法人住民税とは?税金の成り立ちや知識を深め申告漏れをなくそう

法人住民税を支払うにあたり、仕組みがわからないためいくらかかるのかが検討がつかない…。法人住民税は、地方公共団体に収めるため、税率なども地方公共団体によって異なります。赤字の場合でもかかる税金があるので、明確にして事前に備えておきましょう。

目次

法人住民税の特徴

地方公共団体が課税

事業所の所在地の地方公共団体(都道府県と市区町村)が、法人に対して、法人の所得に応じた法人税割と均等(定額)な均等割を課税します。形式的には、道府県民税と市町村民税に分けて常に考えていかなければなりません。計算方法は同じなので、それほど心配はいりません。納税義務者と課税団体、納付すべき内容は切り離せないものです。

法人税割額とは、当該年度の確定申告法人税額を課税標準として課される住民税額のことです。そのため、企業の担税力により法人税割額は変動します。均等割とは、資本金の金額に応じて段階的に区分され、均等に課される住民税です。

申告納税方式の地方税

申告納税方式とは、自ら納税額を計算する方式のことです。申告納付は、自分たちで税額を算定し各地方公共団体へと納付する手順のことを言います。この申告納税方式に対して、国や地方公共団体が納めるべき金額を計算し、納税者に通知する方式を賦課課税方式といいます。
賦課課税方式の税金は、固定資産税。不動産取得税、自動車税、個人住民税。個人事業税などのことです。また、税額が間違っている場合などは、税務署長の権限で税務署が税額を決めることがあるので、間違いがないように申告しましょう。

法人住民税には2種類ある

法人住民税には、都道府県に納める法人県民税と、市区町村に納める法人市民税があります。法人県民税は、均等割学、法人税額、利子割額が含まれ、均等割学は、資本金等に応じて2万円〜80万円まで課税されます。法人税額割は、法人税額を基礎として課税され、利子割額は、預貯金の利子に対して、5%課税されます。
市町村民税は、均等割額と法人税割額が含まれ、均等割額は、資本金等と従業員数に応じて5万円から300万円まで課税されます。法人税割額は、方針税額を基礎として課税されます。

納める義務のある税金

会社が納めなくてはいけない税金は、法人住民税・法人税・法人事業税・消費税・地方消費税などがあります。法人税とは、法人の所得金額などを課税標準として課される税金、国税、直接税、などがあります。
国税である法人税自体は、イギリスが日本より0.3%ほど高いのですが、実質的に企業が負担する税率は、イギリスの方が11%も低く、世界各国は企業の国外流出を防ぎ、外国の優良企業を呼び込もうと減税を行うことで競争しています。

法人事業税は、地方自治体から法人が事業を営んでいることで、負担を課す税金です。法人事業税を課税している地方自治体は、都道府県なので、都道府県に納税することになります。
法人事業税=所得×法人事業税率で出すことができるので、黒字でないと負担額はありません。法人事業税は、翌年度の損金に算入できます。

赤字決算でも支払う


たとえ赤字でも、法人住民税の均等割の部分は支払う必要があります。赤字の時に法人が支払う税金は、法人税、会計上の利益が赤字でも法人税の課税所得が黒字になる場合は、住民税と事業税です。他には、住民税均等割額、資本金の額か、出資金の額が1億円を超える法人の場合は、外形標準課税、消費税の免税事業者でない場合は、消費税です。

住民税は、都道府県民税と市町村民税の二つがあり、それぞれ法人税割と均等割からなっているため、法人税割は法人税に比例して発生するため、課税所得が赤字であれば発生しません。しかし、均等割は、法人の課税所得が赤字でも、資本金の額や従事者数に応じて金額が決まりるため、課税所得が赤字でも発生するからです。

法人税額に応じて課せられる

法人住民税は、各会社に均等に課税される均等割額と、法人税額に応じて課税される法人税割額などの合計です。法人税は、各事業年度に得た課税所得に法人税率をかけて計算します。法人税の対象となる所得は4つあり、会社が事業活動を行った各事業年度の所得、会社が解散したときの清算所得、法人課税信託の所得、退職年金など積立金です。

法人税は、会社が儲けた会計上の利益に課税されるものではなく、税法上の所得金額に課税されます。法人税の別段の定めに規定される調整を、会計上の収益・費用に行なったものです。会計上の利益に決算調整や、申告調整などの税務調整を行うことで、法人税の課税所得金額になるのです。

税率は地方公共団体ごとに異なる

税率は、地方公共団体ごとに異なります。法人住民税を課税している地方公共団体が、都道府県と市区町村などに分類されているためです。東京都の場合、資本金1億円以下で、法人税額が2,000万円以下だと12.9%で、それ以外だと16.3%です。各自治体のホームページなどにも記載されているので、自分の事業所の所在する地方公共団体に直接問い合わせましょう。

法人事業税と合わせて納付

納付期限は、決済日から2ヶ月以内に申告し納付します。法人税や消費税などと一緒です。例えば、会計年度が4月1日から3月31日までの場合は、納付期限は5月31日までということです。
納付方法は、現金に納付書を添えて納付する方法で、一般的な納付方法です。税務署から申告書と一緒に納付書が送られてくるので、納付書に金額を記載し、金融機関や所轄税務署で納付することができます。コンビニでは納付できません。

バーコード付きの納付書の場合、コンビニで支払うことができます。バーコード付納付書が発行されるのは、確定した税額を期限前に通知する場合や、督促・催告を行う場合、賦課課税方式による場合、確定した税額について納税者の方から納付書の発行依頼があった場合です。
記載されている有効期限内のみコンビニで支払いが可能なので、期限を過ぎてしまえば支払うことはできません。

また、電子納税する方法もあります。電子納税は自宅にいて、国税の納付手続きができるため、金融機関の窓口まで出向かなければならなかったり、窓口の受付時間内しか納付できないなどの場所や時間に縛られることがなくなります。電子納税には、届け出をした預貯金口座からの振替により、簡単なクリック操作で即時か、期日を指定して納付することができるシステムもあります。最初に設定する必要があります。

申告や納税は地方により異なる


申告や納税は、各地方公共団体ごとに定められています。最近では、eLTAXという電子納税を利用した都道府県が全部の都道府県で行われています。
電子納税では、地方税の納付手続きを自宅やオフィスからインターネット経由などで電子的に行うことができるため、労力がかからなくなっています。金融機関の窓口まで出向く必要がないため、金融機関の場所や受付時間などの制約がなくなることがメリットです。電子納税の場合、領収証書が発行されません。領収証書が必要な場合は、納付書により金融機関で納付手続きを行いましょう。

電子申告と連動させて行う方法があり、電子申告した申告データをもとに、納付手続きを行う方法です。提出済みの申告データを選択すると、申告内容に応じた税額を納付することが可能です。
延滞金、加算金等を納付することもでき、できるものとしては、法人都道府県民税の納付、法人事業税の納付、地方法人特別税の納付、法人市町村民税の納付、事業所税の納付、個人住民税 退職所得に係る納入申告です。

法人税割+均等割で計算

法人住民税は、法人税割+均等割=法人住民税で出すことができます。法人税割の出し方は、法人税額をそのまま課税標準とし、税率かけます。税率は、法人の規模や、各都道府県、各市区町村により異なります。支店などが他の県、市にある場合は、課税標準である法人税額を事務所の従業者の比で分割することで、各課税団体ごとの課税標準額を計算します。

例えば、法人県民税率5%、法人市民税率12.3%の地方で本店のみの場合で、本店従業員数10人、法人税額1,000,000円で計算してみます。道府県民税は、1,000,000×5%=50,000円、市町村民税は、1,000,000×12.3% =123,000円となります。
また、支店がある場合で、本店従業員数6人、支店従業員数4人、法人税額1,000,000円場合を見てみましょう。道府県民税は、本店が1,000,000×10分の6×5%=30,000円で支店は、1,000,000×10分の4×5%=20,000円となります。

市町村民税は、本店が1,000,000×10分の6×12.3%=73,800円で、支店が1,000,000×10分の4×12.3%=49,200円です。道府県民税、市町村民税ともに、本店と支店の合計は、本店のみの場合と同額になるのです。

均等割は定額で決められている

均等割は、定額で決められているため、所得に関係なく均等割が定められていて、赤字決算であっても均等割は支払わなければなりません。均等割は、難しい計算はありません。法人の規模である資本金等の額や従業員数、事業所所在地ごとに異なり、所得に応じて変動するものではありません。そのため、法人の所得が赤字の場合も均等割については納税しなければならないのです。
均等割額については、各都道府県、各市町村によって異なるため、各都道府県、各市町村の自治体のホームページに載っているので、確認しましょう。資本金等の額というのは、資本金の額又は出資金の額と、株主等から法人に払い込みまたは給付した財産の額で、資本金または出資金の額として入れられなかったものなどの合計額の事です。

均等割の例を千葉県千葉市を例に挙げます。資本金等の額が50億円を超える法人は、従業員50人以上で、3,000,000円、50人以下で410,000円、資本金等の額が10億円を超え50億円以下である法人で、従業員50人超の場合、1,750,000円、50人以下の場合410,000円です。
資本金等の額が1億円を超え10億円以下である法人で従業員50人超の場合、400,000円、50人以下の場合、160,000円で、資本金等の額が1千万円を超え1億円以下である法人で従業員50人超の場合、150,000円、50人以下の場合、130,000円です。資本金等の額が1千万円以下の法人で従業員50人超の場合、120,000円、50人以下の場合、50,000円です。

公共法人及び公益法人等のうち均等割が課税されるものや、人格のない社団等のうち収益事業を行うもの、一般社団法人及び一般財団法人、資本金の額又は出資金の額を有しないものなどは、一部の規定をの除き、50,000円です。

法人住民税は赤字であっても均等割を支払う必要がある

法人住民税の均等割は、他の税金と違い、金額が決められているため赤字であっても支払わなければなりません。法人税などは、所得や利益に応じていたりしますが、決まった額の場合は、支払える準備をしておきましょう。
万が一赤字の場合は、税金が払えず、遅延や税務署から催促が来るなど様々な弊害が生じます。自身が所属している事業所がどの位置にあたるのかを明確にしておきましょう。

また、地方住民税は、事務所などが所在する地方自治体によって、税率なども含め、異なることも多いので、各自治体に確認しておきましょう。支払い方法に限っては、何種類かあるので、効率よく行える方法を使用すると良いです。
特に、新規事業をし始めた初めての税金の支払い等は、ミスをしてしまう可能性も高いので、一度は各自治体や税理士としっかりと相談することも大切です。申告のしかたを確実なものにし、遅延金など無駄なお金を払わなくて済むようにしましょう。

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