。その理由は、医療関連会社は企業との取引に法人格が必要だからです。法人格は株式会社と合同会社が取得できます。

許認可要件に法人格が必要な介護事業

介護事業はにおいては、合同会社が向いているというよりは、合同会社(もしくは株式会社)でなくてはいけない業種です。介護事業は許認可要件に法人格が必要になるので個人事業主では介護事業を開業できません。

株式会社でももちろんいいのですが、従業員の数が少ない、もしくは個人のみの場合は合同会社のほうが向いているといえます。その理由は、合同会社でも株式会社同様に法人格が取得できるうえに設立コストや運営コストが少なく済むからです。

節税メリットを享受できる不動産投資会社

不動産の投資には、管理費、修繕費、広告費、固定資産税、保険料など、さまざまな費用が発生します。しかしそれ以上に多額な費用が発生するのが税金です。

その税金の負担を減らすためには、個人で不動産投資を行うよりも不動産投資会社を設立して法人になったほうが節税メリットを享受できます。例えば赤字の9年間繰越しや損益通算など法人ならではの税制の優遇処置を受けることができること、不動産所得の所得分散ができること、生命保険の保険料を経費にできることなど、他にもさまざまな節税対策が可能です。

節税メリットを享受できるFX運営会社

FX運営会社においても、個人よりも法人のほうが節税メリットを享受できるといわれています。個人の場合は、大きな利益が出たら利益そのものに課税されますが、法人の場合は、経費に計上できる幅が広く個人にはできない節税対策が可能です。

また個人では、取引所FXである「くりっく365」や「大証FX」でも損失が3年しか繰り越せませんが、法人では損失が9年間繰り越せるということもメリット。法人のほうが節税面では有利です。そして設立のコストを少なくし、簡単な手続きでFX運営会社を設立したいのであれば、合同会社で十分だと言えます。

準備を万全な状態にしていいスタートを切る

合同会社を設立するには、やるべきことの流れを知るところから始めましょう。必要な提出書類の作成と手続き、資金調達など、やるべきことは他にもいろいろあります。

合同会社は株式会社と比べると設立コストも安く済み、提出書類の手続きも少ないので、設立するだけなら簡単にできます。しかし設立後の流れを知らず無計画に設立してしまうと、すぐに経営難になってしまう可能性大です。そうならないためにも、準備を万全な状態にしていいスタートを切りましょう。

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