確定申告のやり方を説明【控除や経費を利用して税金を安く】

一般的に会社勤めの方は、年末調整によって所得税の過不足が解消されているため確定申告の必要はありません。しかし副業をしている方や、源泉徴収を受けていない方は、自分で確定申告をする必要があり確定申告を怠るとペナルティが科されることもあるのです。

確定申告の流れ

2月16日から3月15日までに申請を行う

毎年行われる、1年間分の所得にかかる税金を払うための手続きである確定申告。人によっては、確定申告を行うことで、納めすぎた税金が、還付金として手元に戻ってくる場合もあります。

確定申告の期間は、2月16日から3月15日までとなっています。この期間内に、前年の1月1日から12月末までの1年間分の会計結果を、税務署へ報告し確定申告を行います。

つまり、その年の所得の申告は、翌年の2月16日から3月15日までに行うことになるのです。所得税を納めることは国民の義務であり、日本国憲法でも定められているものです。確定申告の義務がある方は、期間内に申告を行い、納税の義務を果たしておくことが必要です。

自分の住んでいる地域の税務署を調べる

確定申告書は、税務署であればどこでも提出することができる、というわけではありません。確定申告書は、提出時の納税地を所轄する税務署長に提出することになっています。納税地とは、住所地もしくは居所地のことを指し、自分が住んでいる地域を管轄している税務署で手続きを行います。

一般的に、国内に住所がある人は、その住所地が納税地になります。しかし、事業などの関係で、住所地とは別に居所があるという方は、その居所地が納税地となります。したがって、まずは、自分の納税地における管轄の税務署が、どこであるかを調べる必要があります。

国税庁のウェブサイト「国税局・税務署を調べる」では、地図や郵便番号、住所から管轄の税務署を調べることができます。

申告に必要な書類を集める

確定申告では、所得から経費や控除額が差し引かれた金額に、税率を掛けて納める金額が確定します。したがって、所得が低ければ低いほど、所得税の金額を低く抑えることができるのです。申告時に必要となる領収書やレシート、明細書、証明書、家計簿などの詳細なメモ、源泉徴収票などは、しっかり保管しておきましょう。

年末調整で納めすぎた所得税を還付してもらう際には、源泉徴収票が必要です。源泉徴収票を会社が提出してくれない場合は、税務署にて「源泉徴収票不交付の届け出書」を提出するとよいでしょう。そうすると、税務署から会社に、源泉徴収票を提出するように指示してくれます。この場合、自分の名前を出さずに、会社に指示をしてくれるのです。

申告書を入手して記入

確定申告をする際には、申告書に記入をする必要があります。確定申告書には、「申告書A」「申告書B」の2種類があります。確定申告の申告書は、税務署で直接もらうか、郵送してもらうことが可能です。

または、国税庁のサイトからプリントアウトもできるようになっています。申告書の書き方など、細かなやり方が分からない場合は、税務署に相談も可能です。確定申告時期には、相談会場を設けている署もあります。

また、税務署から入手する以外にも、インターネットから確定申告書を作成し、そのままインターネット上で申告できる「e-Tax」というシステムもあります。e-Taxを利用するには、電子証明書が組み込まれている「マイナンバーカード」や「住民基本台帳カード」を事前に取得している必要があります。マイナンバーカードの取得は、住民票のある市区町村窓口へ問い合わせることで、対応してもらえます。

管轄の税務署に提出する

確定申告書への記入が済んだ後は、3月15日までの申告期限内に、管轄の税務署に提出します。一般的には、税務署に直接出向いて確定申告を行います。また、税務署で署員に相談をしながら、書類を作成することも可能です。

税務署の窓口へ直接提出する以外にも、郵送で提出することも可能です。この場合、第一種郵便物または信書便物として送付する必要があり、ゆうパックやゆうメールなどでは、信書を送付することはできません。

郵送による提出の場合は、通信日付印により表示された日が、提出日とみなされます。それ以外の場合には、税務署に到達した日が提出日となります。確定申告の期限に間に合うように、早目に郵送するようにしましょう。

さらに、e-Taxを利用すれば、オンライン上で確定申告書を作成し、そのままオンライン上で提出することが可能です。税務署に出向く時間が取れない忙しい方にとって、最適な確定申告の方法もあるのです。

確定申告の必要がある場合

給与所得がある方

会社に勤めている方は、給料から所得税が源泉徴収されており、税金の過不足については、会社の経理などが年末調整で清算してくれるので、確定申告は必要ありません。しかし、年収が2,000万円を超える方は、勤務先で年末調整を受けることができないため、確定申告をする必要があります。

また、給与所得がある方は「給与所得控除」が適用され、最低でも65万円の控除を受けることができます。これにより、全ての人に適用される「基礎控除」38万円と「給与所得控除」65万円を合わせ、年間103万円までの給与収入であれば、一切税金は掛かりません。

その要件を満たしていながら、給料から源泉徴収されている場合には、確定申告によって過払いの税金を還付してもらうことができます。一方、フリーランスや自営業の方で、年間所得が38万円以上あり、年末調整が行われない場合は、確定申告をして税金の過不足を解消する必要があります。

公的年金などに係る雑所得のみの方

給料を得ておらず、雑所得のみという方でも、確定申告をして税金を納める必要があります。雑所得とは、所得税法上の課税区分の一つで、事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給料所得、譲渡所得、退職所得、山林所得および、一時所得のいずれにも当てはまらない所得が、雑所得とされます。

副業で書いた記事の原稿料や印税、講演料に始まり、アフィリエイト収入、インターネットオークションなどの売却収入、外国為替証拠金取引(FX)での収益などが、雑所得に当てはまります。また、国民年金や厚生年金といった公的年金も、雑所得に該当します。

退職所得のある方

退職所得のある方も、確定申告を行う必要があります。退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいいます。一般的に「退職金」と呼ばれるものです。

社会保険制度などにより、退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて、生命保険会社または信託会社から受ける退職一時金なども、退職所得とみなされます。

また、一定金額以上の所得を得ている場合には、確定申告を行うことは義務となっており、上記に当てはまらない人も、確定申告が必要な場合があります。細かい条件は、税務署で確認するようにしましょう。

確定申告の出来る事項

医療費の控除

確定申告では、さまざまな所得控除を受けることができます。所得によって納める税金が異なってきますが、控除を受けて所得を下げることができれば、その分、納める税金も低く抑えることができるのです。これを所得控除といいます。

その中の一つに、医療費控除があります。前年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が、10万円を超えた場合(年収によっては10万円以下でも可能)、医療費控除を受けることができます。本人だけでなく、家族の医療費控除も可能な上、通院で利用した公共交通機関の交通費も請求できます。

特定の団体への寄付の控除

国や地方公共団体など、特定の団体へ寄付をした場合は、確定申告で「寄付金控除」が適用されます。いずれかに当てはまるものが、特定寄付金に該当し控除を受けることができます。

☑ 国や地方公共団体に対する寄付金
☑ 学校法人、社会福祉法人などの特定の団体に対する寄付金
☑ 公益社団法人・公益財団法人などに対するもので財務大臣の指定した寄付金
☑ 主務大臣の認定を受けた日の翌日から5年を経過していない特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
☑ 認定を受けたNPO法人
☑ 特定地域雇用等促進法人に対する一定の寄付金(その寄付をした人に特別の利害が及ぶものを除く)で、認定地域再生計画に係る一定の事業に関連するもの
☑ 一定の政治献金

また、寄付を通じて地域の人を応援する「ふるさと納税」も、「地方公共団体に対する寄付金」として、寄付金控除の一つに該当します。

災害による雑損の控除

災害または盗難、もしくは横領によって資産について損害を受けた場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを「雑損控除」といいます。

資産の所有者が「納税者」であること、もしくは「納税者と生計を共にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者」のいずれかに当てはまる場合は、雑損控除の対象となります。しかし、別荘や趣味・娯楽の目的で保有する不動産など、通常の生活に必要でないとみなされる資産についての損害は、該当しません。

年末調整を行わず退職してしまった場合

通常、会社に勤めている場合は、会社の経理などが清算を行ってくれているので、確定申告をする必要はありません。しかし、年末調整が行われる前に退職してしまった場合には、個人で確定申告をする必要があります。

なぜなら、会社が源泉徴収をして納めていた所得税は、概算で行われているため、年末調整で過不足を清算しているからです。その年末調整が行われる前に退職をした場合は、個人で確定申告をし、所得税の過不足を解消する必要があるのです。

退職してから、同じ年に再就職をした場合は、原則として、新しい勤務先で、前の勤務先の給料を含めて年末調整が行われます。しかし、退職したまま、同年内に再就職をしない場合は、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、納めすぎの所得税を、還付金として受け取ることができるのです。

確定申告の注意点

管轄の税務署以外で申請することは出来ない

確定申告を行う前に、まずはどこで申請を行うのかを確認しておくことが必要です。一般的には、住民票の住所がある土地である「住所地」が納税地とみなされ、納税地により管轄の税務署が決まっているのです。これは、所得税法第15条などの定めにより決まっているため、管轄の税務署以外で申請を行うことはできません。

国税庁のホームページにアクセスすると、該当する都道府県より市や区、群単位で指定の税務署が検索可能です。しかし、自宅とは別の都道府県や、市区内に事業所や店舗を持っている場合は、所得税法上の特例が適用されることも。事前に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出することによって、住民票上の住所以外の納税地にて、確定申告を行うことが認められるケースもあります。

申告期限を過ぎると延滞税と無申告加算される

確定申告の期限である3月15日を過ぎても、申告が行われなかった場合は、無申告扱いとなり「無申告加算税」を支払わなければなりません。無申告加算税は、本来納付すべき税額が50万円までは15%、50万円を超えた分に関しては、20%にあたる額を納める必要があります。

さらに、無申告加算税となった場合は、同時に延滞税も支払う必要がでてきます。2ヶ月以内であれば年2.9%、2ヶ月以上であれば、年9.2%の延滞税を支払わなければいけません。しかし、正当な理由がある場合や、3月15日の期限から2週間以内であれば、無申告加算税が科されないケースもあります。

また、無申告加算税や延滞税以外にも、利子税や過少申告加算税、不納付加算税など、多くのペナルティが用意されていますので、確定申告は期限内に、正確に行っておく必要があります。

5年前までさかのぼって申告が出来る

給料から所得税を源泉徴収されており、年末調整が行われていないという方は、確定申告をして税金の過不足を解消する必要があります。源泉徴収されている税額は概算であり、多くの場合、多めに天引きされています。そのため、確定申告をすることによって、払い過ぎた税金を還付金として受け取れることができるのです。

しかし、今まで確定申告をしてこなかったという方は、5年前までならさかのぼって還付申告をすることができます。還付申告をすることによって、払い過ぎていた5年分の税金を取り戻すことができるのです。

申告の間違いは3月15日まで差し替え可能

確定申告をした後で、計算誤りや漏れなどにより、申告した内容に間違いがあることに気付いたときは、確定申告の期限である3月15日までに、差し替えを行うことが可能です。「更生の請求書」に必要事項を記入して、所轄税務署長に提出して認められると、更生が行われます。そして、税金を納めすぎていた場合は、還付金として受け取ることができます。

また、計算誤りなどにより、納める税額を実際より少なく申告しており、確定申告期限の3月15日以降に、税務署の調査により修正申告や更生を受けた場合。新たに追加で納めることになった税額のほかに、その税額の10%(場合によって15%)の「過少申告加算税」、または35%(場合によって40%)の重加算税が課せられてしまいます。

したがって、申告内容の誤りに気付いたときは、速やかに差し替えの手続きを行いましょう。

副業も確定申告を行う?

年間20万円以上の収入がある場合は申告が必要

会社に勤めて給与を得ている場合は、年末調整によって税金の過不足を解消するため、確定申告を行う必要はありません。しかし、会社勤め以外に、FX取引(外国為替証拠金取引)をはじめ、アフィリエイトでの広告収入やネットビジネス、もしくはサイドビジネスなど、給与以外の所得が、年間20万円を超える場合は、確定申告をする必要があります。

このように本業とは別に、「給与」という形式を取らずに得た副業での収入は、年間20万円を目途に、確定申告をする義務が発生します。知らずに確定申告を怠ってしまうと、延滞税などのペナルティが発生し、後で大変な税額が発生する場合もあります。

しかし、副業においても、経費を差し引いて確定申告をすることが可能です。確定申告で経費や控除を有効活用し、納める税金を抑えるためにも、副業を始めた場合には、経費の明細をしっかり保管しておいたほうがよいでしょう。

副業の種類によっては年間収入が20万円以下でも申告が必要

副業の年間収入が20万円以下の場合でも、アルバイトによる収入など、「給与所得」に該当する場合は、確定申告をする必要が出てきます。たとえ、本業の会社で年末調整が行われていたとしても、本業と副業の二つの収入を合算し、総額で所得税を計算して、正しく公平に納税を行わなければならないためです。

例として、本業で月額20万円の給与収入があり、副業で月額50,000円のアルバイトをしていたとします。本業で年末調整が行われていたとしても、月額20万円のみの計算で課税されることになります。しかし本来の収入は月額25万円です。この場合、一つの会社で月額20万円の収入がある人に比べて、所得税が低くなってしまいます。これでは不公平になるため、確定申告をして、公平に課税する必要があるのです。

バイトも確定申告を行う?

バイトでも確定申告すると戻ってくる場合がある

アルバイトをしていて、源泉徴収されているのに、年末調整を受けていない方は、確定申告をすることによって、払い過ぎた税金が還付金として戻ってくることがあります。全ての方に適用される「基礎控除額38万円」に加え、給与を得ているパートやアルバイトの方は、「給与所得控除65万円」が適用され、合わせて103万円の控除がみとめられます。

したがって、年間の給与が103万円以下で源泉徴収されている場合、確定申告をすることで全額戻ってくるのです。特に、バイトを掛け持ちしている場合は、多く税金を払っていることが多いため、確定申告を行うことで、納めすぎた税金を取り戻すことができるでしょう。

確定申告書はシンプルな様式Aに記入するのが一般的

確定申告の申告書は2種類あり「確定申告書A」と「確定申告書B」があります。「確定申告書A」は、所得の種類が、会社員やアルバイト、パート勤務の給料に該当する「給与所得」、公的年金やサイドビジネスなどの副収入に該当する「雑所得」、法人から受ける利益の配当や余剰金の分配などに該当する「配当所得」、生命保険や損害保険の満期一時金などに該当する「一時所得」、これらの所得に当てはまる方が利用できます。

シンプルな様式Aに記入するのが一般的で、会社員やアルバイト・パートの方は、基本的に確定申告書Aを利用します。「確定申告書B」は、「事業所得」や「不動産所得」がある方をはじめ、所得の種類に関わらず、誰でも使用することができます。

個人事業主の方は、「確定申告B」で確定申告します。申告書の用紙にはたくさんの項目がありますが、この中から自分に当てはまるものだけを記入していき、関係ない項目には記入する必要はありません。

確定申告は忘れずに早めに行おう

日本国憲法第30条によって定められているように、所得税を納めることは国民の義務であり、対象者は、必ず期限内に確定申告の手続きを行わなければなりません。したがって、期限を過ぎても確定申告を行っておらず、本来ならば支払うべき税金を納めていない場合は、無申告加算税や延滞税などあらゆるペナルティーが科されてしまうのです。確定申告の期間内に、忘れずに早めに行っておくことが大切です。

また、医療費控除や生命保険料控除をはじめ、さまざまな控除が認められているため、所得控除により納める税金が少なくなり、確定申告をすることによって、払い過ぎた税金を還付金として受け取ることもできます。

さらに源泉徴収をされていながらも、年末調整が行われていない場合には、税金を払い過ぎている可能性もあります。この場合、確定申告をすれば、納めすぎた税金が戻ってくるのです。確定申告の期間は、2月16日から3月15日です。この期間にしっかりと行っておきましょう。

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