退職後すぐに再就職しない場合に受け取ることのできる失業保険。その受給条件やトラブル時の対策について知っておくと慌てずに済みそうです。これから退職を控えている人もそうでない人も、念のため雇用保険に加入しているかを確認しておくとよいでしょう。
目次
失業手当初回手続きの必要書類
会社から発行される書類
失業手当をもらうためには、まずは最寄りのハローワークで手続きを行う必要があります。初回手続きの際には会社から渡される雇用保険被保険者離職票、雇用保険被保険者証が必要です。
雇用保険被保険者離職票
☑雇用保険被保険者離職票(1)
「資格喪失確認通知書(被保険者通知用)」と書かれたカードタイプの用紙です。失業保険の給付金の振込先である金融機関の情報などを記入する用紙です。個人番号はハローワークに行ってから、 窓口で申請者本人が記入します。
☑雇用保険被保険者離職票(2)
左側には労働者、勤務先の情報、給料の支払い明細を書き、右側には退職理由を記入します。退職理由は失業保険の給付日数に影響しますので、失業給付に重要な書類は離職票(2)になります。
雇用保険被保険者証
「氏名、生年月日、被保険者番号、交付年月、被保険者となつた年月日、被保険者の種類、事業者名」が記載されています。雇用保険の被保険者であったことを証明する書類です。再就職が決まった際に再就職先へ提出を求められる場合がありますので、大切に保管しておきましょう。
また、失業保険の申請時には不要とするハローワークも多いです。事前に最寄りのハローワークに問い合わせてもよいですが、持って行くほうが無難でしょう。
自身で用意し持参する書類
初回手続きの際に会社から渡される書類以外で持参する書類などは、印鑑、写真2枚(縦3cm×横2.5cm)、普通預金通帳、マイナンバー確認証明書(マイナンバーガード、通知カード、住民票など)、本人確認証明書(運転免許証、マイナンバーカード、年金手帳など)の5点です。
また、失業手当をもらうためには雇用保険に加入していた期間が12ヶ月以上であることが条件です。1つの会社で12ヶ月以上ということではなく、通算で12ヶ月なので、もし前職は4ヶ月しか勤めていなくても、その前の会社で8ヶ月以上勤めていれば条件をクリアしていることになります。その場合、離職票は2つの会社分必要になり、場合によっては手続きに時間を要するので、早めに確認をしておきましょう。
ハローワークで作成する書類
ハローワークで初回に行う手続きは、失業保険の受給申請ではなく、求職の申し込みです。求職申込書に就職先の希望条件や経験した仕事、公共職業訓練を受講したことがあるかなどを記入後、窓口に提出してハローワークカードが作成されます。この情報はハローワークのコンピューターに登録され、今後の就職活動などで活用します。ハローワークカードには、「氏名、担当窓口、職業分類、求職番号、 バーコード」が記載してあります。
窓口で離職理由や求職に関する質問などを受けたのち、問題がなければ失業保険の受給資格が与えられます。初回は「雇用保険受給資格者のしおり」を渡されたら終了です。
失業手当を受け取るための必要書類
雇用保険受給資格者証
初回の手続きから1~3週間後に「雇用保険受給説明会」が行われるため、必ず出席します。どうしても出席できなくなった場合は、必ず電話で連絡をしましょう。受給説明会では失業保険の仕組みについて約2時間で説明されます。
受給説明会の際に「求職活動計画書」が交付されますので、その計画書に沿った就職活動をしていくことになります。さらに失業保険の認定を受けるために必要な「雇用保険受給資格者証」も配られます。
雇用保険受給資格者証には、支給番号、氏名、被保険者番号、離職時年齢、生年月日、支払い方法、離職年月日、離職理由、離職時賃金日額、給付制限、求職申込年月日、認定日、受給期間満了日、基本手当日額、所定給付日数、通算被保険者期間、再就職手当支給歴の記載があります。内容に間違いがないか、必ず確認しましょう。
失業認定申告書
「雇用保険受給資格者証」と一緒に「失業認定申告書」も配られます。認定日には、雇用保険受給資格者証、失業認定申告書、印鑑を持って行きます。失業認定申告書には、失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労、又は内職・手伝いをしたか、また収入を得た場合のその収入のあった日、額を記入したり、求職活動の方法などを記入します。
受給説明会の1~3週間後に第1回目の失業認定日となります。4週間に1度は就職活動をしているのに失業中であることをチェックするための書類申請と面談が行われます。第2回、第3回、第4回と失業認定日にハローワークに行き、失業認定を受ける手続きを繰り返したのち、失業手当がもらえる流れになっています。
失業手当の受給期間延長する場合
受給期間延長ができる条件
失業保険の個別延長給付
解雇や倒産などで離職した人、労働契約が更新されずに離職した人が対象となります。失業手当の受給期間を、個人の事情に配慮して延長できる制度です。個別延長給付を受けることができるのは、以下の条件のどれかに該当し、積極的な求職活動を行っている人になります。
☑1.安定した職業に就いた経験が少なく、離職または転職を繰り返している、離職日において45歳未満の人。
☑2.雇用機会の少ない地域に居住している人。
☑3.受給資格者の知識、技能、職業経験、その他の実情を考慮して、職業安定所が再就職のための支援を計画的に行う必要があると認められた人。
限定されている失業保険の受給期間延長
この制度は失業保険受給期間延長申請書をハローワークに提出することで利用することができます。以下の理由で30日以上働けない人が対象となります。
☑1.病気、怪我
☑2.妊娠出産育児
☑3.小学校就学前の子の看護、親族の介護
☑4.海外勤務の配偶者に本人が同行
延長する場合の必要書類
受給期間延長の申請をする場合には、引き続き30日以上働くことができなくなった日の翌日から1ヶ月以内に、ハローワークに申請をします。その際には「受給期間延長申請書」、「雇用保険受給資格者証」、「延長理由に該当することの事実を確認できる書類」「印鑑」が必要になります。受給期間の延長手続きは代理人でも可能、必要書類の手続きは郵送でもできます。
受給期間の延長が認められると「受給期間延長通知書」が渡されますが、その延長の理由が終わったときは、すぐにハローワークに届け出します。受給期間延長の期間は最高3年まで、本来の受給期間と合わせると合計4年までとなっています。
受給期間延長は最大3年間
一定の理由により、30日以上職業に就くことができない期間がある場合には、受給期間を最大3年間延長することができます。
また、60歳以上(船員の人については50歳以上)の定年退職や定年後の継続雇用の終了により退職し、退職後一定期間求職の申し込みをしないことを申し出た場合には、この申し出た期間(最長1年間)分、受給期間を延長することができます。
この場合の申請期限は離職日の翌日から2ヶ月以内、ハローワークに離職票を提出する際に必ず申し出てください。
失業手当手続きに必要な離職票が届かない場合
退職した会社に電話で確認する
離職票は10日以内にハローワークに届けるように、雇用保険法第7条で定められています。退職後2週間を過ぎても離職票が送られてこないときは、会社側に早く送付してくれるよう、請求することができます。
会社側に請求をしてもなかなか離職票が届かない場合は、ハローワークに行って事情を説明しましょう。離職票が届かないと、失業手当などの手続きが遅れてしまいます。ハローワークから電話連絡をしてもらえないでしょうか、と相談してみましょう。
離職票の到着見込みがわかれば手続きは可能
退職者やハローワークの担当官が電話連絡をしてもいつ離職票が届くかわからないといった状況のときには、特別な事情として離職票がない状態での失業手当の仮受付ができます。離職票が届かないと給付自体は受けられないので、あくまで猶予措置とした考えかたが仮受付です。
離職票を首を長くして待たなければならない状況におちいらないためにも、退職するときに、早く離職票を送付してもらえるようにお願いをしておくとよいかもしれません。
失業手当をもらうには必要書類をしっかり準備しよう
せっかくハローワークに失業に関する手続きなどをするために行っても、必要書類がそろっていなければ手続きを進めることができません。初回に必要なもの、その後の求職活動に必要なものをしっかり準備してからハローワークに行きましょう。
また、不正受給をすると厳重に処分されます。発見の日以後、失業給付が受けられなくなります。不正の以後に受けた失業給付は、全額返還しなければなりません。そのうえ、不正に受給した金額と2倍額以内の納付金を納めなければなりません。さらに、延滞金も課せられます。雇用保険は正しく受給しましょう。