法定調書合計表の書き方と提出方法。ゆとりをもって正しく作成しよう

法定調書合計表を初めて作成する際には、難しい項目が多く苦戦する方が多いです。しかし事前に、手続きについて、書き方について、提出についてを知っておくことで、ゆとりをもって作成することができます。記載に誤りがないように、正しく作成しましょう。

目次

法定調書合計表とは

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

法定調書は全部で59種類ありますが、そのうち「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を作成して添付する必要がある法定調書は主に6種類あります。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」は、個人の法定調書を集計したものです。
従業員が数十人及び数百人などとたくさんいる場合、源泉徴収票を大量に送付しても税務署の職員は全部計算するのが大変で困ってしまいます。そのため事業主体ごとに集計して提出し、税務署の職員の負担を軽減させるということです。

「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の添付が必要な法定調書6種類

☑ 1.給与所得の源泉徴収票
☑ 2.退職所得の源泉徴収票
☑ 3.報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書
☑ 4.不動産の使用料等の支払調書
☑ 5.不動産等の譲受けの対価の支払調書
☑ 6.不動産等の売買もしくは貸付のあっせん手数料の支払調書

法定調書合計表の手続き対象者

法定調書合計表の手続き対象者は、給与等の支払をする方です。法定調書合計表が必要な法定調書は主に6種類あり、それぞれの手続き対象者については以下のようになります。

給与所得の源泉徴収票の合計表

俸給、給料、賃金、歳費、賞与などのような性質を有する給与の支払いをする方が手続き対象者です。

退職所得の源泉徴収票の合計表

法人の役員等に対し、退職手当や一時恩給などのような性質を有する給与等の支払をする方が対象者です。ただし、死亡退職で退職手当等を支払った場合は、相続税法の規定によって「退職手当金等受給者別支払調書」というものを提出するため、退職所得の源泉徴収票は提出しません。

報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書の合計表

所得税法及び租税特別措置法に規定のある酬・料金・契約金及び賞金の支払をする方は対象者です。例えば外交員報酬、税理士報酬などがあります。

不動産の使用料等の支払調書の合計表

不動産、不動産の上に存在している権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の借受けの対価や不動産の上に存在している権利の設定の対価の支払をする法人、不動産業者の個人の方が対象者です。

不動産等の譲受けの対価の支払調書の合計表

不動産、不動産の上に存在している権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の譲受けの対価の支払をする法人、不動産業者の個人の方が対象者です。

不動産等の売買もしくは貸付のあっせん手数料の支払調書

不動産、不動産の上に存在している権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機の売買もしくは貸付けのあっせん手数料の支払をする法人、不動産業者の個人の方が対象者です。

法定調書合計表の様式と入手

法定調書合計表の様式は、一般的に多いとされている6種類の法定調書の合計表で構成されています。それ以外の法定調書の様式は特に定められていませんが、合計表の添付は同様に必要です。
法定調書合計表は、国税庁のホームページより入手できます。提出は税務署に直接書面を手渡しする他、郵送やe-Taxでの提出でも大丈夫です。e-Taxソフトを利用する場合、Web上でデータを1枚ずつ入力して作成する方法と、エクセルを利用して作成したCSVファイルを用いて作成することも可能。

ちなみに、提出する媒体は、光ディスクや磁気ディスクも利用できます。その場合、以下の項目を必ず記載して提出しましょう。(書面が1,000枚以上の場合は光ディスク等もしくはe-Taxによる提出方法が義務化されています。

光ディスク等に記載すること

☑ 1.提出者名
☑ 2.提出者住所
☑ 3.個人番号もしくは法人番号
☑ 4.局署番号もしくは整理番号
☑ 5.法定資料の名称
☑ 6.提出件数
☑ 7.提出年月日
☑ 8.正本・副本の区別
☑ 9.総枚数及び一連の番号

法定調書合計表主要項目の提出範囲と書き方

基本情報の記入

法定調書合計表を作成する際は、まずは基本情報の記入から始めましょう。基本情報となる項目には、提出者の情報(氏名や住所等)、代表者氏名、調書の提出区分、提出媒体、作成担当者、作成税理士署名押印などがあります。提出媒体は、給与、退職、報酬、使用、譲受、斡旋(あっせん)など、法定調書の種類ごとに2桁のコードで記入するようになっています。

給与所得の源泉徴収票合計表

基本情報の記入が終わったら、次は給与所得の源泉徴収票合計表の欄を記入しましょう。
「俸給、給与、賞与等の総額」の欄は、給与所得の源泉徴収票を税務署に提出しない場合でも給与を受けた人(年の中途退職者も含め)すべてについて記入。「源泉徴収票を提出する者」の欄は、既定の要件に当てはまる人数、支払った俸給、給与、賞与などの総額、源泉徴収税の総額を記入します。(ただし年末調整をしたものとしていないものとで要件が変わる。)

俸給、給与、賞与等の総額について

☑ 1.「人員」の欄には、給与等の支払を受けた方の人員数(丙欄適用の人員以外)を記入。
☑ 2.「左のうち、源泉徴収税額のない者」の欄には、給与所得の源泉徴収票の源泉徴収税額がゼロの人数を記入。
☑ 3.「支払金額」及び「源泉徴収税額」の欄には、支払った俸給、給与、賞与などの総額と源泉徴収税の総額を記入。(年の中途で就職した方が、就職前に他の支払者から受けた給与等の金額や徴収された源泉調整税額は含めない。)

源泉徴収票の提出範囲(年末調整をしたもの)

☑ 1.給与等の支払金額が150万円以上の役員。
☑ 2.給与等の支払金額が500万円以上の社員。
☑ 3.給与等の支払金額が250万円以上の弁護士、税理士など。

源泉徴収票の提出範囲(年末調整をしなかったもの)

☑ 1.給与所得者の扶養控除申告書を提出しており、1年の給与等の金額が2,000万円をこえるので年末調整をしなかったもの。
☑ 2.給与所得者の扶養控除申告書を提出しており、その年中に退職したもの、災害で被害を受けたため給与所得に対する所得税や復興特別所得税の源泉徴収の猶予を受けた者で、その1年の給与等の支払金額が250万円を超えているもの。ただし法人の役員は50万円を超えているもの。
☑ 3.給与所得者の扶養控除等申告書を提出しておらず、給与所得の源泉徴収税額表の月額表もしくは日額票の乙蘭や丙欄の適用者で、その年中の給与等の支払金額が50万円を超えているもの。

退職所得の源泉徴収票合計表

基本情報を記入し、給与所得の源泉徴収票合計表まで進んだら、次は退職所得の源泉徴収票合計表を記入しましょう。
「退職手当等の総額」の欄には、退職手当等の支払を受けるすべての受給者数とその支払額、そして源泉徴収税額を記入。「退職手当などを受けた者のうち、支払調書を提出するもの」の欄には、退職手当等の総額の欄に記入したもののうち、法人役員数の合計と支払金額、そして源泉徴収額を記入します。

報酬等の支払調書合計表

基本情報→給与所得の源泉徴収票合計表→退職所得の源泉徴収票合計表まで進んだら、報酬等の支払調書合計表を記入しましょう。
報酬、料金、契約金および賞金の支払調書合計表という欄があるので、各区分の該当事項に当てはまる人数やその支払総額、そして源泉徴収税の総額を記入します。

報酬等の支払調書合計表の提出範囲

☑ 1.作家や画家への原稿料や画料、講演料等、弁護士や税理士等に対する報酬について、同一人物に対して1年の支払合計額が同一人物に対して5万円を超えるもの。
☑ 2.診療報酬について、同一人物に対して1年の支払合計額が50万円を超えるもの。
☑ 3.プロ野球選手などに支払う報酬や契約金について、同一人物に対して1年の支払合計額が同一人物に対して5万円を超えるもの。
☑ 4.外交員、集金人等の報酬、バー、キャバレーなどのホステス等に支払う報酬、広告宣伝のための賞金について、同一人物に対して1年の支払合計額が50万円を超えるもの。
☑ 5.馬主に支払う競馬の賞金について、その年中に1回の支払賞金額が75万円をこえる支払いを受けたものにかかるその年中のすべての支払金額。

不動産の使用料等の支払調書

不動産の使用料等の支払調書の枠に使用料等の総額という欄があるので、1年で支払いが確定した不動産の使用料等の人員と支払金額の総額を記入します。

不動産の使用料の例

☑ 1.土地や建物の貸借料
☑ 2.礼金等の権利金
☑ 3.更新料や承諾料
☑ 3.名義書換え料
☑ 4.船舶や航空機の借受の対価
☑ 5.催物等で一時的に会場を貸借した料金
☑ 6.広告で塀や壁面など建物の一部を使用した際の貸借料

不動産の使用料等の支払調書の提出範囲

提出範囲は、不動産の使用料等を支払った法人と不動産業者である個人の方。そして同一人に対するその1年の支払金額の合計が15万円をこえるものという要件になっています。
例外として、不動産業者である個人のうち、建物の賃貸借の代理及び仲介を目的にした事業を営んでいる方は提出義務はありません。また、個人ではなく法人に対し家賃や貸借料のみ支払っている場合は、15万円を超えても支払調書を提出しなくてもいいです。(権利料、更新料、名義書換え料の総額が15万円を超えている場合は、支払先が法人でも支払調書を提出します。)

不動産等の譲受けの対価の支払調書

「譲受けの対価の総額」という欄に、その年中に支払った譲り受けた不動産、船舶、航空機の対価、資産の移転に伴い生じた各種の損失の補償金の合計額を記入しましょう。不動産の譲受けは、売買、交換や競売、収用、現物出資等による取得などが含まれています。

不動産等の譲受けの対価の支払調書の提出範囲

提出範囲は、不動産等の譲受けの対価を支払った法人及び不動産業者である個人の方で、同一人に対し1年の支払合計が100万円を超えるものです。不動産業者の個人のうち、建物の賃貸借の代理や仲介を目的に事業を営んでいる方は提出する必要はありません。

不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

その年中に支払が確定した不動産等の売買もしくは貸付けのあっせん手数料の合計額を記入しましょう。

不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書の提出範囲

提出範囲は、同一人に対し1年の支払金額の合計が15万円を超えるものとなっています。

記載誤りを発見した場合の訂正方法

記載誤りを発見したら、正しい内容の法定調書を作成して税務署に提出します。その場合、当初提出した法定調書は無効となるため、以下のものの提出が求められます。

☑ 1.先に提出した法定調書の写し。(右上部の余白に「無効」と赤書きする。)
☑ 2.無効分の合計表。(調書の提出区分の欄に「4」(無効)と記入する。)
☑ 3.正しい法定調書。(右上部の余白に「訂正分」と赤書きする。)
☑ 4.訂正分の合計表。(調書の提出区分の欄に「3」(訂正)と記入する。)

受給者に交付した法定調書に誤りがあった場合の訂正方法

ただしい法定調書を作成した上、「適用」の欄に記載誤りの箇所等を記載し、「再交付」と表示して受給者に改めて交付する必要があります。

法定調書合計表の提出

提出先と受付時間について

法定調書合計表は、納税地等を所轄している税務署長に提出します。税務署の所在地は、国税庁のホームページ内にある国税庁紹介の所在地及び管轄に記載されています。受付時間は8時30分〜17時までです。提出のことで不明な点があれば、最寄りの税務署で受付時間内にご相談ください。

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提出時期や提出期限について

提出時期は、翌年の1月31日までです。1月31日が土日で税務署の休みの日と重なる場合は、次の月曜日が提出期限になります。
郵送で提出する場合、提出期限までの消印が必要ですのでご注意ください。もし提出が期限ギリギリになり期日最後の集荷が終わっていても、夜間窓口に行き日付が変わる前に提出したほうがいいです。しかしそうならないように、早めに準備をするようにしましょう。

提出方法について

支払調書に合計表を添付したものを、直接税務署に手渡しで提出するか、郵送にて送付します。郵送で提出する場合、控えの返却があれば切手を貼った返信用封筒を同封しましょう。
個人の方が提出義務者として法定調書及び法定調書合計表を提出する場合は、いくつかの注意事項があります。詳細は国税庁のホームページ内の「番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い」をご覧いただき確認してください。

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給与所得者の源泉徴収票を併せて提出

法定調書合計表と併せて、給与所得者の源泉徴収票を提出します。給与所得者の源泉徴収票は、給与等を支払ったすべて者を作成し交付することになっていますが、提出範囲は限られているのでご注意ください。
税務署に提出する平成28年1月1日以後の支払にかかる給与所得者の源泉徴収票は、給与の支払いを受ける方等のマイナンバーもしくは法人番号を記載しなくてはいけません。ただし、受給者に交付する給与所得者の源泉徴収票には記載しないので、間違えないようにしましょう。

提出期限の遅延や誤った記載に注意

法定調書合計表の提出期限は1月末です。法定調書合計表の提出義務がある法人及び個人は、提出期限を遅れないように早めに準備をしておくことが大切です。
また誤った記載がないかを提出前によく確認しておきましょう。提出後に記載誤りがあることに気づいた場合は、訂正の手続きを取る必要があり、手間がかかります。

法定調書合計表はゆとりをもって正しく作成しよう

法定調書合計表を作成するにあたり、資料の取りまとめなど年末調整関連のことで準備しなければいけないことがいろいろあります。法定調書及び法定調書合計表の提出期限は1月末と定められているので、提出期限を過ぎないようになるべく早く準備を進めておくことが大切です。
また、誤った記載がないように丁寧に確認しながら進めていくことも大切。法定調書合計表は、ゆとりをもって正しく慎重に作成していきましょう。

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