決算賞与が出ると聞いたら、従業員なら喜びを感じられるものです。決算賞与がいつもあったわけではないのに、急に出るようになったのは何故なのかと疑問に思うこともあります。決算賞与がどのようなもので、何故支給されるのかその仕組みを知ってみましょう。
目次
決算賞与について学ぼう
決算月に賞与が支給されれば決算賞与となる
会社によって回数は異なりますが、基本的に夏と冬に賞与が出る会社が多くあります。ボーナスの回数は、絶対に何回と決められているわけではありません。年1回の会社もあれば、2回の会社もあります。普段出ない決算月に出る賞与のことを決算賞与といいます。
決算月については、会社ごと異なりますが、大抵の会社は3月であることが多いです。決算後の利益の中で、一定額を社員に支給することを決算賞与といいます。この規定に関しては、会社ごとに違い、必ずしも毎年あるものとは限りません。
給料規定に明確になっている賞与と決算賞与は異なる
通常の年間賞与については、給料規定が明確になっていますが、決算賞与についてはその規定とは異なります。通常の賞与は、業績に関わらず基本的には必ず会社が支給すべきものとなっています。これは、会社の給与規定で掲げているものなので、規定額を支給されるようになっています。
それに対して、決算賞与は会社規定になっているものではなく、業績の状況によって出ることもあったり、出ないこともあるのが決算賞与です。決算賞与が出なかったからといっても、会社がマストで行うことではありません。そこが、賞与と決算賞与との違いとなります。
業績悪化で賞与がカットされることもある
基本的には必ず支給されることになっている賞与ですが、会社の業績の悪化によってカットされることもあります。その場合は、事前に従業員にアナウンスされます。会社の規定としては、基本的に業績の悪い場合は、賞与が支給されない場合もあるという記載があることがベターです。
しかし、予測のできない状態になり、やむを得ず賞与をカットしなければならないケースも、実際にはあります。その場合は、従業員にしっかりと理由や充分な説明が必要となります。賞与のカットは、モチベーションの低下にもつながるので、非常にデリケートな問題となります。
決算賞与はボーナス後の臨時収入の場合が多い
会社の決算月は、6月・12月・3月のどれかであるケースが多いです。そして、夏・冬の賞与の時期に近いこともあり、ボーナス後に決算賞与が支給されるケースがよくみられます。決算日から1ヶ月以内に支給をすると定められています。
会社が急激な利益を得た場合、賞与も支給したあとで、利益の金額に見合う形で決算賞与が決まってきます。通常の賞与が出たあとに決算賞与が支給されると、臨時収入となるので従業員にとっては、とても嬉しいものとなります。
決算賞与は3月決算日で4月末日までに払われることが多い
会社の決算日が、3月であるところが多いことから、4月末までに払われることが多いです。これは、先程説明した決算日から1ヶ月以内に決算賞与を支給しなければいけないためです。決算日から1ヶ月以内に決算賞与が払われなければ、その年の決算賞与はないということになります。
この要件に満たさないと、会社は決算賞与を損金算入できなくなってしまうので、決算賞与は決算日から1ヶ月以内に支払わなければならないのです。決算賞与の支給日は、支給した日の年度の経費となります。決算日までに賞与を支給すれば、その年度内の経費と換算されます。
決算日までに決算賞与を支給できないケースもあります。従業員の決算賞与は、費用として計上し、会計管理することができます。しかし、会社の資金繰りなどの都合で、決算日までに決算賞与を支給できない場合には、一定の支給要件があれば未払い計上することが認められています。
従業員に賞与支給の告知をし、賞与の具体的な内容を伝えることで、決算対策と思われないようにすることもできます。そして、新年度になってから1ヶ月以内に支給をすること、賞与を支給を告知した時期に決算処理をしなければ損益として計上する意味がなくなってしまいます。
この一定の条件を満たしてからの決算賞与支給であれば、決算賞与を損益として年度内の会計管理に収めることができるのです。このような状況で、決算賞与が節税対策として効果的なのかは、会社で見極めていく必要があるでしょう。
決算賞与の金額は数万から10万円前後が多い
決算賞与の相場の金額は、いくらくらいなのでしょうか。会社の業績の具合に出た利益、そしてそれに対する従業員の数にもよります。決算賞与の金額の相場というのは、あってないようなものですが、一般的に通常の賞与よりも多いことはほぼないでしょう。
ほとんどの会社が、数万円から10万円前後であることが多いです。一定の金額にはなっていないので、その年によって違うこともあります。金額が下がったからといって、業績が下がったということではなく、なんらかの投資などをして儲かった場合もあるので、一概にはいえないでしょう。
決算賞与は、賞与や月給とは違うので、年齢給の会社が必ずしも、その規定に沿わなければいけないものではありません。そのため、決算賞与の金額については、規定に関係なく努力分や業績に貢献した評価を加えることができます。後輩であっても、自分より多少多めになるケースもあるのです。
決算賞与は会社の税金対策の面もある
決算賞与を支給する主な理由は、業績が上がったことにより、従業員に利益を還元することで、会社の節税対策となる面もあります。多くの利益が出たことで、なるべく税金に取られずにするには、損金に充てたり、必要経費に充てることで、所得が減ることになります。
その結果税金が安くなるメリットがあります。決算賞与として従業員に還元をすれば、双方にとってメリットがあります。決算日が迫って節税対策をしたくても時間がないという場合は、税金を払うよりも従業員に賞与を渡す方がよいと判断する会社もあります。
決算賞与を出さず税金を納める会社もある
業績が上がり、利益が得られたとしても決算賞与を出さない会社もあります。税金対策をして、従業員に還元することで所得が減り節税ができますが、そのまま税金を支払った場合の方が、手元にキャッシュが残ることもあります。
税金を多く払うことで、実際の出費は少なく、決算賞与を支払う方が現金が減るということもあるのです。会社がどちらがメリットと捉えるのかは、会社の判断となります。そのため、決算賞与がないから業績が悪いとは、限らないのです。
節税をするために、決算賞与を支給するとはいえ、小規模な中小企業の場合は、法人税の率は年々下がってきています。そのため、節税をして決算賞与を支払ったとしても、節税以上の現金が出てしまうことになります。つまり、節税をし決算賞与を払ったとすれば、現金が出ることも伴うことを知っておきましょう。
決算賞与は従業員のモチベーションアップに貢献する
決算賞与をもらえることで、従業員のモチベーションアップに貢献することもできます。決算賞与を支給する理由は、節税であったとしても、それ以上に利益を社員に還元することで、従業員のやる気を起こし更なる利益を見込めるような士気を上げていく目的もあります。
月給や、年間賞与では評価ができないものを、決算賞与では評価することができます。これは、月給などは規定があるため、個人の努力を金額で評価しきれないケースもあります。決算書よであれば、規定がないため、一年間の頑張りを金額で評価してあげられるところもメリットです。
従業員は、会社の資産でもあります。会社の業績を左右するのも、従業員の力にもあります。ある意味従業員に投資をする目的も含まれています。現状の現金をプールするか、先を見越して節税対策と共に、従業員のやる気を起こさせ業績アップの投資をするかどうかの違いとなります。
会社が従業員へ決算賞与を出すときのポイント
決算賞与について特別感を明確に伝える
会社が従業員へ決算賞与を出すときのポイントとは、どんなことがあるのでしょうか。決算賞与は、会社にとっても従業員にとっても特別なものです。これは、決算賞与が当たり前のものであるという認識を避けるためにも大切なポイントです。
会社が決算賞与を従業員に支給するということは、どんなことであるのかを知らせておく必要があります。従業員の中には、決算賞与の仕組みがわかっていない人も多くいます。決算賞与を毎年のようにもらっていると、支給されるのが当たり前だと感じてしまうことがあります。
急に決算賞与が支給されなくなったときに、マイナスイメージとなり、モチベーションが下がってしまう原因となります。決算賞与は、特別なものであることや、業績が良かったことへの感謝の気持ちを伝えることが大切です。
決算賞与を支給することが、どれだけ会社にとっても喜べることであることや、従業員の努力により実を結んだものであることなどを明確に伝えてあげると、従業員も理解しやすいのではないでしょうか。
決算賞与のきっかけになった業績を伝え連帯感を生み出す
決算賞与を支給できるようになった業績の内容や、きっかけを従業員に伝えることも大切です。会社全体が連帯感を持って働けるようになると、より一層従業員のパワーも伸びてきます。従業員が会社で、どんなことにより会社が儲かったのかの仕組みを理解することで、理解がしやすくなります。
決算賞与が支給される理由が明確になれば、従業員が翌年も決算賞与がもらえることを目指して、会社の力となって一生懸命仕事に携わってくれる可能性が高まります。特に、大きな企業の場合は、仕事全体が見えづらいこともあり、自分がこなしている仕事がどのような部分で活かされているが不明確な場合もあります。
税金を納めず、従業員に還元する意味は、感謝の気持ちと今後も会社のために、大きな力となってもらえる気持ちを持ってもらうことが、その後の利益を生み出す要因のひとつでもあります。従業員には、業績を明確にし、改めてやる気が沸くような気持ちを持ってもらえるようにするとよいでしょう。
従業員の年収を会社がしっかりと考えていることをアピール
会社の業績アップには、従業員の働きがあってこそです。会社のトップ層が自分達のおかげだと独裁者のような態度でいたら、従業員のモチベーションは下がる一方です。従業員に対して、感謝の気持ちを伝えていくことは、とても大きな力を作ります。
会社が、従業員の年収をしっかりと考えていることをアピールすることも大切です。ひとりひとりの力が会社を支えてくれていることや、そのための報酬を考え、従業員の生活に支障がないようにきちんと会社は、考えていることをアピールしておきましょう。
賞与のありなしは、従業員にとってかなり大きな差となります。従業員が働くのは、仕事が好きだからというポイントだけではありません。それに対しての報酬があり、その報酬でそれぞれの生活が左右されます。会社側が従業員に対して決算賞与を支給するのは、従業員の年収を考慮してだと伝えられることが重要です。
しっかりと、決算賞与の意味合いを従業員に対して説明することにより、特別感も感じられ、業績の状況によって支給されるものであることを理解してもらえることが大切です。従業員に、もらって当然だと感じさせないように、会社側の思いを伝えられる機会を持ちましょう。
会社の損益と従業員への配慮の駆け引きを見極める
決算となり、予想以上に利益が大きかった場合は、その利益をどうするか考えることになります。会社の損益として、節税対策を取り従業員のために、決算賞与を支給することがベストな方法かどうかを考えます。会社として、税金を払い現金が手元に残ることの方が、プラスとなる場合もあります。
会社としては、駆け引きとなるときでもあり、決算賞与を支給して従業員に対しての配慮を示すことで、大きな力を生む可能性もあります。しかし、その結果さまざまな資金繰りの歯車が狂うようなことになってしまっては元もこうもありません。
会社の資金繰りなどの見込みや、利益の状況などにより、利益が出たからといって決算賞与を出すことだけが正解とは限りません。会社の損益と、従業員への配慮を考えて駆け引きを見極めることが大切だといえるでしょう。
一度支給すると次年度以降も期待が高まる
決算賞与のよい点は、従業員が喜び、モチベーションが上がる点です。決算賞与がもらえることを目標にし、また新たに頑張ろうという気持ちになるからです。どんな人でも、仕事へのやりがいはやったことへの報酬だけでも気持ちが変わるものです。
しかし、この士気が上がる決算賞与は、毎年必ず支給されるものとは限らず、特別報酬であるため、翌年はもらえない場合もあります。従業員は、来年ももらえるはずとどこか心の中で期待をしている場合が多く、決算賞与がなかった場合は、がっかり度が上がってしまうことも考えられます。
会社としては、従業員への配慮として支給したものであっても、決算賞与が支給されなかったことが、やる気を下げてしまうのはあまり効果的ではありません。支給する重みをきちんと伝え、もし決算賞与を翌年支給できなかったとしても、フォローができる体制を作っておくとよいでしょう。
決算賞与は従業員を含めた会社全体の好景気の証
決算賞与が支給されるということは、従業員を含めた会社全体の好景気の証です。会社として、業績がよかったと会社全体で喜ぶことができることです。会社として、会社の功績を喜ぶことができることはありがたいことです。
いろいろな状況はありますが、決算賞与を支給することは会社としてのメリットもあります。会社としての見極めは大切ですが、決算賞与を支給できる喜びを忘れずに、日々従業員と一丸になって会社を盛り上げていきましょう。