「国民年金」いくら納付するべき?年金の種類や支給額を知ろう

国民年金は、将来の自分への投資ができ、老後の生活を安定化するメリットがあります。老後の生活を送るためには、経済的なサポートが必要です。国民年金は、月々の支払額が大きいですが、免除制度もあります。国民年金をよく理解し、老後を充実させましょう。

目次

国民年金を支払う理由

老後の自分への仕送りになる

国民年金は、国民年金法等により規定されている公的年金にあたります。現在、20歳以上の日本国民は、年金制度に強制加入しています。年金を支払う理由のひとつに、「老齢基礎年金」があります。老後に受け取ることができる年金であり、自分への仕送りができるというメリットがあります。老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間のすべての期間保険料を納めた方は、65歳から年金を満額受け取ることができます。しかし、40年間に満たない場合は、その支払いの期間によって年金は減額します。老齢基礎年金の受給期間は、最低でも25年以上必要なため、満たない方は受給の対象とならないことがあるようです。

障害者となったときの備えとなる

障害により日常生活などに支障がある方をサポートするために「障害基礎年金」という制度があります。傷病による障害の状態が法令基準に該当するか、特定の要件を満たしているかを判断したうえで受給されるものです。おもに、身体障害や知的障害、難病、がんなどの疾患をお持ちの方が対象となります。国民年金は、障害の等級が1級、または2級に該当する場合に障害基礎年金を受け取ることができます。障害基礎年金を受給するためには、初診日や保険料の納付について、障害等級に該当しているかなど、さまざまな要件を満たさなければいけません。障害基礎年金の手続きは複雑なことが多いため、慎重に進めていきましょう。

万が一のときは家族の生活費になる

家族の世帯主が亡くなってしまった場合、残された遺族には「遺族基礎年金」が受給されます。この遺族基礎年金を受給するには、死亡した方が国民年金に加入していなければいけません。遺族基礎年金は、遺族である「子」への支給を対象としたものです。亡くなった方に、生計をたててもらっていた「子のある配偶者」の方や「18歳未満の子」、「20歳未満で障害年金の障害等級をもっている子」に受給されます。また、国民年金は最低でも25年間の納付が求められますが、2/3以上の期間保険料を納付しており、亡くなる1年前に保険料の滞納がない場合に、受け取ることができます。

国民年金はいくら支払うのか

年度ごとに支払額が変わる

国民年金は、年度ごとに支払額が異なります。平成29年度の国民年金保険料は、月に1万6490円です。国民年金は、毎年280円ずつ引き上げられています。平成29年度以降は、月に1万6900円と決められ、改正されています。また、年度ごとに280円に保険料改定率を合わせた金額が最終的な国民年金保険料となります。保険料改定率は、「前年度の保険料改定率×名目賃金変動率」という計算式で金額が求められます。名目賃金変動率とは、物価の変動率や実際の賃金上昇率を含むものです。保険料の背景には、これらの変動率が関わってきます。

支払額は全員一律

国民年金保険料は、性別や年齢、所得などに関係なく支払額は全員一律です。平成29年度の国民年金支払額は、月額1万6490円です。しかし、保険料の支払いが難しい方は、保険料免除制度などがあるため、利用することもひとつの方法です。

また、先にまとめて支払うことができる「前納」という制度があります。一定の期間まとめて支払うことで、保険料が割引される仕組みになっています。毎月の支払いが難しい場合、免除制度や前納制度があるため、見当してみることも継続していくうえで大切です。

厚生年金加入者は支払わなくてよい

厚生年金加入者は、厚生年金の保険料を支払っています。しかし、厚生年金というものには、国民年金保険料も含まれています。厚生年金加入者とは、20歳から60歳までの会社員や公務員など働いている方が加入しているものです。年金の月額受給額は、国民年金加入者より厚生年金加入者のほうが支払額は増えますが、その分年金の受給額も大きいようです。厚生年金は保険料が高いため、会社側と個人が保険料を半分ずつ支払い、給料から天引きされています。保険料の金額は、月額の給料によって金額が決まります。

保険料の支払額を減らす

保険料免除制度を活用する

無職や所得の少ない方は、毎月の保険料の支払いが難しい場合があるようです。そのような方は、保険料を全額、または一部免除する「保険料免除制度」を活用するとよいでしょう。保険料全額免除は、保険料を支払わなくてもよい0円です。保険料3/4免除の場合は、支払額は4120円です。そのほか、1/2免除は、支払額は8250円になり、1/4免除の場合は、支払額は1万2370円と決められています。しかし、免除された期間の場合、年金の支給額は保険料全額納付したときに比べ少なくなります。また、保険料の免除制度は、本人や世帯主、配偶者の前年所得など条件に該当する方が、保険料の納付により免除されます。

前納や口座振替で割引される

国民年金保険料は、毎月支払うよりもまとめ払いや先払いができる「前納」を利用するとよいでしょう。前納することにより、保険料が割引されるためお得です。また、支払う時間がない方は、「口座振替」を利用しましょう。口座振替の前納方法は、2年、1年、半年と定められています。割引額は、年率4%で複利計算した金額です。そのため、期間が長いほど割引額も大きくなります。そのほか、前納の振替方法として「早割」というものがあります。早割は、納付期限より1ヶ月早く口座に振り込む方法です。割引がきく前納には、4つの振替方法があるため、自分にあう方法で保険料の節約につなげていきましょう。

国民年金はいくらもらえるのか

1ヶ月の平均支給額は55000円

年金の支給額は、1ヶ月平均55000円であると報告されています。保険料を満額納付した場合、20歳から60歳までの40年間で年額約77万9千円、月額約6万5千円受け取ることができます。ただし、納付期間が短くなるほど年金受給額は減少します。国民年金は、保険料の納付期間の長さで金額が決定されます。保険料は、「保険料納付期間×満額÷40年間(480月)」という計算式で求められます。また、保険料の免除期間や納付状況により支給額は異なります。今後のために、満額受け取ることができるように、なるべく支払いを継続することが大切です。

保険料の免除や滞納期間があると減額する

国民年金は、保険料の免除や滞納期間が長いほど受給額は減額してしまいます。これらの期間が長くなる場合、将来年金を受け取ることが難しくなる可能性もあります。今後の年金受給額をこれ以上減額させないようにするため、未払い分を後から支払う「後納」や「追納」というものがあります。どちらも同じような意味を持ちますが、それぞれ利用できる要件の違いがあります。

後納は、平成30年9月30日までの過去5年以内の未納期間の保険料を支払います。追納は、過去10年以内の免除期間の保険料を支払うことをいいます。これらを利用することで、年金受給額を増やすことができるため、利用してみましょう。

60歳から年金を受け取ることができる

国民年金は、65歳から死亡するまで受け取ることができます。年金の受給は、65歳からといわれていますが、60歳から繰り上げ支給を受けることができます。もちろん、70歳頃に年金を受け取りたい方は、繰り下げ支給が可能となる場合もあります。

繰り上げ支給は、60歳から年金を受給できますが、年金の支給額は3割減額されます。一方、繰り下げ支給は、増額される仕組みになっています。繰り上げ支給をすることによって、金銭面の手助けになるメリットがあります。しかし、繰り上げ支給をしない方に比べ、年金の支給額が減額されます。年金は、60歳を過ぎると自分のタイミングで受けることができます。そのため、現状や年金支給額などを確認したうえで判断するとよいでしょう。

年金を増やすには国民年金基金や付加年金に加入する

老後は、収入がないため金銭状況に不安を感じる方が多いようです。年金のみでは、生活が厳しいといえるでしょう。国民年金を納めている方は、追加で加入できる2つの年金制度があります。1つ目は、「国民年金基金」です。国民年金基金は、公的年金として機能しています。加入時の年齢やコースによって毎月の納付額が決定されます。途中で解約する場合、掛け捨てにならないというメリットがあります。

2つ目は、「付加年金」です。付加年金は、国民年金の保険料に一律400円を上乗せして納めることで、老後の年金額を増やすことができます。このように年金は増やしたほうが自分へのメリットが高いといえます。国民年金基金と付加年金の併用はできませんが、自分にあったものに加入するようにしましょう。

その他の給付 寡婦年金

国民年金に関してその他の給付を受けることができます。第1号被保険者の方が対象になります。第1号被保険者とは、自営業者など厚生年金や共済年金に加入していない国民年金加入者を指します。

寡婦年金は、国民年金保険料を10年以上納付していた夫が亡くなった場合、妻に対して60歳から65歳までの期間、年金受給がされます。しかし、夫婦関係が10年以上あることが給付条件です。年金受給額は、夫の年金額の3/4です。また、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合には支給対象からはずれてしまいます。

その他の給付 死亡一時金

死亡一時金は、第1号被保険者として国民年金保険料を納付した月数が36月以上ある方を対象としています。老齢基礎年金や障害基礎年金を受給されずに亡くなってしまった場合、遺族に死亡一時金が給付されることがあります。

死亡一時金の金額は、保険料を納付した月数により人それぞれ異なります。約12万円から32万円の範囲で給付されます。また、付加保険料を36月納付した方には、8500円が死亡一時金に加算され給付されます。しかし、死亡一時金の対象外として、遺族が遺族基礎年金の支給を受けられる場合は給付ができないため、気をつけましょう。

年金は将来への投資

国民年金は、将来の自分への投資です。老後の生活は、年金がなければ生活が困難な状況になる場合もあります。国民年金は、20歳から支払うことができます。継続して60歳までの40年間納付することで、老後の年金受給額が大きく変わります。

国民年金は、月々の支払い額が高いというデメリットもありますが、今後の自分へのメリットもたくさんあります。支払いが困難な場合は、免除制度を利用するなど、自分のおかれている状況をみながら対処していく必要があります。

また、国民年金加入者は、よりよい老後の生活を送るために、国民年金基金や付加年金制度を活用し年金を増額することも検討してみましょう。将来の自分は、今の自分しか守れません。そのためには、今後どのように年金と向き合っていく必要があるかを見直してみましょう。

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