個人事業主に必要な印鑑とは。用意するべき印鑑の種類と注意点。

個人事業主はプライベートの印鑑を転用する方が多くいます。しかし、ビジネス用の印鑑には種類や用途があり、使い分けることでビジネスの信用アップの効果も。仕事で準備しておきたい印鑑と注意点を探ります。印鑑を使い分けてビジネスを成功させましょう。

目次

個人事業主が印鑑を選ぶ時のポイント

実印として登録できる

実印とは市役所などに登録した印鑑で「印鑑証明」という公的な書類に登録される印鑑で、身分を証明する重要な印鑑です。

大量生産されている安価な印鑑を購入し登録するのは悪用される可能性もあり、危険ですので避けたほうが無難です。個人事業主として気分を新たに印鑑を作成して実印登録をする際には、信用できる印章店でオリジナルの複雑な陰影で作ってもらうとよいでしょう。

実印登録できない条件

印鑑にはさまざまな種類があります。個人で使用している三文判も実印として登録することは可能です。しかし、次のような条件は多くの自治体で印鑑登録ができない規定があるので注意しましょう。詳しくは各自治体に確認してください。

☑陰影の文字が読めない

☑既に他人が登録している印鑑

☑住民票の苗字、名前に屋号や社名などが組み込まれている

☑ペンネーム・ビジネスネーム

☑一部欠けている印鑑

☑ゴム印など変形しやすいもの・シャチハタ

☑印影の大きさが8mmの正方形に収まる、25mmの正方形に収まらない印鑑

☑大量生産された既製品の三文判

☑その他各自治体の長が適当ではないと認めた印鑑

以上の条件のものは、印鑑登録ができないので注意しましょう。個人事業主が既に手持ちの実印があれば、そのまま使用しても良いですが、気分を新たに作るのもいいでしょう。その際は実印登録の変更手続きを自治体の窓口で行ってください。

取引の種類に応じて屋号や個人名を入れる

個人事業主として事業を進めていくうえで、しっかりとした印鑑をもつことは、取引先からの信用も得られやすくなるため非常に大切です。

屋号やショップ名のみの印鑑、屋号やショップ名に個人名をプラスした印鑑などを用意して使用することで、ビジネスらしく堂々とした雰囲気を出すことができ、ビジネスが有利に働くことも期待できます。

これまでの認印だけでもビジネスを進めていくことは可能ですが、顧客や取引先に提出する書類に個人の認印だけでは、個人的には信頼ができても対ビジネスとしては若干劣ってしまうことも。丸印や角印を揃えてビジネスシーンによって使い分けをすると便利です。

印鑑ケースにもこだわりを持つ

印鑑にとって印鑑ケースとは、自分を守ってくれる家のようなもの。印鑑にとって居心地のいい空間を作ってあげると印鑑が喜びます。大切な印鑑を守ってくれる印鑑ケースにもこだわってみましょう。

印鑑ケースにもさまざまな種類があります。最も一般的な印鑑ケースは、朱肉付きの寸胴印鑑ケース。印鑑の出し入れもしやすく、万人に愛用されています。外側がレザー、内側が赤のベルベットというのが一般的ですが、最近ではデザインも豊富なので、好みの印鑑ケースを探してみるといいでしょう。

また、がま口タイプの印鑑ケースや、筒形で見た目にも可愛らしい印鑑ケースは女性に人気が高いようです。いい印鑑にはいい印鑑ケースが欲しくなるものです。せっかく作った印鑑はこだわりの印鑑ケースに入れて大切に保管しましょう。

個人事業主に印鑑が必要な理由

仕事の質がアップする

個人事業主は、もともと持っているプライベートの個人の印鑑を事業用としても使用できます。しかし、事業用として新たに印鑑を準備することで、ビジネスに対するモチベーションも上がり、仕事の質がアップする効果が期待できます。

仕事用として新たに印鑑を持つことで、せっかく作った印鑑に恥じない仕事をするという気概を持つことができるでしょう。

また、事務所の住所や電話番号、屋号や個人名の入ったゴム印を準備しておくと、名前や住所を記載する手間が省けて便利です。書類を多く発送するときなどゴム印があれば重宝します。自身の活動に合わせた印鑑をもつと仕事もはかどります。

取引相手からの信頼が向上する

個人事業用として、印鑑を持つことで取引先からの信頼度がアップします。屋号と代表名が入った印鑑を請求書や領収書に押してあると、個人の認印が押してあるものに比べ、取引先や顧客に安心感を与えるはず。自身のビジネスに信頼性を持たせるためにも開業時に印鑑を新調されるといいでしょう。

また、事業用の銀行印を準備する個人事業主の方も多くいらっしゃいます。屋号入り銀行口座を金融機関で開設するときにもスムーズになる効果が期待できますが、実印でも代用できます。銀行口座やクレジットカードなどのお金周りを管理する印鑑として銀行印を作成しておくのもいいでしょう。

事業発展の願掛けになる

個人事業主になったら、事業発展の願掛けに印鑑を新調するのもいいでしょう。印材として定番は象牙ですが中には商売繁盛を願って「シトリン」や「タイガーアイ」などの仕事運にまつわるパワーストーンも人気だそうです。彫り方にもこだわり、事業用に縁起を担いで印鑑を作るのもいいでしょう。

せっかく印鑑を作るなら自分への決意表明、新たな一歩となるために、事業が成功することを願いを込めて、ビジネスパートナーとして印鑑を新調すると事業の成功に繋がる期待が広がるかもしれません。

個人事業主が印鑑を使う時のポイント

開業届や確定申告は個人用の認印

開業届や確定申告や各種申請書の押印の際に使う印鑑は個人の認印でOKです。実印である必要はありません。開業届や確定申告は個人の名前で届け出を行いますので個人印の押印になります。認印は一番出番が多い印鑑です。開業の機会に認印も作っておくと重宝します。ビジネス用としてプライベートの認印よりも少し大きめに作っておくと見栄えがしていいでしょう。

また、稀に認印の代わりにシャチハタを乱用する方がいらっしゃいます。事業用としてはシャチハタはNGという場面も多く出てきます。何かと便利なシャチハタですが、シャチハタは荷物の受け取りやちょっとしたサインの代わり程度の使用にとどめておきましょう。

契約書は実印と印鑑証明書が必要

個人事業主には法人と違い、会社の実印がありません。自動車の購入や、ローン契約、事業所の賃貸契約など契約書への押印は事業主個人の実印と実印の印鑑証明が必要になります。

実印はとても大切な印鑑です。絶対に無くさないようにしましょう。実印も認印もすべて1本の印鑑ですませているという方も多いのですが、個人事業主として事業をしていく上では体裁を考えても分けて使用するのが望ましいでしょう。開業の機会に実印、銀行印、認印と準備しておくといいでしょう。

請求書や領収書には会社の角印

請求書や領収書、見積書、納品書などビジネスの場において取引先や顧客に提出する書類押す事業所の認証印として、角印があると重宝します。ビジネスの印象度をアップさせる効果も大きく、屋号やショップ名で作成して使用している方が多くいらっしゃいます。

また、個人名でお仕事をされているかたも、角印を押すだけで書類の見栄えがすることから、フルネームの角印を使用するかたもいらっしゃいます。信用度アップに一役買う角印は、必須というわけではありませんが、あると業種によってはかなり活躍してくれます。角印が押してある書類を受け取った取引先から見ても、個人事業主の事業に対する熱意が感じられることでしょう。

しかし、事業への熱意を見せようと気合を入れすぎて、高価なものを準備する必要はありません。印鑑の素材の違いや作り方で印鑑の価格も様々です。個人の実印はともかく、角印や屋号入りの丸印などは、法人化を考えている場合には価格を抑えておくほうが無難です。

事業の形態によって必要な印鑑を揃えよう

印鑑社会の日本では、個人も法人も印鑑を押すことで信頼のできる契約が成り立つ社会です。信頼のできる人かどうか、信頼のできる事業かどうか、印鑑は信頼の証でもあります。

印鑑ひとつでその人の印象まで左右することもあり、しっかりとした事業を続けていく中では、しっかりとした事業所の顔となる印鑑を用意したいものです。代表者個人名の丸印、認印、角印など、事業の形態によって必要な印鑑を開業の際に揃えておくことで、自身のステータスとなります。

ビジネスのパートナーとしてしっかりした印鑑を持ち、自身のビジネスを発展させていきましょう。

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