いくらもらえるだろう。退職の前に知っておくべき失業手当の計算方法

今、仕事を辞めたら失業手当がいくらもらえるのか、期間や受給資格があるのかなど気になりますよね。退職前に必ず知っておくべき失業保険のボイントがいくつかあります。また、失業中でも加入しないといけない健康保険についても知っておきましょう。

目次

退職前6ヶ月間の給与総額で失業手当が決まる

計算には残業代や通勤手当などは含む

雇用保険の失業給付に何が含まれて何が含まれないのか、気になるところですよね。ここの中身を間違って認識してしまうと、実際に受け取る失業給付の額が変わってきてしまいます。

交通費は失業給付の算定対象に含まれます。定期券や回数券などもそうですが、交通費を多く使っている方の方が失業給付を多く受け取れることになります。

また、残業代も含まれます。退職する前の6ヶ月分の給与を残業で増やせば、それだけ失業給付を多くもらえることになります。

失業手当の計算には賞与などのボーナスは除く

昭和60年までは、賞与も含めて失業給付額を計算していました。しかし現代では、賞与やボーナスは含まれません。

当時の問題点として、月例の給与と比べて賞与の額が会社の規模や業種によって差が大きく分かれており、このことによる格差が生じてきたこと。また、高額の賞与を貰ってすぐに退職した場合、退職前の給与より多い額の失業給付を受けとってしまうという問題から、現代では賞与などのボーナスは失業手当の計算に除かれます。

原則として、毎月定期的な給与として支払われるものが対象となっています

欠勤控除を上手に使えば失業手当を増やせる

退職6ヵ月前に欠勤控除を受けた場合、残業を増やせば失業手当が増やすことができます。

例えば、月給22万円、労働日数22日とします。通常であれば、22万円×6ヶ月÷180日、日給7,333円になります。欠勤があり残業した場合、毎月10日欠勤(1日1万減)、毎月残業5万だと、(22万-10万+5万)×6ヶ月÷出勤した日数(22日-10日×6ヶ月)×70%(控除率)、日給9,916円になります。

その結果、欠勤控除をうまく使って残業すれば失業手当が増やせすことができます。ただし、退職前の給料は減り、残業で疲れてしまうというデメリットがあるので、よく考えて行動しましょう。

失業手当の計算方法

基本手当日額を計算する

失業手当の1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。直近6ヶ月に支払われた額面給与+交通費(ボーナスは除く)の合計を180日で割って賃金日額を算出します。
例えば、額面給与が29万円で、毎月の交通費がちょうど1万円だったとしましょう。その場合の計算式は(29万+1万)×6ヶ月=180万、180万÷180=1万となるため、賃金日額は1万円であることがわかります。

この賃金日数1万円の45%~85%が基本手当日額になります。給付率45~80%と幅が大きく設定されていますが、これは賃金の低い方ほど高い率になるように設定されており、離職時の年齢によっても変動する仕組みになっています。

所定給付日数は勤続年数と離職理由で決まる

この所定給付日数は、直近の離職理由、勤続年数、離職日における年齢、雇用保険の加入期間3つの状況により日数が変動します。

定年退職、自己の意思で離職した方の所定給付日数

65歳未満で加入期間が1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日。

会社都合の離職した方の所定給付日数

☑30歳未満:半年以上1年未満90日、1年以上5年未満90日、5年以上10年未満120日、10年以上20年未満180日

☑30歳以上35歳未満:半年以上1年未満90日、1年以上5年未満90日、5年以上10年未満180日、10年以上20年未満180日、20年以上240日

☑35歳以上45歳未満:半年以上1年未満90日、1年以上5年未満90日、5年以上10年未満180日、10年以上20年未満210日、20年以上270日

☑45歳以上60歳未満:半年以上1年未満90日、1年以上5年未満180日、5年以上10年未満240日、10年以上20年未満240日、20年以上330日

☑60歳以上65歳未満:半年以上1年未満90日、1年以上5年未満150日、5年以上10年未満180日、10年以上20年未満210日、20年以上240日

以上を見てみると、45歳以上60歳未満の部分が所定給付期間が多くなっていることがわかります。それは、この年齢条件の再就職率が低いことと、子どもの高校や大学などお金のかかる年代にあたることが多いからです。

会社都合で退職した場合、給付日数に大きな差が出るラインは被保険者期間が5年からと、45歳以上になります。

基本手当日額は所定給付日数分支給される

定年退職、自己の意思で離職した方の所定給付日数は、退職時の年齢と雇用保険加入期間の組み合わせにより変動します。65歳未満で加入期間が1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です。

会社都合の離職は、1年未満は年齢関係なく90日、1年以上20年未満は年齢により90日から最大330日になります。その所定給付日数分を失業手当として支給されます。

1回あたりに失業手当はいくらもらえるのか

基本手当日額が賃金日額によって45%~80%と幅があります。また、基本手当日額はどれだけ給料が安くても最低この額以上はもらえるという下限額と、どれだけ給料が高くてもこれ以上はもらえないという上限額が設定されています。

平成27年8月では、30歳未満は6,370円、30歳以上~45歳未満の区分の人は7,075円、45歳以上~60歳未満の区分の人は7,780円、60歳以上~65歳未満の区分の人は6,781円が上限額になっています。

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初回受給はおよそ15~22日分の支給

初回の失業手当受給は、受給資格日決定日から待機期間7日間です。待機期間が過ぎた1日目から認定日までの期間分が初回に支給されます。よって、失業給付金満額(28日)をもらえるわけではありません。およそ15~22日分の支給になります。
例えば、受給資格日10月1日、認定日10月25日の場合、10月8日から10月25日の18日間になります。

2回目以降は原則28日分ずつ支給

初回に支給されて2回目からは、原則28日分ずつ支給されます。また、翌月も28日分ずつ所定給付日数になるまで支給されます。失業手当が支給されるのは、あくまで失業中だけです。再就職が決まって所定給付日数が残っていてもその日数分は支給されません。
その代わり、早期に再就職が決まり、所定給付日数の1/3以上が残っている場合は、再就職手当や就業手当が受けることができます。

失業手当の受給中の健康保険

退職後に加入できる保険の種類

退職後に加入できる保険の種類は、任意継続被保険者、国民健康保険に加入するか、家族の被扶養者に入るかの3種類があります。

任意継続被保険者

退職後も継続して、健康保険組合に加入できる制度で、加入には条件があります。その条件は、継続して2ヶ月以上の被保険者期間がある人です。被保険者でなくなった日から20日以内に届出をしましょう。

また、任意継続被保険者となれる期間は2年間。その間に1度でも保険料を期限内に納めなかった場合は、すぐに資格喪失となります。保険料は、働いていた時に払っていた金額の2倍になります。

国民保険

国民保険は、自治体がやっている保険で、退職後14日以内に自治体の窓口で手続きしなければいけません。国民健康保険の保険料は、所得割、資産割、均等割、人数割などから決められます。
また、会社都合で退職された方、特定受給資格者、特理由離職者については保険料が約7割減額される場合も。

家族の被扶養者

家族が加入している健康保険の被扶養者になることです。そのためには審査があり、その家族の収入で生計が成り立っているかどうか、同居しているか別居しているかなどがポイントになります。その健康保険組合の被扶養者の認定基準に達していれば加入できます。

失業手当をもらいながら扶養家族に入れる条件

失業保険をもらいながら健康保険の扶養に入ることはできません。しかし、条件によっては失業保険をもらいながら扶養に入れるケースもあります。

その条件とは

・3親等内であること

・年収が130万円未満(60歳以上は180万円)であること。(ちなみに年収130万円未満というのはその年の収入ではなく、退職日から先の収入見込みのこと)
>この条件を満たしていれば扶養家族に入いることができます。

失業手当を計算して生活資金計画を立てよう

失業手当の金額の計算は、退職前の6ヶ月の給与金額で決まります。また年齢や雇用保険の加入年数によってもらえる期間も変わってきます。一度、退職する前にどのくらいもらえるのか計算してみましょう。

また、期間が過ぎれば失業手当はそこで打ち切りなので、期間内に働ける場所を探すということも重要です。そして退職後は医療費が100%実費にならないように必ず健康保険に加入しましょう。

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