社会保険と厚生年金の中身。きちんと理解していざという時に備えたい

毎月、給料から自動的に引かれている社会保険料。保険や年金のために必要であることは知っていても、実際にはどんなものであるのか意外と知らない人も多いのではないでしょうか。いざというときに必要な社会保険。正しい知識を身に付け、備えておきましょう。

目次

社会保険の種類

老後生活を保障する年金保険

毎月会社で天引きされている社会保険料ですが、社会保険にはいくつかの種類があります。老後の生活を保障するための年金保険も、社会保険のひとつ。国民全般のための国民年金や、サラリーマンなどが加入する厚生年金保険、公務員などの共済年金などがこれに含まれます。

年金保険の中身は主に3つ。老後の生活を支えるために必要な老齢基礎年金は、支払った金額により、一定の年齢から年金を受け取ることができるもの。その他、ケガなどにより障害の状態になった場合に支給される障害基礎年金、死亡後の遺族の生活を支える遺族基礎年金などがあります。

また、継続的に受けることのできる給付の他、一定の条件を満たすことで受けられる一時金や、家族に対して支払われる給付など、年金の中身はさまざま。年齢やケガ、病気などにより、仕事ができなくなったときのために備えておくものです。

ケガや病気などを保障する医療保険

社会保険というと、まずこの医療保険を思い浮かべる人も多いかもしれません。病気やケガなどによる通院、入院にかかる費用や、休業中の生活費などの給付を受けることができます。また、出産や死亡に関しても、埋葬費、出産にかかる費用なども支給されます。

医療保険は、生活に密接な保険であり、利用する頻度も高いでしょう。サラリーマンなどが加入する健康保険や、自営業の人などが加入する国民健康保険などがあります。医療保険は保険証として証明書が発行されており、病院を受診する際に提示します。

多くの場合、実際にかかる医療費の3割のみを負担すればよいので、診察や治療などにかかる負担を抑えることができるのです。

介護に対する介護保険

介護保険は、介護サービスを受けるときにかかる費用に対して給付される保険です。40歳になってから加入し、介護や支援が必要な状態になった場合に給付されます。介護を必要とするときに、安心して生活を送ることができるようにするためのものです。

加入には特別な手続きは必要なく、健康保険や国民健康保険に加入してれば、40歳になったときから自動的に加入されます。市区町村によって運営されており、地域によって保険料が異なります。また、必要な介護内容によって支給される限度額が異なってきます。

自宅で介護するための器具の購入費や、自宅の改修費用、介護施設の利用費などに対し支給を受けることができるものです。

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雇用の安定などを目的とした雇用保険

雇用保険は、主に、仕事を失ったときに失業中の生活費の給付を受けるための保険です。また、就職のために指定の教育訓練を受けた場合には、教育訓練給付を受けることもできます。さらに、高齢になると、再雇用の際、給料が減額してしまうことも。

その他にも、育児や介護で仕事を休まなければならない場合、給料がなくなってしまうのは困りますね。そんなとき、高年齢雇用継続給付や育児休業給付、介護休業給付などが給付され、雇用の継続を図っています。

年齢や育児、介護などにより、仕事が継続できない状況のときには、この雇用保険があることで安心して働くことができるでしょう。

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業務中のケガを保障する労災保険

労災保険は、仕事中や通勤中に起きたことが原因で、ケガや病気になったり、死亡したりしたときのための保険です。あくまで仕事中や通勤中に起きたことのみに対するもので、仕事以外の場面では通常の健康保険を使います。

治療費や、休業している間の生活費などの給付を受けることができます。また、障害が残ってしまった場合には、障害の等級によって、年金型もしくは一時金としての給付があります。死亡してしまった場合には、葬儀のための費用や残された家族の生活費なども給付されるのです。

労災保険は、自身で支払う必要はなく、会社が加入するもの。例外を除き、基本的には1人でも従業員がいる場合、加入する義務があります。

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年金保険の中の厚生年金保険

国民年金との違い

年金保険には、国民年金と厚生年金保険があります。国民年金は、国民全般のための年金であるのに対し、厚生年金保険は、労働者のためのもの。国民年金をベースとして、その上に厚生年金保険が乗っているようなイメージです。

国民年金と厚生年金は、それぞれ適用となる対象や支払う保険料などが異なっています。

厚生年金の適用対象

厚生年金は、サラリーマンやOLなどのように、会社に勤めている労働者を対象にしています。法人や国、地方公共団体などの他、個人事業であっても一定の条件を満たす場合には原則として、この厚生年金に加入することになります。

また、2016年10月からは、パートやアルバイトとして働いている人にも対象が広がっています。従業員が501人以上の会社の場合、週に20時間以上働いていれば加入することができます。さらに、2017年4月からは、従業員が500人以下であっても、労働者と会社との間で同意が得られれば、加入することができるようになりました。

サラリーマンの妻で、専業主婦などの場合には、もともと厚生年金の支払いをしていないため、新たに厚生年金の保険料が負担となってしまうことも。しかし、その分将来受け取ることができる年金額が変わるため、決して負担ばかりではないでしょう。

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負担する保険料額

厚生年金の保険料は、収入によって決められています。一定額である国民年金とは異なり、4〜6月に支払われた給料の平均をとり、支払うべき保険料が決定します。毎年7月に決定し、基本的にはそのまま1年間同じ金額を支払うことになります。

また、国民年金は個人で全額支払うのに対し、厚生年金は会社側が半分負担してくれるものです。さらに、厚生年金に加入している人の配偶者については、配偶者の年収が一定額未満の場合、保険料の支払いをする必要がありません。

それに対し、国民年金は仕事の有無にかかわらず支払う必要があります。ただし、収入が得られなかったり、学生であったりと、支払いが難しいこともあるでしょう。その場合には、猶予制度を申請することができ、支払いを待ってもらうことも可能です。

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厚生年金の給付

老齢厚生年金の上乗せ

厚生年金の給付は、国民年金からの基礎年金に上乗せされる形で給付されます。一定の年齢になったら支給を受けることができます。国民年金による老齢基礎年金に、老齢厚生年金が上乗せされるため、国民年金だけよりも支給額を多くすることができるのです。

さらに、一定の条件を満たすことで、65歳未満の配偶者や18歳に達する年度までの子どもなどに加給年金の支給を受けることができる制度もあります。厚生年金を受給するためには、まずは国民年金もしくは厚生年金を合わせて10年間支払っていることが必要。

厚生年金自体は、最低1ヶ月以上支払いをしていれば受給可能になります。国民年金だけに加入しているよりも、厚生年金の方が上乗せ分があるため、老後の蓄えとしてより安心なものになるでしょう。

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病気などの後遺症に障害厚生年金

障害厚生年金は、加入している人がケガや病気により、障害の状態になったときに支給されるもの。国民年金における障害基礎年金に、上乗せされる形で給付されます。障害の状態となる原因の初診日に、厚生年金に加入していることなどが条件です。

障害の等級などにより、受け取ることのできる年金額が変わってきます。さらに、65歳未満の配偶者がいる場合に限り、配偶者加給年金の給付を受けることも可能。ただし、子どもに関する加給年金はないので、注意が必要です。

また、障害厚生年金の支給対象である障害等級1〜3級よりも、程度の軽い障害が残った場合には、一定の条件を満たせば、障害手当金といわれる一時金の支給も受けることが可能です。

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亡くなった方の家族への遺族厚生年金

遺族厚生年金は、亡くなった場合に残された家族の生活費を支給するものです。他の厚生年金と同じように、国民年金の遺族基礎年金に、厚生年金の遺族厚生年金が上乗せされます。遺族厚生年金を受け取ることができる遺族の範囲も決められていますが、国民年金と厚生年金では範囲が異なります。

国民年金の対象は、一定の年齢に達する子どもや、がいる妻もしくは、その子ども自身のみ。それに比べ、厚生年金は、妻をはじめ、一定の基準を満たす子どもや孫、父母、祖父母なども対象とされています。

厚生年金は、金額面だけでなく、受け取ることのできる遺族の範囲も広がり、いざというときの給付が手厚いのが特徴です。

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自動的に引かれていても保険内容は自分でしっかり理解しよう

国民健康保険や国民年金とは異なり、自分で手続きをすることがほとんどなく、毎月必ず会社から引かれている社会保険料。なかなかわかりにくい部分も、会社できちんと手続きをしてくれるため、実はあまりよくわかっていないという人も少なくないでしょう。

今は自動的に引かれていても、いずれは自分が使うことになる社会保険。いざというときの備えとして、どんな給付が受けられるのが知っておくことが大切です。任意で加入する医療保険や生命保険とのバランスも考えることもできるでしょう。

保険の内容をきちんと理解し、いざというときに備えておきたいですね。

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