雇用保険受給資格者証とは。失業保険給付の手続きの流れと必要書類

正社員雇用されていた会社を退職したときに必要なのが失業保険。特に女性の場合は、結婚や出産を機に退職を考えている人も多いのではないでしょうか。失業保険の給付を受ける際には、雇用保険受給資格者証を持ってハローワークで必要な手続きを行いましょう。

雇用保険受給資格者証発行の流れ


☑1. 雇用保険受給の手続きをする
会社を退職したあとに給付を受けられる失業保険。しかし、失業保険は何もしなくても自動でもらえるというわけではありません。退職の際に会社から離職票を受け取ったら、受給資格を取得するためにハローワークでの手続きが必要となります。

☑2. 離職票をハローワークへ提出する
離職票は、退職後10日前後に退社した会社から発行されるものです。離職票には退職理由や過去半年間の給料、出社日などが記入されており、ハローワークが失業保険の給付を決定する際に必要な情報となります。離職票には、「離職票1」と「離職票2」の2つがあります。まず、会社から離職票2が渡されます。これに必要事項を記入して、一度離職票を会社に渡します。

その後、会社がハローワークで手続きを行い、ハローワークから処理済みの離職票2と雇用保険被保険者離職票1が渡されます。会社は、離職票が発行されたらただちに離職票1と2を退職者に送付します。もし10日経っても離職票が届かない場合は、会社に問い合わせてみましょう。離職票を受け取った後、離職票1と2を持ってハローワークで手続きを行います。

☑3. 求職の申し込みを行う
会社を退職したのち、原則として4週間に1度ハローワークに行くことになります。これは失業の認定をしてもらうためと、期間中にどれくらいの求職活動をしたのか、どれくらい働いたのかを報告するためです。指定された日にちを守って、きちんと通うようにしましょう。

☑4. 雇用保険受給者初回説明会への参加
雇用保険受給者初回説明会は、指定の日時に開催されます。雇用保険受給資格者のしおりと印鑑、筆記用具を持って必ず参加しましょう。説明会では、雇用保険の受給についての重要事項の説明が行われ、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が発行されます。さらに一回目の「失業認定日」も知ることができます。

☑5. ハローワークで失業の認定を受ける
失業保険の受給では、説明会への参加や雇用保険受給者証の発行手続き、求職の申し込みなどを行い、受給要件を満たしていると確認されたら、失業保険給付の認定を受けることができます。このとき、なぜ離職したのかなどの簡単な聞き取りもありますので、退職理由などは事前に明確にしておきましょう。

失業手当を受け取る資格を証明するもの

受給説明会で渡される書類

ハローワークで雇用保険や失業給付の受給手続きを済ませ、雇用保険受給者初回説明会に参加した後に渡される書類が「雇用保険受給資格者証」です。雇用保険受給資格者証は、2つに折り曲げた状態で使用します。コンピューター処理を行うので、不必要に折り曲げたりすることのないよう気をつけましょう。

雇用保険受給資格者証は、失業給付手当を受けている間、必要となる大切な書類です。他人に貸したり、譲ったりすることは禁止されています。紛失した場合は、すみやかにハローワークに届け出る必要があります。失業認定日に必要な書類と一緒に忘れないように保管しておきましょう。

雇用保険の給付を受けるために必要な書類

受給資格を取得するために必要な書類は以下の通りです。しっかりと確認して事前準備を行ってください。

☑求職申込書:ハローワークから発行されます。
☑雇用保険被保険者離職票1と2
☑雇用保険被保険者証
☑住民票、もしくは運転免許証、健康保険者証など、住所や年齢を確認できるもの(官公署発行のもの)
☑証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm 正面上半身が写っているもの)
☑認印
☑本人名義の普通預金通帳
☑マイナンバーがわかる資料

雇用保険受給資格者証と失業認定申告書

受給説明会が終わると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が発行されます。失業保険を認定してもらう際には必ず必要となりますので、大切に保管しておきましょう。失業認定申告書は、求職活動をしたかどうかを確認するための大切な書類です。記入する内容は以下の通りです。

☑1.期間中に、就職・就労、または内職をしたかどうか:4時間以上の仕事をしたかどうかが原則となります。指定の期間中に当てはまる日があれば、カレンダー欄に○をつけます。

☑2.内職や手伝いをして得た収入の詳細:1日の就労時間が4時間未満で、仕事の手伝いやアルバイト、内職などを行った場合に記入をします。ただし、労働時間が4時間以上でも1日当たりの収入が最低賃金日額未満であった場合も内職・手伝い扱いとなります。

☑3.期間中に求職活動をしたかどうか:求職活動の方法や活動した日、利用したハローワークの名称、求職活動の内容などを記入します。

インターネットの求人サイトなどで応募した場合は、「応募した企業名」「電話番号」「応募した日」「応募方法」「応募したきっかけ」「応募の結果」などをイ欄の(2)部分に記入します。

失業保険の認定日には必ず必要

給付期間が終了するまでの間、原則として4週に1回ある失業認定日。失業保険の給付を受ける、制限つき・なしで日程は異なります。持っていくものは「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」、そして認印になります。失業認定申告書には事前の記入が必要となりますので、事前に記入を済ませておきましょう。

第3面に本人確認の顔写真を貼る

発行された雇用保険受給資格者証には、本人を確認するための写真が必要となります。モノクロでもカラーでも構いませんが、正面で上半身が写っているもの「縦3cm×横2.5cm」を2枚用意しましょう。給付を受けるためには、失業認定を行うための失業認定日に必ずハローワークにいくことが必要です。必要書類を揃えて、直前にあわてることのないようにしましょう。

雇用保険受給資格者証に記載されていること

支給番号は管理番号

雇用保険受給資格者証の左上に記載されている「支給番号」。受給手続きなどを行う際、個人を管理するために必要な番号が個人それぞれに発行されています。5桁-2桁-6桁-1桁とかなり多い桁数の数字で、被保険者番号とは全く異なるものです。
支給番号は、ハローワークで仕事を探すときに必要となります。左5桁がハローワークから発行された受付番号で、残りは個人を識別するための番号となります。

雇用保険の被保険者番号

雇用保険被保険者証の左側、真ん中当たりに記載されているのが「被保険者番号」。4-6-1桁で構成されている合計11桁の数字です。会社に入社した際、会社はハローワークで従業員の雇用保険の加入手続きを行います。被保険者番号は雇用保険に加入していることを証明するためのもので、雇用保険被保険者証が発行されます。

雇用保険被保険者証には、企業を表す「事業所番号」と個人を表す「被保険者番号」が記載されており、被保険者番号は、その会社を退社しても再就職しても一生変わることはありません。

離職時年齢は支給日数に影響する

雇用保険受給資格者証に記載されている離職時年齢とは、会社を退職したときの年齢のことです。特定受給資格者の場合では、30歳未満、30歳以上35歳未満、35歳以上45歳未満、45歳以上60歳未満、60歳以上65歳未満というように細かく区分されており、離職時年齢が支給日数に影響することもあります。

とくに失業給付は65歳を境に大きく変わります。64歳までの人が退職の際にもらえる失業手当は「基本手当」ですが、被保険者であった期間によっても給付日数は異なります。年齢と離職前の6ヶ月間の賃金を合算したものから、算出した日額が所定の日数分受け取れるという計算になるのです。65歳以上になると、基本手当よりも給付日数が短い「高年齢求職者給付金」を受け取ることができます。

失業保険の入金先の銀行口座

雇用保険受給資格者証の支払い方法欄に記載されている番号は、手続きの際に提出した離職票に記入した金融機関コード(左7桁)と銀行口座の口座番号(右7桁)が記載されています。失業保険の給付金が振り込まれる重要な番号となりますので、間違いがないかどうかを確認しておきましょう。

資格取得年月日と離職年月日

資格取得年月日とは、雇用保険に加入した日のことを指しています。雇用保険に加入した日から離職した日までの期間が、失業保険を受けるための受給資格や支給日数に関係してきます。また離職年月日とは、会社を退職した日のことです。雇用保険の被保険者ではなくなったこの日を基準に、1年間が失業保険の受給期間となり、受給資格や支給日数が決定されます。

離職理由や離職時賃金日額

離職理由が各区分ごとにコード付けされています。このコードをもとにして、受給資格者であるかどうかを判定するのです。

☑11:解雇(3年以上更新された非正規社員の雇い止めなども含む)
☑12:天災等の理由で事業の継続が不可能になったことによる解雇
☑21:雇い止め(事業主側の事情によるもの)
☑22:雇い止め(3年未満、更新の確約があった場合)
☑23:事業主の事情による雇い止め
☑31:倒産、退職の推賞、法令違反の労働環境など、正当な理由のある自己都合による退職
☑32:事業所移転など正当な理由のある自己都合による退職

支給番号をはじめとし、銀行口座や離職理由など、雇用保険受給資格者証には意味のある数字が多く記載されています。年齢や離職日などは受給日数にも大きく影響するため、間違いがないかどうかを確認しておきましょう。

雇用保険受給資格者証の見方

1面には失業保険給付のもとになる情報の記載

雇用保険受給資格者証は、全部で4つの面に区分されています。そのうち1面には、失業保険の給付を受ける本人の氏名や住所、雇用保険に加入した年月日や離職した年月日などの個人情報のほか、離職理由や通算被保険者期間など、失業保険給付を判定するための元となる情報が詳しく記載されています。裏面の2面には、1面に関する注意書き等が記入されており、給付を受けている期間はもちろん、給付が完了した後も大切な書類として保管しておく必要があります。

第3面には失業保険の給付に関する履歴

3面と4面には、これまで受給してきた失業保険の給付に関する履歴が記載されることになります。どんな種類の給付がなされたのか、どれくらいの期間受給していたのかなどの詳細がすぐに判別できるようになっており、3面には準備しておいた証明写真を貼り付けます。

失業保険が支給される期間や支給金額の記載

雇用保険受給資格証の見方は、記載内容を理解することが大切になります。第1面〜第4面までに記載されている詳細内容は以下の通りです。

第1面

☑1.支給番号:失業保険を受給するための番号です。失業認定申告書にも記載する大切な管理番号となります。
☑2.氏名:受給者本人の氏名が記載されています。
☑3.被保険者番号:11桁から構成されている被保険者番号は、加入者一人ひとりに付与されているもので、離職した際も再就職したあともこの番号が変わることはありません。
☑4.性別
☑5.離職時年齢:会社を退社したときの年齢が記載されています。

☑6.生年月日:1桁目の「3」は昭和、「4」は平成の区分コードです。「―」から右側が月日を表示しています。
☑7.求職番号:4桁〜8桁で構成されている番号です。ハローワークから発行されるハローワークカードのバーコード下に記載されている右の数字と同一となります。
☑8.住所:受給者本人の住所が記載されています。
☑9.給付手当が振り込まれる金融機関の記号、口座番号、金融機関名、支店コードなどが記載されています。間違っていると正しく振込みされませんので、しっかりと確認しておきましょう。
☑10.資格取得年月日:雇用保険に加入した年月日です。会社に入社した日と同一になります。

☑11.離職年月日:会社を退社した日が記載されています。
☑12.離職理由:退職理由が区分分けされており、該当する理由のコード番号が記載されます。詳細な退職理由別の区分は先述の通りです。
☑13.60歳到達時賃金日額:高年齢雇用の際に記載される欄です。
☑14.離職時賃金日額:離職する前の6ヶ月間に支払われた賃金合計を180日で割った金額が記載されます。
☑15.給付制限:給付についての制限がある場合、その制限の期間が記載されます。

☑16.求職申込年月日:ハローワークに離職票を提出し、求職手続きを行った日が記載されます。
☑17.認定日:認定日の週と曜日が記載されています。
☑18.受給期間満了年月日:失業手当を受けられる期間の最終年月日が記載されています。
☑19.基本手当日額:1日に受け取れる日額が記載されています。
☑20.所定給付日数:失業手当を受けられる日数の上限が記載されています。

☑21.通算被保険者期間:被保険者として雇用されていた期間を通算したものが記載されています。
☑22.離職前事業所名:退社した会社名が記載されています。
☑23.再就職手当支給歴:過去に再就職の手当を受けたことがある場合、その履歴が記載されています。

第2面

雇用保険受給資格者証の取扱い等についての注意事項と、被保険者番号、求職番号・支給番号のバーコードが記載、貼付されています。

第3面

本人の顔写真、これまでに給付を受けた失業手当の金額などの履歴が記録されています。

第4面

第3面に記載しきれない履歴が記入されます。

仕事が決まってない時は早めに失職の手続きをすると安心

失業保険は、離職後に「仕事を探している」ということが求められます。再就職が決まるまでの所定給付日数を限度として、「失業の認定」と「受給」を繰り返しながら求職活動を行いますので、仕事が決まっていないときは、できるだけ早く失業保険の給付手続きをするようにしましょう。認定を受けた日から約1週間ほどで指定した金融機関へ基本手当が振り込まれることになるので、早めのの手続きをしておくと安心ですね。

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