失業手当の給付期間。退職理由によって大きく変わるワケ

退職してから再就職までの生活と雇用の安定のためにある失業手当。自己都合退職と、会社都合では給付期間に大きな差があることを知っていますか。退職前に自分はどの期間に当てはまるのか、具体的に確認しておきましょう。

目次

退職理由で変わる失業手当の給付期間

自己都合で退職した場合

転職などの理由で、自ら退職を申し出た「自己都合退職」の場合は「一般受給資格者」に該当します。自己都合退職ですので、あらかじめ先を見越した計画的な退職とみなされ、給付期間は最長でも150日となっています。なお、勤続年数が1年未満の自己都合による退職の場合は条件を満たさないため、給付対象外となります。

給付対象は65歳未満で、期間は勤続年数で変わります。
☑ 1.勤続年数が1年以上10年未満の場合…90日
☑ 2.勤続年数が10年以上20年未満の場合…120日
☑ 3.勤続年数が20年以上の場合…150日

ただし、「懲戒免職」といういわゆる会社をクビになった場合もこちらに当てはまります。退職が「不当解雇」に当たらないか自身で確認し、納得のいかない退職は労働基準局や弁護士に相談しましょう。

会社都合で退職した場合

会社の倒産や解雇など、会社から一方的に退職させられた「会社都合退職」の場合は、「特定受給資格者」に該当します。次の就職の準備期間もなく会社を退職させられることとなるため、給付期間は自己都合に比べ、とても長く最長で330日となっています。なおなおこの場合、勤続年数1年未満の方も受給対象になります。

給付期間は年齢と勤続年数によって異なります。
☑ 1.勤続年数1年未満の場合(65歳未満で年齢関係なく)…90日
☑ 2.勤続年数1年以上5年未満の場合…30歳未満で90日、30歳以上35歳未満で120日、35歳以上45歳未満および60歳以上65歳未満で150日、45歳以上60歳未満で180日
☑ 3.勤続年数5年以上10年未満の場合…30歳未満で120日、30歳以上45歳未満および60歳以上65歳未満で180日、45歳以上60歳未満で240日
☑ 4.勤続年数10年以上20年未満の場合…30歳未満で180日、30歳以上35歳未満および60歳以上65歳未満で210日、35歳以上45歳未満で240日、45歳以上60歳未満で270日
☑ 5.勤続年数20年以上の場合…30歳以上35歳未満および60歳以上65歳未満で240日、35歳以上45歳未満で270日、45歳以上60歳未満で330日

年齢によって給付期間は細かく変わりますが、突然の再就職でも比較的受かりやすい30歳未満や年金支給の近い60歳以上は短く、再就職の難しい45歳以上60歳未満が長く支給される仕組みになっています。

妊娠を理由に退職した場合

妊娠・出産・3歳未満児の育児などを理由に引き続き30日以上勤務できず退職したものの、出産や育児後は再就職を希望している場合は「特定理由離職者」に分類されます。

働きたいのに身体的な理由などで一時的に働けない期間がある方に適用されます。出産育児で就職活動できない期間は受給できませんが、就職活動を再開した際に失業手当をあらためて受け取ることができるのです。期間は最長で4年延長可能です。

ほとんどが自ら退職を申し出る「自己都合退職」となりますので「一般受給資格者」の受給期間が適用されます。そのほか、「特定理由離職者」に該当する退職は様々あります。詳しくは以下のURLをご確認ください。
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定年退職で退職した場合

定年退職した場合は、あらかじめ決まっていた退職となるため「一般受給資格者」に分類されます。昨今は、定年後も元気に働かれるシニアの方もたくさんいらっしゃいます。定年後の継続雇用を希望していたにも関わらず、60歳以上65歳未満の定年で、年齢に係る理由以外で解雇されたり、退職となった場合は「特定理由離職者」に該当します。

定年退職に際し不服があれば、労働契約書、タイムカード、雇入通知書、就業規則、契約更新通知書などをハローワークに持参し相談しましょう。ただし、本人の重大なミスや不正などでの懲戒解雇の場合は「一般受給資格者」となりますので注意してください。

失業手当は65歳未満までですが、65歳以上でも一定の条件を満たせば「高年齢求職者給付金」が受給できます。詳しくはハローワークHPをご確認ください。
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失業手当の給付期間延長方法

公共職業訓練を活用する

公共職業訓練をご存知ですか。受講することで就職に必要なスキルが身に付き、再就職の強みとなります。受講料は無料で、かかる費用はテキスト代などのみです。

公共職業訓練には、「訓練延長給付」という制度があります。失業手当の受給者であれば、失業手当を受けながら公共職業訓練を受講することができ、訓練期間が給付日数を超えた場合も、その超えた日数分の手当を受給できるというものです。

ただし訓練期間は最長で2年以内のもので、公共職業安定所長から指示された訓練に限ります。詳しくはハローワークでご確認ください。
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会社都合退社にならないか確認してみる

「自己都合」で退職したものの、ハローワークで確認したら「会社都合」になったという場合も少なからずあります。例えば、給与未払いがあったり、妊娠出産のマタハラを受けた場合、セクハラにより退職した場合などです。勤務地移転で自宅から通えなくなり退職した場合も会社都合となります。

自己都合と会社都合では給付期間に大きな差があります。少しでも腑に落ちないことがあれば、ハローワークに相談しましょう。
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失業手当給付期間中のアルバイトの注意点

就労にみなされない範囲で働く

失業手当だけでは生活に不安があり、給付期間中にアルバイトをされる方も多くいらっしゃいます。注意していただきたいのがそのアルバイトの勤務時間です。週20時間以上で31日以上継続した勤務は雇用保険の被保険者となるため「就労」とみなされ、失業手当の給付がストップします。

失業手当はあくまでも再就職までの生活の安定を図り、再就職を後押しする制度です。アルバイトは就労とみなされない範囲で行い、就職活動の時間を大切にしましょう。

アルバイトをしたことは認定日に申告する

不正受給の疑いなどを避けるためにも、アルバイトを行った場合は認定日にハローワークに申告しましょう。あとから発覚し不正受給とみなされた場合は、支給がストップするだけでなく、不正受給分の返金やその2倍に相当する額以下の納付が必要となります。ハローワークに求職状況を報告する「失業認定申告書」には事実のみを正直に記入しましょう。

給与によっては受給額が減額される

はじめに、離職直前の6ヶ月間の給与を180で割ったものを賃金日額といい、失業手当の算定に使われます。アルバイトなどの収入を得た場合もこの賃金日額が重要になってきます。

基本手当日額と一日分の収入からその年の控除額を引いた金額の合計が、賃金日額の80%を超えるものについては超えた分基本手当が減額されます。

具体的に計算してみましょう。
例)6ヶ月の給与合計180万円、基本手当日額5000円、一日のアルバイト収入4500円、平成29年の控除額1282円であった場合
☑ 1.6ヶ月の給与合計が180万円の場合の賃金日額…180万円÷180=1万円
☑ 2.基本手当日額とアルバイト収入から控除額を引いた合計…5000円+(4500円-1282円)=8218円

この場合は、賃金日額の80%である8000円から218円オーバーしているため、基本手当日額5000円が218円減額されます。

失業手当のルールを理解して正しい手続きをしよう

再就職を希望する方にとって生活の支えとなる失業手当。受給期間をあらかじめ知っておくことであわてず就職活動の計画ができますね。

失業手当の給付期間には「自己都合」で最大150日、「会社都合」で最大330日と大きな差があります。退職が決まったらまずは自身がどちらに当たるのか確認しましょう。

そのほか、出産などで一時的に仕事を辞めざるを得なかった求職者には「特定理由離職者」が適用されますし、自身では「自己都合」と思い込んでいた退職理由が「会社都合」である場合もあります。退職したら早めにハローワークに行き相談をしましょう。

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