法定調書の主な4種類と提出方法とは?提出時に注意すべき4つの点

「法定調書って聞いたことがあるけど、実際はどういうものだろう?」
「法定調書は税務署に提出が必要らしいが、どのように作成すればいいのだろう?」

このような疑問を抱えた事業主の方や、経理・総務担当の方は多いのではないでしょうか?

この記事では法定調書の種類や提出方法について詳しく解説を行います。

法定調書について理解を深め、年末調整を効率よく進めましょう。

目次

1.法定調書とは

法定調書とは、給料や報酬などを支払う側(会社または個人事業主)が税務署への提出が義務付けられている書類です。

「法定」と名がつく通り、所得税法、相続税法、租税特別措置法等、様々な法律により規定がなされています。

法定調書の種類や提出方法について以下の章で解説します。

(1)法定調書とは

法定調書とは、全部で60種類ありますが、会社や個人事業主が提出すべき法定調書として代表的なものに、給与所得の源泉徴収票や報酬等の支払調書があります。

税の申告漏れや脱税を防ぐためにも法定調書は必ず提出しなくてはなりません。

よく混同される書類に「給与支払報告書」があげられます。

給与支払報告書は法定調書ではないため、各市区町村に提出を行う必要があります。

詳しくは以下の記事で確認しましょう。

給与支払報告書とは?給与支払報告書を提出する際の3つの注意点

2021.01.05

(2)法定調書の種類

法定調書の種類は60種類もあり、納税の種類によって大きく以下の4つに分類されます。

法定調書の種類

  • 所得税法に規定するもの
  • 相続税法に規定するもの
  • 租税特別措置法に規定するもの
  • 国外送金等調書法に規定するもの

主要な法定調書は所得税法に関わるもので、給与所得の源泉徴収票や不動産の支払調書などが該当します。

ここでは所得税法に規定する法定調書について代表的な例を紹介します。

#1:給与所得の源泉徴収票

会社や事業主は給与を支払った全ての人に給与所得の源泉徴収票を作成し交付しなくてはなりません。

そのうち、以下の条件に適応する人に対しては税務署への提出が必要です。

なお、年末調整をしたものとしなかったもので条件が異なります。

受給者の区分

提出範囲

年末調整をしたもの

①法人の役員(取締役、執行役、監査役、顧問等)

給与等の支払金額が150万円を超えるもの

②弁護士・司法書士・公認会計士・税理士など
※給与等として支払っている場合

給与等の支払金額が250万円を超えるもの

③上記①②以外の方

給与等の支払金額が500万円を超えるもの

年末調整をしなかったもの

④「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方で、退職した方など

給与等の支払金額が250万円を超えるもの
(法人役員の場合は50万円を超えるもの)

⑤「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方で、給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかった方

全部

⑥「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった方

給与等の支払金額が50万円を超えるもの

#2:退職所得の源泉徴収票

会社や事業主は退職手当を支払った全ての人に対して退職手当の源泉徴収票を作成し交付しなくてはなりません。

そのうち、受給者が法人の役員である場合は税務署と市区町村へ提出する必要があります。

#3:報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

外交員、集金人、弁護士、税理士など特定の職業の方に報酬を支払った場合に、支払側が作成し税務署に提出しなければならないものです。

支払いを行った相手によって提出する範囲が異なるので注意しましょう。

詳しくは国税庁の公式HPを確認してください。

#4:不動産の使用料等の支払調書

1人に年間15万円以上の不動産使用料等の支払いをした場合は不動産使用料等の支払調書を提出する必要があります。

支払先が法人の場合には、賃料のみを支払った場合は提出不要で、権利金・更新料等の支払については提出が必要です。

詳しくは国税庁の公式HPを確認してください。

#5:不動産等の譲受けの対価の支払調書

不動産の売買だけではなく、交換、競売、公売、収用、現物出資等によって取得した場合は不動産等の譲受けの対価の支払調書を提出する必要があります。

この書類の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が100万円を超えるものです。

詳しくは国税庁の公式HPを確認してください。

(3)法定調書の提出対象と期限

全ての法定調書は、原則として支払いが確定した年の翌年1月31日までに所轄の税務署⻑宛に提出しなければなりません。

提出対象は、その1年間に支払いが確定したものになります。

1月31日が土日に重なる場合、次の月曜日が期限となります。

なお、2021年は1月31日が日曜日のため提出期限が2月1日の月曜日になりましたが、2022年は1月31日の月曜日が提出期限です。

2.法定調書提出の4つの注意点

法定調書の提出では、特に以下の4つを注意しましょう。

法定調書提出の注意点

  • 法定調書合計表の提出も義務
  • マイナンバーの記載は必須
  • 提出枚数が100枚以上の企業は電子申告での提出が義務
  • 遅れても提出することが重要

順に解説します。

(1)法定調書合計表の提出も義務

法定調書提出の際は「法定調書合計表」とともに税務署に提出を行うことが義務付けられています。

「法定調書合計表」とは事業者が提出する法定調書の各項目の支払対象の人数や支払金額合計などを記載する書類で、税務署に提出する必要があります。

(2)マイナンバーの記載は必須

2016年度より法定調書や源泉徴収票にマイナンバーが必須になりました。

仮に、従業員や外部の支払先がマイナンバーの提出を拒否した場合でも、マイナンバーの提出が法律上の義務であることを伝えましょう。

それでもマイナンバーの提出を拒否された場合はマイナンバーを記載せず提出することも可能です。

ただし、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておくことが必要です。

(3)提出枚数が100枚以上の企業は電子申告での提出が義務

2021年1月より前々年の源泉徴収票の提出枚数が100枚を超える人は電子申告が義務化されました。

これにより、すべての法定調書はe-Tax又は電子媒体により提出する必要があります。

e-Taxは、インターネットを利用して様々な納税申告を行えるシステムなので積極的に活用していきましょう。

電子媒体はCDやDVDが該当しますが、提出の際は事前に申請を行う必要があるので注意しましょう。

電子媒体についての詳しい解説はこちらを確認してください。

(4)万が一遅れても提出することが重要

法定調書の提出期限は先述の通り1月31日となっていますが、万が一期日に間に合わなかった場合でも必ず提出しましょう。

万が一、法定調書の提出が遅れたとしても、できるだけ早く提出しましょう。

仮に提出を行わなくても徴課税をはじめとした加算税は発生しませんが、事業者が罰せられる恐れがあります。

まとめ

今回は法定調書について解説しました。

法定調書は、企業や個人事業主が従業員等に支払った金額を記載し、税務署に提出します。

法定調書は税務署が納税者の状況を把握するために提出が義務付けられています。

確実に提出するようにしましょう。

さらに詳しく知りたい方は
税理士に無料相談LINEChatworkメール

関連記事