確定申告の必要書類とは。青色申告と白色申告の違いを理解しよう

一年間の会計結果を確定し、国へ申告することを「確定申告」と言います。所得によってかかる税金や払いすぎた税金を清算し、次の年の税金が算出されます。自分が必要とする種類と必要な書類を理解して、スムーズな確定申告の手続きを行いましょう。

確定申告書の種類

サラリーマンや年金受給者が使用する申告書

確定申告を行うための書類には2つの種類があります。サラリーマンや年金受給者が使用する申告書を「確定申告書A様式」といい、一年間の所得が給与所得、または公的年金などの雑所得、さらに総合課税の配当所得や一時所得のみの場合に利用することができます。

サラリーマンのような会社員が年末に会社に提出する「年末調整」は、所得税の過不足を計算して調整するためのものです。原則としては3月15日までの確定申告が免除になるのが一般的ですが、条件によっては確定申告が必要な場合もあるので、注意が必要です。

個人事業主など所得に関係なく誰でも利用できる申告書

所得の種類にかかわらず、確定申告を行えるのが「確定申告書B様式」です。サラリーマンや年金受給者、個人事業主など事業や農業、不動産などで収入を得ているという場合は、B様式に従って申告を行う必要があります。

変動所得や臨時所得などの平均課税を選択する場合もB様式を使用して申告を行いましょう。

確定申告書B様式は、A様式よりも項目が多く、広い勘定科目に対応しています。そのため、白色申告、青色申告どちらの場合でも個人事業主の確定申告には、B様式を使用します。

確定申告を行う必要がある人

給与の年間収入金額が2000万円超える人

個人事業主のように自分で取引を行っているという場合には、原則確定申告を行うことが義務付けられています。一方、サラリーマンのような会社勤めをしている人は、会社が年末調整を行っているので、確定申告を行う必要はありません。

しかし、会社員でも以下に当てはまるような場合には、自分で確定申告をしたほうが良いという場合があります。その一つが年間収入が2,000万円を超える人。

給与所得が2,000万円を超える高所得者の場合は、年末調整が行われません。そのため、配偶者控除や社会保険控除、扶養控除などは考慮されない、もしくは正しい金額ではない状態で厳選徴収されていることが多くあります。

確定申告を行った後に収めすぎた税金が還付金として戻されるケースが多いため、必ず確定申告を行うようにしましょう。

副収入がありその所得だけで20万円超える人

アルバイトやパート、サラリーマンなどの一定年金収入者に限っては、年間20万円までの副収入は申告しなくてもいいという特例があります。

反対に、副収入で得た利益から必要経費を差し引いて20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。ネット収入やFX、不動産などで得ている収入の合算が20万円を超えている人は、確定申告を忘れずに行いましょう。

一時所得などの臨時収入を得たという場合は、50万円の特別控除等の適用などもありますので、不明な点は、窓口で問い合わせてみるのがよいでしょう。

個人事業主の使用人などで源泉徴収が行われていない人

被雇用者で会社から給与を得ている人の場合、雇用主が年末の源泉徴収でその年の税額を確定させ、過不足分を調整するのが一般的。要するに、年末調整は雇用主が行う確定申告ということになります。

ただし、医療費控除や年金、健康保険などの保険料を自分で払っている場合、さらに源泉徴収が行われていない場合などには、自分で確定申告を行う必要があります。会社を辞めたときに支払われる退職所得などを得た場合にも申告が必要となりますので、注意が必要です。

確定申告が必要ない人

従業員で会社が年末調整を行っている人

サラリーマンや従業員として会社に勤務している人は、会社が年末調整を行うことが義務付けられています。年末調整は確定申告のようなものなので、条件に当てはまらない場合は、確定申告を行うことは不要です。

ただし、医療費が10万円を超えた場合や、災害などにあった場合には還付を受けることができます。また、生命保険料の控除漏れが合った場合にも還付を受けることができるので、確定申告を行ったほうがよいでしょう。

基礎控除のみで38万円以下の所得が少額の人

確定申告での基礎控除は38万円です。基本的には、事業や農業などの収入から必要経費を差し引いた金額=所得が、38万円以下の場合は、所得額は0とみなされ、確定申告は不要となります。

アルバイトや副業をしている場合、源泉徴収が行われているかどうかも申告が必要かどうかが異なることがあります。確定申告することで所得税が還付されることもありますので、申告したほうが良いかどうかを問い合わせてみるのもよいでしょう。

公的年金などの収入金額の合計が400万円以下の人

公的年金を受けている受給者の場合、一部の人は確定申告を行う必要があるとされています。

しかし、公的年金の源泉徴収を受けており、年間の収入金額の合計が400万円以下の人は、他から得ている所得が20万円を超えなければ確定申告を行う必要はありません。

確定申告が必要ない場合としては、サラリーマンで年末調整を受けている人や、所得金額が38万円以下で低い人、基礎控除を受けられる人などが対象となります。

サラリーマンの確定申告に必要書類

給与職や公的年金等の源泉徴収

サラリーマンが確定申告をする際に必要となる添付書類は、収入を証明する書類と所得控除の対象となる支出を証明する書面が必要となります。

まず、収入を証明するための書類が必要となりますので、会社からの給与や年金、事業や不動産、株などで得た収入全てを証明するための源泉徴収票を用意しましょう。

収入を証明するために必要な書類は以下の通りです。

☑確定申告書AまたはB

☑給与所得がある場合:給与所得の源泉徴収票

☑公的年金等の所得がある場合:公的年金等の源泉徴収票

☑事業所得がある場合:青色申告書、白色申告の場合は収支内訳書

社会保険料の控除証明書

一年間で得た収入のうち、控除することが認められた支出があります。その一つが社会保険料。毎月の給与から差し引かれている人もいれば、国民年金や国民健康保険など、自分で支払っているという人もいるでしょう。

所得控除を受けるためには、それらの支出を証明するための証明書の提出が必要となります。社会保険料控除を受ける場合は、「社会保険料控除証明書」が必要となります。また、源泉徴収票に記載されている以外で個人的に支払っているものがあれば、それを証明するための書類も必要となりますので、注意が必要です。

社会保険料控除などに必要な書類は以下の通りです。

☑確定申告書AまたはB

☑社会保険料控除証明書:給与天引きの場合は源泉徴収票、年金などの控除証明書は最寄りの年金事務所から送付されてきます。

☑共済等の掛け金の証明書:加入している保険会社から証明書が送付されてきます。

☑生命保険料、地震保険料控除証明書:加入している保険会社から証明書が送付されてきます。

医療機関の受診の控えと医療費の明細書

一年間の医療費なども所得控除の対象となります。医療費控除を受ける場合には、医療機関の受診の控えと医療費の明細書が必要となります。医療費としてかかった領主書やレシートは必ず保管しておくようにしましょう。

また、医療機関を利用する際にかかったバスやタクシーなどの交通費も医療費控除の対象となります。領収書は必ずもらって保管しておくようにしましょう。ただし、公共交通機関については領収書をもらうことができません。

そのため、交通費としてかかった分は、日付と利用した交通機関などをノートにまとめ、履歴を残しておくようにしましょう。

医療費控除に必要な書類は以下の通りです。

☑確定申告書AまたはB

☑医療期間の領収書、またはレシート:医療期間を利用した際の領収書、またはレシートすべてです。

☑交通機関の領収書:医療期間を利用した際にかかったタクシーなどの領収書です。

☑公共交通機関の利用明細(履歴をまとめたもの):ノートなどにまとめて履歴を残しておくこと。

住宅ローン控除の書類

住宅ローン控除は、家を購入、または新築した場合に受けることができる所得控除です。一定の条件でローンを組んだり、省エネやバリアフリーなどの改修工事をした際に、年末のローン残高に応じて控除を受けることができます。

控除を受けることができる期間は10年間。目安として約1%の税金が還付されます。一般的なサラリーマンの場合、一年目は自分で確定申告を行う必要があるため、必要書類に漏れのないようにすることが必要です。二年目以降は、金融機関から送られてくる添付書類を年末調整とともに提出すればOKです。

住宅ローン控除に必要な書類は以下の通りです。

☑確定申告書A

☑住宅借入金等特別控除額の計算明細書(特定増改築等):税務署から発行されます。

☑住民票の写し:市区町村役場から発行してもらいます。

☑建物・土地の登記事項証明書:法務局から発行してもらいます。

☑建物・土地の不動産売買契約書の写し:不動産会社と取り交わした契約書類です。

☑源泉徴収票:勤務先から発行されます。

☑残高証明書:ローンを組んだ金融機関から発行されます。

☑耐震基準適合証明書、または住宅性能評価書の写し:中古住宅を購入した際に必要です。不動産会社から入手します。

☑認定通知書の写し:一定の基準を満たす住宅の場合に必要です。不動産会社から入手します。

白色申告で提出する必要書類に記入する事

収入や売上原価、経費の内訳などの収支内訳

白色申告は、確定申告の申告方法の一つで記帳が簡単で利用しやすいという特徴があります。青色申告を選ばなかった場合には、白色申告での確定申告を行うことになります。白色申告でも帳簿づけや必要書類の保管などは義務付けられているので、きちんとしたルールを理解しておく必要があるでしょう。

白色申告では、確定申告書Bとともに、収入や仕入れなどの売上原価、経費などを細かく記載するための収支内訳書が必要となります。収支内訳書には、「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」の3種類があり、それぞれに必要な申告書類を作成します。

収支内訳書は、確定申告書とともに配布されていますが、国税庁のホームページからでもダウンロードすることができます。

国税庁ホームページ
詳細はこちら

一般用の収支内訳書の1ページ目には、以下の項目を記入する必要があります。

☑収入金額:1年間の売上を記載します。通常の売上以外にも収入があった場合には、「その他の収入」欄に記入しましょう。

☑売上原価:仕入れを行う個人事業主が記入します。期首と期末それぞれの棚卸金額を記載しましょう。

☑経費:1年間のそれぞれの経費を合算した金額を記載します。どれを勘定科目に当てはめるかはある程度自由に決めることができますが、いったん決めたものは、今後も統一した勘定科目で申告する必要があります。

また、項目にない勘定科目は、空欄に記載して金額を記入しましょう。従業員を雇っている場合は、給料賃金への記載も必要です。

☑専従者控除:15歳以上の家族が事業に専念している場合に記載します。配偶者なら86万円その他の親族は50万円で計算をします。

記帳する際に大切なのは、売上などで得た収入と仕入れなどでかかった経費などを明確に分けて記載することです。また、「日付」「相手は誰か」「金額」なども記載しておきましょう。

収支内訳書の2ページ目には、売上金額や仕入れ金額の明細、さらに減価償却費の計算などを記入します。また、事務所や店舗などの地代家賃や利子割引料の内訳なども記載します。

減価償却には定額法と定率法があり、税務署への届け出がない場合は定額法を利用して計算をしましょう。

こうした詳細をまとめて記載するのは、なかなか手間のかかるものです。日々の取引をこまめに記帳しておくことが必要となります。しかし、毎日記入するのが難しいという場合は、ある程度まとめて記載するのもよいでしょう。ただし、抜け漏れのないように注意することが必要です。

売上先や仕入れ先などを記入した書類

個人事業主が確定申告を行う際には、簡易申告である白色申告を行っている場合もあるでしょう。その際に必要なのは、確定申告書B様式と添付書類台紙、そして白色申告に欠かせない収支内訳書です。その他の必要書類としては、売上先や仕入れ先をまとめて記入した書類や、各種の請求書、領収書など。

これらの書類は、確定申告時に提出する必要はありませんが、税務署からの指摘があった場合などのために保管しておく必要があります。収入や必要経費を記載した帳簿の保管は7年間。請求書や納品書、各種送状や領収書などの書類は5年間の保管が必要となります。

青色申告で提出する書類に記入する事

売上原価や経費の内訳などの所得金額

白色申告に比べ、青白申告では複式簿記を基準とした記帳などのルールが厳格化されています。その分、特別控除が受けられることになっており、青色申告では、控除額10万円と65万円のいずれかを選ぶことができます。

4ページある青色申告書のうち、3ページまでを記載する青色申告では10万円。4ページ全てを記入して申告する場合は65万円の控除が受けられます。

まず青色申告で必要なのは、仕入れなどの売上原価や各経費の内訳などを記した所得金額です。青色申告決算書の1ページである用紙に必要事項を記入していきましょう。

1ページ目で記載する部分は大きく5つに分かれており、一番上には住所、氏名、電話番号などの事業者の情報を記載します。

次に左側上半分。ここには、売上と原価、そして売上から原価を差し引いた金額を記入します。取引がない部分は0と記載しましょう。

左下から真ん中の欄には、経費を各勘定科目ごとに記載します。一年間にかかった金額をまとめたものを間違いのないように記入しましょう。

右上の欄には、貸倒引当金や専従者の給与を記入しますが、対象となるものがない場合は記入する必要はありません。

右下には、青色申告で受ける特別控除額(10万円、または65万円)と所得金額を記入します。

月別の売り上げや従業員がいる場合は給料賃金

2ページ目には、売上金額や仕入れ金額、従業員がいる場合は給料賃金などを記入します。左上の大きな欄に月ごとの売上金額と仕入れ金額。左下には、売掛金が回収できなかった場合に備えるための貸倒引当金を記入します。

右上の欄には、従業員の給料賃金の内訳、真ん中の欄には、専従者給与の内訳を記入します。専従者とは、家族従業員のことで、専従者がいない場合は空欄のままにしておきましょう。

右の一番下の欄には、青色申告特別控除額を1ページと同じように記入します。

事業用に買ったものや家賃を記入

3ページ目には、事業用に買った資産や家賃といったものを記入しましょう。一番上の大きな欄には、事業用に購入した設備や備品などの減価償却費を記入します。

下の欄の左上には、利子割引料の内訳を、その下の欄には、事務所や店舗などの地代家賃を記入しましょう。さらに右側には税理士や会計士、弁護士などに支払った報酬がある場合に記入をします。その下の大きな空欄には、特別な事情があった場合などに詳細を記載することになります。

青色申告で10万円の控除で良いという場合は、ここまでのページを完成させて提出することになります。

年度初めにあった資産と負債と年度末に残った資産を記入

青色申告書の4ページ目では、貸借対照表と製造原価の計算を行います。年度始めにあった資産と負債、そして年度末に残った資産を正しく記載しましょう。

一番左側の列には会社の資産を、真ん中の列には、会社の負債と資本を記入します。右側の欄は、製造業の場合で原価が発生した場合に書くので、一般的な事業での貸借対照表とは関係がありません。

このように、確定申告で青色申告を行う場合には、細かな記載が必要となります。個人事業主は確定申告書Bを完成し、マイナンバーの記載するなどして提出することになります。

確定申告の書類は確認して提出しましょう

必ず一度は必要になる確定申告。個人事業主なら、毎年の確定申告に向けた準備が必要となります。確定申告には青色申告と白色申告があり、白色申告は簡易で誰でも利用できるのに対し、青色申告では、あらかじめ税務署に青色申告を行うことを申請しておく必要があります。

また、確定申告書にはA様式とB様式があり、それぞれに合わせた様式で申告を行うことが必要となります。B様式は誰でも利用することができるので、迷ったときには、B様式を利用するのがよいでしょう。

その他、領収書や源泉徴収票など、申告に合わせた必要書類を怠りなく準備しておけば、面倒に感じてしまいがちな確定申告もスムーズに進めることができるはず。しっかりと確認して提出をしましょう。

さらに詳しく知りたい方は
税理士に無料相談LINEChatworkメール

関連記事