以前は登記には専用の印紙として登記印紙のみしか利用できませんでしたが、現在は収入印紙を代わりに使用することができるようになりました。
ただ登記印紙は登記書類を請求するときにしか使えず、登記以外で印紙が必要な局面で利用することが出来ないので注意しましょう。
そのため必要な印紙や使用できる種類を間違えないように、しっかり確認してから購入しましょう。
目次
登記印紙とは
登記印紙の使い道
登記印紙は登記事項証明書等の交付請求をするときの手数料として使います。登記事項証明書等に該当するものは、以下の通りです。
☑1.登記事項証明書
☑2.印鑑証明
☑3.登記事項要約書の交付
☑4.登記簿等の閲覧
これらを交付請求をするときに、申請書に手数料分の登記印紙を貼ります。
登記事項証明書とは
登記事項証明書とは、登記の証明書の総称になります。登記事項証明書には、全部事項証明書、現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書があります。
抹消された事項を含めて現在までの全てが記載されたものが、全部事項証明書。現在有効な内容のみを記載されたものが、現在事項証明書。権利部の相当区に記録されている事項のうち、請求に係わる部分のみ記載されたものが一部事項証明書。閉鎖された登記記録などが閉鎖事項証明書になります。
登記事項要約書とは
従来の登記簿閲覧に代わるものになります。登記簿の記録を要約した内容を印刷した書面です。登記官の証明文や作成年月日など記載がなく、現在の権利だけが記載されています。法務局でのみ請求が可能で郵送では請求できません。また他の登記所の管轄している不動産に関しても請求できません。
収入印紙との違い
登記印紙は、不動産や会社の登記簿謄本、公図や地図などの取得の手数料として登記特別会計に使用されていました。
収入印紙は、登記申請の時に納める登録免許税に使います。また契約書や領収書などの課税文書に印紙を貼って使っている場合も、印紙税法にもとづいて国におさめる税金になります。
平成23年4月1日から、登記印紙が廃止になりました。登記印紙にかわって収入印紙で納付するようになりました。よって、登記印紙が廃止になり収入印紙に一本化されたことで、登記する時に登記印紙と収入印紙の使い分けをする必要がなくなりました。
引き続き登記印紙も使えます。よく使われていたのは1,000円の登記印紙になりますが、単独では使いにくいので、登記事項証明書を2通以上請求する場合に使ったらよいでしょう。また収入印紙と組みあわせても使うこともできます。
登記印紙の使用期限
登記印紙が廃止され収入印紙の一本化となると、未使用の登記印紙はどうなるんだろうと疑問に思いますよね。実は、未使用の登記印紙は平成23年以降でも使用することがでます。ただし登記事項証明書の取得など、登記印紙で納付していた手続きのみに使用目的が限定されます。
また再使用証明を受けた登記印紙は、有効期限が1年となっており、この場合1年以内に使用しなかった時は、失効手続きをしたうえで還付請求をすることができます。
証明書交付請求時にかかる印紙代
登記事項証明書の交付請求にかかる手数料は、以下の通りです。
☑1.書面請求 600円
☑2.オンライン請求・送付 500円
☑3.オンライン請求・窓口 480円
このうち印紙代がかかるのは、書面請求のみになります。オンライン請求の手数料はインターネットバンキングやATMでの電子納付になります。
印紙を購入できる場所
印紙は以下のところでほとんどの場合購入することができます。
☑1.郵便局
郵便局は営業時間が朝の9時から夕方17時までの店舗が多いので、その時間内でなければ購入できません。また簡易郵便局になると取り扱いをしていない印紙もありますので問い合わせてみましょう。
大きな郵便局であれば、全ての額面の収入印紙が常時そろっています。また、郵便事業会社の支店にはゆうゆう窓口があり、ここでは遅い時間でも収入印紙が購入できます。
☑2.法務局
法務局は、併設された売店で印紙の購入ができます。法務局まで行って書面で手続きをする場合はとても便利ですね。また品揃えも豊富で高額な印紙の取り扱いもしていますので、すぐに印紙を用意できます。
☑3.印紙売りさばき所
印紙売りさばき所とは、収入印紙売りさばき所の指定を受けた店になります。例えばコンビニエンスストアなどが該当する所ですね。ただしコンビニエンスストアは品揃えが豊富でありませんので、欲しい印紙が確実にあるとはいえません。同様にタバコ屋さんでも購入できますが、品揃えは少ない事の方が多いようです。
さらに金券ショップでも購入することができ、額面の1%~2%安く販売されているケースがほとんどです。ただし需要の高い小額の印紙しか在庫にもたないので品揃えが少なく、収入印紙代に消費税がかかるというデメリットもあります。
印紙の消印
登記事項証明書の手数料で使える印紙は、登記印紙と収入印紙があります。登録免許税を納めるのは収入印紙になります。収入印紙も登記印紙も申請者が自分で消印をすると無効になるので注意しましょう。
登記の申請や書類の交付請求に使われる印紙は、登記官が相当する金額の印紙が貼られた申請書を提出されている事を確認してから消印します。
印紙の交換と払い戻し
収入印紙は交換可能
収入印紙には交換制度というものがあります。この制度は、未使用の収入印紙や白紙や封筒に貼り付けられた収入印紙を他の収入印紙と郵便局で交換できます。交換手数料として、1枚あたり5円が必要。高額な収入印紙は、偽造されてないか調べるために郵便局に預けるようになります。
しかし収入印紙を剥がしたり、貼った部分を切り取ったりすると交換できなくなります。また未使用の収入印紙でも、破れたものや汚れたものは交換対象になりませんので取り扱いには十分注意しましょう。
登記印紙は交換不可
収入印紙は交換制度がありますので、郵便局で交換可能です。収入印紙のような交換制度は、登記印紙にはありません。以前に郵便局で購入した登記印紙は、郵便局が委託を受けて販売だけの業務行っていたため、交換や払い戻しは一切受け付けていないことがあります。
税金ではなく手数料として扱われるので、税務署でも還付ができません。
印紙の再使用
印紙の再使用証明とは
相続不動産の名義を登記変更するときには、登録免除税という税金が発生します。この登録免除税は、法務局で登記するときに収入印紙で納めます。
登記申請が取り下げになり収入印紙で納めた登録免除税を現金還付して貰う場合、また収入印紙を購入して再申請をする手間を省くために再使用証明をうけることができます。
再使用証明とは
登記申請書に貼り付けて消印された、収入印紙の再使用を可能にするための証明です。方法は、「再使用申出書」という書類を提出して、印紙の再使用証明を受けます。
再使用証明をうけた印紙は、同一の登記所なら再度提出するときに使ってもよいですし、別の申請をする時にも使えます。また再使用証明を受けた登記申請の申請人の代理人が代理申請する場合にも使用できます。
再使用証明を受けられる場合
再使用証明が受けられるのは、登記申請を取り下げた場合になります。登記申請書は申請人に戻されるので、申請書に貼った収入印紙は再使用証明を受けられます。
登記申請が却下になった場合の登記申請書は、申請人には戻されないので、納めた登録免許税は還付され、再使用証明は受けることができません。
オンラインで登記申請をする場合は、登録免許税は印紙と電子納付などで納めます。印紙で登録免許税を納めた場合は、再使用証明が受けられます。
電子納付など印紙で登録免許税を納めてない場合は、再使用証明は受けられませんので注意しましょう。また高額な登録免許税になると印紙では納められないので、この場合も再使用証明は受けられません。
印紙の貼り方
登記印紙は、登記事項証明申請書に収入印紙を貼る欄がありますので、そこに貼ってください。登記印紙の代わりに収入印紙でも使えます。
登録免許税を印紙で納めるときの印紙の貼り方は、A4サイズの白紙を用意して台紙にします。その印紙台紙の中央に全ての印紙を貼りつける方法があります。または、申請書の余白に納める登録免許税の印紙を貼り付ける方法もあります。
申請が取り下げになった時に、印紙の再使用証明をうけるなら印紙は別の用紙に貼って置いたほうが便利です。
必要な証明書を確認してから印紙を購入
登記の際に準備しておく必要書類には、いろいろなものがあります。登記予定の不動産を管轄している法務局へ行けば、登記事項証明書や図面など全ての書類が入手可能です。書類が入手できたら申請にかかる手数料や交通費など、漏れがないように全て確認してから印紙を購入しましょう。
以前に購入していた登記印紙は使えますので、それを使えば登記事項証明書を交付請求する時の手数料は不要になります。