雇用保険被保険者証についてどれくらい知っていますか?雇用保険被保険者証は実際に見たことがない方にとっては、とても難しく不可解な存在です。正しい知識を身に着けておけばいざというときに対応できるので、ポイントや特徴について知っておきましょう。
目次
雇用保険被保険者証とは
雇用保険に加入していることを証明してくれる証書
雇用保険被保険者証とは、雇用保険に入っている人物かどうかを証明するために発行されるものです。雇用保険に関するさまざまな情報が記載されており、内容の確認や受給申請などの際に必要となります。
雇用保険被保険者証自体は、加入者本人に直接渡されることはありません。最初は会社に渡されることになり、そこから会社が管理するか加入者本人が管理するかが決まります。この決まりに関して公共職業安定所(ハローワーク)が関与することはありません。
うまく管理できなかった場合の罰則もないので、本人たちの自由という形になっています。そのため管理のことで会社と加入者本人の間でうまく連携を取ることができず、あいまいな状態に置かれることがよく起こります。
雇用保険に入ることが決まった時点で、お互いにどう管理していくのかを話し合っておけば、スムーズに事を進められるでしょう。
雇用保険の加入者それぞれ専用の番号
雇用保険被保険者証には被保険者番号が記載されています。それぞれに違った番号で、個人を区別するために割り振られています。11桁の番号で構成され、この番号は基本的にずっと変わることがありません。
失業給付や転職の際に非常に重要となる項目なので、分からなくなってしまうと確認作業などの面倒な手間が増えます。できれば被保険者番号が分かった時点で、メモに書いておくなどしておくと安心です。
最初に就職した会社で発行される
雇用保険被保険者証は、最初に就職した会社で発行されます。記載されている雇用保険被保険番号は転職の際にも同じ番号が使われ、会社によって変更されることはありません。
番号が同じとはいってもそれによって就職歴が会社側に分かることはないので、どこの会社に勤めていたのかをすべて把握される心配は不要です。
発行された会社で管理されることが多い
雇用保険被保険者証は、会社で保管されることが多くなります。雇用保険被保険者証は紛失や誤って捨ててしまう方が多く、安全のために預かるケースが珍しくありません。
もし加入者が雇用保険被保険者証をなくしてしまうと再発行の手続きなど面倒な作業が多くなるため、あえて積極的に管理したがる会社も多いです。しかし雇用保険被保険者証の管理自体は、特に会社にとって大きなメリットがないため、それほど執着されることはありません。
きちんと管理ができることをアピールすれば渡してもらえるので、雇用保険被保険者証を手元に置いておきたい方は会社側に相談してみてもいいでしょう。
退職後に離職票と一緒にもらえる
雇用保険被保険者証は通常、退職の後に加入者本人に対して離職票と一緒に渡されます。きちんと渡されるケースがほとんどですが、まれに渡されないこともあります。その場合はこちらから言わないと譲渡されない可能性もあるので、気になる場合はこちらから伝える必要があります。
雇用保険被保険者証は元々会社に保管されているものなのですぐに渡すことができますが、離職票は届け出が必要なものなので、タイムラグが発生する可能性があります。その場合は郵送で送られてくることが多いので、会社からの郵便物に気を付けるようにしてください。
新しい会社には雇用保険被保険番号の提出のみでもOK
もし前の会社と連絡を取りたくない場合は、雇用保険被保険番号を覚えておくだけでOKです。雇用保険被保険番号は、雇用保険を引き継ぐ際に必要となる情報です。
そのため雇用保険被保険番号を覚えておくだけでも、転職の際に問題になることはありません。ただ覚え間違いを伝えてしまったり、物をなくす人だと思われるのはリスクといえます。できるだけ確実に、雇用保険被保険者証を提出するようにしたいですね。
雇用保険被保険者証の表面に書かれている内容
会社の情報である事業者番号と事業者名称
雇用保険被保険者証には、事業者番号と事業者名称が記載されています。事業者番号は会社を検索する際に役立ち、事業者名称は会社の正式名称を知ることができる情報です。
特にショップなどは会社の正式名称が使われず、独自の名称を使っていることが珍しくありません。そうなると、失業給付に関する手続きや履歴書の記入に支障が出ることがあります。雇用保険被保険者証をもらった際に確認しておいて損はありません。
雇用保険被保険者証に書かれている事業者番号と事業者名称は、転職先の会社によって変わっていくのでもし変わっていなかったら何らかのミスが考えられます。
被保険者の情報の被保険者氏名と被保険者番号と生年月日
雇用保険被保険者証には加入者本人の氏名・被保険者番号・生年月日が記載されています。氏名・被保険者番号・生年月日はすべて失業給付に関係してくる情報なので、間違いや表記の乱れなどがないか確認しておきましょう。
特に氏名の欄は結婚や離婚などで変わることがありますが、さまざまな変更に紛れ気づかれないケースがとても多くなっています。氏名に間違いがあると手続きに時間がかかってしまうので、早めに公共職業安定所(ハローワーク)に連絡するよう心がけてください。
雇用保険被保険者証を交付された交付年月日
雇用保険被保険者証には、交付された交付年月日が書いてあります。雇用保険がいくら支払われるかは、年月日が大きく関係してくるので大切な情報となります。年月日による給付額の変異はとても細かく定められているので、間違いがないように必ず確認しましょう。
雇用保険被保険者証の裏面に書かれている事
大切に保管する
雇用保険被保険者証の裏面には、大切に保管するという注意書きがされています。雇用保険被保険者証は紙製で決して派手な見た目ではないため、よくわからない方が捨ててしまったり紛失することも珍しくありません。紛失や処分をしてしまうリスクを引き下げるには、無くさないための工夫も必要です。
☑ 1. 重要書類を1ヶ所に集めておく
書類が分散されると紛失のリスクが高まります。まずは箱などを用意しておき、重要書類をまとめておくようにしましょう。細かく分けようとすると時間がかかるので、このときはただまとめておくだけで大丈夫です。
☑ 2. 書類を種類別に分ける
国民年金・不動産関係・雇用関係など種類別に書類を分けていきます。種類別に分けておくと整理のし忘れなどを防ぐことができます。中には種類別に分けるのが困難な書類もありますが、その場合は他に箱などを用意しておき、そこに入れておくようにしましょう。
☑ 3. 種類別に分けファイリングしていく
複数のファイルにファイリングしていきましょう。ファイルも種類別に分け、タイトルをつけておくと間違いがありません。前段階ですでに種類別に分けられているので、ただ入れるだけで大丈夫です。あえて言うならファイルのカラーを複数用意しておくと、パッと見ただけで分かるのでとても便利に使えます。
カラーで分けておけば分別が困難だった書類についても、後から必要が出てきたときにすぐに出すことができます。
公共職業安定所で再発行してもらう
雇用保険被保険者証は公共職業安定所(ハローワーク)でも、発行してもらうことができます。再発行してもらうには申請書の作成が必要となり、申請書は公共職業安定所(ハローワーク)に置いてありますが、事前にインターネットでの作成も可能です。
二重交付しないようにする
雇用保険は合算するため、一つの被保険者番号を使っていくことになります。そのため二重交付されると一方で支払った雇用保険料が適用されず、無駄になってしまう可能性が出てきます。
ただ二重交付になるともう終わりという訳ではありません。複数の被保険者番号を持ってしまったとしても直ちに公共職業安定所(ハローワーク)に申請することで、複数の雇用保険を統一させることができます。
ただ無駄な時間を要することになるので転職先で雇用保険に入る際は、必ず雇用保険被保険者証の提示か被保険者番号の連絡を行っておいてください。
氏名を変更したら届け出る
結婚や離婚、改名などで氏名が変わる場合は、必ず公共職業安定所(ハローワーク)届け出るようにしましょう。届け出せずに氏名が変わると、受給の際などに問題が出てくることがあります。
在職中に氏名の変更があった場合は会社が届け出をしてくれますが、退職した後に氏名が変わった場合は自分で「氏名変更届」を出す必要があります。
氏名の変更は公共職業安定所(ハローワーク)で書類の作成、またはインターネットで作成することも可能なので都合がいい時に届け出をしておきましょう。
失業給付を受ける時は事業主に離職票を交付してもらう
失業給付を受ける時は雇用保険被保険者証だけではなく、離職票も交付してもらえます。離職票は失業給付の際に必要となる書類で、これがなければ失業給付を受けることができません。
離職票は会社が公共職業安定所(ハローワーク)に対して、書類による申請を行わないと発行されません。そのためタイミングによっては、加入者に渡されるのが遅れることがあります。
会社によっては失業給付の申請をしないなら必要がないと、あえて加入者に渡さないケースもあります。リスク軽減のため、こちらから会社に対して離職票の発行をお願いしておきましょう。
雇用保険に加入できる人
正社員として入社した人
正社員として就職した方は、雇用保険に加入できます。正社員といえば基本的に8時間労働が一般的といわれていますが、必ずしも実際にその時間働いていなくても雇用保険は適用されます。
雇用保険の認定基準は労働契約が基準となっているので、実際のところ8時間に満たない働き方をしていても雇用保険に加入できます。たとえ急病などでほとんど会社に行けない状況の方でも適用されるので、安心してください。
ただ中には悪質な会社が存在していて加入条件に合致する授業員がいるのに、あえて雇用保険に入らない選択を取っているところもあります。これは完全なる違法で悪質な行為なので、直ちに会社に申請するか公共職業安定所(ハローワーク)に問い合わせるようにしましょう。
1週間で20時間以上働いているアルバイト
アルバイトの場合は、1週間で20時間以上働いていることを条件に雇用保険に加入できます。この「1週間で20時間以上」というのはあくまで労働契約上のことなので、上記の正社員の場合と変わりません。
例えば急な休みがあったり、実質的には「1週間で20時間以上」を満たしていなくても適用が可能となります。大切なのは労働契約上どうなっているかなので、気になる方は就職時に交わした労働契約書を確認しておくようにしましょう。
長期で働く契約をしている人
長期で働く契約をしている方でも、雇用保険に加入できます。ただ31日未満は加入できないことになっているので、そこは注意が必要ですね。この31日というのは見込みでも確定され、実際に31日働いていなくてもOKです。
31日以上の見込みを満たしていれば契約社員などの期間作業員でも適用が可能なので、労働契約書に書いてある内容を改めて確認しておいてください。
長く契約をしているとはいっても、派遣社員の場合は会社の雇用保険には入りません。派遣社員の場合は、派遣会社に雇われているという形になるからです。雇用保険被保険者証や離職票も派遣会社から発行されるので、気を付けるようにしましょう。
雇用保険に加入しているか確かめる方法
給料明細で雇用保険料が引かれていれば加入していることになる
雇用保険に入っているかどうかは、給料明細からも知ることができます。給料明細には雇用保険の欄が用意されており、そこに金額が書き込まれていれば雇用保険料が引かれている証拠になります。
明細書の形式によっては0と書いてあったり雇用保険の覧自体がない場合がありますが、その場合は基本的に雇用保険に入っていないと考えて良いでしょう。
ただ例外として、雇用保険の欄が0でも雇用保険に入っている場合があります。それが64歳以上の人を雇っていた場合です。平成31年4月1日の時点で64歳以上の方は、雇用保険料が免除されているので雇用保険の欄が0でも加入していることになります。
ただこれは平成31年4月1日までの話で、平成32年度からは64歳以上の方も雇用保険を払う必要が出てきます。どちらにしても雇用保険に加入している事実は変わりませんが、金額に関する表示が違ってくるので注意するようにしましょう。
また、以前は65歳以上の方は雇用保険の対象になっていませんでしたが、平成29年1月1日より、65歳以上の方でも雇用保険に入ることができるようになりました。ただしルーズな会社だと法律改正に沿っていない場合もありますので、65歳以上の方は自分の雇用保険料がしっかりと引かれているか、給料明細を確認してみてください。
公共職業安定所に問い合わせる
よくわからない場合は、公共職業安定所(ハローワーク)に問い合わせてみましょう。公共職業安定所(ハローワーク)では雇用保険に関する情報を管理しているため、問い合わせで大体の内容を知ることができます。
雇用保険に入っているかどうかの確認は管轄外の公共職業安定所(ハローワーク)でも可能となるので、旅行などの際は管轄外の公共職業安定所(ハローワーク)で相談してみましょう。
公共職業安定所(ハローワーク)の受付は基本的に、8時30分から17時15分の間となります。平日は受付をしていますが、土日祝日には開いていないことがほとんどなので、時間の調整をしてから行くようにしてください。
ただ時間や休みは地域によって変わってくる可能性があります。細かな営業時間はホームページで確認しておくと安心です。
雇用保険被保険者証が手元にない時
離職票を確認する
雇用保険被保険者証が手元にない場合は、離職票の確認で情報を知ることができます。離職票には被保険者番号や離職日など、転職や失業給付に必要となる情報が記載されています。
離職票は2枚構成になっており、雇用保険被保険者離職票−1と雇用保険被保険者離職票−2で構成されています。
☑ 1. 雇用保険被保険者離職票−1
雇用保険に入った日・離職年月日・退職した理由が記載されています。失業給付の際はマイナンバー・給付金を振り込む口座を自分で書き込む必要があります。
☑ 2. 雇用保険被保険者離職票−2
事業主の情報・賃金支払情報など主に会社に関する情報が記載されています。特に賃金支払情報は給付額に大きく関係してくるので、間違いがないか自分でも確認するようにしておくと安心です。
どちらも失業給付に必要な書類ですが、2枚構成になっているため紛失しやすい仕様となっています。取り扱いには特に気を付けましょう。
受給資格者証を確認する
受給資格者証でも、必要な情報を知ることができます。受給資格者証は、失業給付に関する手続きをした後に行われる説明会に参加するともらえるものです。
受給資格者証には失業給付に必要となる情報が書かれているので、説明会でよく分からなかった場合は改めて確認しておくと不安がありません。
☑ 1. 支給番号
支給決定された人に渡される番号です。問い合わせなどの際に必要となります。
☑ 2. 被保険者番号
転職や失業給付の手続きの際に必要となる番号です。
☑ 3. 離職時年齢
離職時の年齢は支給額に関係してきます。29 歳以下、30~44 歳、45~59 歳、60~64 歳の区分に分かれ、それぞれ賃金日額の上限額や基本手当日額の上限額にかかわってきます。
これらの基準は、年度ごとに変わってくる可能性があります。厚生労働省のホームページを確認するようにしてください。
☑ 4. 求職者番号
主に公共職業安定所(ハローワーク)で求人を検索する際に必要となる番号です。職員が登録した方を把握するためにも使われます。
☑ 5. 支払い方法
失業給付が支給される口座が記載されています。失業給付の手続きをした際に届け出をした口座になっているはずですが、もし間違いや他の口座にしたくなった際には、直ちに申し出るようにしてください。
☑ 6. 離職理由
離職理由は失業給付がもらえるまでの期間に関係します。離職理由は番号で表示され一目で知ることができます。離職理由は会社側の言い分になっている可能性があるので、改めて確認しておくと安全です。
その他、受給資格者証には離職年月日や資格取得年月日など、重要な内容が記載されます。履歴書に記載するときの目安にもできるので、転職後も取っておくと後々便利に使っていけます。
以前働いていた会社に問い合わせる
雇用保険被保険者証をもらっていない場合は、会社に問い合わせることもできます。雇用保険被保険者証の渡し忘れなどが起こっている場合もあるので、確認を取っておくと安心です。
直接会社に行かなくても、郵送で送ってもらうなどさまざまな方法が取れるので、自分の都合に合わせた方法を相談してみてください。
もし会社側が雇用保険被保険者証を渡してくれない場合でも方法はあるので、会社と関わりたくない場合はそれらの方法を取るのも良いでしょう。
公共職業安定所で再発行してもらう
雇用保険被保険者証は、公共職業安定所(ハローワーク)で再発行してもらうことができます。ただ書類の作成などに時間がかかるので、再発行してもらうなら時間に余裕をもって行ってください。
事前に自宅で書類を作成しておくのもいいでしょう。インターネットから気軽に作成することができます。
再発行してもらえるものだが大切に保管しよう
雇用保険被保険者証は再発行が可能です。しかし再発行には時間がかかるので、忙しい方にとっては大変な作業となるでしょう。そういった手間をなくすためには雇用保険被保険者証を大切に保管し、いつでも出せるようにしておくことが大切です。
破損や紛失の可能性を減らすための工夫を行い、必要な時にスムーズな手続きを行えるようにしておきましょう。