会社や家を建てる時に登記が必要なことは知っていますか?独立したい・起業したい・家を新築したいと、考えているなら、まずは登記についてきちんと理解しておく必要があります。大切な財産となる土地や建物の登録についての基礎知識を身につけましょう。
目次
登記について知る
土地に関する履歴書
登記とは、土地や建物、債券など一定の重要な権利や義務を個人、法人ともに保護してくれるものです。登記にはさまざまな種類がありますが、中でも主なものは、不動産登記と商業登記、法人登記です。日本国内におけるすべての登記は、法務局で登記簿謄本として管理されています。
登記された土地は、登記簿として保管されることになります。土地の所有者が変わるたび登記登録も変更されるので、その土地の使われかたなども調べることができます。
登記された帳簿を登記簿謄本と言いますが、これまでにその土地は誰のもので、どのように使われていたのかなどを知るための土地に関する情報、いわば履歴書と同じものになります。
例えば、「ここに家を建てよう」と思ったら、まずはその土地が大丈夫かどうかが気になりますよね。地盤がしっかりしていなければ、地盤沈下や液状化現象などの恐れも考えられます。更地になっていると、そうした情報は全くわからないため、慎重に調査する必要性が出てくるのです。
会社に関する履歴書
事業拡大に伴った法人化や会社の設立時に重要になるのも登記です。会社を一般に広く広めるために法律で義務付けられている法人登記のほか、不動産登記や商業登記などの複数の登記が必要となります。
ちなみに法人登録を行っておくと、法務局から法人登録証明書が発行され、正式に登記された会社であることの証明となります。会社の設立時や移転時、会社役員が変更した場合や会社が倒産した際にも登記が必要となります。
会社に関するすべての事項を正しく登録することで、信頼度もあがるため、会社に関する履歴書といってもよいでしょう。
登記は2種類ある
土地に関する不動産登記
不動産登記は、家を購入したり新築したりする際に必要なもので、「この土地(建物)は自分のものです」ということを登録し、証明するためのものです。これは、土地の売買の際などに登録を行うことになります。誰の土地で誰の建物かわからなければ、銀行ローンを申し込むこともできません。
誰の所有している土地なのか、誰の家なのかを明確にすることで証明することも可能になるのです。
また、不動産登記には、2種類の登記があります。
建物表題登記
家を新築したときや、登記されていない建物を購入した際に必要になるのが建物表題登記です。新築の場合、建物の所有者が、建物が完成した1ヶ月以内に届け出をする必要があります。建物を購入した際は、所有権を取得してから1ヶ月以内の届け出が義務付けられており、これを怠ると罰則を受けてしまうことがあります。
建物表題登記が申請されると、不動産登記簿に建物の住所や番地、家屋番号のほか、種類や構造、床面積なども記載されることになります。
建物表題登記は、土地家屋調査士による「法務局閲覧調査」、「建物現地調査」、「事前仮測量」、「登記申請書類・図面作成」と、司法書士による「表題登記申請」、「所有権保存登記申請」が必要となります。
また、建物表題登記に必要な書類は以下の通りです。
☑ 所有権証明書
☑ 住所証明書
☑ 委任状
☑ 建物図面、各階平面図
建物表題登記を行う際の費用は、一般的な住宅なら7〜10万円が目安となります。ほかの登記が必要になる場合は別途費用が必要です。
抵当権設定登記
抵当権設定登記は、住宅ローンなどを申し込み際に必要となる登記です。抵当権とは、住宅ローンの返済が不可能となった場合に備えて、土地や建物を担保にする権利のこと。抵当権設定登記は、抵当権を得るために必ず必要となるものです。
登記簿謄本には、登記の目的や債券額、利息、損害金などのほかに、債務者や抵当権者などといった情報も記載されることになります。抵当権設定登記を行う際に必要な書類は、「銀行から渡される書類」と「自分で用意する書類」があります。
銀行から渡される書類
☑ 登記原因証明情報
☑ 資格証明書
☑ 司法書士への委任状
自分で用意する書類
☑ 権利証
☑ 印鑑証明書
☑ 司法書士への委任状
抵当権設定登記の費用としては、司法書士への報酬 3〜5万円程度+借り入れ金額の0.4%が目安となります。
会社に関する商業登記
会社の情報を全て記載する登記は、商業登記と言って、会社の所在地や商号、目的、役員、資本金などを登記することになります。法務局の商業登記簿に登録をすると、その会社は一般的に公開されるようになり、法務局やインターネットなどを利用して誰でも閲覧することができるようになります。
商業登記をする際は、法務局にある登記所で代表取締役本人、もしくは代理人である司法書士によって申請を行います。また、登記申請をするための書類には、綴り方に決まりがあります。
1.以下の順番で重ねてホチキスで2ヶ所とめます。
登記申請書
登録免許税納付台紙
定款(綴る際には、発起人全員の割り印が必要となります)
添付書類
委任状
2.登記用紙と同一の用紙をクリップでとめます。
商号欄
目的欄
役員欄
予備欄
支店欄
3.会社代表の印鑑を実印として届け出ます。
1cm以上3cm以内の正方形に収まる大きさのものを用意する必要があります。
さまざまな企業と取引をする上で情報が不明な企業と取引をするのは不安なもの。商業登記は、お互いの信頼度を高め、安全で円滑な取引をするために欠かすことのできないものです。
商業登記が必要な場合は以下の通りです
☑ 会社を設立したとき
☑ 役員が変更になったとき
☑ 会社の商号や目的を変更するとき
☑ 移転するとき
☑ 組織を変更するとき
☑ 増資・減資をするとき
☑ 合併するとき
☑ 会社を解消するとき
登記事項証明書には2種類ある
登記簿の内容全てが記載された全部事項
登記事項証明書の内容は、種類に応じて区分分けされています。その全ての事項を記載したものを全部事項証明書と言います。登記記録にある事項全てを見ることができます。通常ならば、この全部事項証明書を発行してもらうのがよいでしょう。
登記簿の内容一部が記載された一部事項
請求に係る部分だけを記載した事項のみが記載されているものを一部事項証明書と言います。誰のどんなものを証明するのかを記載して申請を行います。
発行できる場所
法務局に直接行く
登記事項証明書を発行してもらうには、2つの方法があります。そのうち、法務局に直接取りに行くという方法は、それぞれの地方で定められている登記所にて申請を行います。備え付けの「登記事項証明書交付請求書」に記入を行います。必要事項を記載して請求を行います。
登記所へ行く時間がない・遠くて行けないなどの場合は、登記事項証明書の交付請求書を印刷し、必要事項を記入して郵送することも可能です。1通あたり600円の手数料が必要なりますので、郵送の場合は、600円分の収入印紙を請求書に貼付して送付しましょう。
請求を行うためには、正確な不動産の地番や建物の家屋番号、権利証などで確認をしてから持参します。
ネットで申請をする
インターネットを利用してオンラインで登記事項証明書を交付請求することもできます。オンライン請求した登記事項証明書は、以下のいずれかの方法で受け取りが可能です。
1.請求者が指定した登記所の窓口で受け取る
2.請求者が指定した住所に送付して受け取る
オンライン請求のメリットとしては、手数料が安く済むということです。郵送や窓口を利用すると600円の手数料が必要となりますが、オンライン請求なら郵送で受け取るなら500円、指定した登記所の窓口で受け取るなら480円ですみます。
手数料はインターネットバンキングやATMで振り込みすれば OK。平日なら午前8:30〜午後21:00まで受付しているので、窓口での待ち時間も短縮できるほか、自宅や会社からでも請求できる手軽さが便利です。
以下アドレスの法務局サイトよりオンラインによる証明書の交付請求手続きについての案内がありますので、参考にしてみてください。
法務局サイト
詳細はこちら
登記について知り証明書を発行しよう
つい面倒に感じてしまいがちな登記ですが、人生の節目になる時には必ず申請が必要となります。さまざまな種類の登記があることや、最低限の知識は身につけておきたいもの。いざという時にあわてないためにも、きちんと理解してきましょう。