確定申告の扶養控除申請は正しく申請し、無駄な支払いを避けましょう

一緒に住んでいなくても、毎月コンスタントにお金が発生していれば、扶養控除ができる場合があります。正しく申請して、無駄に支払うことを避けましょう。扶養に入れることで、何万円も節約できる場合がありますよ。

目次

控除対象の扶養親族の範囲について

6つの条件を満たす人物

控除対象の扶養親族の範囲は、6つの条件を満たしていれば扶養親族として認められ、控除を受けることができます。条件や収入などの縛りがあるため、扶養親族は子供や専業主婦、年金生活をしている親などが扶養に入ることが多いです。

扶養に入ると、さまざまな税金の控除などがあり、税金を支払う額が少なくてすみます。家事や育児、怪我や病気、介護などさまざまな理由でフルタイムで働けない場合は扶養に入った方が得な場合が多いのです。

一緒に住んでいてもいなくても、扶養控除は受けられる場合があるので、扶養控除が受けられる人を明確にしましょう。

条件について

6つの条件は、

☑ 1.配偶者以外の、6親等内の血族及び3親等内の姻族
☑ 2.納税者と生計を一にしている
☑ 3.年間の合計所得額が38万円以下
☑ 4.青色申告事業専従者として給与をもらっていない
☑ 5.白色申告事業専従者でない
☑ 6.その年の12月31日現在の年齢が16歳以上

年間の合計所得額が38万円以下というのは、年収にして103万円以下にすれば、課税がかからないため、控除内ですみ税金を払わなくてすみます。

青色申告事業専従者は、家業などの個人事業をやっていて、手伝ってもらっている親族の給料を経費として計上できるシステムを利用している場合です。白色申告は、この親族の給料を経費として計上はできませんが、控除を受けることができます。家業を手伝っている場合などは、どのような給与システムになっているのかを確認する必要があります。

離婚後別居している子供も対象になることも

6つの条件の2つ目に納税者と生計を一にしているとありますが、納税者とは、所得税や法人税を納めている人のことです。生計を一にしているというのは、生活費や医療費、就学費など、定期的にかかるお金を負担している人がいることです。

離婚後別居している子供がいて、養育費を毎月払っている場合などは、生計を一にしているとみなされる場合があります。

一つ屋根の下で住んでいることが、生計を一にしているということではありません。ポイントは、生活費や就学費医療費など、定期的にかかるお金を負担しているということです。

逆に同居していても、お互いに別々の独立した生活をしていると生計を一にしていると言えないので、扶養控除の対象にならない場合もあります。

年齢による扶養控除できる金額の違い

特定扶養親族は63万円

特定扶養親族とは、扶養親族の中でも12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人のことを言います。特定扶養親族の扶養控除は、63万円です。通常は、38万円なので、多く控除されることが特徴です。

そもそも扶養親族とは、配偶者以外の親族で、6親等内の血族及び3親等内の姻族と定められています。都道府県知事から養育を委託された児童(里子)又は市町村長から養護を委託された老人のことです。

そして、生計を一にしていて、その年の合計所得が38万円以下であることです。青色申告者の事業専従者や白色申告者の事業専従者ではないことも条件に入ってきます。

63万円の控除ができるため、大学生のアルバイトなどは、働ける上限が増えます。年収が128万円以下なら、税金がかからないので、学費や一人暮らしのためにアルバイトをしている方などは、19歳から22歳までの期間は多めに働けますよ。

老人扶養親族は同居・別居で金額が変わる

老人扶養親族は、扶養親族のうち、その年12月31日での年齢が70歳以上の人をいいます。同居しているか別居しているかによって、控除される金額が変わり同居で58万円、別居で48万円の控除が受けられます。
同居している老人扶養親族にあたるのは、老人扶養親族のうち、納税者か納税者の配偶者の直系の父母か祖父母などで、納税者か納税者の配偶者のどちらかと常に同居している人のことです。
同居している老人扶養親族の同居のうち、病気の治療のため入院していることで、納税者等と別居している場合は、その期間が長期でも、同居に該当するものとして取り扱うことができるのです。しかし、老人ホーム等へ入所している場合は、その老人ホームが家となり同居しているとはいえません。

別居の親を扶養親族に入れた場合

扶養親族になるには親の年収が158万円以下

別居している親を扶養親族にする場合は、遺族年金や障害年金は非課税所得のため、収入に含みません。公的年金控除というものが受けられるので、控除される額が上がります。公的年金控除とは、国民年金や厚生年金などの課税対象になる年金を受けている場合、確定申告のときに年間所得金額から一定額控除されることです。

控除の額は、受け取っている公的年金の年間合計金額により、控除率と控除額が変わります。70歳以上の方なら、公的年金額が年間120万円までは所得金額が0となります。そのため、年間所得額が158万円以下なら扶養控除の対象になるのです。公的年金額の控除額120万円+扶養控除の対象となる上限年間所得金額38万円=158万円となるためです。

扶養に入れるための条件は、生計を一にしていなければいけないので、生計を一にする必要があります。毎月の仕送りや、医療費の負担など、定期的に補助をしていなければなりません。お小遣い程度では扶養にできない場合があります。

仕送りの場合は証明が必要

仕送りなどを送っている場合は、証明が必要な場合があります。現金書留の証拠や、振込みの証明などを見せる必要がある場合もあるので、毎月分の証明を取っておきましょう。

送っているお金があまりにも少ない場合などは、仕送りとしてみなされない場合もあるので、注意が必要です。また、親などが施設に入っていて、療養費を払っている場合なども念のため証明を取っておきましょう。毎月誰かのために支払いをしているものに関しては、支払った証明を取っておくと何かの時に役に立ちますよ。

ただし、この証明は、法的に必要とされているわけではありません。職場などで、見せるように言われる場合があるときなどに使用します。不正を行っていない証明にもなるので、見せるように言われた場合は速やかに渡しましょう。

扶養控除等(異動)申告書にて手続き可能

会社員などの給与をもらう人が、その給与について配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの控除を受けるために行う手続で、扶養控除等(異動)申告書で手続きができます。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、個人住民税の提出をする時に使用する、給与所得者の扶養親族申告書と統合した様式でできています。提出できる人は、給与所得者です。
提出するタイミングは、その年の最初に給与をもらう日の前日までに提出します。中途就職の場合は、就職後最初の給与をもらう日の前日までに提出します。
以前に提出した申告書に記入した内容に異動があった場合、その異動の日のあと、最初に給与をもらう日の前日までに異動の内容等を申告書に記入し提出しましょう。
年末調整で、一緒に住んでいない親族に関する扶養控除、配偶者控除、障害者控除の適用を受ける場合には、その年最後の給与をもらう日の前日までに、その親族と生計を一にする事実を証拠と一緒に提出なければなりません。申告書に該当する事項等を記載したら、給与の支払者へ提出します。

確定申告時に配偶者控除の申請を忘れた場合

過去5年まで遡って控除申請が可能

会社員などの給与所得者は、年末調整により所得税が精算されるので、確定申告の必要は無いです。ただし、納め過ぎの所得税がある場合、還付申告ができます。還付申告とは、申告することで税金を取り戻せることです。

還付申告の受付期間は、過去5年まで遡って控除申請ができます。確定申告の期限の3月15日ではなく、その翌年の1月1日から5年間です。

例えば確定申告の提出義務者でない人が、平成20年に生命保険料控除の適用漏れがあった場合、平成26年12月31日までその還付申告を受け付けてもらえます。

修正申告をするケースとして、所得金額が多く、扶養の対象とならない親族を扶養親族として申告していて、所得控除の過大計上をしていた場合です。

修正申告書を作成し、手続きをすることになりますが、誤りに気付いて自主的に修正申告をした場合と、税務調査などで誤りが指摘された場合では、取り扱いが異なります。

誤りに気づき、税務署からの指摘を受けるまでは、いつでも申請することができます。不足している税金を払うことと、延滞税を払うことで済みます。

税務署から指摘されてから申告すると、不足している税額や延滞税はもちろんかかりますが、そのほかには、その税額の10%の過少申告加算税という税額が課されます。最初の申告内容に仮装や隠ぺいなどの悪質があると判断されると、35%の重加算税が課されます。

平成28年度税制改正が行われたことで、5%とする過小申告加算税が適用されることになったのです。税務調査の事前通知から税務調査実施日までに修正申告を提出した人の過小申告加算税逃れを封じるためです。

この改正は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が来るものから適用されますが、修正申告には税務署から事前に通知が来る前に自主的に申告内容を修正したら税負担を軽くしようというものです。

配偶者控除の申請に必要な書類

配偶者控除の申請に必要な書類は、3つあります。
☑ 1.申告する人物の源泉徴収票
☑ 2.配偶者の源泉徴収票
☑ 3.振込してもらう口座の情報がわかるもの(通帳など)です。

源泉徴収票は、年収がしっかりと記載されているものを用意します。源泉徴収票は、コピーしたものではなく、原本が必要なので取っておきましょう。銀行口座がわかるものに関しては、振込先の口座がわかれば良いのでカードやコピーなどでも大丈夫です。

提出後に扶養控除の適用漏れに気づいた場合、更正の請求というものを請求することができます。この場合は、更正の請求をする理由や、どうして請求をすることになったのか事実関係を証明する書類などを記載か添付して、更正の請求の手続きをします。

更正の請求書を提出したら、すぐに払い過ぎた税額が還付されるわけではありません。税務署で内容を調査し、その請求内容が正当と認められれば、減額更正という行政処理が行われます。そして、納め過ぎの税金が還付されるのです。

更正の請求の手続きができる期間について税制改正が行われたため、期間が変わっているので、理解しておきましょう。平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来するものは5年間に延長されています。平成23年12月1日以前に法定申告期限が到来するものは1年間しかありません。

例えば、平成22年分の確定申告を行うと、平成23年3月15日が法定申告期限(平成23年12月1日以前)だと、更正の請求期限は1年間なので、平成24年3月15日が更正の請求期限です。

平成23年分の確定申告を行うと、平成24年3月15日が法定申告期限(平成23年12月2日以後)だと、更正の請求期限は5年間なので、平成29年3月15日が更正の請求期限です。

扶養控除対象者を正しく知って漏れなく申請

一緒に住んでいないからなど、あらゆる理由で扶養控除できるのにしていなかった場合、余分に税金を払うことになってしまうので、もったいないです。扶養控除に当たる人物が身近でいないか確認しましょう。

正しく申請することで、過剰に税金を払うことを避けることができます。また、扶養控除から外れているのに誤って申請してしまっていると、罰金などが発生してしまう場合があるので注意が必要です。扶養控除のことを知っていることは、今後も役に立つので、これを機に覚えておきましょう。

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