法人税の還付金には細かい仕訳が重要。間違いのない申告をするために

税金の還付というのは、金額自体はあまり大きなものではありませんが、きちんと仕訳をして申請をしておかないと、申請が通らずまたやり直し…。という場合も多いものです。間違いのない仕訳をするにはどうすればいいのか正しい方法を考えていきましょう。

法人税が還付される場合

中間納付時に税金を多く払っていた場合

法人税の申告書の提出は、通例、確定申告と中間申告の年2回です。年税額よりも中間納付額が多い場合は多かった金額(中間納付額の控除不足額)が還付されます。また、還付加算金という利子に相当するものが付いてきますが、還付加算金の割合(特例基準割合)が現在4.1%となっています。

還付加算金の計算期間は、中間納付額の納付の日(納期限前に納付された場合には納期限)の翌日から、還付のための支払い決定をする日までの期間、法人税の中間納付額は、半年満期の高率定期預金として利用することが出来ます。

前期は黒字だったが当期赤字になった場合

中小企業等(普通法人については、期末の資本金が1億円以下)なら、一定の要件のもと、前期に納税した法人税の全部、または一部の還付を請求することができます。

また、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に、欠損金額がある場合は、欠損金額をその前の事業年度に繰り戻して、法人税額の還付を請求できます。

法人税額の還付を請求する要件

☑ 前期および当期について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
☑ 当期の青色申告書である確定申告書を、提出期限までに提出していること。
☑ 上記2つの確定申告書と同時に欠損金の繰り戻しによる還付請求書を提出すること。

以上の3点が必要で、これらがそろわなければ請求することはできません。

還付請求の方法

欠損金の繰り戻し還付は、大企業には適用されない中小企業のための制度です。これは重要な節税の1つなので、積極的に利用すると良いでしょう。

還付金の請求が認められる中小企業

☑ 普通法人(資本金または出資金が1億円以下)。
☑ 法人税法で定められている公益法人や協同組合等。
☑ 法人税法以外の法律で、公益法人等と見なされる法人。
☑ 人格のない社団等。

還付金を請求する時は、青色申告で確定申告する時に、確定申告書とともに、欠損金の繰り戻しによる還付請求書、を提出する必要があります。

還付請求書を提出したときの注意

☑ 法人税のみ還付する制度の為、法人事業税や法人住民税は戻りません。
☑ 法人住民税に関しては、繰越控除を受けることが出来ます。
☑ 税務調査が入る可能性が高くなります。
☑ 財務調査は必ず入るわけではありませんが、電話がかかってくる場合はあります。

還付された法人税の仕訳と記帳方法

中間納付する時の法人税の仕訳

年1回の決算の会社は、事業年度の中間に半年分の税金を前払いする必要があります。これを、中間納付といいます。

例えば、年度の中間に法人税100円を普通預金で中間納付したときの仕訳は、借方には、仮払法人税等、100、貸方には、普通預金(現金)100、という仕訳の仕方になります。中間納付は法人税等の前払い(仮払い)を意味します。仮払いした法人税は、費用として処理するのではなく、とりあえず決算で税額が確定するまでは、仮払法人税等といいます。これは資産として処理をすることになります。

決算で法人税の金額が確定した時、仮払法人税等を減額して、追加で支払う金額のみ未払い法人税として計上することになります。例えば、中間納付300円を支払った場合、その後の決算で確定した法人税が1,000円であった場合借方には、法人税等、1,000、貸方には、仮払法人税等、300、未払い法人税等、700、となります。

 中間納付額が多かった場合の仕訳方法

中間納付した税金の方が、本年度の決算によって確定した税金より大きくなってしまう場合があります。その場合は、未収法人税等という資産グループの勘定科目を使って記帳し、後日税務署などにより返してもらうことになります。

中間納付したときの勘定科目は、仮払法人税等か未払い法人税等のマイナスになります。法人税とは、法人税、住民税、事業税を合わせたものの事で、これらは同じ時期に申告し、中間申告でも同じになります。法人税の納付は、その事業年度開始日から8ヶ月以内、中間申告は年1回と決まっています。中間法人税等を支払った場合の勘定科目は、仮払法人税等となります。しかし、基本的には期末の時点では未払い、となることが多いので、未払い分を先に払った、という認識で、未払い法人税等のマイナスとして処理するのも一般的です。

例えば、決算で確定した年の法人税の金額が、100円の時、事前に中間納付していた金額が300円の場合は次のような仕訳になります。借方には、法人税等、100、未収法人税等、200、貸方には、仮払い法人税等、300、となります。

還付加算金の仕訳と記帳方法

還付される法人税には還付加算金がつく

国税が還付される場合には、利息に当たる金額が加算されます。これを、還付加算金と言い、利子のようなものです。税金を払い過ぎた時に税務署にお金を貸していると同じ状態で、その間の利子を還付加算金として支払っているのです。還付加算金はもらった年の年収として確定申告が必要になります。

還付金には、起算日から還付の支払い決定日までの日数に応じて計算した還付加算金が加算されます。還付加算金=還付すべき金額(10,000円未満切り捨て)×利率(割合)×(起算日から支払い決定日までの日数)÷365(100円未満切り捨て)という計算になります。

還付加算金の利率は、原則として年7.3%ですが、特例基準割合よりも低い場合は、原則的利率ではなく低い利率(割合)で計算されます。平成28年1月1日〜平成28年12月31日の特例基準割合は1.8%です。特例基準割合の場合でも、現在の定期預金利率(0.01%程度)と比較すれば、100倍以上のかなり高い利率になります。

法人税の還付加算金の仕訳

会社が、国税還付金を受けた場合の勘定科目は雑収入になります。還付金は、税金の戻りなので法人税はかかりませんが、還付加算金は益金であるので、次年度の法人税対象所得として扱われます。

国税還付金が、40,000円、で、還付加算金が、2,000円、これが普通預金に振り込まれた場合の仕訳は、借方には、普通預金、42,000、貸方には、雑収入、40,000 還付金、と、雑収入、2,000 還付加算金、になります。

還付加算金は、前払いしていた税金を返してもらう時に、おまけとしてついてくる受取利息的なものです。しかし、受取利息として処理をしてはいけません。受取利息は、非課税取引に該当するので、同じ扱いにすると、課税売上割合の計算をする際に誤る恐れが高くなるので雑収入で処理をします。

税金が還付される場合の記帳の注意点

還付金と還付加算金は必ず分けて処理

還付加算金とは、税金の滞納や延納をした時に、延滞税や利子税などを課せられることとのバランスをとるために加算される利子のようなものです。法人税の計算においては課税されることになります。還付金と還付加算金を一緒に処理すると税額の計算を誤る可能性があるので、還付金とは別に仕訳をしなくてはいけません。そして、還付金の振込通知書は必ず保管しておきます。また、個人が受け取る還付加算金も同じ扱いになります。

還付加算金は、益金算入されますが、その他の還付金、本税(法人税、所得税等)の還付金は、益金不算入なので注意する必要があります。

還付金は、還付加算金とまとめて振り込まれることが多く、還付加算金振込通知書をよく見ると、還付金と還付加算金が区分表示されています。還付金と還付加算金の取り扱いは、法人税等での取り扱いが違いますので、分けて処理しておかないと、法人税の計算を間違えてしまうことになるので気をつけましょう。

還付加算金は法人税以外もすべて雑収入で処理

還付金は、内払い又は過払いしていた税金が戻ってくるので、法人税も消費税も課税対象外となり、税金はかかりません。還付加算金は、雑収入にはなりますが、益金となり、法人税の対象になります。ちなみに、消費税は非課税です。

雑収入の仕訳基準とは、営業外収益に属するもののうち、他のいずれの勘定科目にも当てはまらない物です。また、独立の科目とするほど金額的に重要でない(少額でない)ものを管理するための勘定科目で、簡単に言えば、本業以外の重要ではない収入のことです。本業以外で得た収入を営業外収益といい、その中の重要ではないものを雑収入で仕訳します。

還付金の仕訳のポイントをおさえて正しく記帳する

還付金の仕訳を間違ってしまうと、納税額が変わってきます。間違いのない仕訳をするために、雑収入や雑所得などの違いをよく把握して勉強をすることが大切です。そして正しい記帳をして、間違いのない申告で、正しい納税額を収めることを忘れないようにしましょう。

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