【法人税と所得税はどう違う?】税の種類を知り節税に役立てよう

法人税と所得税の知識を知り、税金の仕組みを正しく知ることで、節税を行うことができます。法人化を考えている方は、場合によっては損になるケースもあるので、税金だけではなく節税に関する知識も身につけることが大切です。

法人税と所得税の違いを知ろう

税率は比例税率と超過累進税率

比例税率には、消費税、固定資産税、法人税、源泉分離課税を選択した利子所得などがあり、課税標準の大小に関わりなく、同じ税率で課税する税を課する際の税率のことをいいます。 これに対して、所得税、相続税、贈与税などは、課税標準が増えるにつれて高い税率が課されますが、累進税率といいます。

これには、課税標準が一定の金額を超えた場合に、その全体に対して、より高い税率を適用する単純累進税率、そして、一定額以上になった場合、その超過金額に対してのみ、より高い税率を適用する超過累進税率の二つがあります。税率には、比例税率と超過累進租税があることを知っておきましょう。

事業の売上から原価を引いたものになる

事業所得の金額は、「総収入金額−必要経費=事業所得」と、このように計算します。総収入金額には、それぞれの事業から生ずる売上金額のほかに、経済的利益の価格、商品を自家用に消費したり、贈与した場合の価格、商品の棚卸資産について、損失を受けたことにより支払いを受ける保険金、空箱や作業くずなどの売却代金なども含まれます。

必要経費とは、収入を得るために必要な売上げ原価や販売費、管理費などのことをいい、給与や賃金、地代や家賃、減価償却費なども必要経費に含まれます。事業所得金額を表すときは、このような計算をして表すので、日々の経理作業も重要な業務になります。正確な金額を出すためにも、経費や売上金額を正確に記帳することが大切です。

所得税は10個の所得に分かれ個々に算出が必要

所得税は10種類に分かれ、それぞれの所得について、収入や必要経費の範囲、あるいは所得の算出方法が定められています。収入金額から、一定の方法により算出した所得金額を合計して、総所得金額とします。所得税の種類は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に分けられます。

一時所得は、クイズなどの賞金や競馬などの払戻金、生命保険などの一時金などがあります。雑所得は、原稿料や印税、講演料など、ほかの所得に当てはまらない所得をいいます。それぞれ個々に算出をして、総所得金額を出していきましょう。

会社が赤字なら所得税は税金はないが法人税は必要

法人税は、会社の利益にかかる税金のことをいいます。会社が赤字の場合は、法人税は支払わなくてよいと考える方は多いです。ところが、実際には、会社が赤字でも法人税を支払う場合があるのです。これは企業会計上の利益と、法人税法上の利益(所得金額)の計算の違いによるものです。

会計上の利益は(収益−費用)で表しますが、所得金額は(益金−損金)と計算します。このため、会社が赤字でも、法人税が必要になります。しかし、法人が赤字の場合でも、税務調整を行って、課税所得金額を計算した後でないと、法人税を支払うかどうかわからない場合もあります。

したがって、赤字だから、法人税を払わなくていいと判断することは禁物です。税務調整や課税所得金額の計算をしっかり行い、必要な場合は支払わないといけないのです。

所得税には医療費控除などの一定の控除が存在する

医療費控除とは、1月〜12月までの1年間で一定以上の医療費を支払った場合、確定申告によって所得税や住民税を低くすることができる制度のことをいいます。医療費控除には、確定申告が必要になりますが、個人事業主の場合は確定申告のときに行います。しかし、会社員の方は年末調整では行えないため、別に確定申告が必要になります。

多くの医療費を支払った場合、担税力は低くなると考えるため、その分の税金を抑えることができます。所得税は、税金を負担できる能力に応じて課税されるべきという考え方があります。所得税が高くなると、税率が高くなることもその一つなのです。

所得税の計算上、医療費控除は「課税所得計算」(所得−所得控除)の一つという扱いになります。所得控除を差し引いた課税所得に、税率をかけ所得税を算出するので、所得控除に税率をかけた分だけ、所得税が減るということになります。

所得金額によっては法人税の方が安くなる場合がある

所得税は累進課税となっているので、所得金額によって、7区分に分けられた税率が設定されており、所得税の金額が変わります。しかし、法人税は基本的に一律であるため、所得金額によっては、所得税よりも法人税の方が確実に安くなります。

現在の法人税率だけではなく、今後の動きも視野に入れると、法人税率はさらに引き下げられることが予想されています。だからといって、法人の実効税率を考慮せず、軽率に考えて法人化すれば、重い納税負担に耐えられなくなってしまうかもしれません。

「法人化しなければよかった」などと後悔しないためにも、現在の法人税の税率、これまでとこれからの法人税率の推移などを考慮し、判断していきましょう。

節税のためには一人でも法人を取得することもある

法人向けの生命保険や医療保険は、「法人保険」といわれます。役員や従業員を、被保険者として加入することで、被保険者の身に万が一のことがあった場合の事業保障や、被保険者とその遺族の福利厚生を図るためのものです。法人保険は、節税対策に有効だといわれます。

法人保険に入ることで、従業員の方の万が一のために備えることができるだけではなく、会社にとっても大幅な節税につなげることができます。保険加入だけではなく、経営者の給与を損金として計上でき、退職金も損金として計上できます。また、欠損金が出た場合、9年間繰り越しすることができるメリットもあります。

法人保険の加入や給与を経費にすることができ、会社の節税につながるため、一人であっても法人化することもあるのです。

法人税や所得税に困ったらときにできること

最寄りの税務署に相談する

法人税や所得税に関して困った場合、最寄りの税務署に相談することができます。最寄りの税務署であれば、安心して相談することができます。電話でも相談することができ、基本的に、無料で相談できるというメリットがあります。

分からないことがあれば、自分が納得できるまでしっかり対応してくれるので、聞きやすいことも魅力です。確定申告の時期だけではなく、いつでも聞くことができます。

しかし、デメリットもあります。一般的なことしか答えてくれず、節税については一切教えてくれません。また、担当者によって、異なった答えがある場合もあります。税務署で相談すると、無料で安心して聞くことができますが、税金を高く支払うようにアドバイスされることは確実です。

費用はかかる場合があるが税理士に相談する

税に関する悩み事がある場合、一番おすすめなのは、税理士に相談することです。税理士に相談すると、費用はかかりますが、どうすればよいか、節税対策はどのように行えばよいかなどを詳しく教えてくれます。

プロなので、アドバイスも分かりやすく、確定申告のときにも任せることができますが、別に費用がかかるので、予算に余裕のある方は依頼した方が安心です。相談できないのであれば、自分で調べるしかありません。

自分で知識を確認し、確認のために税務署で聞くという方法を取ることもよいでしょう。ネット上には節税に関する情報が多く掲載されているので、根気強く調べれば、自分の知識にすることができます。時間はかかりますが、自分で調べるという方法でもよいでしょう。

所得税や法人税についてわからないことがあり、しっかり節税したいという方は、税理士に依頼することをおすすめします。

法人税と所得税の仕組みを知り賢く節税しよう

法人税と所得税は、種類が異なります。法人税は、所得(儲け)に対しての税金で、所得税は収入から経費を差し引いた会計上の利益とは異なり、法人税法上の益金から損金を引いて求めます。

自分で税金の仕組みを知り、節税に役立てることも大切ですが、わからなくなった場合は、相談できる税務署や税理士を利用することもよい方法です。節税対策を行いたい方は、税理士に相談してしっかりとアドバイスを受け、自分の知識にして節税を行っていきましょう。

さらに詳しく知りたい方は
税理士に無料相談LINEChatworkメール

関連記事