個人の確定申告同様、法人にも課税されるのが法人税です。法人税には個人の確定申告にはない規則や納付方法があるため、期限や方法を事前に知っておく必要があります。そんな法人税の納付についてしっかりとチェックして申告や納付漏れを防ぎましょう。
目次
法人税の納付期限と納付方法
法人税の申告から納税のスケジュール
大抵の会社において日本では3月を決算の月と定めているところが多いです。3月を決算と仮定すると、事業の年度開始月は4月となります。5月には法人税の確定申告及び納付の期日があります。
納付期限は決算日から2ヶ月以内
個人の確定申告日が一律で決まっているのに対し、法人に関してはその会社が事業の決算日を決めることになっています。
法人税は課税事業の年度終了日の翌日から2ヶ月以内が税金の申告及び納税期限となっています。ただし、このどちらの期日が土曜日・日曜日・祝日に当たる日である場合については、税務署が閉庁日となっているためその翌日を期限としています。
法人税の納付方法
法人税の納付方法には大きく分けて三通りの方法があります。
☑銀行や郵便局といった金融機関の窓口で専用の納付書を用いて納付する
☑その地域を管轄している税務署に行き窓口で直接納付する(都税事務所でも可能)
☑コンビニエンスストアで納付(納付金額が30万円以下である場合、バーコード付きの納付書の交付をして貰わないと納付できない)
☑税務署に届出などの手続をすれば指定の口座より納税ができるという電子納税(ネット銀行は指定できないほか、e-Taxが利用可能である平日の8時30分から24時という制限が付きます)
いずれにおいても、金融機関や税務署の窓口であれば取り扱い時間内であることや、指定の窓口でないと対応できないという決まりがあるため、事前にどちらの方法で納付するのかを決めて、納付手順を知っておく必要があります。
法人税の納付期限を過ぎてしまった場合
延滞税が加算される
法人税の納付期日には法廷期限が設けられています。この法廷期限までに税金を納めなかった場合には「延滞税」が加算されることになります。これは納付期限の翌日より日割り計算をされて金額が決定されます。
法廷期限とされる期日の翌日より期限が過ぎたのちに申請書を提出した日を0日と考え、その「翌日以降2ヶ月」を経過する期日(30日)の期間であれば年7.3%の割合が計算され、その期日以降の場合は年14.6%の割合が計算の対象となります。
青色申告の承認が取り消される場合がある
欠損金の繰越控除が受けられなくなる
青色申告の承認が取り消されることで、一般的にいう赤字に当たる欠損金の繰越控除が受けられなくなります。青色申告をする上でのメリットである、その年の事業年度欠損金を翌年の事業年度以降9年間は所得金額との相殺が可能なため、法人税自体が課税されることがなくなるという制度が利用できなくなるのです。
減価償却資産の一括損金算入が認められなくなる(30万円未満に限り)
青色申告の手続き上、30万円未満の減価償却資産を購入することで合計300万円までがそれぞれの事業年度の損金として扱われることが可能です。しかしながら、これが認められなくなった場合には10万円未満に限られてしまうため、結果的にはその法人の経費負担が増えることになります。
各種税額控除が受けられなくなる
納付の期限超過は、そのほかにも様々な控除を受けられなくなる可能性があります。
法人税の申告もしていなかった場合
無申告加算税
法人税の申告をしていない場合、税務調査が行われることになります。例えば、税務調査が行われる前に申告忘れに気づき申告するとその納付税額の5%が無申告加算税として加算されます。しかしながら、その税務調査の前に気づけず、調査後に申告することになった場合、もしくは納付すべき税額が発覚した場合には50万円まではその納付税額の15%が、50万円を超過した分に関しては納付税額の20%が加算されることになります。
重加算税
申告期限までに申告しなかった場合、それも税務調査で脱税行為と認められる行為があった場合には納付税額の40%を加算して納めなければなりません。
法人税納付についての注意事項
中間納付が必要な場合がある
株式会社を代表とする、事業年度が6ヶ月を超過する法人には別途中間納付が必要です。この中間納付は、通常の申告や納付同様決算に伴い発生するものです。中間決算を行っている会社であれば中間申告が必要になります。
また、この中間申告の納付には確定申告時の法人税納付に当たり「前払い」という扱いになるため、実際に確定申告の差異にはこの金額を差し引いた税金額を納付します。しかしながら、場合によってはこの確定申告時の法人税額が中間報告時に納付した金額から差し引いてしまうとマイナスになることがあるため、このような場合にはその発生してしまった差額を還付して貰うことになります。
そのほか、この中間納付において「予定申告(納税)」と「仮決算による中間申告(納税)」という2つの方法を選択することが可能です。
予定申告(納税)
法人税の中間申告および納税をするにあたって、本年度の法人税が未定であることから前年度に納付をした法人税の金額をもとに本年度の中間申告の額を算出して納付します。計算方法としては下記のような式を用います。
前年度の確定法人税額÷前年度の月数12ヶ月×6ヶ月=予定納税額
また、この予定納税額が10万円を下回る場合、つまり前半期の法人税が20万円以下である場合には中間申告の手続きをする必要はありません。
仮決算による中間申告(納税)
前年度確定申告時の法人税額の半額が10万円を下回る場合や仮決算による中間申告において納付する法人税額が前年度確定申告時の法人税額の半額を超過する場合を除く場合には、この仮決算による中間申告を適用することが可能です。
これは、事業年度の開始と定める期日より数えて6ヶ月間を1事業年度と仮定し、仮決算を行います。その後通常の確定申告と同様に、その法人にかかってくる所得金額と法人税額を算出するというものです。
この方法を適用する会社の傾向として、1事業年度を通して考えた場合、前半期と後半期の収益に多大な変動があるため、予定納税を適用してしまうと中間納付により財政に影響が出てしまうことから、中間納付額の減額により影響を減らすことを目的としています。
申告期限を延長しても納付期限は延長されない
無申告加算税や延滞税といった申告期限の超過によるペナルティを避けるために申告期限の延長という方法があります。事業年度の終了期日を延長の手続期限としますが、この手続をすることで申告期限を1ヶ月延長することができます。
この判断基準はどのような場合においても可能であるというわけではなく、災害やその他、やむを得ない事由により申告書の提出がその期限を超えてしまう場合、またはその法人において会計監査人の監査を受けなければならないほか決算に支障がありその確定が不可能な場合に限ります。
ただし申告期限を延長することは可能ですが、納付期限については災害やその他やむを得ない事由を除き原則として延長することはできません。これについては、税額の確定を待たずして概算で「見込納付」することが可能であり、実際に申告した際にその差額を清算することで正式な納付として成り立つからです。
申告期限を延長した場合は見込納付で利子税を回避
上記で述べた「見込納付」の必要性として、納付期限までに納税できなかった場合に、その納付額に期限の超過日数に応じた年間7.4%の利子税が加算されるため、これの回避手段として「見込納付」を行います。
もちろん、「見込納付」による納税額と実際に算出された申告内容に差異が生まれるため、この場合には確定申告の修正として更正の請求書をその地域を管轄する税務署の税務署長に提出する必要があります。
また、この「見込納付」の際に税額を余裕をもって多めに納付した場合でも、正式に確定申告をした後に差額として算出されるため、還付という形で納付した会社に返還されるためデメリットも生まれません。
いずれにおいても、正しい手続を行い申告期限の延長措置をしてもらうことで、不要となる利子税を支払う必要がなくなります。
事前に法人税の納付期限を確認する
法人税はその決算の期日による確定申告日が変わってきます。そのため、全国的に一律の納付期日が存在しないため、法人税の取り扱いをする場合にはその申告期限の厳守やそれに伴う納付期限の確認をしっかりと行う必要があります。
また、無申告加算税や重加算税といった「申告忘れ」によるペナルティが課されることで、不要な税金を納付しなければならい状況に陥る可能性があることも覚えておくとよいでしょう。