法人税の節税対策について。具体的に見直して税金の負担を減らそう

法人税の節税対策はたくさんあります。それらを1つずつ理解して具体的に見直すことで、税金の負担を減らすことが可能です。最終的には税理士などの専門家に相談することが一番いいのですが、それでも自分自身が節税について理解していることが大切です。

法人税の節税対策

法人保険をしっかり見直す

法人税の節約対策として法人保険を活用している方、もしくは検討している方は、法人保険についてよく理解してしっかり見直すことが大切です。法人税の目的は節税対策に加えて、法人に損失が出た場合の保障という意味もあります。

法人保険がなぜ節税対策になるかというと、それは法人税の仕組について知ると理解できるでしょう。法人税は所得(期末に残った利益)に課せられます。具体的には「所得(期末に残った利益)=益金(課税対象になる会社の稼ぎ)−損金(損失や経費)」となり、損金が増えると所得が減り、納める法人税も減るという仕組みです。法人保険は損金として扱われるので、結果として節税になります。

法人保険の選び方

複数の保険会社の法人保険を比べてみると保険料や返戻率が異なるため、選ぶ法人保険によっては損をする可能性があります。選び方や見直しのポイントは、以下の点です。

☑ 1.損失確認をすること。
☑ 2.保険料の支払額を確認すること。
☑ 3.保険の解約時期を確認すること。

保険を解約すると解約返戻金がかえってきます。解約する時期によって返戻金が異なるため、解約時期のタイミングを間違えると損をする可能性が出てくるのです。返戻率のピークは選ぶ法人保険によって違います。

不動産購入や売却の時期を考える

不動産の購入や売却を決算月の頃に行うと、高い節税効果が見込めます。不動産の購入で固定資産税の取得することは節税対策として利用することができるのです。

逆に不動産の売却は会社の利益が上がることに繋がり、その分が法人税に課せられてしまいます。例えば3月決算の会社の場合、2月に不動産を売却すると多額の売却益が発生し納税額が増えるということです。決算月の頃は、不動産の購入や売却についてよく考えて行動しましょう。

節税効果のある決算月まで計画を立てる

節税効果のある決算月までに計画を立てておくということも法人税の節税対策としては大切なことです。普段から計画的に節税対策を行っていると、決算期前に帳尻合わせのために慌てて節税対策をする必要はなくなります。

テクニックとしては、未払費用を事業年度内に計上する、短期前払費用を事業年度内に損金として計上するなど。未払費用とは、事業年度内にサービスを受けて、その費用を次の事業年度に後払いするもの。前払費用とは、未払費用の逆の意味で、これから受けるサービスを前払いすることをいいます。

その他に普段からの節税対策は

☑ 1.大きな黒字が見込まれるタイミングを見通して、確実に予定されている支出のタイミングを調整する。
☑ 2.役員の給与を一般従業員と同じように毎月一定額支給の「定期同額給与」にして損金に算入する。
☑ 3.役員の賞与を損金に算入するために、事前確定届給与にする。
☑ 4.出張が多い会社は、出張旅費規程を作成して出張手当の制度を整える。
☑ 5.減価償却費資産を中古で購入することを検討する。
☑ 6.中小企業の場合は、研究や開発に関する優遇税制を利用する。

売上の計上基準を見直す

税法上では、売上の計上時期は原則として収益が実現した時期としています。現金の入金などがなかったとしても、収益の実現がいつなのかの基準を見直すことが大切です。

掛けの売上の計上の場合、現金が入ってこないのに税金を払わなくてはいけないので、資金繰りの観点からして収益の実現の日をできる限り遅くするというのも見直すポイントとなります。売上の計上基準は、一度見直したら毎期続けて適用することが必要です。

売上の計上(収益の実現)の基準

☑ 1.出荷基準(商品の出荷時に引き渡しがあった時点で売上を計上する。)
☑ 2.検収基準(相手先が検収して、その確認通知を受け取った時に売上を計上する。)
☑ 3.使用収益開始基準(商品を販売したら、販売先でその商品が使用可能になった時に売上を計上する。)
☑ 4.検針日基準(電気、ガス、水道等の販売の時、取引先で検針で販売数量を確認した時に売上を計上する。)
☑ 5.工事進行基準(工事期間中に完成が近づくにつれて収益が発生するとみなし、工事の進み具合によって売上と原価を計上して各会計期間に分配する基準で、主に建設業で用いられています。)

在庫管理を徹底する

決算期前には、棚卸資産といわれる売り物の商品(売却損、評価損、廃棄損)を損金に算入できることもあります。決算期前に体調に売れ残った在庫があれば、決算セールなどをして原価よりも安く売ることで、原価との差額を損金として計上できるという仕組みです。

商品価値を低く変更した場合、商品評価減を計上できる場合もあります。また、売れる見込みがない棚卸資産は廃棄処分をすることで、その廃棄損を計上することが可能です。

役員報酬を見直す

従業員の賞与を決算前に支給することで損金に算入できますが、役員の賞与は損金に算入することが認められていません。役員の賞与を損金に算入したい場合は、事前確定届出給与をする必要があります。

事前確定届出給与とは、会計年度の最初の4ヶ月目までに賞与の金額と支給時期を税務署に届け、その通りの金額と日にちに支給すること。それができた場合のみ損金に算入することが認められています。届け出た金額が1円でも違ったらいけないですし、日にちも1日でもずれていたら認められないので、事前確定届出給与をする場合は注意が必要です。

会社の車を税金対策する重要ポイント

値段安定の中古車購入が良い

会社の車で節税対策をするなら、値段が安定している中古車を購入しましょう。中古車購入で節税するためには、減価償却の仕組みが深く関係してきます。

減価償却とは、何かを購入した際に一括で費用を計上するのではなく、耐用年数に応じてその費用を分割し、毎年少しずつ計上していくという経費処理方法のこと。会社の車も固定資産に該当するため、購入した際に一括で費用を計上することができず、購入した車の耐用年数によって減価償却の経費処理をし、数年にわたって費用を分割することになります。しかし、30万円未満の中古車であれば、購入した年度に取得価格を全額償却することが可能です。

耐用年数と売却について

例えば100万円で購入した車の耐用年数が5年だった場合、1年ごと(あるいは1ヶ月ごと)に帳簿上で車の価値を引き下げるため、1年ごとに20万円の価値が失われている計算になります。5年経つとほぼ0円の価値になるということです。これらは帳簿上で行われ、「簿価」といわれています。

法人が車を売却する時は、簿価が大きく影響します。例えば簿価が10万円の車を売却する場合、もし車の売却価格が10万円以下だったら損金が発生するので、その損金を売却損として計上できるのです。逆に売却価格が10万円を超えた場合は利益になった額を売却益として計上します。

通常の減価償却とは違う処理ができる場合

☑ 1.取得価格が10万円未満で使用可能年数が1年未満の場合。(少額の減価償却資産として扱われ、購入時の経費にできる。)
☑ 2.取得価格が20万円未満の場合。(法人税法施行令により、各事業年度ごとに全部もしくは一部の合計額を一括して3年間で償却する「一括償却資産の損金算入の規定」を選択できる。)
☑ 3.取得価格が30万円未満の場合。(租税特別措置法に定められた条件を満たせば、購入年度に取得価格に相当する額を経費として計上できる。)

減価償却のメリットを利用する

減価償却のメリットは、減価償却費を毎年の費用に計上できることです。そうすることで毎年出る利益を減額して計上できるので、法人税の節約につながります。

さらに売却した際には、売却益や売却損が出る可能性もあります。ただし売却益が出たとしても、実際に会社に利益が出たということではないので注意しましょう。

事業年度の初めに購入検討

節税対策として会社の車の購入を検討しているのであれば、事業年度の初めに購入しないと節税効果を得られません。法人の車の受け入れ価格は、減価償却後の金額を計上するということがポイントです。

例えば中古車で購入したとしても、年度末に購入したとなると1ヶ月分しか償却できないので節税効果が大幅に少なくなります。節税のために購入するのであれば減価償却の仕組みやルールをよく理解したうえで、事業年度の初めに購入を検討するようにしましょう。

節税対策で会社発展につなげる

法人の節税対策はたくさんあり、細かい知識や複雑な計算などの専門的な知識を勉強する必要があったりして面倒に思ってしまうかもしれません。しかし会社の経営をうまく行うためにも、節税について理解し対策をしていくということは重要なことです。

最終的には税理士などの専門家にお願いするとしても、ある程度は知識を知っておく必要があります。上手に節税対策をして会社の発展につなげましょう。

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