確定申告した還付金はいつもらえる?医療費と住宅ローンの還付金とは

初めての確定申告では、よくわからないということも多いのではないでしょうか。還付金は、医療費や住宅ローンの申告でも戻ってくる可能性があります。還付金の戻る時期とともに医療費控除、住宅ローンの還付手続きについて、しっかりと理解しておきましょう。

確定申告後還付金が戻る時期について

支払い手続きに1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかる

払いすぎた所得税は、還付金となって戻ってくることがあります。これを清算するのが確定申告。確定申告をしてから戻ってくる還付金がいつ頃になるのか気になる人は多いことでしょう。

一般的には、確定申告を行ってから還付金が支払われる手続きには、1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかり、確定申告は、毎年2月中旬〜3月中旬と期間を決めて、全国の各地方自治体で一斉に行われています。そのため、3月はじめに確定申告をした場合は、4月末頃に還付金が戻ってくることに。

ただし、会社員が会社で行われる年末調整で還付申告を済ませていて、医療費控除や住宅ローン控除の適用を受けて所得税の還付申告を行う場合、確定申告の時期を待たずに申告することができます。

通常、全国の税務署は土日や祝日、年末年始の業務は行っていません。そのため、最も早く還付を申告する日は、年明けの1月4日が平日である場合に限られます。

e-Taxで電子申告をする場合は3週間ほど

パソコンなどによるオンライン申告「e-Tax」で電子申告をした場合、還付金は約3週間ほどで受け取ることができます。

e-Taxで電子申告を行うと、約2週間後には、パソコンで還付金の処理状況をリアルタムで確認することができます。さらにe-Taxソフトアプリを利用すれば、スマホやタブレットなどの端末を使って還付金の処理状況を確認することが可能です。

また、e-Taxソフトでは、還付金の処理状況の確認のほか、納付額を入力して納税証明書の交付請求を行うこともできます。

申請した時期などで支払い時期が変わる

還付金は、申請を行った時期によって支払い時期も異なります。特に確定申告が行われる、2〜3月は申請が大幅に増えるので、支払い処理が遅くなることもあります。早く還付金を受け取りたい場合は、2月中に申告を行うか、e-Taxを利用して確定申告するのがよいでしょう。

所得税の還付金を受け取るためには、指定した預金口座へ振り込んでもらうか、最寄りの郵便局で受け取るという2つの方法があります。どちらも指定口座の口座番号等が必要となりますので、間違いのないように記載しましょう。

確定申告後に還付金の通知が届かない場合

税務署に問い合わせる

確定申告をしたのに還付金の通知が届かない場合は、管轄の税務署に直接問い合わせてみましょう。通常は、申告を済ませてから1ヶ月〜1ヶ月半で還付金が指定口座に振り込まれます。また、振込前には、税務署から「国税還付金振込通知書」が届きます。

申告した書類に不備があったり、添付書類が不足している場合、支払いが遅れていることも考えられ、問い合わせの目安は、4月〜5月頃。地方自治体の窓口で確定申告した人も、e-Taxでオンライン申告した人も管轄の税務署へ直接問い合わせをしてください。

記載漏れや内容にミスがあると処理が遅れる

還付金の振込は、申請状況や書類の複雑さによっても異なることがあります。さらに、記載漏れや内容にミスがあると、処理が遅れてしまうことに。

自分で申告期限内に不備に気付いたときは「訂正申告」、申告期限を過ぎて不備に気付いた場合は、「修正申告」をすることができますので、早めの連絡を入れることが大切です。

税務署から記載内容の不備の指摘を受けて修正する場合、税金の不足額や延滞税などの請求を受けることもあります。そのため、こうしたケースをなくすためにも確定申告を行う際は、くれぐれもミスや記載漏れのないよう注意することが必要です。

また、お互いの手間を省くためにも申告書類のコピーは、必ず大切に保管しておきましょう。

医療費控除の還付金はいくらもらえる?

治療のための医療費が対象

医療費控除とは、その年の1月1日〜12月31日までの本人と本人が扶養する家族の医療費を合算し、所得税の控除を受けることができるという制度です。

医療費控除の対象になる医療費は以下の通りです。

☑医師または歯科医師による診察または治療費
☑治療または療養に必要な医薬品の購入費用(ただし、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品は対象となりません)
☑病院、診療所、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、指定介護老人福祉施設、指定地域密着型介護老人福祉施設または、助産所へ収容される際の費用
☑あん摩マッサージ師、鍼師、きゅう師、柔道整復師による施術費用(治療に直接関係ないものは対象になりません)
☑入院代や入院中の食事代(自己都合で利用したベット代は対象になりません)
☑妊娠中の定期検診・検査費用、出産のための入院費
☑在宅で介護保険を使った際の介護費用

家族全員が1年間にかかった医療費が対象となるため、「離れて暮らす家族が病院に行った」、「歯医者にかかった」、「薬局で薬を買った」などの場合のレシートは必ず保管しておきましょう。

また、治療や検査のための交通費も医療費控除の対象となりますので、領収書は必ず保管し、領収書がない場合は、ノートなどに明細を記録として残すことが大切です。

控除額の計算式

医療費控除学の計算式は、次の通りです。

医療費控除額=(医療費控除の対象になる医療費-保険金等で補てんされた金額)-10万円(総所得200万円未満の人は総所得金額等×5%)

医療費控除の対象になる医療費とは、家族全員がかかった治療費や薬代など医療費対象の費用の合計のことです。一年間の家族全員の医療費および薬代や治療のために必要となった交通費などを、すべて合算しておきましょう。

保険金等で補てんされた金額とは、「出産育児一時金」、「高額療養費」、「生命保険や損害保険から支払われた保険金」、「医療費の補てんを目的として受け取る損害賠償金」のことです。受け取った補てん金額をすべて合算しておきましょう。

それぞれの合算金額を算出したら、医療費控除の対象になる医療費から保険金等で補てんされた金額を差し引きます。さらに、そこから総所得に合わせた金額を差し引くのですが、総所得が200万以上の人は10万円、200万円未満の人は、総所得金額に5%を掛け、低い方の金額を引くことになります。

確定申告すると住民税も減額される

確定申告をするときに、医療費控除とともに住宅ローン控除を同時に申告することで、住民税が減額される場合があります。医療費控除を申告しておくことで、算出される所得税額が減額されるので、所得税から控除するローン控除を抑えることができることも。

これは、所得控除を最大限活用することで、そもそもの所得税額を少なくすることができるためです。さらに、少なくなった所得税額から住宅ローン控除が適用されるのですが、差し引ききれなかった住宅ローン控除は、住民税から差し引くことができるようになり、所得税・住民税ともに節税することが可能となります。

住宅ローンの還付金はいくらもらえる?

控除期間は10年間

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に応じて、一定の金額が所得税から控除されるという制度です。住宅を購入した場合は、10年間に渡って、この住宅ローン控除を受けることができます。

1年目には自分で確定申告することが必要となりますが、確定申告を行った年の10月ごろに残りの9年間分の申告書が税務署から送られてきます。2年目以降は、この申告書を使って年末調整や確定申告時期に申告を行うことになります。

各年の最大控除額は40万円

住宅ローン控除の控除額は、所得税から控除されます。そのため、納めた所得税よりも多く戻ってくることはありません。ただし、医療費控除などが適用されて、所得税から控除しきれなかった分は、住民税から一部控除されることになります。

住宅ローンの控除率は、1%です。年末残高の住宅ローンが2500万円なら控除額は25万円、3000万円なら控除額は30万円となり、最大で40万円の控除を受けることができます。

購入する住宅の性能によっては最大50万円

住宅ローンの控除額は、購入・建築する住宅の性能によっても大きく異なります。例えば、耐震性や耐久性、省エネなどの要件を満たしている住宅は、「認定長期優良住宅」とみなされます。省エネを兼ね備えた住宅なら「認定低炭素住宅」と見なされ、その性能によって、最大で50万円の控除を受けることができます。

それぞれの優良住宅の条件は以下の通りです。

認定長期優良住宅の条件

☑耐震性

耐震等級2以上に相当すること

☑劣化対策

劣化対策等級3に相当すること

☑可変性

居住者のライフスタイルの変化に応じて間取りの変更が可能な措置が取られていること

☑バリアフリー性

将来的なバリアフリー改修に対応できるスペースが確保されていること

☑維持管理・更新の容易性

維持管理対策等級3に相当すること

☑住戸面積

良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること(一戸建てなら75平方m、共同住宅なら55平方m以上)

☑省エネルギー性

省エネルギー対策等級4に相当すること

☑居住環境

良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること

☑維持保全計画

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること

最大控除が適用される条件

全員が同じように「最大控除額が適用される」ということにはなりません。最大控除額が適用されるためには、以下の2つに該当していることが条件となります。

☑ローン残高が10年間で4000万円を超えている(借入金額が4000万円を超えていること)

☑年間の所得税と住民税の合計額が40万円を超える場合(ただし、所得税から控除しきれない額は住民税からも控除される。所得税の課税所得金額等の7%、もしくは13万6500円のうち、低い方の額が上限となる)

認定低炭素住宅の条件

低炭素住宅とは、二酸化炭素の排出を抑制できる住宅のことで、都道府県、または市区が認定を行う優良住宅の制度です。

☑住宅の低炭素化に資する建築物の新築

☑低炭素化のための住宅の増築、改築、修繕、模様替え

☑低炭素化のための空気調和設備、その他政令で定める建築設備の設置

☑住宅に設けた空気調和設備等の改修

などが対象となり、省エネ法の省エネ基準に比べ、エネルギー消費量が−10%となることが必要となります。また、太陽光発電パネルの設置や高効率給湯器などの低炭素化に資する措置が設けられていることも条件となります。

住返済期間10年以上が適用条件

住宅ローン控除を受けるためには、新築・中古一戸建て、もしくはマンションや、リフォームなどに応じた条件を満たしておく必要があります。

すべてに共通して前提となるのは、「住返済期間が10年以上であること」。繰り上げ返済をしたり、親族などからの借入は対象となりませんので注意が必要です。

住宅ローン控除の必要条件

新築住宅

☑新築または取得日から6ヶ月以内に入居していること

☑借入した人の合計所得金額が3000万円以下であること

☑ローンの返済期間が10年以上であること

☑登記簿に記載されている床面積が50平方m以上であること

☑床面積の1/2以上が自分の居住区域であること

中古住宅

☑新築条件のすべてを満たすこと

☑マンションなどの耐火建築物は取得の時点で築25年以内、耐火建築物以外は取得の時点で20年以内であること、もしくは、一定の耐震基準を満たしていること

☑扶養家族からの購入ではないこと

☑贈与されたものではないこと

リフォーム

☑新築条件のすべてを満たすこと

☑自分で所有し、居住する住宅のリフォームであること

☑一定の省エネリフォーム、バリアフリー・耐震、または大規模な間取り変更や修繕であること

☑工事費用が100万円以上であること

☑店舗を併用する住宅の場合は、居住部分の1/2以上がリフォーム費用となること

早めの確定申告で還付金を早めにもらう

還付金を早めに受け取りたいなら、確定申告を行う時期も早めにする必要があります。記載漏れやミスがあれば、その分還付金が戻る時期も遅れてしまいますので、申告を行う際には、「記載内容に誤りがないこと」「必要書類がすべて揃っていること」が必須となります。十分に注意を払って、確定申告を行いましょう。

ちなみに、確定申告は過去5年に遡って申告することができます。これまでに忘れてしまった源泉徴収票があれば、次の確定申告で申告してみてはいかがでしょうか。

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