はじめて確定申告を行う場合、何をすればいいのか分からずに不安になることも多いでしょう。確定申告書に記入する内容を間違えてしまうと、再提出になるので注意が必要です。そこで、確定申告の種類や必要な書類、作成の流れなどを一緒に学んでいきましょう。
目次
初めて確定申告書を提出する時のポイント
確定申告の知識を備える
所得に応じて税金を支払う上で、その申告をすることが国民の義務です。また、払いすぎてしまった税金も申告で還付されるため、確定申告を行うことはとても大切。
確定申告をするときは、まずは基本的な知識を身につけておくことが大事です。はじめて確定申告をする人はもちろんのこと、毎年申告している人も、初心に戻って、しっかりと基礎知識を身につけていきましょう。
あらかじめ知識を備えて準備しておくことで、申告日間近になって書類不足などであたふたしないためにも、きちんと自分で学んでおくと余裕を持って当日を迎えることができます。
確定申告書の提出対象者を知る
確定申告は、所得(収入)に対する税金なので、当然給与所得者は対象となります。所得といっても、一定基準よりも上回っている場合に限り、申告の必要性が出てくるのです。また、副業などで給料を2カ所以上からもらっている場合、その合計が基準よりも上回れば、これも対象になってきます。
とはいっても、ただ単に所得のみでの申請ではなく、保険や医療費などによる控除も受けることができるため、その分を差し引いての金額を申告することになります。実際自分がどれくらいの収入を得て、控除分を受けることができるのか、チェックすることができるでしょう。
それでも分からない場合は、税理士や役所にて直接問い合わせてみると、しっかり対応してくれます。毎年のことなので、分からないことはそのまま放置せずに、その場で聞くことですぐに解決して、確定申告をスムーズに終わらせることができます。
確定申告書の種類
給与所得者やふるさと納税者の確定申告
会社員やアルバイト・パートの方の給与所得・雑所得・配当所得・一時所得がある人は、確定申告書Aの対象者となります。また、予定納税(前年の所得税が15万円以上だった場合に納める前払いの税金)のない方も対象です。
会社員の所得はもちろん、医療費控除・住宅ローン控除などを受ける場合も、この申告書を使って提出することになりますので、必要事項はしっかりと記入して、漏れがないようにしましょう。
一般的に「給与所得」会社員・アルバイト・パート、「一時所得」生命保険・損害保険などの満期一時金、「雑所得」公的年金・副収入(原稿料など)、「配当所得」法人から受け取る利益となり、ふるさと納税も確定申告書aで申請するのが基本です。
個人事業主向けの確定申告
個人事業主の場合は、確定申告書Bの対象者となります。所得の種類に関わらず、誰でも利用できる申告書で、内容も細かく、記入箇所も多いため、自身で事業展開している人は、細かいチェックが入ることになるのです。
確定申告書Aは、確定申告書Bの簡易版とイメージできるでしょう。個人事業主は、確定申告書Bで提出することになるので、申告書Aは記入・提出の必要がありません。申告書Bの内容をしっかりと把握しておき、提出の際に記入漏れがないようにきちんとチェックしてください。
また、「白色申告」をする場合、確定申告書Bと収支内訳書、「青色申告」をする場合、確定申告書Bと青色申告決算書の書類提出が必要になるので、事前に準備しておきましょう。業種や状況に応じて、他の書類もプラスされることがありますので、要注意。
確定申告書の見方によるもの
確定申告書は大きく分けると3つに分類され、確定申告書A・確定申告書B・そして、土地譲渡や株式譲渡などを行っている人が確定申告を行う場合、申告書第三表(分離課税用)にて申請を行うことになります。例えば、土地や建物を売却してその利益が出た人や、株式・信託投資売買で利益が出た人は、申告書第三表の対象者。
他の所得と切り離した状態で、特定の税率をかける「分離課税」に該当するため、この申告書に譲渡所得や雑所得などの内訳を記入して、確定申告をする必要があるわけです。そのとき、確定申告書Bも一緒に提出しなければいけません。
土地や建物、株式・FX取引の売却収入があれば、この申告書を使って申請をしてください。記入漏れがないように、しっかりチェックした上で提出しましょう。
確定申告手続きに必要な書類
源泉徴収票を準備
会社員の場合、会社が代わりに所得税を計算して年末調整を行うので、会社員自らが確定申告をする必要がありません。そのため、会社員が給与や社会保険料、扶養控除や生命保険控除などの情報を基に、年間所得税を計算して、用紙にまとめたものが源泉徴収票です。
もしも、他に所得がある場合や医療控除などで確定申告を行うときは、この源泉徴収票を準備しておく必要があります。年末調整は一年間すべての給料やボーナスを合算するので、年収が分かる12月の給与明細と一緒にもらうことが一般的。
申請する人の給与所得がしっかり明記されているため、証明書となるので、確定申告書とともに事前に準備しておきましょう。もしも紛失してしまった場合は、会社に問い合わせをして再発行をしてもらってください。
各保険料控除証明書を準備
生命保険などに加入していると、確定申告のときに明細書を提出することで、控除対象になります。支払った保険料の一定額がその所得から引かれて、所得税・住民税が安くなるという税上の特典。生命保険の場合、旧契約と新契約で支払った年間保険料により、違った控除を受けることができます。
例えば旧契約は、平成23年12月31日までに加入した保険が対象とされ、「一般の生命保険控除」と「個人年金保険料控除」となり、最高額各5万円で合計10万円となります。一方新契約は、平成24年1月1日以降加入した保険が対象で、「一般の生命保険控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」となり、最高額各4万円で合計12万円となるのです。
控除額としてはかなり高額なので、確定申告のときに忘れないように、事前にしっかりと書類を準備しておきましょう。
住宅ローン控除を確認
確定申告は所得に対して税金を納めるための申告だけでなく、納めすぎた税金を還付してもらうための還付申告でもあります。そのため、会社員なので確定申告の必要がないというわけではありません。家を買った場合の住宅ローン控除もあるのです。
住宅ローン控除を受けるための手続きは、会社を通じた簡単な手続きである年末調整では行えないため、自身で税務署に行って確定申告をする必要が。控除を受けるにはいろいろな条件があり、まず所得が3,000万円以下であることが挙げられます。
また、返済期間が10年以上の住宅ローンが対象など、他にも要件がありますが、条件に当てはまる人は、10年間ローン返済額の1%にあたる税金が還ってくるわけです。
医療費の領収書を準備
医療費として支払った分の一定金額を控除することが可能で、「医療費控除」と呼んでいます。会社勤務の場合、会社側は年末調整で医療費まで届け出ることはないので、自分で確定申告をしなければいけません。一定金額とは、1年間に10万円で、この金額を超えると控除を受けられます。
また、実際にかかった医療費以外にも、入院中の食事代や通院のときのタクシー・バス・電車代などの交通費も対象となるため、領収証などもしっかりと保管しておくことをおすすめします。他にも不妊治療やAGA治療、ED治療薬と医療控除の範囲幅はとても広いです。
所得税を含め、1年分の諸税はまとめると高額になってくるので、これを機会に少しでも控除できるように、医療関係の領収証を集めておきましょう。せっかく節税になるのですから、無駄なく減税できるところは、徹底して準備しておいてください。
確定申告書を準備する
確定申告をするときに最も必要なのが、確定申告書。会社員やアルバイト・パートの人は申告書Aを、個人事業主の人は申告書Bを準備します。申告書は国税庁HPにてダウンロードが可能。また、確定申告書作成コーナーで作成した申告書などのデータをe-Taxで送ることもできます。
事前準備として推奨環境を満たしたパソコン環境の確認と、マイナンバーカードの取得、読み込むためのICカードリーダライタを準備しておきましょう。ICカードリーダライタは家電販売店などで購入できて、パソコンで利用できるように、ドライバをインストールする必要があります。
パソコン環境に応じて、e-Taxを利用するために必要なセットアップ(以前セットアップした場合でも毎年セットアップが必要)も行っておきましょう。
添付書類台紙の準備
確定申告をするときは、区分に応じて書類を添付するか、提示する必要があります。書類を添付する場合は、添付書類台紙などに貼って申告書と一緒に提出します。貼る内容は、医療費の領収書・社会保険料控除明細書・生命保険料支払い証明書などです。
他にも、地震保険料控除の証明書や給与所得の源泉徴収票、公的年金などの源泉徴収票、特定口座年間取引報告書などが挙げられます。控除を受けたい書類は全て準備しておくことで、直前になってあたふたすることがありません。
確定申告を受ける予定であれば、一年分の領収証は捨てることなく、しっかり管理しておくと、のちのち焦ることなく、スムーズに確定申告をすることができるでしょう。
申告書作成の流れについて
必要事項を記入する
確定申告で必要な申告書には必要事項を記入します。申告書Aも申告書Bも共通して記入する欄には、氏名・住所・性別・生年月日・電話番号を記入します。申告書の一番上にある項目なのですが、意外と書き漏れもあるので要注意。
給与や保険料控除額などに集中して、肝心の個人情報を書き忘れてしまう人も多く、再提出となってしまうので、一回で提出完了できるように、まずはじめに個人情報から書きはじめておきましょう。印刷して紙面として使う場合、個人情報ですが、いざ確定申告書として記入するとなると緊張してしまいます。
書き損じしないように、一度下書きをしておくことで、失敗なく、キレイに仕上がりますので、何枚か用意しておくとよいかもしれません。
確定申告書の記入例
確定申告書は主に2種類(確定申告書A、確定申告書B)あるのですが、それぞれ書き方に違いがあります。申告書A・申告書Bともに第一表と第二表があるので、書き損じ・書き忘れが無いように注意してください。
基本は、第一表には個人情報の他に、収入金額・所得金額・所得から差し引かれる金額・税金の計算・その他・延納の届け出の各項目に記入。第二表には所得の内訳・雑所得・所得から差し引かれる金額事項・雑損控除・その他の控除について記入します。
各金額欄の計算方法を確認
確定申告では、各種税金や控除額の計算が必要です。給与所得の計算は、収入額から給与所得控除額を差し引いて算出されるのですが、この所得控除額は、収入によって変動します。申告納税額は、差し引き所得税から源泉徴収税額・災害減免額・外国税額控除を差し引いた金額を記入。
差し引いた金額が黒字の場合と赤字の場合では書く欄が異なるため、注意が必要です。例えば、黒字のときは、100円未満の端数を切り捨てた金額を、赤字のときは、そのままの金額を入れましょう。災害減免税とは、所得金額の合計が1,000万以下の人で、災害によって家屋や家財の損害を補償する税金の減免。
ただし、損害が全体の1/2以上の場合に受けられます。一方、外国に居住したり、ビジネスで滞在する際に各国の法令で税金を払いますが、日本で二重課税にならないように一定金額を所得税から差し引く制度です。
添付書類を台紙に貼る
確定申告書を記入した後、領収証や証明書などの必要書類を指定の場所に添付します。添付書類台紙と呼ばれる用紙に貼るのですが、確定申告用の専用添付台紙となるので、ダウンロードします。基本は、源泉徴収票・支払調書・マイナンバーカードのコピー等を添付。
のりづけは工作用のりで十分ですが、税務署の人が見やすいようにテープやホッチキスでも大丈夫です。添付する内容は控除したい目的によって異なり、例えば、社会保険料控除であれば、国民年金・国民健康保険を納付した証明書が必要。
控除をしてもらうことで、納める税金が少なくなるメリットがあるので、しっかり納金した領収書や証明書は保管しておくようにしましょう。税理士さんが見やすいように、月順にまとめてホッチキスなどで留めておくと良いでしょう。
確定申告書を提出する
確定申告書の記入と、必要書類の添付が終了したら、再度内容を確認して間違いがないかチェックしてください。特に問題がなければ、確定申告書を提出します。全ての書類を失くさないように、一つの大き目封筒にまとめておくとよいでしょう。
また、毎年確定申告期間が設けられているため、その期間を過ぎてしまうと、当然申告することができません。期間内に間に合わないと、遅れた日数分、延滞税を合わせて支払うことになったり、無申告加算税を納める必要が出てきます。
確定申告が必要な人は、必ず申告期間を守って、きちんと申告しておく必要があるので、早めに申告書を取り寄せ、準備しておきましょう。
確定申告書の提出先調べる
確定申告書の提出準備が整ったら、提出先を調べます。主な提出先は3つ。
☑最寄りの税務署に直接出向いて確定申告書を提出
☑藻よりの税務署に郵便で確定申告書を提出
☑e-Tax(イータックス)を使って、ネットで確定申告を提出
この3つの方法の中から、自分に合った方法で申告書を提出しましょう。直接出向く方法は、税務署で署員と相談しながら作成することができるため、分かりやすく、間違えることもないので、一度で提出完了が望めます。郵便での提出は、通信日付印が期間内であれば可能です。
確定申告書の相談受付行く
はじめて確定申告を記入、提出する人は、分からないことが多く、不安なものです。税務署ではそういった人を対象に無料相談会を開催。税金のプロである税理士さんが親切に相談に乗ってくれます。払いすぎた税金を申告によって戻ってくる場合は率先して確定申告をするでしょう。
しかし、源泉徴収票がない場合や源泉徴収されていない場合は、計算されてその場で所得税を支払う必要が出てくるので、どうしても足が向きにくくなります。とはいっても、納税は国民の義務。確定申告期間中になると、相談者で混んでしまうかもしれないので、早めに相談を受けておくようにしましょう。
還付申告の場合は、確定申告期間の1ヶ月前から受付開始しているので、早めに行けば待つことなくスムーズに相談をすることができます。混雑が苦手な人は早めに相談受付をしておきましょう。
主婦の確定申告の確認
主婦の場合、扶養に入っているので確定申告の必要はないと思われがちですが、アルバイトやパートで収入を得ているときは、申告の必要があるケースもあります。例えば、アルバイトやパートで収入合計が103万円を超えると、申告が必要です。
103万円以内であれば、税金上でご主人の扶養となり、旦那さんの勤め先で年末調整書類、または自営であれば確定申告で扶養者として名前を記入してもらいます。パート先で源泉徴収されている場合もあるので、そのときは、年末調整をしてもらいましょう。
扶養範囲内で働くためには、アルバイトやパートとして基礎控除38万円と給与所得控除を合わせた年収103万円以下が基準となります。確定申告の必要性のない範囲内で働けるように、自身の収入を見直してみましょう。
パソコンで確定申告する時の注意点
入力画面で間違えない
e-Taxとは、国税庁が提供しているネットで確定申告書の作成・提出・納税までできるシステム。紙面の確定申告書でも同じですが、入力画面で間違えないことがポイントです。特に金額部分は桁を間違えると問題になるので、必ず記入後に数回、確認するようにしましょう。
紙面での確認は手軽に何度もチェックができますが、パソコン画面での確認は、サッと目を通しただけでOKにしてしまうパターンが多いため、細かくチェックしていくようにしてください。入力したものを一度プリントアウトすると、目視でしっかり確認できます。
また、初めてこのソフトを利用する場合は、申告データ作成から納付受付までの流れをしっかり把握しておくことが大切。手続きの際に必要な証明書は郵便ではなく電子証明書を利用するので、ICカードリーダライタの取得・設定も事前に行っておきましょう。
必要書類の情報をまとめておく
紙面での提出と同様に、e-Taxでも控除などに必要な書類を事前に準備しておきます。e-Taxでの申告の場合、本人確認を行うことがあるので、そのときに提出する書類(マイナンバーカード・住民基本台帳カードなど)に組みこまれている電子証明書の取得が必要。
ICカードリーダライタは家電量販店で3,000円程度で購入できるため、前もって購入してすぐに使える状態にしておきます。こちらのドライバーや電子証明書を使用するための専用ソフトをインストールしておいてください。
インストールや設定方法は、発売・発行元HPにて掲載されているので、確認しながら申告前にしっかり準備しておきましょう。当日になってあたふたしないように前もって用意しておくことが大事。
確定申告書作成コーナーの入力は持ち物確認
国税庁が提供している確定申告書作成コーナーを利用する場合、主にパソコンで作成することになります。しかし、パソコン環境が整っていないとき、他の端末を使うことができるでしょう。例えば、スマホやタブレット端末です。
しかし、タブレット端末でも利用することができますが、e-Taxによる申告やデータ保存が一部機能が利用できません。この場合、確定申告書作成のみできることから、プリントアウトしてから、書面で各税務署に提出することになります。
また、スマホも同様で、コンビニではプリントアウトサービスを提供しているので、PDFファイルとして作成すると、手軽にプリントアウトできます。あとは税務署に直接出向くか、郵送で提出するだけです。
確定申告を税理士に相談すると安心
はじめて確定申告を行う人も、何度も経験しているけど、よく分からないという人も、申告前に税理士さんに相談をしておくと、確定申告書を再提出することなく、一度で申告を完了することができます。何度も出向くことは時間の浪費なので、一度で済ませることが大切。
分からないことは率先して税理士さんに相談し、節税対策をすることで、豊かな生活を目指すことできるため、普段から控除証明書は、しっかり保存しておきましょう。