確定申告で節税のすゝめ!国民年金の保険料は社会保険料控除の対象

自営業の方のほとんどが国民年金保険に加入していますが、毎月の保険料は少なくありません。「少しでも所得を増やしたい」、「節税したい」と思っている方は多いでしょう。そこで、確定申告のときに国民年金保険料で節税する方法や対策をご紹介していきます。確定申告で国民年金保険料を申告することで節税できるポイントや方法を知ることによって、難しいと思っていた確定申告の内容も少しずつ理解できるようになるでしょう。

確定申告で国民年金の控除を受ける時のポイント

国民年金保険料控除証明書の添付が必要

所得税の確定申告のときに社会保険料控除の申告を行うことができますが、この時に国民年金保険料に関しても、所得控除の対象となります。1月1日=12月31日までの1年間に納付した国民年金保険料が控除の対象となり、確定申告の際に申告することができます。

申告するには、日本年金機構から送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が必要となります。申告する際には、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」はコピーではなく、原本が必要となりますので注意が必要です。

家族の分も対象となる

確定申告の際に受けられる社会保険料の控除の申請では、ご自分の国民年金保険料の控除の申告はもちろんですが、ご家族の分の国民年金保険料の納付に関しても社会保険料の控除の対象となります。

控除の対象となるのは、配偶者、同居の親、学生の子どもです。それぞれのご家族あてに、日本年金機構から「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が届きますので、それらの原本を確定申告の際に提出することで、控除の申告ができます。この時にも、それぞれの証明書はコピーではなく、原本が必要となります。

2年前納制度を利用する

国民年金の2年前納制度

平成26年(2014年)4月から、国民年金保険料を2年分まとめて支払うことができるようになりました。それに伴って、確定申告の際の社会保険料控除の申請の仕方にも変更がありました。

☑2年分の国民年金保険料をまとめて支払った年だけ社会保険料控除を受ける

☑2年分の保険料を各年分の保険料に相当する金額を、各年において控除を受ける

この2つのうち、どちらかを選択することができるのです。

通常の国民年金保険料の納付時には、「現金支払い・クレジットカード払い・口座振替」の3つの方法で納付することができ、クレジットカードのポイントを貯めている方にはおすすめの方法ですが、2年前納の場合には、口座振替のみでしか対応はしてくれなかったようです。

しかし、平成29年(2017年)4月からは、口座振替だけではなく、現金払い・クレジットカード払いも利用できるようになりましたので、より便利になりました。また、2年前納を利用する場合には毎年2月末までに申し込みをする必要があります。納付時期も決まっており、4月末に口座振替となります。

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2年前納は保険料がお得

2年前納制度を利用することで、口座振替では15,640円(平成29年度の割引額)の割引が適用され、現金やクレジットカード払いでは14,400円(平成29年度の割引額)の割引が適用されます。したがって、国民年金保険料の納付で2年前納を利用するだけで、約15,000円ほどの節約となりますので、それだけお得になります。

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未納分の年金は追納して申告する

未納分の国民年金保険料がある場合には年内に追納することで、確定申告の際に社会保険料の控除を受けることができます。追納をすることによって、確定申告の際に控除を受けることができるだけでなく、将来受け取る年金額が増えるため、未納分や免除されている国民年金保険料がある場合には、追納したほうがいいでしょう。

注意点としては、追納できるのは年金事務所にて申し込みを行い、厚生労働大臣の承認を受けた後、納付書にて支払うようになります。この時、口座振替やクレジットカード払いでは対応できませんので注意が必要です。また、追納ができるのは、追納が承認された月より10年前までの免除などの期間に限られています。(例:平成29年4月分は平成39年4月分まで追納できる)

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紛失した場合は控除証明書の再発行を申請する

確定申告の際の社会保険料控除の申告を行うためには、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の原本が必要となりますが、もし、なくしてしまった場合には、再発行をしてもらうことができます。近くの年金事務所にて「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書をなくしてしまった」旨を伝えることで、対応してもらうことができます。ただし、再発行の手続きには、年金手帳などの基礎年金番号がわかるものを準備しておく必要があります。

忘れたときは5年前まで遡って還付が受けられる

会社員などの給与所得者は、企業の年末調整で所得税などの計算が行われ、翌年の各税金額が決定されるため、確定申告を行う必要はありません。しかし、妊娠・出産などによって発生した医療費の控除を申告する場合やふるさと納税などの年末調整では処理できない所得控除を申告するには、給与所得者でも確定申告を行う必要があります。このことを「還付申告」といいます。

還付申告には期限が定められており、もし、還付申告の事象が発生した年の確定申告で申告し忘れてしまったとしても、「申告対象年の翌年から5年間」の期間内であれば、還付申告をすることができます。例えば、平成24年分の還付申告事象があったとして、それに対する還付申告期限は、平成25年1月1日から5年間後である平成29年12月31日まで申告書の提出が可能となるのです。

国民年金の他に確定申告で節税するための対策

他の国民年金基金の支払いの確認

国民年金基金とは

国民年金基金は、自営業者などの国民年金第1号被保険者の方の多様化していくニーズに合わせて、より豊かな老後を過ごすことができるよう、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度です。

会社員などの給与所得者(第2号被保険者)の場合には、国民年金(老齢基礎年金)に、厚生年金や老齢厚生年金などのいわゆる2階建て部分の年金があり、第1号被保険者との差が大きく、問題となっていました。

しかし、国民年金基金が平成3年4月に創設されたことによって、第1号被保険者である自営業者の方でも、2階建て部分の年金を受け取ることができるしくみができたのです。

国民年金基金の支払いは確定申告できる社会保険料のひとつ

国民年金基金の掛け金は、確定申告で申告することができる社会保険料のうちのひとつです。国民年金基金以外にも、各健康保険料や国民健康保険税、高齢者医療にかかわる保険料、介護保険料など、さまざまな種類の保険料や掛け金が申告の対象となります。

確定申告の際には、それらの保険料や掛け金の金額を証明する書類を提出・提示する必要がありますので、まずは、申告の対象となる保険料や掛け金があるかどうか確認しておきましょう。

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かかった医療費の領収書の保管

1月1日から12月31日までの1年間に、ご自分や生計を一にするご家族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができ、この制度のことを医療費控除といいます。この医療費控除は、年末調整では計算できないため、会社員などの給与所得者の方でも確定申告をすることで、税金に還付を受けることができます。

医療費控除を申告するような場合としては、妊娠や出産などに関わる通院や入院などの費用や高齢者の両親の通院や介護などで通院や入院などの費用があげられますが、それでなくとも、かかった医療費の領収書を保管しておくことで、確定申告で税金が戻ってくる場合もあります。

また、平成29年1月1日から平成33年12月31日までは、セルフメディケーション税制なる医療費控除の特例制度が作られました。これによっても、一般用医薬品等購入金額が記載されたレシートや領収書を保管しておくことで、控除を受けることができるようになるのです。

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経費にもれがないかチェックする

一口に経費といっても、その計上の仕方によっては節税することができる場合があります。また、本来であれば会社や事業のための出費であるにもかかわらず、自腹で支払ってしまっているように計上していては意味がありません。

会社や事業のための出費はしっかりと経費として計上し、所得税額を節税できるよう見直してみましょう。

毎月の保険料をしっかり納付する

なかなかできていない方が多いのが、保険料を毎月しっかりと納付するということです。国民年金保険料をしっかりと納付することによって、将来受け取ることができる年金額が変わってきますし、また、その保険料は、全額社会保険料控除の対象となります。

納付することで、老後のための資金と現在の納付税額の助成が受けられるので、毎月しっかりと納付していきましょう。

未納分がある場合は年内に納付する

国民年金保険料は、その掛け金が全額社会保険料控除の対象となります。保険料の納付が難しいような場合には、別途申請をして納付の免除などを受けることができますが、少しでも余裕が出てきたのであれば、未納分に関しては年内に納付してしまった方がいいでしょう。節税すること、そして老後に対する備えを同時に進めることができるのは最大のメリットです。

確定申告で国民年金の控除を忘れずに受けよう

自営業者の方は確定申告をする義務がありますが、会社員などの方は確定申告をし忘れてしまうことが良くあります。

しかし、国民年金の保険料は、その掛け金が全額社会保険料控除の対象となるので、確定申告をしないと支払う税金が多くなってしまうため、ご自分が損をしてしまうことになります。たとえ還付される金額が少しの金額だったとしても、多く支払った税金が戻ってくることはうれしいことです。しっかりと申告をして、節税に励みましょう。

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