知っておこう「法定調書の手引き」書き方・種類・様式などの基礎知識

会社の業務で扱うこともある「法定調書」とはいったいどんなもの?種類が多すぎて難しそう…と感じている方も多いことでしょう。実は、源泉徴収や確定申告などですでに触れている機会が多いものです。しっかり内容を理解して、書き漏れなどを防ぎましょう。

法定調書の手引き平成27年

給与所得の源泉徴収票作成方法について

源泉徴収票は税務署に行けばもうことができます。Webからの場合は、国税庁のHPからPDFでダウンロードでき、エクセルデータで欲しい場合はインターネット上からの入手も可能。作り方については基本的に「源泉徴収簿」、一部「保険料控除等申告書・住宅借入金等特別控除申告書」を基に記入・転記するため、比較的簡単に作成できます。

主な源泉徴収簿から転記事項

☑ 給与・賞与の支払金額(手取りではなく、社会保険料や所得税控除前の金額。額面金額)
☑ 所得控除後の金額(?から給与所得控除を差し引いた金額)
☑ 所得控除の額の合計額(年末調整により所得から控除することとなった金額の合計額)
☑ 源泉徴収税額(年末調整後の金額)
☑ 給料・賞与欄
☑ 扶養親族等
☑ 社会保険料(給与から控除された社会保険料+別途支払った社会保険料の合計額)
☑ 生命保険料の控除額(年末調整により計算した控除額)
☑ 地震保険料の控除額(年末調整により計算した控除額)
☑ 住宅借入金等特別控除の額(年末調整により計算した控除額)

詳細はこちら

退職所得の源泉徴収票と特別徴収票について

退職した従業員に対して、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」に退職金の支払金額・源泉徴収税・特別徴収税額などを記載し交付します。会社やその他の法人の役員が退職した場合は、税務署と市区町村にも提出する必要がありますので注意が必要です。ただし、死亡退職により退職手当等を支払った場合には、代わりに「退職手当金等受給者別支払調書」の提出となります。 期限は退職後1ヶ月以内に提出・交付を行わなければなりませんが、税務署に限り翌年 1月末日までの期限となります。

詳細はこちら

報酬料金と契約金及び賞金の支払調書について

「報酬料金と契約金及び賞金の支払調書」の提出に該当する方は、外交員報酬や税理士報酬などの報酬・料金・契約金・賞金の支払をする方です。種類と支払った金額は下記のように決められています。

☑ 同一の人に対してその年中に支払った金額の合計が5万円を超えるもの
1.弁護士や税理士等に対する報酬
2.講演料・原稿料や画料・デザイン料など
3.プロ野球の選手などに支払う報酬・契約金

☑ 同一の人に対してその年中の支払った金額の合計が50万円を超えるもの
1.外交員・集金人・電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬
2.広告宣伝のための賞金
3.社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬

また、上記の5万円や50万円といった提出範囲の金額については、消費税を含めての判断となりますが、消費税額が明確に区分されている場合に限り、その額を含めない金額で判断することができます。

詳細はこちら

不動産の使用料等の支払調書について

この調書の提出義務者は、不動産の使用料等を支払った法人と不動産業者である個人が対象となります。ただし、個人不動産業者のうち、建物賃貸借の代理・仲介が主な事業目的の場合は提出義務がありません。また、法人に支払う不動産の使用料等は、権利金・更新料等のみを提出となります。なお、不動産の使用料等には、土地、建物の賃借料だけでなく、下記のようなものも含まれますので注意しましょう。

1.地上権、地役権の設定あるいは不動産の賃借に伴って支払われるいわゆる権利金、礼金
2.契約期間の満了に伴い、又は借地の上にある建物の増改築に伴って支払われるいわゆる更新料、承諾料
3.借地権や借家権を譲り受けた場合に地主や家主に支払われるいわゆる名義書換料

詳細はこちら

譲受けの対価の支払調書について

こちらは以下のような不動産等の譲受けの対価の支払いを行う場合が税務署への提出義務者になります。

☑ 不動産(不動産の上に存する権利も含む)の対価の支払
☑ 船舶(総トン数20トン以上の船舶のみ)の対価の支払
☑ 航空機の対価の支払

また、不動産等の使用料等の支払調書を提出する義務がある方は、上記の支払を行ったすべての法人及び個人で不動産業を営む者になります。ただし、不動産業者である個人のうち、建物の賃貸借の代理や仲介を主な事業目的とする方は提出義務がありません。対価の支払調書の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払合計が100万円を超えるものになります。

詳細はこちら

不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

この支払調書は下記ような売買または貸付けのあっせん手数料支払を行った場合に作成して税務署に提出します。

☑ 不動産(不動産の上に存する権利も含む)の売買または貸付けのあっせん手数料
☑ 船舶(総トン数20トン以上の船舶のみ)の売買または貸付けのあっせん手数料
☑ 航空機の売買または貸付けのあっせん手数料

不動産等の譲受けの対価の支払調書の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払合計が15万円を超えるものになり、消費税を含めての判断となりますが、明確に区分されている場合には消費税を含めず判断することができます。

詳細はこちら

法定調書とはなんのことなのか

法定調書についての説明

法定調書とは、所得税法や相続税法上、税務署への提出することが義務として定められている資料のことを指し、全部で40種類以上存在しています。基礎知識として、提出期限は原則その年の翌年1月31日までに管轄の税務署に提出と定められておりますが、給与支払報告書・特別徴収票など、一部期限が異なるものもあるため注意が必要です。

詳細はこちら

法定調書の活用方法

税務署は金銭の支払いがあった場合に、その事実を届出させることで、お金の動きを把握します。

具体的な活用方法としては報酬などで金銭を支払う場合、支払いをする側は支払調書を税務署に提出し、受け取る側は確定申告をします。その際、支払額と確定申告の数値が一致しない、あるいは報酬を得ていないと申告をした場合、税務署は問い合わせの文書を送付、あるいは税務調査をして確認をする手続きを行います。ですので、支払調書があることにより脱税を防ぐことができる仕組みを作っているのです。

源泉徴収票作成方法を知りたい

源泉徴収票の様式

源泉徴収票の様式は4枚又は3枚複写になっており、データ抽出の場合、A4用紙1枚に源泉徴収票4枚分が印刷されますのでカットして使用します。

基本的には平成29年1月31日までに提出する源泉徴収票から、新制度に伴い源泉徴収票の様式が変更され、マイナンバーの記載欄が追加されています。作成には、本人・配偶者・家族の個人番号が必要となりますので、あらかじめ確認しておきましょう。末調整時に用意する書類の中には、「扶養控除等申告書」があり、こちらは従業員が作成し給与の支払者が保存しておく書類です。

法定調書を理解して記入漏れを防ぎましょう

いかがでしたか?専門用語で難しそうな法定調書ですが、実は会社など身近なところで目にしていたことが多いのではないでしょうか。

源泉徴収票の作成は、初めての場合は戸惑うことがほとんどですが、基本的には転記がメインのため、落ち着いて取り組めば比較的簡単な作業です。スムーズに作成するためにも年末調整など事前の手続きは済ませておくとよいでしょう。また、書き方がわからなければ税務署に用紙を受け取りに行く際に、職員から教えてもらうことも可能です。

近年、マイナンバー制度が加わり金銭等の支払を受ける方及び支払者等は、ナンバー・法人番号のいずれかの記載が必須となりました。旧様式と新様式が混同し、例年通りとは少し違う部分も出てきます。これまで手続きを行ってきた方も、もう一度法定調書についてしっかり理解し、記入漏れを防ぎましょう。

さらに詳しく知りたい方は
税理士に無料相談LINEChatworkメール

関連記事