就職や転職をすると、その企業の属する保険者の健康保険に加入します。手続きをして被保険者証が手元に届くまでの間、不便で不安です。その期間に使えるもの、それが「健康保険被保険者資格証明書」というものです。手続き方法は実は、理解できるとごく簡単な内容です。
目次
健康保険被保険者資格証明書の役割
健康保険を手続き中で保険証が手元にない時に申請
就職転職してすぐに、病院に行くことになったとき、「保険証(被保険者証)ないからどうしよう?」職場の事務に聞くと、すぐには届かないと言われます。保険証がないと全額自己負担で診てもらうか、病院に行くのを待つか?という選択にせまられます。
待てないときは、もちろん困ります。何故、すぐに届かないのか?実は、健康保険は健康保険協会が取り扱い期間です。しかし、その申請や届出という事務処理は、別のところになる日本年金機構の実際の業務機関である、「年金事務所」で取り扱っています。
被保険者証発行には、まず、年金事務所に申請書類を提出します。すると、年金事務所内で、書類審査、本人確認などを行います。その結果が健康保険協会に届き、被保険者証が発行されます。その後、健康保険協会から事業所に届く、という3段階のプロセスがあります。このために保険証発行には、2〜3週間かかるようです。3週間というのは、特に4月などの忙しい時期に限られるようですが。
この被保険者の資格ですが、発行されていなくても、就職し健康保険への申請をした日付が資格取得日です。でも、保険証が直ぐに必要だからなんとかして欲しいという人も出てきます。
その時には、「健康保険被保険者資格者証」を申請するという方法があります。
本人と扶養者が利用できる対象
人は今日健康でも明日、明後日、大病をするかもしれません。大怪我をして病院に運ばれることもあるでしょう。本人は健康でも家族、被扶養者が病気をして、または、定期的に病院に受診中であるなら、かなりの確率で医療機関に受診することは多くなります。その場合、一時的にでも保険証が無いのは、とても不便です。
その時は、一時的に全額自己負担を支払い、1ヶ月以内に保険証を持っていき、払い戻しを受けなければなりません。少し面倒です。
安心して病院で診てもらうために、本人も被扶養者にも、この「健康保険被保険者資格証明書」はすぐに利用できる優れものの書類です。
保険証と同じ負担額で病院を受診できる
通常、まず、医療機関に行くと受付で被保険者証を提示します。すると、医療機関はこの保険証の情報を元にカルテを作成し、診察を行います。診察が終わると治療や薬のお金が計算され、支払いをします。
この時に意識はしていませんが、窓口で払う費用は、その時に掛かった医療費の3割です。領収書、明細書を見ると分かります。
これが、保険証が無いと、どうなるか?まずは、過去に受診歴があったとしても、カルテと被保険者証の照合ができません。この時点で、窓口で10割負担になると告げられるかもしれません。
仕方がないから、とりあえず全額自己負担で支払うでしょう。そして、被保険者証が届いてから、後日に再びその医療機関を訪れて、7割分の医療費の払い戻しを受けるということをしなくてはなりません。自宅から医療機関が遠くにあったり、仕事や用事で改めて行く時間がなかなか取れないこともあり、手間だなと感じます。しかし、このときに「健康保険被保険者資格証明書」があると保険証と同じ負担額の支払いで受診できることになります。
健康保険被保険者資格証明書の申請に必要な書類
健康保険被保険者資格証明書交付申請書はwebで
健康保険被保険者資格証明書の交付の手続きですが、まず、申請をしなければなりません。この手続きに必要な申請書は「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」というものです。
現在、健康保険の被保険者証の発行は健康保険協会です。でも、資格に関する申請手続き関係は年金事務所で取り扱っています。
直接年金事務所にもらいに行くか、または、年金事務所の主体である「日本年金機構」という機関のwebからダウンロードができます。
日本年金機構、健康保険に関する申請書一覧
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被保険者の身分証明書
資格者証交付申請の手続きは、年金事務所に書類を提出しなければなりません。このときに本人確認のために、身分証明書が必要になります。
一般的な身分証明書と同じで、運転免許証、個人番号カード、パスポート、在留カード、身体障害者手帳などがあります。これらの物は、一つだけで本人の身分証明書として有効です。
これ以外には、児童扶養手当証書、公的年金の年金証書、年金手帳、年金手帳、金融機関の預貯金通帳なども上げられますが、2種類以上同時に提出する必要があるようです。
事業主以外の申請は委任状が必要
手続きは郵送か窓口持参で行えます。この年金事務所への窓口には本来、事業主が出向き、手続きしなければなりませんが、事業主の代わりに事務担当者や、被保険者本人が行き手続きもできます。
しかし、この場合には事業主の委任を受けていることが分かる「委任状」が必要となります。委任状については特に決められた様式はありません。事業主が窓口に行った人物に、「証明書受領について委任している」という内容が記載されていれば大丈夫です。
健康保険被保険者資格証明書の提出方法
事業所の管轄の年金事務所の窓口へ持参
必要書類が準備できると、その提出方法は、そう難しくはありません。2つの方法があります。先ず、管轄の年金事務所の窓口に直接持参する方法です。年金事務所は全国に312ヶ所あるようです。日本年金機構のサイトで確認できます。
この年金事務所の窓口に必要書類を揃えて、もちろん委任状も、提出することで、即日発行が可能なようです。これで、ひとまず被保険者資格証明書の手続きは終わりです。
年金事務センターへ郵送
また、年金事務所が遠方であったり、事務担当者も本人も多忙で、年金事務所の営業時間内に行くことが出来ないこともあるでしょう。その営業時間は、平日(月曜日〜金曜日)の8:30〜17:15までです。
営業時間内に行くことが出来ないならば、郵送で書類を送ることが出来ます。これは年金事務所宛てではなく、各都道府県にある【年金センター】に送ります。年金センターの所在地は日本年金機構のサイトで確認できます。
必要書類を郵送すると、その後、3日程度で資格証明書が発行され送られてくるようです。
被保険者資格取得届と一緒に出すのがおすすめ
年金事務所または、年金センターへ、提出する書類は、3種類あります。
「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」と本人の「身分証明書」と、そして、もう一つ、忘れてはならないものがあります。
それは、「被保険者資格取得届(被扶養者異動届を含む)」です。被保険者の資格を取るために手続きをしたときの書類です。あくまでもこの書類が先に提出されていることが大事です。
この「被保険者資格取得届」の写しを一緒に提出することによって、資格があることが早く確認できるために一緒に提出することがおすすめです。
健康保険被保険者資格証明書を発行した後は
利用できるのは有効期限まで
さて、無事に資格証明書が届いたら、医療機関で使えます。この証明書ですが、あくまでも一時的なものです。資格証明書にはどんなことが書かれているのでしょうか?
被保険者氏名、そして、証明日、有効期限日が記載されています。注意しないといけないことは、有効期限は、証明された日付から20日以内です。この20日間が利用できる期間です。
本当に直近で医療機関を受診するときにすぐに使いましょう。そして、もうひとつ大事なことですが、この証明書は1枚です。だから、本人と被扶養者とは同じ日に他の医療機関にはかかることができません。コピーでは通用しないので注意してください。
被保険者証の提出は月が変わると同じ医療機関でも再び提示を求められるので注意しましょう。被保険者証に変更が無いと言っても、医療機関では必ず、提示を求められます。病院では、毎月正確な、保険請求事務を行うために確認が大事だからです。
保険証交付後は証明書を返却
証明書を使うことにより、無事に病院もかかることができました。やがて、被保険者証が手元に届きます。これで、安心して、医療を受けられます。本人も被扶養者にもそれぞれの被保険者証があります。
そのとたんに、資格証明書の存在は忘れられてしまうかもしれません。うっかりどこかにやった、紛失してしまった、あるいは捨ててしまった、という場合もあります。
効力は20日間だけだし、本人や家族以外は使えないので、大丈夫、問題ないと思いがちです。しかし、証明書発行の年金事務所からは、必ず返却してください、という説明があります。何故なら、氏名や住所や保険証の番号などの個人情報が記載してあります。つまり簡易な身分証明書にもなりえます。思わぬトラブルのもとになることもあります。速やかに年金事務所に返却しましょう。
保険証の代役が健康保険被保険者資格証明書
健康保険被保険者資格証明書という、長い名前の証明書、初めて聞いた人には耳慣れなくて難しく感じることもあります。
医療機関にかかるためには、誰しも国民健康保険や、健康保険協会の健康保険、健康保険組合、船員保険、共済組合などの被保険者に加入しています。当然、医療費の負担は3割でよいと決まっています。
ところが、転職するというときには被保険者資格はなくなります。つまり、保険証が無い、病院に行くと、全額自己負担を迫られる重大な事態になります。
転職という特別なときに被保険者証の代役を務めてくれる、それが、「健康保険被保険者資格者証」です。手続きをスムーズに行えるようになると、新規採用の従業者にとって便利な書類のひとつになります。ぜひともその手続き方法を理解して、この証明書を活用しましょう。