【会社設立したら社会保険はいつから加入すべき?】5日以内に加入義務

「会社を設立したら、いつから社会保険の対象になるの?」
「法人の設立は初めてで、いつまでに加入の手続きをする決まりなのか分からない」

このような疑問をお持ちではないでしょうか。

実は会社を設立したら社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)に加入しますが、それぞれ手続きの期限が決められています。

この記事では会社設立からいつまでに社会保険に加入すれば良いのかについて解説しています。

未加入の期間が出ないよう、この記事で理解を深めて期限までに社会保険に加入しましょう。

目次

1.会社設立後の社会保険加入はいつから?

会社を設立したら社会保険の加入義務が発生します。

会社が加入すべき社会保険には健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の5種類がありますが、それぞれ加入期限日が異なります。

健康保険、介護保険、厚生年金は会社設立から5日以内に加入手続きをしなければなりません。

雇用保険、労災保険は従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内に加入手続きの義務があります。

5つの保険に関して、それぞれ必要な届出を説明していきます。

なお、そもそも社会保険についてよく分からないという方は以下の記事で解説を行っているので、先に確認をしておきましょう。

【会社設立後に加入必須の社会保険】会社ごとに加入する社会保険は異なる

2021.01.31

(1)健康保険・介護保険・厚生年金

健康保険・介護保険・厚生年金に加入するには、会社設立から5日以内に、以下の書類を届け出る必要があります。

健康保険・介護保険・厚生年金は同時に届け出ることができ、会社の所在地を管轄する年金事務所に持参または郵送で提出します。

それぞれ必要となる添付書類がありますので、各用紙の下部を確認して準備しましょう。

なお、法人は社長1人で従業員を雇わない場合でも、健康保険・介護保険・厚生年金への加入が必須です。

ただし、役員報酬がない場合は、保険料が徴収できないため、一般的には社会保険に加入できません。

(2)雇用保険・労災保険

雇用保険と労災保険の加入は、従業員を雇用する場合にのみ加入義務が発生します。

会社設立時、役員のみの場合は加入する必要はありません。

一元適用事業の場合は同時に行い、二元適用事業の場合はそれぞれ行います。

二元適用事業は、事業の実態からして労災保険と雇用保険の適用の仕方を区別する必要がある事業(一般に農林漁業・建設業等)が当てはまり、その他の事業は一元適用事業となります。

一元適用事業の場合、次のスケジュールで届け出を行い、雇用保険と労災保険に加入します。

書類 期限 届出先
保険関係成立届 従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内 労働基準監督署
雇用保険適用事業所設置届 雇用保険が適用される事業所が設置された日の翌日から起算して10日以内 公共職業安定所(ハローワーク)
概算保険料申告書 従業員を雇用した日の翌日から起算して50日以内 労働基準監督署、都道府県労働局、日本銀行のいずれか
雇用保険被保険者資格取得届 従業員を雇用した月の翌月10日まで 公共職業安定所(ハローワーク)

保険関係成立届を最初に手続し、その後に他の手続きをしなければならないので、順序に気を付けましょう。

二元適用事業の場合、次のスケジュールで別々に届け出を行い、雇用保険と労災保険のそれぞれに加入します。

二元適用事業に関しても、一元適用事業と同様に保険関係成立届の提出を先に行う必要があります。

  書類 期限 届出先
雇用保険 保険関係成立届 従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内 公共職業安定所(ハローワーク)
雇用保険適用事業所設置届 雇用保険が適用される事業所が設置された日の翌日から起算して10日以内 公共職業安定所(ハローワーク)
概算保険料申告書 従業員を雇用した日の翌日から起算して50日以内 労働基準監督署、都道府県労働局、日本銀行のいずれか
雇用保険被保険者資格取得届 従業員を雇用した月の翌月10日まで 公共職業安定所(ハローワーク)
労災保険 保険関係成立届 従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内 労働基準監督署
概算保険料申告書 従業員を雇用した日の翌日から起算して50日以内 労働基準監督署、都道府県労働局、日本銀行のいずれか

設立した会社が一元適用事業か二元適用事業かによって手続きが異なるので、どちらに該当するか調べてから届け出を行いましょう。

2.社会保険未加入のリスク

社会保険に加入すると事業者は保険料を負担することになるため、加入したくないと考えている方もいるかもしれません。

しかし、会社を設立した後、社会保険に未加入の状態で放置していると、以下のようなリスクが生じます。

社会保険未加入のリスク

  • 過去2年分の保険料の徴収
  • 助成金を受給できない
  • 損害賠償請求の可能性

社会保険に未加入だとどのようなリスクがあるのか、順番に解説していきます。

(1)過去2年分の保険料の徴収

年金事務所の調査で社会保険に未加入であることが発覚すると、最大で過去2年分の保険料を追徴されます。

会社と該当する従業員とで折半して支払いますが、従業員が退職している場合などは会社が全額を負担しなければなりません。

また、加入義務があるにも関わらず、加入していない場合は、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されるといった罰則が課される可能性もあります。

(2)助成金を受給できない

社会保険に未加入だと基本的に助成金を受けることはできません。

すべての助成金が受けられないわけではありませんが、主な助成金には申請・受給の要件に「雇用保険に加入していること」が挙げられていることが多いです。

したがって、雇用保険に加入していない企業は国や地方自治体の助成金を受給することができません。

(3)損害賠償請求の可能性

会社が社会保険への加入手続きを怠って従業員が社会保険に加入できなかった場合、従業員や元従業員が会社を相手に損害賠償を請求する訴訟を起こす可能性もあります。

実際、元社員が会社を相手に訴訟を起こし、会社の行為が違法であると認められ、会社に賠償金の支払いが命じられたこともあります。

3.従業員を雇った時と退職した時の社会保険について

これまで説明した通り、会社を設立したらすぐに社会保険に加入しなければなりません。

しかし、手続きが必要なのは会社を設立したときだけではありません。

この章では、以下の2つのケースについて、いつまでに社会保険の手続きをすれば良いのか解説していきます。

社会保険の手続きが必要な場合

  • 新たな従業員を雇用した場合
  • 従業員が退職した場合

順番に解説していきましょう。

(1)新たな従業員を雇用した場合

新たな従業員を雇用した際も、被保険者が増えるということなので期限内に届け出る必要があります。

健康保険と厚生年金は、従業員が入社した日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所に届け出ます。

従業員に扶養家族がいる場合、「被扶養者(異動)届」も同時に年金事務所に提出しましょう。

雇用保険は、従業員が入社した月の翌日10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。

なお、労災保険は他の社会保険と異なり、会社自体が事業所として労災保険に加入しているので、従業員を雇用する度に手続きする必要はありません。

(2)従業員が退職した場合

従業員が退職した場合も、社会保険から脱退するための手続きをしなければなりません。

健康保険と厚生年金は、従業員が退職した日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所に届け出ます。

雇用保険は、従業員の退職から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を公共職業安定所(ハローワーク)に提出する必要があります。

労災保険は、個別の従業員が退職する度に手続きする必要はありません。

ただし、全ての従業員が退職して労災保険の対象となる者がいなくなった場合、労災保険から脱退する手続きは必要となります。

まとめ

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)について、会社を設立したらいつまでに手続きをしなければならないのかを解説してきました。

健康保険や厚生年金では5日以内が期限なので会社設立後すぐに手続きをする必要があります。

もし書類の書き方や添付書類について分からないことがあれば、専門家に相談して期限内に確実に届出を提出しましょう。

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