会社によって異なる法人税の申告期限を要チェックしておこう

法人に課せられるものの1つが法人税。個人とは違い申告期限の期日が決まっているわけではありません。会社ごとに異なる決算日が法人税の申告期限と綿密に関わっていることをご存知でしょうか。超過してしまうとペナルティが課せられることも要チェックです。

目次

法人税の申告期限と必要書類

申告は決算日から2ヶ月

個人が行う確定申告の申告期限は一律で年度末に設けられています。しかしその一方で会社が申告しなければならない法人税の申告期限は、それぞれの会社によって異なります。

法人税の申告期限はその会社の事業における年度の終了日、いわゆる決算日と密接に関係しています。この決算日は会社が定める期日であり、国税庁が指定しているというものではありません。しかしながら、法人税の申告期限としてはその会社の決算日の翌日から2ヶ月以内と定められています。

ただし、その決算日の翌日から数えて2ヶ月目が税務署の閉庁日の場合は翌開庁日を申告期限としています。

申告時に必要な書類

法人税法の第七十四条に定められているように、法人税の申告にはその事業年度の貸借対照表、損益計算書を含む財務省により定められている書類を提出する必要があります。保存期間の定められている書類も多々あるため注意しなければなりません。申告の際には以下の書類を準備しておきましょう。

【必要書類】
☑ 別表書類
☑ 決算報告書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)
☑ 勘定科目内訳明細書(科目明細書)
☑ 法人事業概況説明書(事業概況書)

また、この法人税の申告に当たり作成する申告書の提出しなければならない部数については、その会社の資本金や法人税額に関係して決まります。また申告書の提出先の税務署から送付されてくることから、それぞれの税務署によっても異なってきます。

税務署による規定もありますが、基準としては以下のような提出部数の変動があります。

☑ 資本金が1億円以上の会社:法人税申告書3部+OCR用紙
☑ 資本金が9,000万円以上もしくは法人税額が5,500万円以上の会社:法人税申告書2部+OCR用紙
☑ 上記以外の会社:法人税申告書+OCR用紙

※法人税の申告をe-Taxを利用して税務署に送付する場合、必要書類を書面にて送付することも可能です。この場合には申告書等送信票(兼送付書)とともに提出する必要があります。

法人税の申告期限を過ぎてしまった場合

無申告加算税が課せられる

万が一、法人税の申告をしていないとしましょう。そうなると、その法人において税務調査が入ることになります。この時に重要なのがタイミングです。それは、税務調査が行われる前に申告忘れに気づいてすぐに申告すれば、その納付税額の5%が無申告加算税として加算されるという結果に終わります。

しかし、その税務調査の前にも気づけずに実際に調査後に申告することになった場合、もしくは納付すべき税額が他に発覚した場合には50万円まではその納付税額の15%が、50万円を超過した分に関しては納付税額の20%が加算されることになってしまいます。

延滞税が課せられる

法人税の納付期日は、原則として申告期限の期日と同日であるとされています。ところが、申告自体が申告期限を超過していた場合には「延滞税」を納める必要が出てきます。

申請書を提出した日が法廷期限とされる期日の翌日より期限が過ぎた日であることから、その期日を超過した日を0日と考え、その「翌日以降2ヶ月」を経過する期日(1ヶ月)の期間であれば年「7.3%」の割合が課せられます。ただし「特例基準割合+1%」の方が低い場合には、こちらの割合を加算する場合もあります。また、「翌日以降2ヶ月」を経過する期日(1ヶ月)以降になった場合には年14.6%の割合が計算の対象となります。

※特例基準割合:その年の2年前の10月より1年前の9月までのそれぞれの月において銀行で新規として短期貸出約定の平均金利の合計値を12で割った数値を割合とします。これはその年の前年に財務大臣が12月15日までに告示するため、この割合に1%を加算したものが「特例基準割合+1%」という扱いになります。

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法人税の申告期限を延長出来る場合と注意点

会計監査人の監査を受けなければならない場合

決算において重要な役割を担うその会社の監査役や会計監査人が万が一不在であった場合には、申告をすることはおろか、会社の決算を確定することもできません。また、監査を受けること自体においても時間を必要としている状況になります。そんな場合にはその地域を管轄している税務署にて申告の期限の延長手続を行うことが可能です。この場合には、その1ヶ月後までを延長申告期限とします。

株主総会の開催を定めている場合

会計監査人を会社に置いていないという会社も中にはありますが、その場合には株主総会をその代わりとして開催する会社もあります。会社によっては、定款により株主総会の開催の期日を定めている会社もあるため、やむをえず申告期限を超過してしまう場合には申告の延長措置を申請します。

株主総会とは、原則事業年度終了日から3ヶ月以内に開催するのが通例とされているため、この場合においても申告期限は1ヶ月の延長期間を持つことが許されています。

災害等やむを得ない理由がある場合

災害等やむを得ない理由がある場合には、その管轄部署自体も機能を成していないと判断することができるため、その災害等が収束した日より2ヶ月以内という延長期間を設けることが可能です。

また震災をはじめとする「地域に関わる災害」の場合には、地域指定による期限延長という措置が取られます。これは国税庁長官の判断によりその地域や期限が定められます。

一方、個別指定による期限延長というものがあります。これは国税庁長官が関わらなかった地域にある会社や、その会社が地域指定が行われた地域にあったために被災した場合です。

またはその会社の本店が指定地域以外に立地していたために、地域指定による期限延長の対象とならない場合など。直接大きい被害のない会社や事業所において、延長措置を必要とする場合に適用されるものです。

納付期限は延長出来ない場合がある

法人税の申告期限はある条件を満たせば延長をすることは可能ですが、法人税の納付期限については原則的に延長することができません。

しかしながら、震災をはじめとする大規模な災害が起こった場合には納付をしようとしてもその管轄する部署が機能していなかったり、場合によってはその地域を管轄している税務署や金融機関までもがその影響を受けて機能を失っていることもあります。そういった災害等やむを得ない理由がある場合のみ、法人税の納付期限は延長できると定められています。

延長日数に応じて利子税が加算される

法人税の申告期限の延長に際し、その期間に課されるのが「利子税」です。納付期限を超過することで法人に利益が生まれてしまう可能性があること。また会社都合の場合においては、あらかじめ決算日より2ヶ月が申告および納付期限が定められている上で期限の延長措置であり、災害等を含むやむを得ない理由ではないことから会社はこの利子税を納めなければなりません。

この利子税額は実際に納める税額に、超過してしまった期限日より数えた日数に応じて年間7.3%が加算された額となります。

見込納付で利子税を回避する

法人税を納める上で必要となってくる「見込納付」の役割。これは、申告税額が定まっていないことを理由として、納付期限までに納税できない場合に課される「利子税」の回避手段というものです。

当然のことながら「見込」という字の付く以上、「見込納付額」は概算でしかありません。「見込納付」による納税額と実際に算出された申告内容に差異が生まれるため、この場合には確定申告の修正として更正の請求書をその地域を管轄する税務署の税務署長に提出する必要があります。

また、この「見込納付」の際に税額を余裕をもって多めに納付した場合でも、申告をした後に差額として算出されるため還付という形で納付した会社に返還されるため損失には繋がりません。

以上のことから、申告期限の延長を申請することで、納める必要のない利子税を納めなければならないという状況を回避することができます。

法人税の申告スケジュールを確認し期限を守る

全国的に一律でその申告期限が定められていないのが法人税。それぞれの会社の決算日の翌日より2ヶ月と、会社のスケジュールに合わせて定められているほか、会計監査の必要性もしくは株主総会の開催など中には延長の必要のある場合も出てきます。

状況に応じて適宜対応できるようスケジュール管理をする必要があります。また、法人税は申告期限の延長はできても、やむを得ない理由がない限りその納付期限の延長は不可となりますので注意しましょう。

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