法人税の種類とは。申告や納税をする前に知っておいたほうがいいこと

法人税には色々な種類があります。もし税務申告に必要な会計処理を税理士や会計士に依頼するとしても、最低限の知識を理解しておかなくてはいけません。法人税の算出に必要な前工程は自分で用意するので、申告・納税の前に法人税の種類を覚えておきましょう。

法人税の種類

国税の法人所得税


国税の法人所得税とは、法人の所得(収益から損金を除いたもの)に対して課税される税金のこと。納付は年に1回で、事業年度末(決算日)から2ヶ月以内が納付期限です。

資本金が1億円未満の場合は、課税所得金額が800万円以下だと法人税率は15%。課税所得金額が800万円越えだと法人税率は25.5%と定められています。資本金が1億円以上の場合は法人税率は25.5%です。

平成26年まであった復興特別法人税は廃止に

平成26年までは復興特別法人税というものがありました。東日本大震災の復興の財源のために平成24年4月1日から施行されていた税金です。
復興特別法人税の税率は法人税額の10%。国税の法人所得税に加えて復興特別法人税も納税するようになっていましたが、平成27年に廃止となりました。

地方自治体への法人住民税

地方住民税とは、地方自治体の住民サービスに対しての必要経費を、住民に負担してもらうことが目的の税金です。納期は法人税と同じく、決算日から2ヶ月以内となっています。
区分は、都道府県税、地区町村税。法人住民税は大きく分けて3つに分類されます。「均等割」「法人割」「利子割」です。

均等割

所得の有無とは関係なく必ず課税されるもの。都道府県によって金額は異なりますが、1年あたり約7万円くらい、利益がなくてもかかります。

法人割

法人税額に一定の割合を掛けて課税されるもの。法人税額の約20%ほどの金額がかかります。

利子割

金融機関などのその他の利子に課税されるもの。金融機関から利子を受ける際には約20%源泉徴収され、そのうち5%が都道府県民税となります。

事業をする上での負担である法人事業税

全ての事業者が負担する税金が法人事業税です。税金の負担額は法人の所得の2%〜5.78%で、法人住民税とともに都道府県税事務所へ納付します。現在、資本金が1億円以下の企業は所得割金額です。

法人事業税と地方法人特別税は損金に算入できることが認められています。そのため決算で計算して税金を次の事業年度に納めると、その金額だけ所得金額が小さくなるので、翌年度の法人税や住民税が多少安くなります。

法人税の申告の種類

6ヶ月以上になった際の中間報告


事業年度が6ヶ月を超える場合、事業年度開始日から6ヶ月以上になったら日から2ヶ月以内に中間報告をしなければいけません。つまり事業年度の真ん中で納税して、前年度の法人税の半分を前払いするということです。
法人税の中間申告を行う必要がない場合もあります。以下の場合は中間申告の対象外です。

NPO法人

中間申告の対象は株式会社や特例有限会社などの普通法人なので、NPO法人は中間申告の申請及び納付は必要ありません。

申請法人の設立第一期の事業年度(初年度)

合併以外で設立した法人の場合は、設立第一期の事業年度である初年度の中間申請の必要はありません。

中間申請の納税額が10万円以下の場合

前年の法人税の納税額が20万円以下の場合は、前期実績による中間申請の納税額が10万円以下となるので、中間申請及び納税を行う必要はありません。

事業年度終了後の確定申告

法人の利益に対する課税は申告納税制度で行われます。原則として、法人税の確定申告の期限は事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内。
事業年度の課税標準である所得金額や欠損金額、課税標準である所得金額に法人税法で計算した法人税額などを申請書に記載して提出します。

しかし2017年度に税制が改正されて、法人税の確定申告の延長の特例が拡大。延長の特例を受けた場合、最大で事業年度終了の日の翌日から6ヶ月以内まで申告の期限を延長することが可能になりました。

延長の特例を受けられる場合とは

☑ 1.定時株主総会の開催が事業年度終了の日の翌日から3ヶ月以内の場合
☑ 2.会計監査を受けている会社の場合
☑ 3.連結納税制度を採用している場合
☑ 4.外国法人など特別な事情がある場合
☑ 5.大地震などの大きな災害があった場合や個別に災害の被害を受けた場合

申告が少なかった場合の修正報告

納税者が実際よりも少ない税額を申告していた場合もしくは還付される税額が多かった場合は、修正申告を行います。納税額が不足していたというのはあまり印象がよくないので、間違いに気づいたら早めに修正を報告しましょう。

修正申告をする場合、追加で納める税金に対して延滞税を納める必要があります。延滞税の税率は、1年あたりで7.3%です。納付期限の翌日から2ヶ月を過ぎてしまうと税率が14.3%にまで上がってしまうので、遅れないように注意しましょう。
また、税務署からの指摘後に修正申告を行った場合は、過少申告加算税も発生し、追加の納税額の10%〜15%にあたる税金を納めなくてはいけません。

法人税が多かった時は更正の請求


納税者が実際よりも多い税額を申告していた場合もしくは還付される税額が少なかった場合は、更正の請求を行います。更正の請求は法定申告期限から5年以内に行わないといけません。原則として、5年を過ぎてしまうと請求できなくなってしまいます。

更正の請求をする際は、更正の請求書だけでなく更正の請求の理由となる事実を証明する書類の用意が必要です。事実を証明する書類の例としては、経費の計上漏れの場合は領収書などを添付して税務署に提出しましょう。

前年度の実績からする予定申告

前年度の実績を基準にした中間申告のことを予定申告といいます。前年度に支払った法人税額のおよそ半分が中間納付額です。前年度の基準額が10万円以下の場合は申告不要となります。

一般的には、予定申告の時期になると税務署から予定申告書が送られてくることが多いです。その申告書に中間納付額(前年度の基準額)を記入して提出するだけで、予定申告の手続きは終了します。

前年度の基準額の計算方法

前事業年度の確定法人税額/前事業年度の月数×6ヶ月=前年度の基準額

(例)前事業年度の確定法人税額100万円/前事業年度の月数12ヶ月×6ヶ月=50万円

予定申告を選択するメリット

☑ 1.計算が簡単で申告や納税の手続きの手間がかからない。
☑ 2.中間申告書を提出しない場合、前期実績による中間申告があったとみなされるため、納付だけすれば手続きは完了する。

予定申告を選択するデメリット

☑ 1.前期と比較して当期の上半期の利益が少ない場合、資金繰りが厳しくなることがある。

期限を過ぎてからの期限後申告

期限を過ぎてから申告することを期限後申告といい、申告しないままでいることを無申告と呼びますが、どちらにもいくつかのペナルティーが課せられます。
原則として、法人税は事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に決算申告書などの書類を作成と提出し、法人税を納付しなくてはいけません。

期限後申告や無申告の場合、いくつかのペナルティーを受けることになります。申告期限を過ぎた場合のペナルティーは、加算税(無申告加算税、重加算税、延滞税)を課せられたり、青色申告の承認を取り消されることもあるので、期限はしっかりと守りましょう。

法人税の色々な種類を確かめよう

経営者は法人税の種類についての知識が必要です。会社が払う税金の種類は色々あります。特にこれから起業しようと考えている方は、法人税についての知識を深め、納税に備えてどれくらいの資金を用意しておくべきなのかを検討しましょう。

法人税には色々な種類があり、さらに法人税の申告の種類も様々です。たくさんの種類があるのは確かですが、事前に法人税についての知識を頭に入れておけば申告や納税の方法は簡単です。
実際に法人税の申告や納税をする前に、法人税の種類を確かめて、納税をするときのために備えておきましょう。

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