給与支払報告書にはマイナンバーが必要!その対象と提出方法とは?

「給与支払報告書ってどのように書く?」
「年末調整でマイナンバーが必要になったがよくわからない。」

マイナンバー制度の導入によって、平成29年度 (平成28年分)より年末調整にマイナンバーの記載が必要になりました。

新制度の導入でマイナンバーをどのように記入するのか、どのように管理すれば良いのかなど疑問点も多いでしょう。

この記事では、そんな給与支払報告書のマイナンバーに関する疑問点を解説します。

マイナンバーの記載・管理方法を理解し、円滑に年末調整を進めましょう!

1.給与支払報告書とは

給与支払報告書とは住民税の計算の基となる書類で個人別明細表と総括表に分かれています。

個人別明細表は従業員の年間給与や控除額等を記載する必要があり、記載内容は源泉徴収票と同様です。

従業員1名につき2枚を作成する必要があり、従業員が居住する市区町村に提出します。

統括表は個人別明細表を束ねて提出する際に表紙にする書類で、その市区町村に住む従業員の数や会社の法人番号などを記載します。

(1)給与支払報告書の対象

給与支払報告書は給与を支払ったすべての従業員に対して作成しなければなりません。

給与を支払った従業員とは、パートタイムやアルバイトなどの雇用形態でも作成する必要があります。

特例として、1年間の内に退職し給与支払額が30万円以下の場合は、個人情報を収集するのが困難である事から、支払報告書の提出を行わなくてもよいです。

ただし、適切に住民税を徴収するという観点から給与支払報告書の提出は推奨されています。

市区町村によってはその特例がなく、提出が義務化されている場合もあるので各市区町村の公式HPを確認しましょう。

(2)給与支払報告書の提出

給与支払報告書は給与を支払っている会社(または個人事業主)が各市区町村に提出します。

なお、2021年の情報を提出する場合は、以下のようになります。

提出対象

2021年1月1日に在籍している全従業員の2021年1月~12月の給与

提出期限

2022年1月31日まで

提出先

2022年1月1日現在で従業員の現住所のある各市区町村

※31日が土日祝日と重なる場合には、次の平日となります。

提出は各市区町村の市役所市民税課に紙媒体で送るかeLTAXや光ディスク等の電子媒体で送ることが認められています。

なお、前々年に提出した、支払調書や源泉徴収票の枚数が100枚以上を超える場合は電子申告が義務となっているので注意しましょう。

さらに詳しく、給与支払報告書について知りたい方は以下の記事にて解説を行っているのでぜひ読んでみてください。

給与支払報告書とは?給与支払報告書を提出する際の3つの注意点

2021.01.05

2.給与支払報告書にはマイナンバーが必要

平成29年度(平成28年分)より給与支払報告書にはマイナンバーの記載が必要になりました。

マイナンバーは給与を受ける従業員本人分とその扶養家族の分のマイナンバーが必要になります。

年末調整時には、その他にも源泉徴収票や扶養控除等(異動)申告書にもマイナンバーが必要になるので注意をしておきましょう。

なお、年末調整時に必要な書類については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【年末調整攻略】年末調整の際に必要書類となるものとスケジュール

2021.01.05

(1)企業の総務・経理担当が行わなければならないこと

まず、企業の経理や総務の方が行うべきことについてマイナンバーの収集・管理の2つに分けて解説をします。

#1:マイナンバーの収集について

マイナンバーを従業員から収集する際は、利用目的の明示と本人確認が要件として義務付けられています。

まず、企業の経理・総務担当の方は従業員に年末調整に利用することを通知しマイナンバーを収集するようにしましょう。

マイナンバーの収集時には本人確認として身分確認とマイナンバー確認が必要であり、従業員にマイナンバーカード(個人番号カード)等の以下の書類も同時に提示してもらうようにしましょう。

本人確認の必要な書類

  • マイナンバーカード(個人番号カード)
  • 通知カードと運転免許証
  • マイナンバー(個人番号)が記載された住民票の写しと運転免許証

この際、従業員の扶養者のマイナンバー確認は従業員が行うものとされ、企業が行う必要はありません。

#2:マイナンバーの管理について

マイナンバーの管理はマイナンバー法のもとで各種の安全管理措置を講じて個人情報の漏洩、滅失を防ぐ必要があります。

安全管理措置は大きく物理的・技術的・人的・組織的なものに分かれておりそれぞれに対応しましょう。

マイナンバーの管理

  • 物理的管理措置

マイナンバーを管理する書類やパソコンを取り扱う物理的区域を設定し、区域以外からの持ち出しを抑えるようにしなくてはなりません。

  • 技術的措置

マイナンバーを管理するパソコンが外部から不正アクセスのないように対策をしたり、情報閲覧者を特定するようにする必要があります。

  • 組織的・人的措置

マイナンバーを管理する担当者を取り決め、教育を行うなど問題が発生した際の責任者を取り決めるようにしなくてはなりません。

マイナンバーは個人の大切な情報なので、企業のミスで情報漏洩し、従業員との関係だけでなく、企業の責任を問われないように注意しましょう。

マイナンバーの管理についてはマイナンバー対策準備室の公式HPでも詳しく解説されているのでぜひ読んでみてください。

(2)給与支払報告書とマイナンバーに関する注意点

この章ではマイナンバーに関する注意点を紹介します。

マイナンバーに関するQ&A

  • マイナンバーの提供を拒否されたらどうするか
  • マイナンバーの記載が不要の場合はあるのか
  • 個人事業主が従業員を雇う場合は何か違いはあるのか

順に解説します。

#1:マイナンバーの提供を拒否されたらどうするか

たとえ企業がマイナンバーの利用目的を明示しても、従業員がマイナンバーの提出を拒否することもあるでしょう。

従業員がマイナンバーの提出を拒否することは違法ではなく、逆に企業が強制的に提出を行わせた場合は、企業側が法的な問題になる恐れがあります。

従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合は、もう1度マイナンバーの提出が法的に決められた義務であることを伝えましょう。

それでもなお、提供を受けられない場合はマイナンバーを記載せず提出することが認められています。

ただし、提供を求めた経過等を記録し、企業側の単なる義務違反でないことを明確にしておく必要があります。

#2:マイナンバーの記載が不要の場合はあるのか

マイナンバーの記載が不要になる特例はなく、上記のように従業員がマイナンバーの記載を拒否した場合のみ、記載を行わなくても良いことになります。

現状の制度は、日本にマイナンバーが浸透しきっていないという考えのもとに作られているため、マイナンバーの記載がなくても罰せられる事はありません。

そのため、給与支払報告書にマイナンバーは必須ですが、マイナンバーのない書類も認められるというおかしな状態になっています。

しかし、国は適切に徴税を行うためにもマイナンバーの導入を推進しているので、いずれは多くの納税書類でマイナンバーが必要になると考えられます。

#3: 個人事業主が従業員を雇う場合は何か違いはあるのか

個人事業主の方が、従業員のマイナンバーを記載した給与支払報告書を提出する際は事業主の本人確認書類が必要です。

本人確認には事業主本人のマイナンバー(個人番号)が記載された住民票の写しや通知カードの写しを添付しての提出が必要です。

本人確認は毎年必要で、たとえ昨年と個人情報に何ら変更がなくても本人確認書類を提出しなくてはなりません。

詳しい情報は各市区町村のHPにて解説されているので、提出の前に確認をしておきましょう。

まとめ

今回は給与支払報告書のマイナンバーについて解説しました。

年末調整時には多くの従業員のマイナンバーを管理する必要があるのでくれぐれも取り扱いには注意しましょう。

その他にも年末調整に役立つ情報をさまざまに発信しているのでぜひご覧ください。

さらに詳しく知りたい方は
税理士に無料相談LINEChatworkメール

関連記事