合同会社の税金対策としてのメリットは?仕組みについて徹底チェック

近年話題になっているのが、株式会社が税金対策として合同会社に転身していること。2006年に改正された会社法における新たな会社のカテゴリーですが、様々なメリットがあります。そんな合同会社について仕組みやそのメリットをチェックしていきましょう。

合同会社にかかる主な税金

4つの税金がかかる

会社を経営していく上で避けて通れないのが納税の義務です。個人事業主であれ法人であれ、納めなければならない税金には複数の種類が存在しています。個人事業主であれば「所得税」「住民税」「消費税」「個人事業税」になりますが、法人であれば「法人税」「法人住民税」「法人事業税「地方法人特別税」「消費税」「固定資産税」といった6種類の税金が必ずかかってきます。

しかし、合同会社であれば「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「消費税」という4つの税金を納めることになります。

税金の種類について

1.法人税:会社がその事業における年度内において稼いだ利益に対し課税される国税。原則として、課税所得の30%が税率として加算されます。また、中小法人の軽減税率制度により、その期末の時点での起業の資本金が1億円以下の法人であれば年間所得金額の中で800万円以下の部分に対しては22%の軽減税率となります。

また、合同会社であれば、その事業における年度内に算出された決算上の利益全てがその課税対象所得にはなりません。この場合、当期利益を基本として社員総会で承認された決算書に基づいて課税がなされることになります。

2.法人住民税:会社がその事業における年度内に得た利益に対し課されることになる地方税(都道府県や市町村に納税するもの)。法人住民税の課税比率は「均等割」および「法人税割」の2種類から成り立ちます。

均等割においては、資本金や従業員数といった法人の規模に応じて定められている税率であり、万が一その合同会社の当期所得が赤字であったとしてもそれに関係なく課税されることになっています。

法人税割では、法人税額がその算出の基礎となります。一般的に法人税割の税率としては都道府県税においてはその法人税額のうちの5%が、市町村税においては法人税額のうちの12.3%が課税されます。ただし、条例によってこの税率を変更することが可能です。

3.法人事業税:その所在地である都道府県の公共サービスを利用するために課せられている地方税。その課税される税率は原則としてその会社の得た所得により課税率が変わります。所得が400万円までであるならばその5%が、また所得が400万円を超えて800万円以下であるならばその7.3%が、そして所得が800万円を超える場合にはその9.6%が課税率となります。

しかしながら、資本金が1,000万円以上であり3つの都道府県に事業所を設立している場合には、一律で9.6%が、その会社の資本金が1億円を超える場合には(所得額×3.8%〜7.2%)+(資本金額×0.2%)+(給与・利子・貸借料金額等×0.48%)という計算式を用いて算出される税金が課税されます。

4.消費税:除外されるものがありますが、一般に商品の購入やサービスの利用に課される税金。消費者という立場にある人が負担することになる税金と呼びますが、実際にそのかかった税金を納める立場になるのが合同会社における事業者となります。

消費税制度による負担軽減措置として、その会社の2年前の年度での売上高が1,000万円以下であるならば納税が免除されるというもの、また、会社の資本金額が1,000万円未満であれば設立から2年間は消費税が免除されるという2種類の免除措置が取られます。

合同会社を設立することでの税金対策

所得に対して一定税率になる

個人事業主は累進課税制度が適用されているため、その所得が上がれば上がるにつれ課税率が上昇してしまいます。しかしながら、合同会社の場合、その所得金額がいくらであったとしても、その金額にかかわらず課税所得の30%であるという比例課税制度が適用されているため所得の上昇を気にする必要がありません。

青色申告する場合は赤字が7年繰り越せる

税金面での利点がある青色申告をする際に、合同会社であればその事業における当該年度に発生してしまった赤字に関して、その翌年度より7年間繰り越しすることが可能です。そのため、もしもこの期間の間に会社で黒字が発生した場合にはその7年の間繰り越している赤字と相殺することができるため、節税に繋げられるというメリットも生まれます。

生命保険を経費にすることが可能

生命保険であれば、その契約内容が規定に合っている場合、保険契約者が法人であればその会社の役員もしくは従業員を被保険者とした生命保険料の全額もしくは半額を経費として計上することが可能です。また、個人の場合であれば最大で10万円の所得控除が可能となります。

勤務実態のある者に給与を支払うことが可能

個人事業であれば、同一生計の15才以上の親族で、事業期間の半分以上事業に専ら従事しているという2つの条件を踏まえたうえで「青色事業専従者給与に関する届出書」を該当地域を管轄している税務署に提出することで就労の報酬として相当する金額のみが経費として支払うことができます。

しかし、合同会社であれば非常勤という勤務体系であったとしても勤務実態があることを前提としてその社員に支払う報酬を会社の経費として計上することが可能です。

代表社員の相続税が不要の場合

個人事業主であれば、社長が亡くなった場合にはその社長が所有するすべての財産に対して相続税が課せられます。しかし、合同会社の場合には、代表社員が亡くなったとしても会社の財産に対する相続税は課税されません。しかしながら、その経営者が株式を所有して亡くなった場合にはその株式に対して相続税がかかります。

消費税の対策と還付について

簡易課税制度を適用する

合同会社に課せられる税金の4種類のうちの1つである消費税の原則課税制度を適用した計算は大変複雑なものであり、当該事業者をはじめその計算を必要とする会社の業務にとっても大きな負担となります。そのため、合同会社においては簡易課税制度というものを適用することが可能です。

これは、中小企業や個人経営の会社が消費税納税額の計算を簡単にできるという制度となっています。その会社が所在している地域を管轄している税務署に、あらがじめこの制度を適用する旨を簡易課税制度選択届出書を提出することではじめて認められます。

簡易課税制度選択届出書の提出期限はこの適用を受けようとしている課税期間開始日の前日までとなっています。しかしながら、新規に会社の設立を行った場合などその適用開始までの期間が存在しない場合にはその事業が開始する初年度の期末までに提出することで承認してもらえます。

基準期間の課税売上が5,000万円以下が対象

簡易課税制度の適用を受ける際に気を付けなければいけないのが、その会社の業績や所得を考えたときにその規模が小さいことを前提としているため、その基準期間における課税売上額が5,000万円以下であることが前提として掲げられています。

また、簡易課税制度選択届出書をあらかじめ提出していた場合においても、万が一基準年度内に5,000万円以上課税売上額が発生した場合には適用されません。しかしながら、会社が簡易制度の取りやめの届出を提出するまで、この簡易課税制度選択届出書の効力は続いています。そのため、適用されなかった年のその翌年以降に基準期間内の売上額が5,000万円を下回った場合には、再度この制度の適用を受けることができます。

選択した制度は2年間は継続必須

本年度の消費税の計算のために簡易課税制度選択届出書を提出したものの、翌年には取りやめの申請をしたいと考えたとしても、一度この制度の適用申請をした場合には最低でも2年間は継続しなければならないため、翌年の取りやめは原則として不可能です。

正しい知識で節税対策を

株式会社が節税対策のために合同会社を設立することや個人事業主が青色申告において利益を得るために合同会社を設立するということが近年では増えてきました。しかしながら、合同会社を設立するうえで節税対策を試みる場合には様々な取り決めも存在しています。

合同会社となった後の税金の対応を正しく理解し、適用できる簡易課税制度についてもその内容や適用基準をしっかりと把握しておかなければなりません。そのうえで節税対策を行うようにしましょう。

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