確定申告を修正する場合に知っておきたいことを徹底調査しておこう

確定申告は間違いなく記入し、正しい方法で提出する必要があります。ところが、万が一提出後に確定申告書内での計算間違いなど記入内容に間違いがあった場合に悩むのが修正方法。様々なケースを取り上げ実際にどのように手続をすればよいかを確認しましょう。

申告額が多かった場合

当てはまるケース例

納税額の過多

実際に計算して記入する確定申告書。ですが、その計算に誤りがあったり、記入ミスをしていたりと納税額が多すぎたことが発覚してしまう事があります。

純損失の過少

確定申告書内に設けられた各所得金額の損益の通算を行いますが、この時に純損失金額が残った場合にする申告の金額が過少であった場合に当てはまります。

還付金が少量

記入した還付されるべき税金が実際に還付された税金よりも少額であった場合に当てはまります。

必要な書類

上記の内容のような記入間違いが発覚した場合にするべきことは、まず「更正の請求」という手続きです。各地域を管轄する税務署の税務署長に「更正の請求書」を提出することで税務署内でその請求内容を検討して貰います。

その後、納税の過多があることや純損失金額が過少であること、また還付金が少額であるかという事実が認められた場合には減額構成がなされ税金が還付されます。この場合には更正の請求をした納税者にその結果事項が通知されます。

また、更正の請求に伴う収入において著しい増減があった場合には、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」といった特別書類などの提出をしなければならない場合もあります。

提出期限は法廷申告から5年以内

この構成の請求書は原則として、法廷申告日より5年以内が期限とされています。ただし、平成23年12月2日より以前の期日が法廷申告期限となっている所得税に関しては、更正の請求の提出期限は法廷申告期限より1年間とされています。

必ず還付されるわけではない

更正の請求書を税務署長に提出したからといって必ず承認され、還付金が下りるというわけではありません。万が一、更正の請求書を税務署内で検討する際に納税過多であると判断されなかったなど、還付の対象であると判断されなかった場合には税金が還付されないこともあります。

申告額が少なかった場合

当てはまるケース例

納税額の過少

納めるべき納税額が実際に納税していた金額よりも少な過ぎていた場合に当てはまります。

還付金の過多

記入した還付されるべき税金の金額が実際に還付された金額より多過ぎた場合に当てはまります。

必要な書類

この場合には「更正の請求 」ではなく、「修正申告」をする必要があります。そのため、「修正申告書」として提出する書類「申告書B第一表」と「第五表(修正申告書・別表)」の準備をし、必要事項の記入をした後にその地域を管轄する税務署の税務署長に提出しなければなりません。

申告の期限

「修正申告」は「更正の請求」とは違い、税務署から更正を受けるまではいつでもできます。ただし、間違いがあると気づいたらなるべく早く申告することが望ましいでしょう。

納税の期限

修正申告をするにあたり、発生する新たに納めなければならない税金が発生します。この税金を納める期限は原則として修正申告書を提出する日とされています。

修正申告のペナルティ

修正申告をする、もしくは税務署より申告税額の更正を受けた場合にはペナルティが付加されます。内容としては、「過少申告加算税」と呼ばれるもので、新たに納める税金の金額の10%に相当します。

また、新たに納める税金の金額があらかじめ納めることになっていた税金の金額と50万円と比較した場合、そのうちの多い金額を超えていればその超過分に関しては15%という扱いになります。

※平成29年1月1日以降に法定申告期限が来る場合(平成28年分以降のついては調査の事前通知が来た後に修正申告をした場合には50万円まではその5%、50万円を超過する場合にはその部分のみ10%の割合を加えた金額の過少申告加算税が課税される。)を除いて、税務署の調査を受けるより以前に修正申告をすることにより過少申告加算税は課税されません。

※また、確定申告の申告が申告期限よりを過ぎて申告した場合、「無申告加算税」が課税される場合もあります。

その他、修正申告をした際に新たに納める税金を延滞していた場合には、「延滞税」を併せて納める必要がでてきます。

納税に時効はあるか

納税の義務がある以上、所得を得ている人ならば期日までに税金を納めなければなりません。ですが、諸事情により税金を納められない人もいます。そのような場合、該当者あてに督促状を送るほか、特定の所有物(家や土地、家具といったもの)の差し押さえを行うことで税金の滞納者に納税を促すように働きかけます。

ある程度の期間が経ってしまうとその期限も時効を迎えてしまいます。しかし、この時効は全て同じ年数であるかというとそうではなく、その個人の状況により時効までの期間が決まっています。その期間は3通りあり、「3年」「5年」「7年」に分けられています。

3年:申告の期限内に確定申告書を提出した場合の時効期間(脱税の意思が確認できた場合には7年に引き伸ばし)

5年:申告の期限以内に確定申告書の提出をしていない場合の時効期間(脱税の意思が確認できた場合には7年に引き伸ばし)

7年:脱税の意図がある(虚偽申告など)場合の時効期間

しかしながら、この期間を過ぎてしまうと税金の徴収が出来なくなることから時効になると免れられると考える人もいるかもしれませんが、時効までに督促状を発行したり、差し押さえを実行することで時効までの期限がその時点でリセットされるという仕組みになっています。

この時効までの期間がリセットされることにより、納税から逃れることは困難であるといえます。また、納税の滞納において、「加算税」や「延滞金」という反則金を納めなければならないという義務の発生も否めません。原則として、税金の滞納者には金融機関からの融資を受けることが不可能になります。

確定申告の期限前なら

提出する書類

確定申告書を提出した後で間違いが発覚した場合、確定申告の期限前であれば何度でも「訂正申告」をすることが可能です。税務署では確定申告の期限内に二つ以上の申告書が同一人物により提出された場合には、最後に提出されたものを受理するようになっています。

そのような場合には先だって提出した確定申告書と同じ様式の用紙を準備します。そして、修正が必要な箇所を間違えずに記入、その他は前回提出したものと同じ内容を記入します。

提出書類はこの新たな正しい確定申告書と控除証明書や医療費の領収書といった添付書類になりますが、大抵の場合、先だって提出していることがほとんどなため、そのような場合には「先に提出した受領印のある確定申告書の控えのコピー」の上部余白部分に朱書きで「訂正申告」の明記をしたものを添付することで受理して貰えます。

申告を忘れがちな税金

ふるさと納税

税金とひとことでいっても様々な形があるため、中には申告を忘れている税金もあります。特に近年多くみられる新しい形の税金として「ふるさと納税」が挙げられます。

確定申告が不要な人向けにふるさと納税の「ワンストップ特例制度」というものがあります。これは、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除が受けられるというものですが、この制度の適用を受けるためも手続きが必要になります。これは寄附先の自治体に申請書を提出することで完了します。

しかしながら、この「ワンストップ特例制度」と申請したからといって確定申告をする必要がないかというとそうではなく、今まで確定申告が不要だった人が必要になった場合や、毎年確定申告をしている人であれば、確定申告をする際にはそのふるさと納税の寄附金額を税金控除額として含んだものを提出しなければなりません。

確定申告をすることでふるさと納税がどのように控除されるのかというと、まず最初の控除先として所得税から控除がなされ、その残りが住民税より控除される流れとなります。

所得税還付加算金(雑所得扱い)

前回の確定申告において所得税が還付になった場合、「還付加算金」というものが加算されている場合があります。その場合、その利息相当額が加算された状態の金額を受け取っているため、詳細を確認しておかないと申告漏れが発生することになります。

満期保険金・保険解約返戻金

加入していた生命保険や損害保険が満期になった場合、満期保険金や一時金を保険会社より受け取ることがあります。また、加入していたその保険を解約すると返戻金を受け取ることになれば、それぞれの一時的に貰えたお金を一時所得として申告しなければならないこともあります。

この時に注意するべきなのが、「収入を得るために支出した金額」を再度確認する必要があるということです。この「収入を得るために支出した金額」は、生命保険会社など契約していた保険会社から送付されていた「保険金の明細」や「満期保険金振込のお知らせ」といった契約に関する書類に記載があります

国外での所得税

日本国内の所得だけでなく、海外での所得であっても確定申告において申告する必要があります。これには、外貨による株式や債権の利子、もしくは配当といった株取引上の所得であっても該当します。

また、株式や外国での債権の利子または配当といった所得に関しては、原則としてその国において税金を納める必要が出てきます。ただし、日本国内においての確定申告手続としても所得税がかかるという二重税金の状態になるため、日本国内において確定申告時に「外国税額控除」という手続をすることにより二重税金を避けることができます。

外貨預金の為替差益(雑所得)

意外と盲点になるのが、外貨預金をしている人の「為替差益」が所得扱いになりうるということです。これは、日本円による預金が近年では低金利の一途であるために海外の通貨に両替をし、為替相場の変動により円安になれば生まれる利益と通常の預金による利息の両方が利益として入ってくるというものです。

この時の「為替差益」はいくら少額であろうと「雑所得」としてみなされるため、確定申告の際には申告する必要があります。

保険金などによる補填

若年層でありがちなケースとして、短期の入院であっても保険を利用した場合に発生する「生命保険会社・損害保険会社からの入院給付金」や、先進医療の治療対象となった場合の「高額医療費」への保険利用が挙げられます。また、女性であれば出産入院時に病院で説明を受ける「出産育児一時金」が該当します。

年齢を重ねると、介護が必要となった場合に高額であれば「高額介護合算療養費」というものが適用されます。いずれのケースにおいても、医療に携わることですので、「医療費控除額」の計算をする上で忘れないようにしなければなりません。

寡婦・寡夫控除

寡婦の場合、夫との死別や離婚後再婚をしていない、もしくは夫の生死が不明な一定の人が扶養親族(同一生計の子含む)を養っている状況にある人。もしくは夫と死別後に婚姻を結んでいない人、夫の生死が明らかでm内一定の人で合計所得金額が500万円以下の人が対象です。

寡夫の場合、合成所得金額が500万円以下であり、かつ妻と死別もしくは離婚後に婚姻を結んでいない人か妻の生死が不明な一定の人で同一生計の扶養家族(子を含む)がいるという全ての条件を満たした人のみが対象となります。

このケースは個人の判断によるものが大きいため、万が一この条件に当てはまる場合には忘れずに確定申告の際に申告をする必要があります。

間違いに気づいたら早めに申告しよう

確定申告の手続はできる限り間違いがないように慎重に行うことが重要です。ですが、人間のすることですから間違いを犯してしまうことも十分考えられます。私達が自分で収支の情報を管理し、申告するのが確定申告です。自分自身が提出から修正まで行わなければなりませんので、もし間違ってしまったら間違いに気づいた時に、その対処法をしっかり考えましょう。確定申告について理解していれば、状況に合わせた判断ができ、早めの対処ができるでしょう。

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