【会社設立の節税効果について】会社設立のデメリットも解説

「会社設立すると、どんな節税メリットがあるのだろう?」
「自分は個人事業主なんだけど、会社設立したほうが得なのかな…?」

結論から述べると、会社設立によって得られる節税メリットは大きいです。

しかし一方で会社設立自体にデメリットもあることも事実です。

この記事では、会社設立による節税メリットと会社設立自体のデメリットについて解説します。

これを読めばあなたが会社設立すべきかどうか分かりますよ!

なお、会社設立するためには、定款の作成や登記手続など様々な準備が必要となります。

以下の記事では、必要な書類や手続について解説しているので、「どうすれば会社設立できるのだろう…?」とお悩みの方は参考にしてくださいね。

会社設立の流れとは。必要書類を理解して、スムーズに開業しよう

2017.09.23

目次

1.会社設立による節税メリット3選

会社設立による節税メリットは、主に以下の3つが挙げられます。

会社設立による節税メリット

  • 役員報酬として給与を受け取れる
  • 欠損金(赤字)を10年間繰り越せる
  • 消費税が2年間免除される

このうち、特に重要なのが3つ目の消費税です。

詳しくは後述しますが、会社設立のタイミングに関わる考え方なので、具体的にチェックしましょう。

(1)役員報酬として給与を受け取れる

1つ目の節税メリットは役員報酬として給与を受け取れることです。

個人事業主の場合は、事業主には給与が存在しないので経費にすることができませんが、役員報酬は経費として計上できるうえに、給与所得控除が適用されます。

そのため、支払う税金を減らすことができるのです。

しかも、法人化すると、家族を役員や従業員にして、その給与も経費にすることができるため、さらなる節税効果が期待できます。

いわゆる一族経営や家族経営が日本で浸透しているのは、こういった事情があるからだといえるでしょう。

(2)欠損金(赤字)を10年間繰越せる

2つ目の節税メリットは欠損金(赤字)を10年間繰り越せることです。

欠損金を繰越すと、その額を翌期以降の課税所得金額から控除できるため、節税に大きくつながるのです。

ちなみに、欠損金の繰り戻し還付制度を使えば、前期に支払った税金が繰戻し還付されます。

ただし、当期が黒字で前期が赤字の場合に限り利用できます。

その具体的な条件は以下の記事で解説しているので、こちらもあわせてチェックしましょう。

法人税の還付金とは。制度を理解して企業の成長のために役立てよう

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(3)消費税の支払いが2年間免除される

3つ目の節税メリットは消費税の支払いが2年間免除されることです。

個人事業主も法人も、課税売上高が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納付義務が発生します。

ただし、1年目から売上が1,000万円を超えていても、資本金が1,000万円以下の場合は起業してから2年間は免除扱いになります。

しかも、これは個人事業主も同様であるため、上手くタイミングを合わせれば最大4年間、消費税の支払いを免除できます。

しかし、これはいくつか注意すべきこともあります。

その具体的な内容は以下の記事で解説しているので、こちらも合わせてチェックしましょう。

消費税免除の仕組みとは。条件と対策を理解してうまく活用しよう

2017.10.23

2.会社設立のデメリット3選

基本的にタイミングさえ間違えなければ、会社設立による節税メリットは大きいです。

しかし、会社設立すること自体には、軽微なものではありますが、以下の通りいくつかデメリットがあります。

会社設立するデメリット

  • 会社の設立・清算にコストが掛かる
  • 支払う保険料が増える
  • 赤字でも法人住民税均等割が掛かる

ただし、このデメリットは軽微なもので設立メリットの方が圧倒的に大きいと言えます。

デメリット1:会社の設立・清算にコストが掛かる

1つ目のデメリットは会社設立・清算に費用が掛かることです。

株式会社を設立する場合、電子定款を利用すると20万2,000円、利用しないと24万2,000円の初期費用が掛かります。

また、万が一会社の経営が上手くいかなかった場合、会社清算の選択を迫られるかもしれません。

会社清算の手続きを士業に依頼することを想定すると、最低でも15万円ほどの費用が必要となります。

会社清算のことを考えて会社設立をする人はいませんが、頭の片隅に入れておきましょう。

デメリット2:支払う保険料が増える

2つ目のデメリットは支払う保険料が増えるケースがあることです。

個人事業主が会社設立すると、加入する保険が『国民健康保険』や『国民年金』から『健康保険』や『厚生年金』へと切り替わります。

収入によって額が変わりますが、基本的には『健康保険』と『厚生年金』の方が『国民健康保険』と『国民年金』よりも保険料が高くなるケースが多いです。

そのうえ個人事業と違い、法人の場合は従業員を1人でも雇うと、社会保険の加入が必須になるため負担が重くなることが多いです。

デメリット3:赤字でも法人住民税均等割が掛かる

3つ目のデメリットは赤字でも法人住民税均等割が掛かることです。

会社設立すると、仮に赤字の事業年度でも法人住民税均等割を支払わなければなりません。

所得の有無にかかわらず年間7万円(東京都の場合)の課税が義務となっています。

なお、課税額は自治体により異なるので注意してください。

小さな額かもしれませんが、個人事業主では支払う必要のないコストには違いありません。

3.売上高1,000万円を超えた翌年が会社設立する1つの目安

個人事業主から法人化を考えている方の中にはそのタイミングを悩んでいる方もいると思います。

個人事業主から法人にするタイミングの目安の1つとして、売上高が1,000万円を超えた翌年があげられます。

(3)消費税が2年間免除される』で述べたとおり、個人事業主で課税売上高1,000万円を超えた年の2年後から消費税の納税義務が発生します。

しかし、法人化することで消費税の納税義務のタイミングがリセットされるので、消費税の支払いを最大で更に2年間先延ばすことが可能です。

実務上は課税売上高が1,000万円を超えた翌年に会社設立をすることが多いです。

例えば、2020年に課税売上高が1,000万円を超えたとすると、法人化しなかった場合は、2022年に消費税の納税義務が発生します。

そこで、2021年中に法人設立の準備を行い、2022年から法人化することで、消費税の納税義務の発生を2024年に延ばすことが可能です。

消費税の面から考えると、売上1,000万円が見えたタイミングでの法人成りのメリットは大きいといえます。

そのため、会社設立を検討している個人事業主の方は、売上1,000万円を一つの目安としましょう。

なお、このタイミングについては以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもチェックしてくださいね。

法人成りについて。そのタイミングと手続きのポイントを教えます

2017.11.20

まとめ

この記事では以下の内容について解説しました。

まとめ

  • 会社設立による節税メリット3選
  • 会社設立自体のデメリット3選
  • 会社設立するタイミングの目安は売上1,000万円を超えた翌年

会社の設立は様々な節税メリットがありますが、その一方で会社設立自体にデメリットもあるのも事実です。

両方をしっかり理解したうえで会社設立の判断をするようにしましょう。

なお、個人事業主には税金に関する様々な優遇措置が用意されています。

以下の記事では、支払わなくてはいけない税金の種類や節税方法を解説しているので、「シミュレーションの結果、自分は会社設立する必要がなかった…」という人はぜひチェックしてくださいね。

個人事業主の税金。制度を知り上手く活用することで正しく節税を

2018.03.02
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