目次
開業届とは
青色申告するためには届出が必要
事業を始める際に、いきなり株式会社を立ち上げるのではなく、個人事業主として開業するケースも多いかと思います。その際に、開業届を出さなくとも事業を始めることは可能です。また、開業届を出さずに事業を始め、一定以上の利益が出た場合には確定申告が必要になります。
一定以上の利益は、扶養の有無によっても変わってきますので、自身のケースに当てはめて、確認をしましょう。この場合は白色申告をすることになり、利益の金額によっては、白色申告で十分なケースもあります。白色申告は、青色申告よりも項目が少なく申告の時の手間が少ないことがメリットです。
一方、青色申告をするメリットは、税控除額が増えることにあります。その分、申告にかかる手間も増えますので、年間の利益とはかりにかけて、どちらにするか決めるとよいでしょう。青色申告をするためには、開業届が必要になります。こちらも、税務署で作成し、届け出をすることができます。同時に青色申告承認申請を出す必要があります。青色申告をするには事前申請が必要ですので、同時に行っておきましょう。
入手方法と提出先
開業届の入手方法は、インターネット上でも可能です。国税庁HPから、ダウンロードすることができます。または、最寄りの税務署でも、もらうことができます。開業届は所在地の税務署に行って、申請する必要がありますので、管轄の税務署を調べておきましょう。開業届は、二部作成し、申請した際に、控えを一部もらうことができます。
この控えは、個人事業主として開業をした証明となりますので、大切に取っておきましょう。今後、何らかの形で証明が必要な際に利用することができます。また、提出は郵送でも可能です。国税庁HPから、ダウンロードした用紙を郵送すれば、税務署に行くことなく、申請を完了することも可能です。この場合は、郵送にかかる日数がありますので、少し早めに出すようにするとよいでしょう。開業届は、開業してから1ヶ月以内に出す必要があります。
開業届の書き方
提出先の入力
開業届を提出する先を知りましょう。管轄の税務署名は国税庁のHPより検索し調べることが可能です。管轄の税務署がわかれば、そこに開業届を提出することができます。提出先は管轄の税務署長になりますが、管轄の税務署に提出すると考えておけばOKです。開業届は開業してから1ヶ月以内に提出すればよいです。
また、書いて提出するための時間はあまりかかりません。わからないことは税務署に行けば教えてもらえます。税の相談を受け付ける制度がありますので活用しましょう。ただし、事前に準備しておくべきものなどはありますので、あらかじめ国税庁のHPで調べておくとよいでしょう。とにかく不安がある場合は、開業する前に一度税務署に出向き、相談してみるとよいでしょう。
納税地の入力
開業届には納税地の入力が必要になります。法人であれば、事務所の所在地を入力する部分ですが、個人事業主の場合は、住宅地や居住地などで、開業をしているケースが多いかと思います。そういった場合は、自宅の住所を入力すればよいのです。また、個人事業主の場合は、事務所があっても、自宅住所は必要になります。
住所は、住民登録されている住所を記載するようにしましょう。今後事務所を構えるようになり、そこに納税地を移すなどする場合は、再度届け出を出し直す必要が生じます。また、その場合も自宅の住所の記載は必要になります。
氏名、生年月日、個人番号の入力
氏名、生年月日、個人番号の入力が必要になってきます。マイナンバーカードなどの個人番号が確認できるものの準備が必要になりますので、あらかじめ用意しておきましょう。開業届は、提出後には控えをもらえますので大切に保管しましょう。控えには受付印が押されています。この受付印が受付をしたという証明になりますので、忘れずに押されているか必ず確認しましょう。控えは今後開業をした証明として使用することができます。
また、個人番号の取り扱いには注意が必要です。保管に注意して、無くしたり、漏えいしたりしないようにしましょう。押印も必要になりますので印鑑も忘れずに持っていくようにしましょう。印鑑があると修正がある際にも使用できますので、修正印としても持っていくとよいでしょう。
なお、本人確認書類は、マイナンバーカードがあればマイナンバーの確認と同時に行うことができるようになります。マイナンバーの確認は、マイナンバーが記載された住民票や、通知カードでもOKです。本人確認は、免許証などでも行うことができます。必要なものをそろえて税務署に行くようにしましょう。
職業、屋号の入力
職業の入力が必要になります。職業は複数ある場合は、最低ひとつ書けばよいですが、青色申告の際に影響が出る可能性もありますので、わからないことは税務署で相談するとよいでしょう。または、日本標準職業分類を参考にしてもよいでしょう。
現在は、新しい職業が次々と出現して、新しい概念や利益の生みだし方をしています。新しいシステムに対して、旧来の職業分類では適切なものが見つからない場合があります。税務署ではこういったケースも日常的に多数対応していますので、そのような場合にはアドバイスをし、届け出の書き方をレクチャーしてくれます。
屋号は、ない場合は空欄でよいです。個人事業主の場合、屋号に「会社」「法人」は使用できません。屋号があると、屋号と本名で口座をつくれるというメリットがあり、職種によっては作っておくと便利な場合もあります。特に飲食店や小売業などを始める場合は作っておくとよいでしょう。
届け出の区分の入力
届け出の区分の入力欄がありますが、こちらには手書きで丸を付けるだけでOKです。開業の場合は、開業に丸を付けましょう。今後廃業する際などは、廃業の欄に丸を付けることになります。開業の際は、あまり考えずに、開業に丸をつければよいです。
開業届は、税務署で用紙をもらい、その場で記入してもOKです。この場合は、カーボン紙のようなものをもらい、複写で2枚作成し、控えとすることが多いようです。必要なものをすべて持って、税務署に行って書くことも説明を受けながら書けるので手早い方法と言えます。あらかじめ電話で必要事項を確認しておくと、スムーズに手続きができるでしょう。
所得の種類・開業日の入力
所得の種類・開業日の入力を行いましょう。所得の種類は該当の欄にチェックを入れるだけでOKですので簡単に済みます。開業日は実際に開業した日を記載します。ただし、開業してから1カ月以内に開業届を出す必要があることから、開業日には注意が必要です。店舗などは実際にオープンしていなくても、準備などを始めた活動開始日を記載するようにしましょう。
例えば、3年前から事業を行っていたとしても、1カ月以上さかのぼった日付は記載できないということになります。このため、青色申告を行いたいのであれば、開業届は、なるべく早めに出すようにするとよいでしょう。また、青色申告承認証明書のチェック欄は「有」にチェックを入れるようにしましょう。
開業届けに関しては、提出する際に、税務署の職員がチェックをしてくれますので、悩んだら聞くようにし、内容に関してはひとりで考えすぎないようにしましょう。青色申告による税控除などのメリットのために、きちんと1カ月以内に提出することを重視したほうがよいでしょう。
開業・廃業に伴る届出書の提出の有無
開業届を出すことは、税の控除などの問題で、メリットやデメリットがあるため、現在の状況にあった方法で届け出を行うようにしましょう。開業届を出すことで、青色申告承認を受けることができるようになりますので、青色申告によるメリットを享受することができるようになります。
青色申告をすることで、税控除を受けられる幅が広がり赤字の繰り越しができるようになるなど、メリットはたくさんあります。一方で、帳簿付けが複雑になるといったデメリットも存在していますので、どちらがよいかよく考えて選択しましょう。
また、個人事業主として廃業する際も届け出が必要になります。廃業は、法人化に伴う廃業である場合と、事業をやめる場合の廃業では異なってきますので、ケースに合わせて届け出を行うこととなります。
事業の概要
事業の概要に関しては、分かりやすく、なるべく詳しく書くとよいでしょう。事業を始めたばかりで事業の幅や内容が確定していない場合は、わかる範囲で書くことができればOKです。事業の概要は売上が上がる具体的な内容を記載するようにしましょう。
今後行っていく、または既に始めている事業の売り上げに関わる業務の内容を書くようにしましょう。端的に伝わりやすく書くことが重要です。細かく書くよりも、つかみやすいような書き方の方がよいでしょう。
アフィリエイトなどの比較的新しい業種の場合は、広告業などと書くと伝わりやすいかもしれません。どちらにしても、分からないことがある場合には税務署で聞くようにしましょう。
給与等の支払いの状況
給与などの支払い状況を記入する欄があります。ここには、従業員などがいて給与を支払っている場合に入力してください。給与支払いの対象は、家族であってもOKです。これが、青色申告をするメリットのひとつで、家族への給与支払いを税控除の対象にすることができるのです。きちんと書いておくことで税控除の幅が広がりますので、給与支払いがある場合は記入しておくようにしましょう。
また、給与の支給人数が常時10人未満の場合は、納期の特例の申請書を提出することができます。これによって、源泉所得税を年2回にまとめて納付することができるようになりますので、納税に係る事務を大幅に軽減できることになります。該当する場合はこちらも申請するとよいでしょう。
また、今後給与の支払いが発生した場合は、青色申告を実際に行うときに申告する方法もありますので、現時点で不明、または給与支払いがない場合は空欄にしておいてよいです。
分からない欄は空欄で持っていこう
開業届けを書く際にわからないことがあり悩むのであれば、空欄で管轄の税務署に持っていくとよいでしょう。分からない点がある場合には説明をして受付をしてもらえます。とくに、職業欄は現在の職業が多数ある状況では記載方法に悩むことが多いようです。
税務署では開業届の書き方の相談も受け付けており、個人事業主のための確定申告のセミナーなどの紹介も行っています。一度行ってみることで得るものも多いので、まずは税務署に行ってみるとよいでしょう。とにかく、分からないことはすぐに相談するようにした方が結果的に速く届け出を完了することができます。