確定申告に必要な書類とは。提出に不備がないように早めに準備しよう

確定申告にはいろいろな書類が必要です。また、サラリーマンや年金受給者と個人事業主とでは書類の種類が異なるなど、人それぞれ用意する書類が変わります。確定申告には期間が定められているので、期限ギリギリにならないように早めに準備を進めましょう。

確定申告に必要な書類は?

自分に必要な書類を知る

給与所得者と個人事業主とでは、確定申告に必要な書類が異なります。さらに個人事業主の場合は白色申告と青色申告の場合とでも必要書類が異なるため、確定申告をする前にまずは自分に必要な書類を知るところから始めましょう。確定申告書は、A様式とB様式の2種類あります。A様式とB様式の違いは、「給与所得者や公的年金受給者向けのもの」「所得に関係なく誰でも使用できるもの」の違いです。

給与所得者や年金受給者は源泉徴収されているので、原則として確定申告は不要となります。しかし給与所得者で年度の途中で勤務先が変わり、新しい勤務先に前職の源泉徴収票が提出されていない場合、あるいは年金受給者で受給額が規定以上の場合は、確定申告が必要。医療費控除や住宅ローン控除などが適用される場合も、確定申告をすることで還付を受けることができます。

確定申告書A様式

所得の種類が、給与所得、公的年金等、その他の雑所得、配当所得、一時所得のみの場合に利用でき、なおかつ予定納税のない方が利用する申告書。予定納税とは、前年の所得税が15万円以上だった場合に納税する前払いの税金です。

会社員やアルバイト・パートの方が利用するのは、基本的にはこの確定申告書A。また、会社員の方が医療費控除や住宅ローン控除を受ける際もこちらを利用します。

確定申告書A様式の必要書類

確定申告A様式第一表(納税額を算出する)、確定申告A様式第二表(住民税を算出する)、控除関係の書類、収支内訳書です。

確定申告書B様式

所得の種類に関係なく誰でも使用できる申告書です。B様式のほうがA様式よりも項目が多いことが特徴。白色申告でも青色申告でも、個人事業主はB様式で申告します。

個人事業主など、事業や農業や不動産で収入を得ている場合はB様式を利用。変動所得や臨時所得として平均課税を選択する場合もこちらを利用します。所得が赤字の場合や土地や建物の譲渡所得がある場合は別の申告書も加えて必要です。

確定申告書B様式の必要書類

確定申告書B様式第一表(納税額を算出する)、確定申告書B様式第二表(住民税を算出する)、申告書第三表(分離課税用)、控除関係の書類、貸借対照表、損益計算書、減価償却の計算書です。

書類の入手場所

確定申告に必要な書類を入手する方法は3つあります。

☑ 1.税務署などの関係機関(確定申告相談会場など)に直接行って受け取る。
☑ 2.切手を貼りつけた角2(横240mm×縦322mm)サイズの返送用封筒を同封の上、必要な確定申告書類や手引きなどをメモ書きして税務署に送付する。
☑ 3.国税庁のホームページから確定申告書類のPDFファイルをダウンロードして印刷する。

初めての確定申告の場合は、自分に必要な書類を確認するためにも、税務署などの関係機関に直接行って受け取ったほうが安心です。確定申告に必要な書類を受け取りたい旨を伝えれば、職員の方が必要な書類を用意してくれます。

サラリーマンや年金受給者の場合

確定申告書はA様式

会社から給与をもらっているサラリーマンや年金受給者の場合、基本的に確定申告書はA様式を使用します。A様式はB様式の簡易版のようなもので、B様式はA様式よりも記入する項目が多く、より細かい申告が必要となりますが、サラリーマンや年金受給者がB様式を使用することも可能です。

A様式のメリットは、記入する項目が少ないので、簿記などの専門知識がなくても申告しやすいこと。デメリットは、特別控除等がないので申告する金額が多くなること。申告対象は、給与所得、一時所得、雑所得、配当所得です。

☑ 1.配当所得→年の途中で退職した場合。
☑ 2.一時所得→生命保険や損害保険の満期保険金を受け取った場合。
☑ 3.雑所得→年金受給、本の執筆をした原稿料、講演などの講師料を受け取った場合。
☑ 4.配当所得→株式の配当や剰余金の配当などを受け取った場合。

給与や年金の源泉徴収票

確定申告書第一表、第二表を記入する際には、「給与所得の源泉徴収票」や「公的年金の源泉徴収票」を見ながら記入していきます。まずは第一表から記入し、次に第二表を記入しましょう。申告書が作成できたら、源泉徴収票を添付して提出します。

源泉徴収票の見方を理解するためには、所得税の計算方法を知る必要があります。所得税の基本的な計算方法は以下のようになります。

☑ 1.給与所得=給与収入の金額−給与所得控除
☑ 2.課税所得=給与所得−各種所得控除
☑ 3.所得税=課税所得×税率

保険料を支払っているとき

生命保険や地震保険など保険料を支払っているときは、社会保険料控除が適用されます。社会保険控除とは、その年に自分や家族が支払った社会保険料の全額が、保険料負担者のその年の所得から控除されて、所得税と住民税が軽減されるという制度です。

社会保険料が控除になる種類は5種類あり、それぞれの控除証明書に記載されている通りに記入する必要があります。ただし控除証明書が発行されないものもあるので注意しましょう。社会保険料控除は全額が控除できるので、忘れないように記入してください。

社会保険料が控除になる種類

☑ 1.自分や家族の国民年金保険料及び厚生年金保険料
☑ 2.自分や家族の健康保険料(税)
☑ 3.国民年金基金の掛金
☑ 4.後期高齢者医療制度の保険料や介護保険法の規定による介護保険料
☑ 5.労働保険料

住宅ローンの控除を受けるとき

住宅の購入やリフォームで住宅ローンを借りた場合は、一定の条件を満たしていれば住宅ローン控除を受けることができます。住宅ローン控除の正式名は「住宅借入金等特別控除」で、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事などの特定のリフォームで住宅ローンを借りた場合の住宅ローン控除は「特定増改築住宅借入金等特別控除」という名称です。

控除額は各年末の住宅ローン残高の1%分、特定増改築等の場合は2%分。控除期間は10年間、特定増改築等の場合は5年間です。給与所得者の場合は2年目からは年末調整だけで済むのですが、年末調整がない年金受給者は毎年確定申告をしなくてはいけません。

医療費の控除を受けるとき

医療費の控除は、確定申告をしないと受けることができません。基本的に、医療費控除を受けることができるのは自己負担が10万円を超えた場合といわれていますが、所得金額が比較的少ない年金受給者の場合は、自己負担が「(所得金額+申告分離課税の所得)×0.05」よりも多かったら負担額が10万円以下であっても医療費控除を受けることが可能です。

医療費控除を受ける場合、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を作成し提出します。国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーの医療費集計フォームを利用して、支払った医療費などのデータを読み込むことも可能。医療費の領収書が多い方は、医療費集計フォームを利用して入力すると、確定申告書作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込んで反映できるので便利です。

ふるさと納税をしたとき

ふるさと納税をすると、地域を代表するお礼の品が送られてくるというメリットがありますが、寄付金額から自己負担の約2,000円を差し引いた金額が税金から控除できるというメリットもあります。ただし、寄付をされる方の収入や家族構成などに応じて還付や控除額は変わるのでご注意ください。

ふるさと納税をしたときの税金の控除を受けるためには、確定申告が必要です。(確定申告を行うことなく税金の還付や控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ制度」が利用できる場合もあります。)

ふるさと納税の確定申告の作成・提出で用意する書類

☑ 1.寄付受領証明書(対象期間すべて必要)
☑ 2.源泉徴収票
☑ 3.控除金受取用口座番号(還付金振込用、ご本人名義の口座)
☑ 4.印鑑(ゴム印不可)
☑ 5.マイナンバー
☑ 6.本人確認書類
☑ 7.封筒(郵送で提出する場合)

個人事業主の場合

確定申告書はB様式

個人事業主の確定申告はB様式を使用します。赤字の場合は申告書第四表(損失申告用)、土地や建物の譲渡所得の場合は申告書第三表(分離課税用)も必要です。

B様式のメリットは、特別控除や不動産収入や株式などの収入と合算できること。また、赤字や減価償却もあわせて処理することも可能。簡易簿記で10万円、複式簿記で65万円の特別控除を受けることもできます。デメリットは、毎日記帳するため事務をする時間が必要となり、作成する書類が多くなることです。

マイナンバーの記載について

2016年度分以降用の確定申告書から、マイナンバーの記載欄が設けられています。株式会社などの法人の場合、事業用の13ケタの番号が割り当てられていますが、個人事業主の場合は事業用の番号はありません。

個人事業主の場合は、それぞれ個人に割り当てられている12ケタの個人番号を記入しましょう。マイナンバーの通知書類に各個人のマイナンバーが記載されているので、その番号を確定申告書に記入します。

白色申告をするとき

白色申告を選択した場合は、収支内訳書の提出が必要です。収支内訳書には、一般用、農業所得用、不動産所得用の3種類あります。農業を営んでいる個人事業主は農業所得用、不動産を営んでいる個人事業主は不動産所得用、その他の個人事業主など、大体は一般用を使用すればOKです。

無料の白色申告対応の会計ソフトを利用すると、簡単に確定申告書が作成できて便利。売上や経費の帳簿づけが終わっていれば、白色申告対応の会計ソフトの指示に従って入力をすすめていくだけで作成が完了します。

収支内訳書の記入方法

白色申告の場合は確定申告で収支内訳書を提出します。収支内訳書は国税庁のホームページからダウンロード・印刷でき、そのまま税務署に提出可能。国税庁のホームページでは、提出用2ページと控用2ページが用意されています。

収支内訳書の1ページに記入することは、1年間の売上や経費や所得など。2ページに目には、売上や仕入れを取引先ごとに記入して、原価償却などの詳細を記入していきます。

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青色申告をするとき

青色申告をするときには、あらかじめ所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出します。申請書の提出期限は、その年の3月15日までで、新規開業の場合は開業日から2ヶ月以内です。

青色申告をするときに確定申告で提出する必要書類は、所得税青色申告決算書(合計4ページ)と確定申告書B様式(合計2ページ+添付書類台紙)です。確定申告書B様式は、白色申告でも青色申告でも同じものを使用します。

青色申告決算書について

一般用、農業所得用、不動産所得用の3種類がありますが、農業所得や不動産所得がなければ一般用を使用します。また、青色申告でも65万円の控除を狙わないなら4ページ目の貸借対照表は必要ありません。

2016年度分の確定申告書からはマイナンバーの記載欄が設けられています。添付書類台紙にはマイナンバーカード(個人番号)の写し、もしくは通知カードなどの写しと身分確認書類の写しの組み合わせを貼り付けましょう。

所得税青色申告決算書の記入方法

所得税青色申告決算書は合計4ページあります。1ページ目は、売上原価や経費の内訳を記入しましょう。2ページ目には、月別の売上や仕入金額、そして従業員や家族の従業員等の専従者がいる場合は、その給料の賃金などについての情報を記入します。

3ページ目は、減価償却費や地代家賃などの情報を記入。4ページ目は、期首と期末時点(基本的には1月1日〜12月31日)の資産や負債などについての情報を記入しましょう。

その他必要な書類

個人事業主も、給与所得者や年金受給者と同じく、保険料が控除対象であれば保険証の控除証明書、年金の受給があれば源泉徴収票、医療費控除や住宅ローン控除など、控除の対象であれば関係書類を提出します。

控除が適用される場合は、確定申告をすることで還付が受けられます。控除対象が多い場合は用意する書類が増えるので、早めに準備を進めましょう。

提出書類に不備があったときはどうなる?

税務署から連絡が来る

提出書類の記載に誤りがあった場合や添付書類がないなど、不備や漏れがあった場合は、税務署から連絡がきます。ちょっとした間違いであれば口頭での説明で足りることがありますが、大きな計算間違いなどは書類の再提出になることがあるので注意しましょう。

顧問税理士等の専門家が間に入っている場合は、まず税理士に連絡がいくことが多いので、税務署とのやり取りは税理士を通すことになります。税理士がいない場合や税理士がいても直接本人に連絡がいくこともあるので、その場合は丁寧に対応しましょう。

確定申告期間中に不備に気付いたとき

確定申告の期限は2月16日〜3月15日。この確定申告期間中に不備に気づいたときは、期間中であれば訂正申告で申告をやり直すことができます。確定申告の期限内であれば滞納税などは発生しませんが、タイミングや修正申告の時期によっては新たに税金が課せられてしまう可能性があるので、不備に気づいたら早めに訂正申告しましょう。

訂正申告の方法

税務署では期限内に2つ以上の確定申告書が同じ人から提出された場合は、後に提出された申請書を正式なものとします。そのため、修正したい場合はもう一度確定申告を行うだけです。

最初に提出した確定申告書と同じ様式の用紙を使用し、修正箇所を正しく記入し、それ以外は提出済みの内容を転記。再申告する際には、訂正に必要な書類なども揃えて添付し、1枚目に「訂正申告」と記し、訂正前の確定申告書の提出年月日と申告税額を赤で書いておきます。そして最初に提出した税務署と同じ税務署に再提出しましょう。e-Taxの場合の訂正申告の方法は、期限内であればオンラインの画面上で申告内容を訂正できます。

確定申告期間後に不備に気付いたとき

確定申告期間後に不備に気づいたときは、訂正申告ではなく「更正の請求」もしくは「修正申告」の手続きをします。この手続きは書面での提出だけでなくe-Taxでも可能です。

期間後の申告の場合は、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課せられるので気をつけなければいけません。事実の全部もしくは一部を隠ぺいや仮装して申告しないなど、悪質な行為を行った場合には重加算税がかかります。自分で修正申告しなくても、税務調査によって納税額が少なかったことが発覚して修正申告を余儀なくされることがあり、その場合は自主的に修正申告したときよりも過大なペナルティが課せられる可能性があるので、気づいたらすぐに申告しましょう。

提出に不備のないよう必要書類のチェックは入念に

確定申告は2月16日〜3月15日と期間が定められています。もし提出に不備があり、訂正申告が期限内に間に合わなかった場合は、ペナルティが課せられる可能性があるので気をつけなければいけません。

そのため、確定申告は期限ぎりぎりではなく、なるべく早めに行うようにしましょう。そして提出に不備のないよう必要書類のチェックは入念にしておくことが大切です。

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