自己都合で退職したら失業手当をもらうことはできますが、そのための手続きやもらえる期間など、疑問点を感じている方はとても多いです。失業手当の受け取りまでの流れやもらえる期間など、注意点を理解して、スムーズに手続きを実行できるようにしましょう。
目次
自己都合で退職した場合の流れ
ハローワークにて求職の申し込み
退職日から10日以内に、勤めていた会社から失業保険の申請に必要な離職票と雇用保険被保険者証を受け取ります。
離職票と雇用保険被保険証が揃えば、他に印鑑や身分証明(マイナンバー、運転免許証、年金手帳)や預金通帳、証明写真(縦3cm×横2.5cm)など必要なものを用意し住民票を管轄するハローワークに行きます。それ以外のハローワークに行っても手続きはできないので気をつけましょう。
ハローワークでは求職票に記入して手続きをします。ハローワークに提出する離職票に記載された内容から、自己都合の退職か会社都合による退職かを担当者が判断し、簡単な聞き取りなども踏まえて受給資格が得られます。
雇用保険受給説明会に出席する
本人調査のために、7日間の待機期間があります。この待機期間の1〜3週間の間に雇用保険受給説明会に出席します。待機期間は7日間ありますが、この期間中はアルバイトなどで働くことができません。
説明会に出席すると、『失業認定申請書』と『雇用保険受給資格者証』を受け取ることができます。この2つは必要な書類なので、絶対に無くさないように気をつけましょう。
説明会では今後のスケジュールが書いてある「求職活動計画書」や、雇用保険の内容などの説明をハローワークで受けます。
雇用保険受給資格者証は受給資格を証明するもので、受給者の氏名、年齢、離職日や理由、失業認定日や受給期間満了予定日などが書かれています。失業認定日にはハローワークに必ず行かなければいけないので、忘れずに必ずチェックしましょう。
失業認定日にハローワークに行く
失業認定日は、決められている日にハローワークに行かなければいけません。認定日は、雇用保険受給説明会で受け取った雇用保険受給資格者証に書かれています。必ずチェックをして、予定を空けておきましょう。最初にハローワークに行った曜日が認定日になるので、そこを把握して行動し、あらかじめ都合の悪い曜日がある場合はその曜日を避けるようにしましょう。
認定日は正当な理由がない限り変更はできません。正当な理由とは、本人の病気やケガ、就職したとき、就職のための面接、親族の看病や危篤状態、または死亡、本人の結婚式などです。
雇用保険受給説明会で受け取った『失業認定申請書』に、初回認定日までに必要な箇所を記入しておきます。こうしておけば認定日当日の手続きがスムーズになります。
失業認定日までに求職活動を2回以上する
失業認定日までに2回以上の求職活動を行わなければいけません。失業認定日までにハローワークに行き、パソコンなどで求人情報を見て窓口で相談をします。また、ハローワークの掲示板などに貼ってあるセミナーなどの参加でも求職活動が認められます。このときに雇用保険受給資格者証を提出すると、職員の人がハンコを押してくれます。これが求職活動の証拠になります。
ハローワーク以外の求人への応募でも可能です。例えばネットで転職サイトに登録、気に入った会社に応募または、面接を受けるなどでも大丈夫です。また、合格しなくても資格の試験を受けることも求職活動になります。しかし中身のあるしっかりした求職活動をしなければ、基本手当の受給に必要な求職活動とは認められません。自分でしっかり判断し、考えながら行動しましょう。
失業手当をもらう際に注意すること
求職の申し込みをする曜日に注意
ハローワークに最初に手続きした曜日が、今後の失業認定日の曜日になります。これは必ず決められているので、その曜日に予定が入っていないかあらかじめスケジュールをたててから、自分が都合がつく曜日に求職手続きに行きましょう。認定日の変更は、正当な理由がない限りかなり難しいです。
正当な理由とは、就職したとき、就職のための面接がある時、本人が病気やケガ、本人の結婚式がある時、親族の看病、危篤状態または死亡したときです。この理由で行けなくなった人はハローワークで申請すると変更してもらえます。
就労とみなされる仕事に注意
給付金の支給までに生活が苦しくなるなどの理由で、アルバイトをする人がいます。認定日から次の認定日までの間にアルバイトをすることは可能です。しかしそのことを申告しなければいけません。それは内職や手伝いも同じです。
特にアルバイトですが注意があります。1日4時間以上、一週間で20時間以上の労働、31日以上の雇用が見込まれるアルバイトをした場合は、失業保険手当は支給されません。
また、アルバイトなどで雇用保険に加入しなければいけないときは、給付金の支給が打ち切りになってしまいます。アルバイトをするなら時間や雇用保険のことに気をつけて働きましょう。
働いたことを申告しない
アルバイト、内職や手伝いなどの働いたことを申告せずに、うまく手当をもらおうと考える人もいるでしょう。しかし働いたことを申告しなければ、厳しい処罰があります。また虚偽な申告でも同様です。
厳しい処罰とは、支給停止、返還命令、納付命令、滞納金の発生、財産差し押さえ、詐欺罪で刑事処罰です。
☑支給停止:不正な行為が発覚後、給付期間が残っていても全ての給付が停止。
☑返還命令:不正行為前に受給された給付金を全て返還しなければいけない。
☑納付命令:不正発覚後に給付された給付金の約2倍する金額を納付しなければいけない。命令を無視して、期限までに納付しなければ延滞金が発生する。
☑滞納金の発生:不正受給をした日翌日から滞納金が発生する。
☑財産の差し押さえ:返還命令や納付命令を無視して支払いが滞ると、財産の差し押さえの対象になる。
☑詐欺罪で刑事処罰:悪質などと判断された場合は、詐欺罪として刑事処罰される。
以上のことが起こる上に手当はもらえません。虚偽せずアルバイトなどで働いた場合は、きちんと申告をするようにしましょう。
自己都合の場合いくらもらえるのか
雇用保険の加入期間により異なる
失業保険の給付期間は雇用保険の加入期間によって異なります。加入した期間が1年以上5年未満の人は90日、5年以上10年未満の人は90日、10年以上の人は120日間となっています。加入期間が1年未満の人は対象外になるので、気をつけましょう。
しかし加入期間が1年未満の人は退職後にアルバイトなどで雇用保険に加入し、合算することができます。合算して1年以上になるのであれば失業保険の給付金を受け取れます。ただし、会社を退職後1年経ってからアルバイトなどで雇用保険に加入した場合は合算されません。この点には気をつけましょう。
待機期間と給付制限期間がある
離職票などを提出した日から7日間を待機期間と言います。待機期間中は給付対象日としてカウントされていないのですが、アルバイトなどで働くことはできません。
自己都合での退職者は給付金の支給まで3ヶ月間の給付制限があります。これは、退職する事前に失業することが想定できるからです。自己都合で退職した人はここをしっかり覚えておかなければいけません。
なかには手続き後すぐに給付金が支給されると勘違いをして、生活費のことを考えずに退職してしまう人もいます。生活費のことを考えて認定日から認定日の間にアルバイトをすることはできますが、日数や時間など就労と認められるアルバイトをすることしかできません。自己都合の退職は、先のことをしっかり考えて行動し、アルバイトなどをした人は必ず申告をしましょう。
自己都合での退職の失業手当を知っておきましょう
自己都合での退職者は、失業手当の手続きをすればすぐにもらえるというわけではありません。失業することを自分で判断した結果の退職のため、手続き後3ヶ月の給付制限があるのです。そのこともしっかりわかった上で退職するかどうかを判断しましょう。また働いて1年未満の人は、失業手当を受け取れません。そこも注意しましょう。
退職後、生活費の足しにアルバイトなどで働く人は、必ず申告しましょう。申告しなければ重い罰が待っています。
きちんと制度を把握すれば、手順通りに手続きが進み退職後の人生も大きく変わっていきます。次のステップのためにも損のないようにし、明るい未来を歩みましょう。
また、求職活動中に資格などを取って新たな職種に挑戦するチャンスもあります。そのことがきっかけで新たな自分を見つけられるかもしれません。次の仕事のために、普段できない資格を取るための勉強をするのもいいかもしれません。