失業手当手続き。会社退職後の必要書類と複雑な手続きの解決法

退職後の支えとなる失業保険。ただし誰でも自動的に受給できるシステムではありません。失業保険を受け取るための条件について、複雑でよくわからない人も多いと思いますが、会社退職後に必要となる書類や複雑な手続きに関する解決法です。

失業手当の受給条件

雇用保険の加入期間が1年以上ある

失業保険とは、「雇用保険の失業給付」のことを指し、会社員が退職などによって失業した場合に再就職するまでの期間に必要な生活費等を国から支給されますが、受給するためには手続きが必要となります。

受給条件の確認

退職後も電気代や水道代などのライフラインの支払いや食費などの出費もあり、日々の生活を続けていくにはお金が必要になってきます。ただし、雇用保険は失業したすべての人が受給できるものではなく、あくまで「再就職が決まっていない人」が前提です。

また失業保険を受給するためには、「雇用保険の加入期間」の条件を満たしてなければいけません。まずは「雇用保険の加入期間」がポイントになってきます。

雇用保険の加入期間

在職中に雇用保険に加入していた期間が退職日から遡ること「2年間のうちに被保険者期間(保険料を払っていた人)が通算で12ヶ月以上あること」が条件。(会社都合での退職の特定受給資格者及び特定理由離職者は通算で6ヶ月間以上)

ちなみに「被保険者期間」とは退職日から遡っていき、賃金の支払い日数が「11日以上」ある月を1ヶ月とカウントします。たとえば退職した日が2月15日であれば、そこからさかのぼった1月15日までを1ヶ月とします。その間に11日以上働いた日があれば、被保険者期間は1ヶ月分とカウントされます。

働く意思があり働ける状態である

失業保険を受給するための条件としては、「働く意志があり働ける状態である」ことです。つまり、病気やけがなどない、働ける(働きたい)環境下で積極的に求職活動を行っているが、就職先が見つからない状況にあるということ。

妊娠や親などの介護などで働くことが困難な場合は、働く能力がないと判断される可能性がありますので、ハローワークで確認してください。原則、「もう一度働くことを希望している人にだけ支給」され、働く意志のない人や専業主婦になる人、起業を予定している人は対象外となります。

雇用保険は退職したら誰でも受給できるものではありません。あくまで再就職までの生活支援金として求職者の生活をサポートするものです。

退職したらまずは、ハローワークに必要書類を揃えた上で求職登録を済ませます。登録後に雇用保険の受給資格が得られるかたちになるのです。

失業手当の手続きに必要なもの

離職票-1と離職票-2

勤めていた会社は退職の翌日から「10日以内」に本人が記名押印または、自筆による署名した「離職証明書」と「雇用保険被保険者資格喪失届け」の提出をハローワークに提出します。

その書類がハローワークで受理されると、今度はハローワークから離職票-1と離職票-2が届けられ、その後会社から本人にこれら離職票が送付されてきます。ハローワークで失業保険を受給するためには、「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」を退職した会社から受け取りましょう。

通常、これら書類の記入は勤務先であった会社が記入しますので、記入漏れや間違いの確認すると同時に、「自己都合」か「会社都合」なのかの退職理由を確認。書類に不備がない場合は、すみやかにハローワークに提出し、ハローワークの受理印をもらいます。

雇用保険被保険者離職票-1

離職票の上部に「資格喪失確認通知書(被保険者通知用)」と書かれたピンク色の用紙。これは勤務先の会社作成によるもので、失業保険の給付金の振込先である金融機関の口座情報などを記入。

雇用保険被保険者離職票-2

左右見開きになっている緑色の用紙で、左と右それぞれに記入欄が分かれています。こちらも勤務先の会社作成によるもので、左側には労働者、勤務先の情報、給料の支払い明細、右側には退職理由を記入します。

マイナンバーの分かるものと身分証明書

マイナンバー制度の導入に伴い、2016年1月から雇用保険被保険者資格取得届に個人番号の記載が必要になります。マイナンバーを確認できる書類は、「マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー記載のある住民票」のいずれか1点。

本人確認証明書とは、本人、住所、年齢が確認できる写真付きの官公署発行の書類。マイナンバー確認証明書にてマイナンバーを提出した人は不要ですが、通知カードと個人番号の記載がある住民票の場合には必要になります。

運転免許証、パスポート、身体障害者手帳などはいずれか1点、公的医療保険の被保険者証、年金手帳、児童扶養手当証書などであれば、いずれか2種類を持っていってください。

預金通帳またはキャッシュカード

失業保険料は銀行振り込みとなりますが、普通預金通帳は他人名義ではなく、本人名義でなければいけません。振込先については、ネット銀行は不可のほか、外資系金融機関も対象外です。

失業保険を手続きする際には、本人名義の預金通帳、またはキャッシュカードを持参。一部のハローワークではキャッシュカードだけでも失業保険の受給手続きは可能となっています。

写真2枚と印鑑

受給者本人を確認するため、上記書類や銀行通帳のほか、顔写真2枚と印鑑も持ち物になります。顔写真は、「カラー写真」が一般的ですが、白黒写真でも可能だそうです。サイズは縦3cm×横2.5cmの正面上半身で、3ヶ月以内に撮影されたものが条件。

印鑑については、各書類に捺印するだけではなく、記入した「書類の内容を訂正したい」場合にも二重線を引いたあとに捺印する必要がありますので、持参してください。

失業手当の受給手続き方法

ハローワークで求職者登録をする

☑1.求職の申込みと離職票を提出する

☑2.離職理由の確認と受給資格が判定される

☑3.受給説明会の日時が決定される

失業手当の受給手続き方法に関しては、まず離職票などの必要書類と正面の顔写真2枚をそろえたら、「住居を管轄する」ハローワークに行ってください。ハローワークでの手続きは次のとおりです。

「求職の申込みと離職票を提出する」については、受給者の「再就職の意思」を示すもので、失業保険手続きの第1段階となります。さらに提出した離職票をもとに、ハローワーク職員が失業保険の受給資格を判定します。

このとき離職票に記載してある「離職理由」について、意義がある場合は申し出ます。離職理由は会社側が記入するので、正当ではない離職理由が記載されているかもしれません。離職理由を確認するのは、理由によって受給日数や受給開始日に影響がでるかもしれませんので、注意してください。

「受給説明会の日時が決定される」とは、失業保険の受給資格が認められた人が参加する「失業保険の受給方法」などについての説明会です。場所は申請したハローワークで実施され、日時もハローワークが指定します。通常は待機期間の7日間を過ぎてから数日後に開催され、受給者は必ず参加しなくてはいけません。

受給説明会に行く

☑1.受給に関する注意点など説明される

☑2.失業認定日が決定される

ハローワークから指定された「出頭日」にハローワークに行き、失業保険を受給するための流れや給付金の受給方法について説明があります。受給説明会では次の点について案内がありますので、しっかりと聞いてください。

説明会では「受給に関する注意点などが説明される」ということは、求職活動に関することや、失業保険を受給するための流れや注意事項について案内があります。

説明会が終わると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」がハローワークの職員から渡され、次回ハローワークに行く日時、つまり「失業認定日」が決定されます。

自己都合退職の人は3ヶ月後、会社都合職の人は1ヶ月後となり、その間に求職活動を月に1回以上(自己都合退職の人は3ヶ月の待機期間があるので3回以上)行い、失業認定申告書に記載。

失業手当の手続き期限と受給期間について

失業手当の受給期間は離職日翌日から1年

失業手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。受給期間が終了すると、仮に失業給付の所定給付日数が残っていたとしても、途中で打ち切られてしまいます。

ただし、60歳以上の定年退職などの場合は、勤務延長が終了して退職しますので、退職日の翌日から2ヶ月以内にハローワークに申請すれば、受給期間が延長できます。延長期間は最長1年。

30日以上働けないときは期間を延長できる

離職から30日以上働けないときは失業保険の受給期間延長をハローワークに申請することができます。この制度の対象になるのは、病気やケガ、妊娠、出産、育児・親の介護などで「30日以上働けない人」です。延長手続きを行うと最長3年間まで失業保険の受給開始時期を先延ばしすることができます。

上述したように、原則として失業手当の受給期間は「離職日の翌日から1年間」となりますが、病気やケガなどのやむを得ない事情がある際に期間延長が可能。つまり、1年 (通常の失業手当は離職日の翌日から)+3年(30日以上働けない期間の延長)となり、合計4年間の猶予期間があります。

失業保険の手続き期限が過ぎた場合

2年以内であれば支給申請が可能

失業保険の迅速な給付のために申請期限に申請することが原則ですが、申請期限を過ぎた場合でも時効が完成するまでの期間 (2年間)について申請が可能です。

以前に給付金の支給申請を行ったが、申請期限が過ぎたことで支給できなかった人についても、再度申請することができます。その申請日が給付時効の完成前で、給付金の要件を満たしていれば、給付金は支給されます。

雇用保険(失業保険)の各給付のうち、就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職 支度手当、移転費、広域求職活動費、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門 実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、高年齢雇用継続基本 給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金などが対象です。

基本手当の受給期間を延長できる

失業保険の基本手当の受給期間を延長できます。延長する条件としては、「失業状態で病気やケガなどで30日以上、職業に就くことができない」ことです。病気やケガのほか、次のようなケースがあります。

☑病気やケガ

☑妊娠、出産、育児(3歳未満)

☑親族の看護、介護

☑海外ボランティアや配偶者の海外赴任への同行

これらの理由により働くことができない状態が30日以上続いた後に、延長の手続きが可能になります。働くことができない状態が続いている間は延長を継続できますが、最長でも3年間までという制限があります。つまり失業した日の翌日から1年+3年で最長4年間受給資格を維持できます。

延長の手続きは、やむを得ない理由が生じた日から30日経過した後の1ヶ月以内に行ってください。期限を過ぎてから手続きしても延長は可能ですが、期限を過ぎた日数分は「延長対象」から外れます。

失業手当の手続きはまず離職票が届いてから

失業手当の手続きはまず離職票が届いてから。届かない場合には在籍していた会社の人事部などの担当者に問い合わせることです。離職票が届かないからとそのまま放置しておくのは得策ではありません。

失業手当は、失業者にとって次の仕事を見つけるまでの間の生活費などをある程度は保証してくれる大切なものです。ハローワークに行って手続きを行う必要がありますが、持参する書類に不備がある場合などは認定までに時間がかかってしまうことも。

指定された説明会や認定日にはハローワークにしっかりといくことが失業手当を受けることの条件となります。もちろん就職活動をやることは受給するにあたり大前提となります。細かいきまりや基準が分からないときには、ハローワークの職員に相談することも大切にもなってきます。

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