法人税の支払い時期はいつ?しっかり確認して逃さないようにしよう

法人を運営するにあたってさまざまな税金を支払わなければならず、税金の種類によって支払時期は異なります。税金の支払時期を1日でも過ぎると付帯税がかかるので注意したいですね。そこで法人税の具体的な支払時期についてみていきましょう。

 

目次

法人税の支払時期を逃さないようにしよう

法人税の支払時期は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内

法人税の支払時期は、確定申告分と中間申告分の2回あります。確定申告分は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に確定申告と納税を済ませなければなりません。

例えば、3月決算の法人であれば3月31日が事業年度終了日になるので、支払時期は2ヶ月以内の5月31日までとなります。この支払時期を過ぎてしまうと延滞税や加算税が発生してしまいます。支払時期を過ぎると附帯税が課せられますが、申告期限を過ぎても加算税が発生します。そこで確定申告の期限を延長することができる「申告期限の延長の特例」という制度があります。

確定申告の延長をするためには条件があり、1つ目は、定款で株主総会が決算日から3ヶ月以内と定められている、2つ目は、決算日の翌日から45日以内に延長手続きを行っていることです。延長の手続きは延長の申請書を提出するだけなので簡単に行うことができます。しかし、申告期限を延長している場合も法人税の支払時期は2ヶ月以内と変わらないので注意が必要です。

前年度の年間が20万円を超えた場合は中間納税が必要

中間申告分は、前年度の法人税納付額が20万円を超えた場合に中間申告、中間納税が必要となります。簡単にいうと、年度の中間で法人税を半分払うということです。

中間納税の方法は「予定申告方式」と「仮決算方式」の2種類あります。中間納税の支払期限は、事業年度開始日から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内となっています。

例えば、3月決算の法人であれば11月30日までということになります。ただし、前年度の納税額が20万円以下、又は、設立初年度の法人は支払う必要はありません。

法人税以外にも法人住民税や事業税も支払時期は同じ

法人税以外にも法人住民税や法人事業税を支払わなければなりません。

法人住民税はその法人の所在する地方自治体から課税される地方税となります。「市町村民税」「道府県民税」の2つに分かれており、所得から算出された法人税額に住民税率を乗じた税額「法人税割」と法人の資本金の額と従業員数による税額「均等割」から構成されています。

法人事業税は法人の所得に対して地方自治体によって課せられる税金で、所得に法人事業税率を乗じて算出されます。

この2つの税金は法人税と同じで、納税時期が中間申告分と確定申告分の2回あり、中間申告分は事業年度開始日から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内、確定申告分は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内となっています。

法人税は払えないと延滞税や加算税がかかる

法人税を定められた期限内に支払わないとペナルティが生じます。期限内に税金を支払わない場合に『延滞税』が発生します。延滞税を支払わなければならないのは以下のようなケースです。また延滞税の税率は毎年更新されるため、確認する必要があります。

☑ 1.定められた期限内に、申告などで確定した税額を完納しない場合

☑ 2.期限後に申告書または修正申告書を提出し、納付しなければならない税額がある場合

☑ 3.税務調査などにより更正もしくは決定の処分を受け、納付しなければならない税額がある場合

『加算税』は税金を納付しなかった際に発生する、一律に課税割合が決まっている追加課税です。法人税に加えて支払わなければなりません。加算税を支払わなければならないのは以下のようなケースです。

☑ 1.無申告加算税:申告書を申告期限までに提出しなかったことに加え、納付しなければならない税額がある場合に期限後申告をした場合15%(納付しなければならない税額が50万円を超える分は20%)

☑ 2.過少申告加算税:申告期限内に提出された申告書に記載された納税額が過少であったため、修正申告や更正が必要となり、追加納税額が発生した場合に10%

☑ 3.不納付加算税:源泉所得税を納付期限までに納付しなかった場合に10%(納付期限から1ヶ月以内に納付し、過去一年以内に納付期限内に源泉所得税を納付している場合は課せられない。)

☑ 4.重加算税:事実を仮装隠蔽し申告を行わなかった場合、又は、仮装に基づいて過少申告を行った場合に35%、期限内に申告しなかった場合は40%

税務署から告知を受ける前に自主的に納付した場合は加算税がなしになったり5%程度で抑えられます。

法人税を確保しつつ事業をしなくてはならない

法人税の支払時期は決算後2ヶ月以内と忘れたころにやってきます。利益が大きければ大きいほど、支払わなければならない税金の額も大きく、その資金を用意しなければなりません。儲かっていても、税金を支払えなければ元も子もありません。また、税金分の現金はあるけれど事業を行えないなんてことにも陥りかねません。

しかし、法人税を支払うと資金繰りがマイナスになるということも珍しいことではないのです。このようなときには銀行の融資を利用するのも一つの手です。税理士や銀行と相談しながら計画的に法人税を確保できると安心です。

法人税の中間納付の方法は主に2つ

事業年度の前半を1年度とみなして算出する仮決算方式

事業年度開始から6ヶ月間を1事業年度とみなして仮決算を行い、その上で計算された法人税額を納税するという方式です。申告方法は確定申告と同様に、中間申告書、決算書類などを添付して提出することが必要です。

前期と比較して、当期上半期の利益が大幅に少なくなっているなど、中間申告分の納税額を引き下げられることが明らかな場合は仮決算方式が有利となります。

しかし、デメリットとして確定申告と同様の手続きが必要なため手間がかかります。また、税理士に依頼すると決算料と同額程度の報酬を支払わなければなりません。

前年度の確定年税額を基に算出する予定申告方式

前事業年度の法人税額を基礎として、一定の算式により月割りで予定納税額を計算する方法で、前事業年度の法人税額の半分の額を当事業年度の予定申告として納付します。

計算の仕方としては、『前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数12ヶ月×6ヶ月=予定申告による納付税額』となります。この計算方法を間違えると正しい納付額にならないので注意が必要です。

例えば、前事業年度の確定法人税額が100万円だとします。これを正しい計算方法で行うと『1,000,000÷12×6=499,998(100円未満は切り捨て)→499,900』で499,900円となります。

しかし間違った計算で行うと『1,000,000×6÷12=500,000』となり500,000円納付しなければならなくなります。予定納税額が10万円以下(前期の法人税年額が20万円以下)の場合は、中間申告をする必要はありません。

予定申告方式の方が納付が多くなる場合がある

予定申告方式は前事業年度の確定法人税額の2分の1の額を法人税として納付しなければなりません。しかし、前期の業績が良かったけれど、当期上半期の利益が少なかったなど前期の法人税の半分の額を支払うことが難しい場合もあります。

その際、仮決算方式で中間申告を行った方が、中間納付額を減らすことができます。仮決算方式を行うのは少し手間がかかりますが、資金繰りが難しいときには有効です。

予定申告ならば多く納税した分は還元される

予定申告方式は前事業年度の確定法人税額の1/2の額が法人税額となります。そのため決算期末で1年分の法人税より税額が低く収まった場合、つまり中間申告による納付額が多かった場合はその差額が返還されます。

仮決算方式を行った場合は、年間確定税額よりも中間納付税額が多くなってしまっても還付が受けられないので注意が必要です。

法人税の支払時期を確認して事業をしよう

法人を運営するにはさまざまな資金が必要になります。支払わなければならない税金も多いです。それぞれの税金の納税方法や期限をしっかりとチェックしておくのも運営をする上で必要なことです。

法人税は無事事業年度が終わったと思ったら支払時期がくるので忘れた頃にやってきて、慌てて用意しなければならないなど資金繰りが大変です。税金を支払えない、支払う時期を逃したなんてことにならないためにもしっかりと支払時期を確認しておきましょう。

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