国民年金加入者資格の種類。国民年金第3号被保険者の資格について

国民年金加入者資格にはいくつか種類があり、国民年金に加入する第1号被保険者、厚生年金に加入する第2被保険者、第2保険者の配偶者が加入する第3被保険者となっています。第3号被保険者の加入方法などを知り、スムーズに加入できるようにしましょう。

目次

国民年金加入者資格の種類

保険料を納付する国民年金第1号被保険者

国民年金には種類があり、被保険者も第1号~第3号まで分けられています。それぞれの立場や状況により、どの種類で加入するかが決められています。なお、国民年金は日本国籍を持っていなくても該当する場合は被保険者となります。

第1号被保険者の対象となる人は?

第1号被保険者は日本国内に住んでいる20歳~60歳未満の人で、第2号、第3号被保険者以外の人はこの第1号になります。

対象となる職種形態は、自営業、無職、フリーター、学生、アルバイト、ニート、農業従事者といった厚生年金などに加入していない人。なお、第1号でない人でも任意加入をすることができます。

ちなみに学生の場合は申請することで、特例で納付を遅らせることができるため、あまり払うという印象が無い人が多いです。

国籍関係なく無職・自営業は第1号被保険者に

日本国籍を持っていない外国人も強制的に加入しないといけないこととなっています。外国人で自営業や無職などの場合はこの第1号被保険者となります。短期滞在外国人は帰国後に脱退一時金の申請をするか、もし、社会保障協定締結国の場合は出身国の年金加入期間に合わせることができます。

第1号被保険者資格の取得は「20歳」から

第1号被保険者資格の取得は20歳からが対象となるため、20歳の誕生月の前月に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が届きます。その書類に、必要事項を記入し、各市区町村役場か年金事務所に提出。

提出後、「年金手帳」と「国民年金保険料納付書」が届きます。そこから納付書で国民年金保険料を支払っていくこととなります。なお、もし18歳で就職し、厚生年金保険適用の事業所に勤務している場合は、未成年でも厚生年金に加入することになるため、20歳の時に資格取得の届を出す必要がありません。

月額の国民年金保険料はいくら?

国民年金の月の保険料は16,490円です。国民年金には前納割引制度があり、事前にまとめて払っておくことで割引されて、払うよりも安く済みます。1年前納、6ヶ月前納、当月末振替がありましたが、平成29年度より2年前納が始まりました。

もしお金に余裕があるという方は、前納を検討するとよいでしょう。

厚生年金へ加入が必要な国民年金第2号被保険者

国民年金第2号被保険者の対象者は、会社員、公務員、私学教員となります。国内居住要件や年齢要件は問われません。ただし、65歳以上の被保険者もしくは組合員などで、老齢基礎年金や老齢厚生年金、退職共済年金などの受給権を持っている人は第2号被保険者ではありません。

厚生年金は国民年金とは違い、被保険者は70歳までなので、上記の場合でも厚生年金保険の被保険者ということになります。つまり、会社員と公務員、私学教員は国民年金の第2号被保険者となるため、厚生年金保険料負担をする必要があります。

勤務する会社が厚生年金に加入していないと1号になることも

会社勤務となっても、その会社が厚生年金保険の強制適用事業所、もしくは任意適用事業所に該当せず、厚生年金に加入していない場合は第1号被保険者になり、厚生年金に加入することができないことも。

就職する時は、厚生年金にその会社が加入しているかどうかを面接時などに聞いておくことが重要です。この場合、定年後老齢厚生年金は当然ですが、受給することができません。とはいえ、日本国内のほとんどの会社は厚生年金保険に加入しているため、会社勤めになれば厚生年金に加入になる可能性は高いでしょう。

厚生年金保険料は年収により変わるが、会社が半分負担してくれる

厚生年金保険料は月収によって違います。月収によって決められた厚生年金保険料の半分を払うことになります。(もう半分は会社負担です。)給料明細に厚生年金保険料の欄があり、そこから負担額を知ることができます。

離職後は第1号への手続きが必要

会社を退職した場合は厚生年金を脱退し第1号被保険者として国民年金に加入する必要がありますので、市役所か年金事務所で手続きを行います。再就職した場合は厚生年金にまた加入する必要がありますので、その場合は会社を通じて種別を変更します。

納付の必要がない国民年金第3号被保険者

国民年金第3号被保険者は、厚生年金保険に加入している第2号被保険者の配偶者が対象となります。夫婦のどちらかが厚生年金保険の適用事業所に勤務しているか、公務員であればいいため、性別は関係ありません。そのため、主婦でも主夫でも第3号被保険者となります。

第3号被保険者には、配偶者が第2号被保険者であることが必須条件

第2号の被保険者に扶養されていることが条件になり、両方とも厚生年金保険の適用事業所に勤務し、厚生年金に加入している場合はそれぞれ第2号被保険者となります。

ちなみに世帯主が自営業やフリーターなど厚生年金保険に加入していない第1号被保険者である場合は配偶者である主婦や主夫も第1号被保険者になるため、国民年金を納付する義務が生じます。

第3号被保険者は納付する必要がない

この第3号被保険者は国民年金保険料を別途納付する必要がなく、大体の場合は配偶者の扶養になっていることが多いため、配偶者の会社で支払っている「厚生年金保険料」に含まれて差し引かれていることが多いです。

さらに、基礎年金を受給できます。ちなみに老齢厚生年金は離婚や死別をした日の翌日から2年以内に請求することで、第3号被保険者だった期間の半分を受け取ることができます。

第3号被保険者資格を喪失するパターンとは?

第3号被保険者資格を喪失するときは第2号被保険者が資格を喪失するときです。つまり、退職したり、第2号被保険者が死亡した場合、第2号被保険者が60歳に達した日、そして離婚した場合に喪失します。

また、第3号被保険者が就職する場合は第2号被保険者となり、新しく働く会社で手続きを行います。

国民年金第3号被保険者の各種届出用紙の種類について

第3号被保険者に該当した場合

第3号被保険者に該当した場合は、国民年金第3号被保険者資格取得を行います。取得は、配偶者の勤務先で行うのが一般的です。その際、「被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」を提出します。

収入要件として、年間収入が130万円未満かつ収入が扶養者の収入の半分未満、別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満で無いと扶養に入ることができません。また、被扶養者の収入には公的年金や雇用保険の失業等給付、健康保険の疾病手当金や出産手当金も含まれます。

手続きや届け出はしっかり行うこと

手続きは、扶養が決まってから5日以内に勤務先へ上記の書類を提出します。その際に配偶者の年金手帳などの書類が必要になりますので注意しましょう。また、配偶者が出向や転職などで加入する年金制度が変わった場合には種別確認(3号該当)届が必要になります。

例えば、国家公務員から地方公務員になったり、公務員の方が民間の会社などに勤務し厚生年金保険に加入した場合や、民間の会社に勤めていた方が公務員になったときなどが挙げられます。この届出をしっかり行わないと、将来年金が少なくなったり、受給できなくなる可能性があります。

なお、結婚して勤務先を退職した場合などで第1号もしくは第2号被保険者から変わる場合は種別変更の届出が必須です。

該当しなくなった時や氏名等の変更の場合

就職や離婚、扶養者の死亡、第2号被保険者が60歳になり第3号被保険者に該当しなくなったなどの場合は、国民年金第3号被保険者資格喪失届を提出しなくてはなりません。

ただし、該当しなくなった理由や状況によって手続きの場所が変わります。第1号被保険者に変更する場合は在住の市区町村役場、第2被保険者に変更する場合は新しく勤める会社で手続きを行います。

なお、名前や生年月日、性別変更(訂正)を行う場合も届が必要です。名前や生年月日、性別を変更・訂正したい場合は分かってから14日以内に手続きが必要となります。

勤務先から提出することはもちろん、年金事務所や事務センターで提出することができます。なお、この届出は電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」で電子申請が可能です。

第3号被保険者の住所が変更になった場合

第3号被保険者の住所が何らかの理由で変更になった場合は速やかに変更後の住所を勤務先に申し出る必要があります。「国民年金被保険者住所変更届」に必要事項を記入し提出します。

ただし、1枚目は被保険者住所変更届、2枚目が第3号被保険者住所変更届となっており、第3号被保険者の住所のみ変更する場合は2枚目のみ記入して提出となるので注意しましょう。被保険者と第3号被保険者両方とも住所を変更する場合は、2枚とも必要になります。

第3号被保険者が外国籍の場合

第3号被保険者が外国籍の場合は、「被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」届けの他に「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」が必要となります。

例えば、山田マリーの場合だと「Yamada Marry」というようにローマ字氏名を届け出します。なお、国民年金第3号被保険者の届出を電子申請で手続きする場合に限り、電子添付書類として画像ファイル(JPEG形式・PDF形式)で提出をすることができます。

添付書類に必要なコピー類

添付書類にはいくつか必要なものがあり、第3号被保険者の基礎年金番号が確認できる年金手帳のコピーか、基礎年金番号通知表のコピーを用意します。

それぞれ基礎年金番号の描いてあるページをコピーして提出しましょう。また、書類に記載不備があったり、添付書類がそろっていないと申請することができないため、必ず用意するようにしましょう。

国民年金第3号被保険者の申請方法

提出時期は5日以内

国民年金第3号被保険者は扶養者になるという事実発生から5日以内に勤務先に提出する必要があります。結婚してすぐに扶養に入る場合は、結婚してすぐに第3号被保険者関係書類を提出します。

ただし、例えば、結婚を期に退職をして、結婚して扶養に入るまでに期間がある場合は、まずは第1号被保険者として市役所で変更します。つまりその時点で扶養に入るまで国民年金保険料を納付する義務が生じますので注意しましょう。

提出先は郵送で送る

第3号被保険者資格取得届は、勤務先を経由して事務所の所在地を管轄する年金事務所で郵送します。つまり、扶養者は勤務先に提出まで行い、年金事務所に送るのは勤務先ということになります。

この時、健康保険の保険証も発行されることになるため、もし何週間待っても保険証が届かないなどの場合は郵送トラブルか、勤務先の事務のミスの可能性が高いため、必ず確認するようにしましょう。

なお、提出書類や添付書類に漏れがあると、送ることができないため、必ずすべて揃えてから提出しましょう。

電子甲信や郵送または窓口へ持参して提出する

提出方法は、窓口へ持参か郵送、電子甲信の3つの方法があります。一番確実な方法は、窓口への持参ですが、ほとんどの場合は郵送か電子甲信で提出が行われます。

なお、提出する際は届出用紙のほか、電子媒体(CDもしくはDVD)での提出をすることも可能。そのため、提出する際は、扶養者が記入した用紙と添付書類をそのまま提出する場合と、電子媒体に保存して提出する場合の2パターンあります。提出方法は各事業所によっても異なります。

届出の名称は健康保険被保険者(異動)届

第2号被保険者の扶養に入る場合は、第3号被保険者になる以外に健康保険も追加する必要があります。そのため、届出の名称は「健康保険被保険者(異動)届」となっています。その中に第3号被保険者資格取得届などが含まれているという事になります。

なお、健康保険被保険者(異動)届には配偶者以外に、子や孫および兄弟姉妹、父母、祖父母なども記入するため、書き損じが無いように気を付けましょう。

国民年金第3号の手続きが遅れた場合

手続きをすれば無年金や年金の減額を防ぐ事ができる

原則として20歳~60歳のすべての方が年金に加入し、保険料を納付する必要がありますが、第2号被保険者の配偶者は保険料を納める必要がありません。しかし、第2号被保険者が退職したり、配偶者である第3号被保険者の年収が増えたときなどは、第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えの届け出を行い、保険料を納める必要があります。

この切り替えの届出が2年以上遅れると、2年より前の期間は保険料の納付ができないため、保険料の未納期間ができてしまい、無年金状態や、年金の減額ということにもなりかねません。

特定期間該当届を提出すると未納期間を受給資格期間を算入することが可能

平成25年6月に年金の法律が改正されたことにより、手続きで未納期間が特定期間になるようになりました。つまり、未納期間がある方が「特定期間該当届」を提出することで、未納期間を受給資格期間に算入することができるようになったのです。これは専業主婦でも主夫でも同様です。

ただし、この「受給資格期間」は、老齢年金を受けるために必要な加入月数には算入されるものの、老齢基礎年金の年金額には反映されないため、注意しましょう。

特定期間該当届を提出する

国民年金切り替えの届出が2年以上遅れて未納期間ができた方のことを「特定受給者」といい、特定受給者は特定期間該当届を年金事務所に提出します。これを行うことで、未納期間を受給資格期間にすることができます。

ただし、老齢基礎年金額は増えないため、もし年金額をアップさせたい場合は特例後納しましょう。特例後納で最大10年分の未納分の保険料を払うことができるため、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。

国民年金第3号被保険者に加入すると通知書は届くのか

第3号資格取得で貰える該当通知書

第3号被保険者資格取得の申請をすると、後日国民年金第3号被保険者資格該当通知書が発送されます。この該当通知書が届いたことで、「第3号被保険者に該当しました」という証明になります。

つまり、該当通知書が届かなければ、第3号資格が取得できたかどうかがわからないため、もし申請したのに届かない場合は、勤務先に相談するか、年金事務所に問い合わせをしましょう。

年金通知書の見方

年金通知書にはいくつか種類があり、「年金額改定通知書・年金振込通知書」と「年金額改定通知書」、「年金振込通知書」があります。なお、年金振込通知書は受取金融機関に変更があった場合や、年金支払額に変更があった場合にそれぞれ専用の通知書があります。

それぞれ通知書の見方が異なります。

☑1.年金改定通知書:上から国民年金(基礎年金)の各金額、厚生年金保険の各金額、合計年金額

☑2.年金振込通知書:上から控除前の年金額、介護保険料額、後期高齢者医療保険料・国民健康保険料、所得税及び復興特別所得税額、個人住民税額、控除後振込額

国民年金の資格について知り速やかに手続きをしよう

国民年金の資格の取得方法はそれぞれ異なります。特に第1号、第2号から第3号に種別変更する場合は第2号の勤務先に提出する必要があるので速やかに書類を揃えるようにしましょう。

種別変更するのが遅れて、未納期間ができてしまった場合は、特例期間該当届と特例後納を利用して受給期間と受給額を上げましょう。

 

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