合同会社の社員とは?株式会社との違いやメリット・デメリット

最近ブームだといわれる合同会社を、立ち上げたいと考える人が増えてきました。比較的コストが低くはじめられる合同会社を立ち上げるメリットや、トラブルを避けるためには、どんなことに気を付ければよいのでしょうか。合同会社の知識を得ておきましょう。

合同会社の社員について

出資者全員が経営に関与する社員

合同会社の社員の特徴は、出資者全員が経営に関わっているところです。株式会社というのは、株主がオーナーとなります。そして事業経営については、取締役員が行うのが一般的です。所有と経営が分かれているのが、株式会社の特徴です。
一方、合同会社はこの所有と経営が同じなのです。社員というと従業員のことをイメージしますが、合同会社の社員は違います。合同会社は所有と経営が一致していますが、定款で定めることにより、株主のような役割の社員を設定することが可能です。

そして株式会社との違いで、社員総会や業務執行者会を開催する義務は、会社法上ありません。社員総会を開く必要があるのか、何を社員総会で決議するのかということも、定款で自由に決めてもよいのが、合同会社なのです。合同会社の社員を整理すると、3タイプに分けられます。

☑1.お金を出資するだけの人→社員
☑2.出資+業務を行う人→業務執行社員
☑3.出資+業務を行う+会社代表→代表社員

社員になれる資格

合同会社の社員になれる資格は、どんなものが必要なのでしょうか。合同会社の社員になれる資格には、「自然人」と「法人」があります。自然人というのは、法律用語で個人のことを表します。そして、法人も合同社員になれるのです。
合同会社は、未成年でも社員になることが可能です。ただし未成年者が合同会社の社員になる場合は、法定代理人の同意が必要となります。何もなしでは許可されません。そして、法人であっても合同会社の社員になれます。この場合、もし法人が業務執行社員となる場合は、業務を行う自然人を選ばなければいけません。

社員の責任

合同会社の社員は出資者であり、経営に関わる人でもあること説明しました。全員が会社代表とも言えますが、それでは多くの取引先企業が混乱してしまいます。そのため、代表社員を1人決めておく方が、スムーズだと考える会社がほとんどです。
では、全員が出資者である合同会社の経営に関する意思決定は、どのように決めるのでしょうか。これは基本的に、出資者全員の過半数の同意が必要だといわれています。もし定款で業務執行社員を決めた場合は、業務執行社員の過半数で決めることになります。

しかし合同会社の中には、業務執行社員が多い会社もあります。その場合、中々意思決定が決まらないケースも。そのため、定款によって過半数以外の決定方法を決めることもできるのです。

社員の加入と退社

合同会社の社員が途中で退社を希望したり、新たな社員が加わることもあります。しかし通常の従業員の入社や退社のように、自由にできるわけではありません。合同会社に新たな社員が加入するのは、定款の変更だけでなく、出資の履行も完了する義務があります。
加入する社員には、全額払い込み主義を遂行し、定款の変更には社員全員の同意が必要となっています。合同会社の社員の退社については、2つのタイプがあります。

☑1.任意退社→予告がある任意退社とやむを得ない任意退社
☑2.法定退社

任意退社のひとつである予告のある任意退社は、存続期間などを定款で定めていない場合は、事業年度の終了時の6ヶ月前までに、合同会社に退社の予告をしなければなりません。退社する社員は、持ち分の払い戻しを受け取ることができます。

社員変更の手続き

合同社員の変更が発生するのは、業務執行社員を追加する場合、代表社員を変更する場合、代表社員の住所を変更する場合が主なケースとなります。それぞれに、必要な変更手続きがあります。パターンによって、必要な手続きが違うので注意しましょう。

☑1.業務執行社員を追加する→代表社員が退社し、新しく業務執行社員が加入
☑2.代表社員を変更する→代表社員が退社し、業務執行役員が代表社員に
☑3.代表社員の住所を変更する→住所変更が発生

業務執行役員を追加するケースで、代表社員が退社し、新しく業務執行役員が加入する場合は、社員退社の手続きと社員追加の手続き、そして、代表社員の変更手続きが必要です。代表社員が退社し、業務執行役員が代表社員になる場合は、社員退社の手続きと代表社員変更手続きが必要となります。
代表社員の住所変更が発生した場合は、住所変更の手続きが必要となります。代表者の住所は登記事項なので、変更登記が必要になり、住所変更した日から2週間以内に法務局に登記申請を行わなければなりません。そして、税務署にも届け出が必要となります。

2名以上で設立された合同会社の社員

取締役にあたる「業務執行社員」

合同会社に社員が複数いる場合、代表社員の他に業務執行社員が置かれる場合があります。2名以上で設立された合同会社の場合、経営に参加する人だけを業務執行社員にして、定款で定め権利を明確にすることができます。
業務執行社員を定款で定めたら、業務執行権は業務執行社員だけになりますが、他の社員も業務遂行についての調査などを監視することは可能です。業務執行社員は、株式会社でいうところの取締役にあたります。業務執行社員が1名の場合は、その人が代表社員となります。

しかし業務執行社員が2名以上存在している場合、業務執行社員の中から代表社員を選びます。業務執行社員が定められている場合は、それ以外の社員から代表を選ぶことはできません。業務執行社員が定められていない場合は、代表社員を選んだあと、それ以外の社員が業務執行社員となります。
業務執行社員は、登記が必要となります。代表社員の住所・氏名と、業務執行社員の氏名を登記します。代表社員が選出されていない場合は、業務執行社員全員の登記が必要です。

代表取締役にあたる「代表社員」

株式会社でいうところの代表取締役にあたる代表社員は、複数の代表社員を置くことも可能です。複数の代表制を取り入れている合同会社も実際にあります。合同会社は、出資金に関わらず同等の議決権を持つことができるのです。
そして、さまざまなノウハウを持つ社員が集まるだけに、立場を決めにくいというポイントがあるため、複数の代表制を持つケースがあるのです。業務執行社員で説明したとおり、代表社員は登記が必要です。複数いる場合も必ず提出します。

代表社員の人数とメリット

代表社員が1名の合同会社

一般的な合同会社は、代表社員が1名の場合がほとんどです。これは権利を明確にしやすく、物事の判断がスムーズになりやすいメリットがあります。そして代表者が1名であれば決定権が明確なので、トラブルなどが起こりにくいとも言えるでしょう。
そういったトラブルを防ぐために、代表社員を1名に絞って選出しておく合同会社が多くあります。取引先側からしても、代表社員が複数いると混乱しやすいため、代表社員を1名にするのはメリットのひとつです。

複数代表制の合同会社

では、複数の代表社員がいることによるメリットとは、どこにあるのでしょうか。大きな合同会社などにとって、一番のメリットは、社員が公平な立場で物事を決めていくことができるという点です。それぞれの経営能力が高かったり、ノウハウを持ち合わせている場合、複数代表制の方がスムーズになるケースもあります。
海外拠点がある場合、国内で合同会社を設立し、国内と海外にそれぞれ代表社員を置くケースもあります。これは業務が円滑になることにメリットがあります。しかし、これらのメリットだけではなく、複数代表制にはデメリットもあります。

意見が分かれてなかなか一つにまとまらず、時間が掛かってしまうこともよくあります。そして代表社員全員が、代表印を届け出ている場合は、知らないうちに契約が締結されているというトラブルもあり得ます。自分の会社にはどちらが良いのか、じっくり考えてから判断した方が良いでしょう。

定款を定め合同会社の社員トラブルを防止しよう


合同会社を設立させ、より良い業務遂行を目指すのであれば、定款を定めトラブルを未然に防いでください。社員の人数も、自分達の業務にとってメリットがある策を選び、後々に問題となるような状況を避けて作るようにしましょう。

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