個人事業主であるメリット・デメリットを知って安易な起業を避けよう

手に職をつけて、実力が伴ってきたら独立を考える方も多いのではないでしょうか。でも、いざ起業しようと思うと、どうしていいかわからない。そんなときは、起業の入り口である個人事業主について知って、自分にとってメリットがあるかを考えましょう。

目次

個人事業主の定義とはなにか

自営業の一種


個人事業主とは、簡単にいえば自営業のひとつの形態です。個人事業主を正式に名乗るためには税務署への届け出などが必要になりますが、事業を始めること自体は、何も届けをしなくても可能です。近年はプチ起業などといった言葉もあるように、週末や空き時間を利用しての起業も増えており、副業として個人で事業を始める人も増えています。

週末起業やネットを利用したプチ起業、主婦による自宅サロンなども、個人事業の一種です。正式に税務署に届け出ることで、税制上の優遇措置などを受けることもできるようになります。

法人ではない独立した事業

個人事業主は法人化はしていない独立した事業形態で、会社などに勤めている従業員とは違い、個人で事業を行う経営者の一種です。個人事業主の事業内容は多岐にわたります。住居を職場にしているケースも多く、近年話題のノマドワーカーも個人事業主の中には多いです。

事業を行う上でパソコンだけあればOKな場合も多く、コワーキングスペースやレンタルオフィス、レンタル会議室などを借りて、商談の場として使っていることもあるようです。また、自宅を事業の場として同時利用するなど、個人事業主の事業形態には柔軟性があります。

税法で分類する際の呼び方

個人事業主というのは税法上、法人などと分類するための呼び方です。実際に、税務署に個人事業主として開業届を出すことで、税法上も個人事業主としての扱いを受けることができます。たとえば個人事業主になると、確定申告時に経費を計上し、その分税控除を受けることができるのです。

こういった税制上の優遇によって、節税につながるなどといったメリットがあることから、一定以上の所得がある場合は、個人事業主として開業届を出しておくと得になるのです。税法上も個人事業主として分類されるように、開業届を出すことを検討してみましょう。

個人事業主とは屋号の条件がある

個人事業主になると屋号を定めることができ、屋号を通帳名義などにも使用できるようになります。たとえば、お店を経営している際は、店舗名を屋号として使用することが可能です。この屋号で作った通帳であれば、取引先にお金を入れてもらう際にも、スムーズにいきやすいといったメリットがあります。やはり振り込みをする側の立場に立つと、個人名だけの口座よりも、屋号と個人名から出来た口座の方が、振り込み時に安心感があります。

また、屋号は会社や法人は使えない、個人事業主だけのメリットでもあります。屋号を利用したい場合にも、個人事業主として開業届を出すのは有効な手段です。

個人事業主の嬉しいメリット

費用を抑えて起業できる


個人事業主のよいところは、まずは開業の費用が抑えられることです。法人化する際には、登記や定款の作成などに一定の費用がかかりますし、株式を発行するなどといった手間がかかることもあり、人件費としても相当額が必要になるでしょう。そのために、ひとりでは事業を行えないことも多く、複数人の手が必要になりやすいです。

一方、個人事業主であれば費用をほとんどかけることなく起業することも可能です。事業を自宅で行い、事業内容も仕入れなどの必要がない業種を選ぶことで、スタート時の費用を抑えることもできます。開業の費用がかかりにくいことから、コンサルティングやライター業などが人気です。

事務所などを構えずとも、仕事をネット上で受注することもできます。ショップを経営する際も、実店舗を設けずインターネット上のみで取引を行えば、店舗の用意も不要で、経費を抑えることができます。

個人事業は始めるのに手続きが簡単

個人事業主になる方法は非常に簡単で、税務署に開業届を出すだけで終了です。開業届は国税庁のホームページからでもダウンロードすることができますし、提出は郵送でも可能です。税務署に直接持参する場合でも1時間程度もかかりません。その後、所得によっては確定申告が必要な場合もあります。

開業届を出すだけで、開業届を出すためにかかる費用はありませんので、事業を始めるハードルが大変低いことも個人事業主の大きなメリットです。開業届を出すだけでなく、名刺を作成したり、ホームページを開設したりすることで、より事業を始めた実感を得られるでしょう。

少額減価償却資産の特例の対象

個人事業主のメリットのひとつに、少額減価償却資産の特例が受けられるといったものがあります。個人事業主は、白色申告と青色申告を確定申告時に選択することができます。このうち青色申告を選択することで受けられるのが、少額減価償却資産の特例です。30万未満の減価償却資産が経費対象とされ、減価償却を行いながら、毎年経費として計上することができます。

たとえばパソコンやプリンター、エステなどであれば大型の機器を購入した際などにも適用することができるのです。こういった機器は高額であることから、毎年経費として落としていくことができると、節税につながります。

青色申告にはこのような経費計上できる幅が多くあり、白色申告よりも節税効果が高いことから、所得の多い個人事業主にとってはメリットの多いものとなっています。一方で帳簿付けが煩雑になるといったデメリットもありますので、どちらがよいかは事業内容や経費などを考えて決めましょう。

Wワークからチャレンジできる

個人事業主のよいところは、Wワークからチャレンジできることです。個人で事業を始めるときは、まずは副業から始める方法もあります。自由時間を事業にあててみるなど、趣味の延長から始めてもいいでしょう。また、金銭的な負担の少ない方法から取り組む方法もあります。副業を簡単に行える、クラウドサービスに登録し、自分に出来る範囲から事業を始めることもできます。

最初のうちは金銭的にはあまり収入と呼べるものにならなくても、経験を積むことができますし、本業をいきなりやめてしまうリスクを回避できることは大きなメリットです。事業としてやっていけるか不安がある場合は、Wワークから始めてみましょう。

個人事業主の収入によるメリット

年間20万未満の所得は確定申告免除


個人事業主として事業を行っていても、はじめのうちは十分な収入が得られない場合もあります。年間所得が20万円に満たない場合は、確定申告は行わなくてもよいとされています。副業として行うのであれば、確定申告の手間を回避するためにも、この範囲で所得を抑えるのも一つの手です。

ただし所得額が低くても、青色申告などで赤字を翌年以降に繰り越せることもあるので、確定申告をしておくと得なケースもあります。赤字額は最大3年繰り越すことができ、利益が出た年に計上することで、課税額を減らすことができるため、繰り越しておくと得になります。こういったことも踏まえて、確定申告を行うかどうか、判断しましょう。

収入が増え安定したら法人化できる

個人事業主として事業が安定してきたら、法人化することも視野に入れてよいでしょう。個人事業主として事業を行うよりも、法人化することで、事業の幅が広がり融資などを受けやすくなります。また経費として計上できるものが増えますので、事業の形態によっては、大きな節税効果が見込めます。こういった点も、法人化の大きなメリットだと言えるでしょう。

一方で、法人化することで、事務作業が増え、利益が出なくとも負担せねばならない法人住民税なども発生します。デメリットもあるということも、きちんと知っておきましょう。

夢を持ち続ければ個人事業主になれる日がくる

夢を持ち続けることで、いつか独立して、個人事業主になれる日が来るでしょう。個人で事業を行うということは、不安定さやプレッシャーもありますが、一方で自分のやりたいことを形に出来る方法でもあります。

とはいっても理想だけで開業してしまうと、つまづくことがあるかもしれません。そうならないためにも個人事業主のメリット・デメリットを学び、安易な起業を避け、夢実現できるようにしましょう。

個人事業主としてうまく事業を継続していくために、自分の事業に合った開業の形を賢く選びとってください。

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