記帳代行の料金の相場はどのくらい?税理士の選び方とそのポイント

自社で行うことが難しい帳簿作成業務をアウトソースする記帳代行は、税理士に依頼することが多いですが、記帳代行業務を請け負っている会社もあります。料金の相場やサービスの品質を比較し、自社に合った記帳代行業者を選びましょう。

記帳代行の相場と税理士、行政書士の選び方

真摯に相談にのってくれる税理士

会社の顧問税理士となる場合、数年単位といった長期間にわたり、会社の中核となる経理を任せることになります。会社のことについて、真摯に相談にのってくれる、信頼関係を築ける相手である必要があります。インターネットで検索して得た情報や、一度対面しただけでは、信頼できる相手かどうかを見極めることが難しいかもしれませんが、不安が残る場合には、安易に決断を下さないようにしましょう。

会社にとって、決算は今後の会社経営や資金繰りに大きな影響を及ぼします。決算書を作るだけで終わってしまっては意味がありません。決算で得た数値を基に、会社の状況を把握し、会社としての対策を考えるために活用して初めて、効果を発揮したといえます。決算書を作るだけにとどまらず、決算の活用についても相談のできる豊富な経験とノウハウを持った税理士を選びましょう。

経験豊富な行政書士

税理士だけでなく、行政書士にも記帳代行を依頼することができます。行政書士の業務のうち、「事実証明に関する書類の作成」のひとつである会計記帳の業務がそれにあたります。中小企業からの依頼により、仕訳帳、総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表などを作成するもので、簿記の知識があり、仕訳がスムーズにできる人である必要があります。

経験豊富な行政書士に依頼することで、正確で迅速な対応が期待できるとともに、会計記帳にかける労力や人員、コストを最小限に留めることができます。ただし、行政書士に依頼できるのは、記帳代行の部分だけです。その後の決算申告は税理士の資格を有している人しかできません。決算申告まで含めての記帳代行の依頼を検討している場合には注意しましょう。

記帳代行を税理士ではなく代行業者に依頼するメリット

決算申告とセットの為合計金額が安くなる

決算申告の代行は税理士にしか行うことのできない独占業務です。税理士資格のない記帳代行業者に記帳代行を依頼している場合、出来上がった決算書から税金の計算、税務申告書への記載などの業務は記帳代行業者の提携先の税理士になどに別途依頼をする必要があります。

記帳という業務のみをみると、いわば単純労働なので、積極的に請け負いたい税理士は少ないでしょう。そのため、税理士は料金を下げてまで記帳代行をしようとしません。このことから、税理士の記帳代行の料金は、比較的高額に設定されています。

記帳代行業者の記帳代行料金と提携税理士に依頼する決算申告の料金を合算したものが、税理士の記帳代行から決算申告までを依頼する料金より高くては、記帳代行業者を利用するメリットを感じられません。そこで、記帳代行と決算申告までをセットにした料金を、税理士に直接依頼するより安く設定しているケースが多いといえます。個別の料金設定は業者によって異なります。依頼する業者の料金設定を確認してください。

合わなければ業者の変更ができる

記帳は月単位で行うものなので、代行業者に依頼する場合、契約の内容にもよりますが、1ヶ月で契約を終了し、別の業者に変更することができます。契約期間中の記帳さえきちんとできていれば、業者を変更しても決算申告に差支えはありません。

契約したものの、対応が悪かったり、連絡が密に取れないなどの理由で、業者を変更したい場合には、比較的簡単に業者を変更することができます。ただし、契約書に契約期間が明記されている場合には、期間内に解約することはできないので注意してください。

顧問税理士に記帳をお願いしている場合には、記帳代行業者と違い、決算申告も含めた契約になっていることがあります。その場合、会社の決算の時期まで契約が続行します。期の途中での変更は簡単にはできないので注意しましょう。

税理士が合わなければ変更できる

顧問契約をしている税理士との契約を解除し、他の税理士に変更することは人間関係の問題もあり、安易にはできません。税務に関していいたいことがあっても、税理の専門家である顧問税理士の先生に意見することはハードルの高い行為です。

その点、記帳代行業者の提携税理士の場合、税理士が合わないと感じた場合には、別の提携税理士に変更してもらうことが可能です。料金設定など、税理士と交渉したいことがある場合には、直談判しなくても、記帳代行業者を通じて交渉してもらうことが可能なので、税理士に意見しやすい環境ともいえます。

記帳代行業者経由で納得がいく提携税理士に出会うことができない場合には、記帳代行業者自体を変更して、別の税理士を探すという選択肢もあります。記帳代行業者を活用すると、顧問税理士との契約と比べて、余計な気を使うことなく、税理士を変更することができるという点はメリットといえるでしょう。

記帳代行の見積もり

記帳代行サービスを利用することによって、会社の人件費は削減され、人的パワーを主業務に集中させることができます。記帳代行サービスといっても、業務内容は多岐にわたり、どの部分までを委託するのかによって、料金も異なります。

税理士にしかできない決算申告まで含めてすべてを委託する場合と、記帳代行だけをアウトソーシングする場合とでは、料金も大幅に変わってきます。なかには、記帳代行にプラスして、税務や給与計算業務に関するアドバイスをくれたり、経理業務のコンサルティングを行ってくれる業者もあります。

どこまでの範囲で業務を委託するのかの目安と、記帳代行にかけられる費用を明確にしたうえで、複数の記帳代行業者の見積もりをとるようにしてください。そして、会社の実態に合わせた範囲の業務を予算内で依頼できる業者を選びましょう。

記帳代行をするのは資格が必要なのか

無資格税理士が逮捕

会社のお金の記録である記帳を行うには税理士の資格が必要と感じる人もいると思いますが、記帳代行を行うこと自体には、税理士の資格は必要ありません。行政書士が行うケースもあれば、まったく無資格の業者が行っているケースもあります。

記帳代行には資格が関係ありませんが、記帳代行のあとに発生する決算申告には税理士の資格が必要です。無資格の税理士が税務を行った場合、有償の場合でも無償の場合でも税理士法違反となり、罰則があります。実際に、無資格税理士が税務を行って逮捕された事例もあります。

決算申告まで含めた記帳代行を依頼する場合には、決算申告を行う税理士が、きちんと税理士資格を持った人かどうかを確認しましょう。税理資格を持っているかどうかを確認するには、税理士が持っている「税理士証票」と「税理士バッジ」を見せてもらうほか、所属する税理士会を聞き、その税理士会の登録名簿を見るという方法があります。無資格者に税務を依頼しないよう十分に注意しましょう。

有資格の税理士の事務所を探そう

決算申告の代行や確定申告書等税務署に提出する書類の作成代行、個別事例に関する税務の相談は、税理士の有資格者にしか認められていない業務です。税理士事務所に勤務しているなどの事由により、税務に関して詳しい人でも、無資格の場合には、それらの業務を行うことができません。身近に税に詳しい人がいると、ついつい相談したくなるところですが、税理士の資格を持たないのに、税務に関する相談にのることは法律違反となります。

税理士は税務に関する専門家のための国家資格です。誰に相談したらいいか分からない場合には、税理士事務所の無料相談窓口や、地域の税理士会などを経由して相談し、きちんと国家試験に合格して、資格を取得している税理士が所属する事務所を探すようにしましょう。

記帳代行を探すときは慎重に探そう

記帳代行は、一見単純労働で誰にでもできるように思えますが、会社の経理業務の一部を担うものです。記帳代行によって導き出される数値は、会社の経営状況が把握でき、今後の経営方針にも関わる重要な数値です。委託する業務の範囲によっては、有資格の税理士にしか頼むことのできない業務もあります。

経費削減を意識すると、料金だけに目がいきがちですが、どこのまでの範囲の業務を委託するのかを明確にし、自社に合った記帳代行を慎重に選ぶようにしましょう。

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