会社設立の第一歩で、きっと悩むことになるであろう定款づくり。実は定款は基本の作り方を知り、雛形を手に入れれば悩まずに自分で作ることも可能です。電子定款のメリットなど、知っておくとお得なこともあるのでしっかり把握しておきましょう。
目次
定款の基本
必ず作らなければいけない
定款は会社を設立するためには、必ず作らなくてはいけないものです。定款には会社の基本となる情報が書かれていて、会社の成長に伴い、いろいろな場面で必要となります。必要となる場面の例としては、公的機関への助成金の申請や金融機関との取引時など、重要かつ時間に余裕のない場面が多いです。
このため定款はきちんと作っておき、効力を発揮できるように保管しておかなければなりません。定款に盛り込むべき基本的な情報は、雛形を見ることでおおよそ把握できるでしょう。さらに定款には戦略的に盛り込むことで、今後の会社経営を有利にすることが出来る事項もあります。
例えば会社法で定められている、相続人への株式の売渡請求がそれにあたります。株式が相続により相続人のものとなった際、とくに中小企業では経営への影響が懸念されることがあります。中小企業の中には株主だけで経営を行っているところもあり、そのような状況の場合は相続による影響は小さくはないのです。
この時に定款に定めることによって、相続人に株主の売渡請求をすることが出来ます。このように定款を戦略的に使うこともできますので、定款の作成は基本的かつ重要なことといえるのです。
会社の規則を記載したもの
定款は会社の基本的な規則を記したものとも言えます。基本情報ですが、会社の成長に伴って変わっていくことも考えられます。定款の変更自体は株主総会の決議で可能ですが、その後の申請や手続きは時間がかかることもあるので、できるだけ変更が少ないように作成しておきたいところです。
また、定款の作成にあまり時間をかけたくないという思いもあることでしょう。会社を設立する目的は事業を行うことで、なるべくなら利益を生む仕事に集中したいものです。定款の作成にかかる時間は最小限にし、あまりお金をかけたくないというのが本音でしょう。その場合は定款を一から自分で考えるのではなく、すでにある雛形を利用しましょう。
雛形を利用すれば空欄を埋めるだけで定款が完成しますので、事業内容にあった雛形を選べばよいだけというメリットがあります。定款は会社のスタイルによって変わってきますし、事業年度の決め方によって節税効果が見込めるなど、戦略的に作成することもできます。雛形を活用すれば、形式よりも内容の部分に時間を割けますので、メリットが大きくなりやすいでしょう。
株式会社の記載が必要
定款には「株式会社」の記載が必要です。簡単に言うと、(株)のように省略しての記載はできないということです。社名のことを商号と呼び、定款には正式名称で記載する必要があります。この他にも定款には細かいルールがたくさんありますので、確認しながら作成するようにしましょう。
とくに株式の発行上限数は、戦略的に決める必要があります。株式がいつの間にか大量に発行されていると、経営権をとられてしまうなどの大きなデメリットが生じます。一方で株式は運営資金を得るためには重要な存在ですので、発行上限数についてはよく検討して決めましょう。
電子定款でも可能
定款の作成は、電子定款でも行うことが出来ます。電子定款のメリットは、なんといっても課税文書扱いにならないということでしょう。電磁的な文書は、現時点では課税文書になっていません。課税文書にならないことで、印紙税が発生しないというメリットがあります。収入印紙を貼付する必要がないことから、この分の経費を削減出来るのです。このことから、定款は電子定款で作成する方がよいとされることもあります。
電子定款で作成した場合は、電磁的記録により定款を作成する旨を定款に記す必要があります。こちらも多くの雛型に参考文例がありますので、利用するとよいでしょう。定款作成時に電子定款の場合は、「以上、株式会社・・・を設立するために、発起人が電磁的記録である本定款を作成し、電子署名する。」という文などが入ることになります。
定款の雛形について
雛形をダウンロードする
まずは定款の雛形をダウンロードしてみましょう。定款の雛形は、インターネット上で会社設立をサポートするサイトなどでダウンロードすることが出来ます。これから始める事業に合ったタイプを選び、なるべく簡単に作成できるものを選びましょう。株式の発行上限、株式の譲渡制限などを盛り込むと、有利なことがたくさんありますのでどんな条件が必要か、よく考えて雛形を選んでください。
とは言え、定款がどのようなものかをまずは知る必要があります。試しにひとつダウンロードしてみて、定款の基本的な形を知ることから始めてみるのもよいでしょう。その後どのようなタイプかを確認してみて、必要な要素を判断しましょう。定款には盛り込むべきものとカットしてもいいものがありますので、うまく見極める必要があります。
雛形を見てもわからないことがあるときは、一つ一つ調べるようにしましょう。最初は内容を把握しながら丁寧に行うとよいです。
条件にあった雛形を探す
自社の条件にあった雛形を探しましょう。雛形は無数にありますが、多くのサイトでタイプ別に分けられています。細かな条件など、フローチャートのようなわかりやすい形で示している場合もありますので、まずは見てみて条件に合ったものをダウンロードしましょう。
細かな条件などは、完全に一致しない場合もあるかもしれません。その場合は他の雛形も参考にして、部分的に活用しながら作成することもできます。雛形をいくつか見ることで、自社に必要な要素が見えてくるはずです。うまく雛形を利用して、定款をなるべく手間をかけないように完成させましょう。
取締役会を設置しない定款の雛形
取締役会を設置しない場合は、取締役会を設置しないという定款の雛形を利用しましょう。取締役会を設置するか否かは、定款の雛形の最初の分かれ目になります。取締役会が設置される場合は、株主総会以外の機関に関する記載が必要になります。取締役会を設置しない場合は、この記載は不要な項目となりますので、この項目のない雛形を選ぶとよいでしょう。
このように不要な項目を削除することも重要です。ただし事業に関しては、会社は目的とした事業以外を行うことができないため、定款には将来行う可能性のある事業についても記載しておいた方がよい場合があります。何が必要で何が不要か、よく考えて定款を作成しましょう。
取締役会を設置する定款の雛形
取締役会を設置する定款の雛形は、株主総会以外の機関の記載が必要になります。取締役員の数、監査役の設置および員数など、記載する項目が増える形になります。まずは、取締役会を設置する定款の雛形をダウンロードすることから始めましょう。
代表取締役及び社長、設立時の役員など、記載すべきことをしっかりと確認し、間違いがないようにしましょう。記載が増えることによって変更も増えることになりますので、変更があったときに定款変更を忘れないことも大切です。
雛形に沿って記載していく
定款の雛形は本当によくできていて、空欄を埋めるだけで十分なものが多いです。雛形に沿って記載していくだけで、定款が完成してしまうこともあります。定款は会社の基本であり非常に重要なものですが、ここに時間をかけすぎて会社設立が遅れてしまうことは本末転倒です。そのようなことにならないためにも、定款の作成にはちょうどよい雛形を探し、ほどほどに時間をかける程度で作成するようにしましょう。
そして、会社の利益を生み出す事業に早く全力で取り組めるようにしていきましょう。定款は会社設立後にも、株主総会の決議を経ればいつでも変更することは可能です。変更が必要な事項が生じたときはその都度定款を変更し、戦略的に事業を行うためのベースを作ってください。