「法人税の予定(中間)申告書が税務署から送られてきたけど、どうすればいいの?」
「自分の会社は中間申告の対象となる?」
法人税に関してこのような悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか?
中間申告には、予定申告と仮計算による中間申告の2種類があり、法人税の中間申告の対象となる企業は前事業年度の法人税額が20万円を超えた場合です!
この記事では、法人税の中間申告について基本的な知識や方法について解説を行っています。
法人税についての理解を深め、事業活動を円滑に進めていきましょう!
目次
1.法人税の中間申告とは
法人税の中間申告とは、法人税を納める機会を2回に分け、確定申告の際にその年の法人税額を調整する仕組みです。
この章では法人税の中間申告の基本的な知識について以下の2章から解説していきます。
- 法人税の中間申告とは
- 法人税の中間申告の対象
順に解説をしていきます。
(1)法人税の中間申告とは
法人税の中間申告とは事業年度の途中で法人税を前払いし、年度末の決算で過不足分を調整する納税の仕組みです。
中間申告を行うことで企業や国、地方自治体に以下のメリットが及びます。
納税を2度に分けることで、期末に1度に納税をする場合と比べ早い段階で支出を可視化し資金繰りの目途が付きやすくなります。
法人税の中間申告は事業年度が開始した日から6ヶ月後から2ヶ月以内に中間申告書を提出するというルールがあります。
そのため3月末決算で4月1日に事業が始まった企業は10~11月末に中間申告を行う必要があります。
(2)中間申告は2種類ある
法人税の中間申告は以下に示すように「予定申告」と「仮計算による中間申告」の2つがあります。
予定申告:前事業年度に納めた法人税額の6ヶ月相当額を、申告・納税するという制度のこと。
仮計算による中間申告:当事業年度の中間時点で仮の決算を行い、納税額を計算する方法のこと。
仮計算の場合、前事業年度は利益がかなり出たが当事業年度になってから業績が悪化した場合に支出額を抑えることが可能です。
しかし、通常の決算と同様の書類提出が求められるため、一般的には予定申告が利用されます。
(3)法人税の中間申告の対象
法人税の中間申告の対象となる企業は前事業年度の法人税額が20万円を超えた場合です。
対象企業は予定(中間)申告書用紙が税務署から送られてくるため、その書類に適切な事項を記載し提出すれば問題はありません。
なお、前年度にe-Taxで確定申告をした場合はe-Tax上のメールボックスでのお知らせとなります。
法人税の中間申告の対象とならないのは、前年の法人税額が20万円未満の場合や設立1年目の企業です。
また、一般社団法人などの公益法人等は中間申告の義務を負いません。
2.中間申告の方法
中間申告の基本的な知識について押さえたところで、申告する方法について予定申告の場合と仮決算の場合に分けて解説します。
(1)予定申告の場合
予定申告とは、前事業年度の確定法人税額の6ヶ月相当額を申告する方法です。
あらかじめ申告に必要な金額等が記載された申告書が税務署長から送られてくるので、それに署名押印して申告します。
なお、納付を行えば申告は不要です。
以下ではその計算方法について解説します。
#1:計算方法
予定決算の計算は以下の式で表されます。
前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数(12ヵ月)×6=中間(予定)納税額
ちなみに、予定申告は法人税の前払いという考えなので1年分の法人税額を算出した結果、その納税額が中間納税額を下回った場合は、その差額分が税務署から還付されます。
(2)仮計算による中間申告の場合
仮計算による中間申告を行う場合は、通常の決算と同様の書類を作成し提出する必要があります。
そのため、以下の書類の提出が必要です。
- 上期6ヵ月分に関する法人税の申告書
- 上期6ヵ月分の財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)
- 上期6ヵ月分の勘定科目内訳明細書
- 上期6ヵ月分の株主資本等変動計算書または社員資本等変動計算書
この場合、たとえ上半期に納税を行う法人税額が0円でも提出を行わなくてはなりません。
上記の書類を提出しなければ、予定申告による中間申告書を提出したとみなされます。
また仮決算によって法人税の過少申告を行えば罪に問われ追加課税が課されるので注意をしましょう。
3.法人税の中間申告に関する注意点
この章では法人税の中間申告の注意点について解説します。
- 中間申告書を提出しない場合でも、納付は期限内に行う
- 合併した法人である場合は中間申告の必要がある
順に解説します。
(1)中間申告書を提出しない場合でも、納付は期限内に行う
中間申告で納める税金がある場合は必ず期限内に納付しましょう。
申告がない場合は、前年度の約半分を納税額とする予定申告が行われたとみなされます。
中間納付についても、納付が遅れた場合延滞税がかかるので注意しましょう。
(2)合併した法人である場合は中間申告の必要がある
先ほどでは設立1年目の企業は中間申告の必要がないと説明しましたが、合併した法人の場合は中間申告が必要になります。
その理由は、設立1年目の場合は基準となる前年度決算がないため中間申告ができませんが、合併した法人の場合前年度決算より中間申告が可能だからです。
ちなみに、合併により新設された法人については、合併法人の前事業年度での確定法人税額に被合併法人の前事業年度の確定法人税額を加味して判断し、中間納付額を計算することになります。
まとめ
今回は法人税の中間申告について解説を行いました。
法人税は、あくまでも前払い(仮払い)ですが、期の途中にて見込みで払う必要があるため、注意しましょう。