確定申告は個人事業主にとって節税のチャンス。白青選んで得をしよう

個人事業主にとって確定申告は負担ですが、節税のチャンスでもあります。白色申告と青色申告、メリットの多い方を選んで得をしましょう。確定申告の方法もよく検討して、自分でやるかプロに頼むか、よい方を選択することで事業に有利にしたいですね。

いくらなら確定申告の対象か

個人事業が専業の場合

確定申告は、すべての個人事業主にとって必要というわけではありません。個人事業が専業である場合は、年間所得38万以下は申告不要となりますので、確定申告の対象外です。このように、すべてのケースで確定申告が必要なわけではありません。収入がそれほど多くはない場合は、うまく調整して、確定申告の手間を減らす対策も取れるということです。

また、個人事業主が他に給与所得を得ており、そちらの給与や退職金がある場合は、年末調整の有無などによって確定申告の必要性が変わってきます。必要に応じて確定申告をしていきましょう。

ただし、確定申告が必須でない場合でも、確定申告を行うことで、税金が戻ってくるなどといった、メリットがある場合があります。よく検討して、確定申告の準備を始めましょう。

個人事業が副業の場合

個人事業が副業であり、本業が別にある場合は、年間所得20万以下は申告不要となり、確定申告の対象外です。副業として事業を行っている場合は、この範囲内におさめる工夫をすることで、確定申告を行わなくて済むというメリットがあります。本業があり、収入をコントロールできるのであれば、確定申告を行わない方が作業を減らせるため、よいかもしれません。

ただし、確定申告は事業の為だけに行うわけではありません。医療費控除やふるさと納税の寄付金控除など、税金が戻ってくるような申告もあります。こういった部分で申告を行わないと、税制度上、損をしてしまうこともありますので、個人事業以外の要素がないかも確認をして確定申告を行いましょう。

確定申告の時期と申告方法

申告時期は翌年の2月16〜3月15日

確定申告時期と申告方法は基本的に毎年変わりません。時期は、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告をする必要がありますが、この期間には多少のズレがあることもあります。念のため、しっかりと確認して、ギリギリにならないようにしましょう。基本的には確定申告は、おおむね例年同じ時期に、同じ方法で行うことができます。

ただし、以前は税務署に行くか郵送でしか行えなかった確定申告が、パソコンから行えるようになるなど、年々便利に変わってきています。時期に関しても、今後は変化があるかもしれませんので、よくチェックしておきましょう。確定申告については、毎年国税庁のホームページなどで方法や時期を確認することができます。去年から変わったところがないか、毎年チェックしてから確定申告の準備を始めましょう。

申告方法は郵送や持参やパソコンから

確定申告の方法は基本的に、税務署への郵送や持参(もしくはその場で書く)、eTaxの3つの方法があります。郵送の場合は、確定申告に必要な資料をそろえて、税務署に郵送するだけでよいです。書式は国税庁のホームページなどからダウンロードできます。郵送に時間がかかるため、少し早めに送るようにするとよいでしょう。

持参の場合は、必要な資料をそろえて、税務署にいくとよいでしょう。確定申告の書類を書いていなくても、その場で書くことができますし、わからないことがあれば税務職員に質問することができます。

また、eTaxであれば、自宅のパソコンから申請できるので、非常に便利です。ただし、ソフトのインストールなど事前準備が必要になりますので、かえって手間がかかると考える人も多いようです。いずれの方法であっても、負担が少なく、やりやすい方法を選ぶとよいでしょう。

青色申告と白色申告の違い

青色申告のメリット

個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告があります。この、青、白という色は、申告をする際の紙の色からきています。青色と白色の違いはいくつかあって、税制度上は青色の方がメリットが多く受けられるとされています。事業規模や収入にもよりますが、たとえば、青色申告には、青色申告特別控除(最高65万円)や家族に支払った給与を経費とすることができるなどといった、節税につながる大きなメリットがあります。

控除額が増えることにより、支払う税金が減り、節税を行うことができます。このことから、収入が多い個人事業主ほど、青色申告を選ぶメリットが大きくなります。税金は、基本的に収入が多いほど高額になり、控除額が増えることで、その金額を減らすことができます。収入や経費が多い場合は、青色申告を選ぶようにするとよいでしょう。

青色申告のデメリット

青色申告にはメリットも大きいですが、デメリットもあります。そのひとつが、青色申告には事前申請が必要であることです。そして白色申告に比べて帳簿づけが難しい、などがあげられます。

青色申告をするためには、個人事業主としての開業届けと、青色申告承認申請書の提出が必要になります。この事前申請を行わないと、青色申告を行うことはできません。まずは、事前申請を忘れずに行いましょう。

さらに、青色申告は白色申告に比べ、複雑な帳簿つけが必要になってきます。複式簿記の帳簿の作成は、経理に不慣れで、簿記の知識がないとかなり負担に感じることでしょう。こういったデメリットを嫌い、白色申告を選択する個人事業主も多いのです。

白色申告のメリット

白色申告のメリットは、事前申請が必要なく、帳簿付けが簡単、などといった簡便さにあります。青色申告のように、事前に準備すべきものはないので、確定申告が必要になった時点で、準備をしても間に合います。

また、帳簿つけが青色申告に比べると簡易であることもメリットのひとつです。青色申告のように複式簿記形式の帳簿ではなく、単式簿記といった、お小遣い帳のようなものですのですので、とくべつな簿記の知識がなくても作成できます。

白色申告の方が、申告時の手間がかからないことから、収入の少ないうちは、白色申告にしておく方がメリットが大きい場合もあります。

白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは青色申告に比べると、控除などの特典がないことです。控除される金額も青色申告の特別控除が最高65万円であることに対し、最高10万円と少額になります。この点は大きなデメリットと言えるでしょう。

ですが、収入自体が少なく、特別控除を受ける必要がない場合などは、無理をせず白色申告を行う方が、作業としてはずっと簡単に済みます。白色申告がデメリットになるかどうかは、年間の収入額によりますので、どちらがよいかは事業の収益次第と言えるでしょう。

青色申告は事前申請が必要で、事前申請ができる期間も限られていますので、どちらで申告するかは、早い段階で決めなくてはいけません。青色申告の事前申請が間に合わなかった場合は、白色申告をすることとなります。

青色白色シミュレーション

青色申告のシミュレーションをしてみましょう。シミュレーションをすることで、どちらの場合にどんな経費がかかるか判断することができるようになります。下記のサイトで、青色白色シミュレーションが可能ですので、一度試してみるとよいでしょう。

青色申告をすることで、どのくらい得になるのか判断する材料になります。その上で、白色申告にするか、青色申告にするか決めるとよいでしょう。まずは、下記のサイトを利用してみることから始めてみましょう。
詳細はこちら

確定申告しないデメリット

ローンが組みにくい

確定申告をしないことによって、いくつかのデメリットも考えられます。確定申告は、きちんと行うことによって、事業の内容が他者からも把握できるようになります。きちんと税金を納めているという信用にもつながりますので、収入が安定せず、借り入れなどの審査に通りにくい個人事業主にとっては、非常に大切なものです。

確定申告をきちんと行っていないことによって、ローンの審査に通らず、ローンが組みにくくなることがあります。個人事業主は、会社に勤めている人のように、源泉徴収票が発行されないことから、ローンの審査時に根拠となる資料が得られにくいという事情が発生する為です。

これをふせぐには、確定申告を毎年きちんと行い、収入が把握できるような資料をとっておく必要があります。こうしておくことで、ローンの審査にも有利になることでしょう。ローンで車や家などを購入する予定がある場合は、きちんと確定申告を行っておくとよいでしょう。

個人住民税の申告が必要

確定申告を行わないことによって、個人住民税の申告が必要になることがあります。確定申告を行えば、税務署から市町村に申告内容を通知してくれますので、個人住民税の申告は不要となるのです。逆に、確定申告を行わないことで、手間が増えることもあるということですね。

個人住民税は収入が98万円を超えなければ非課税となりますので、申告をしなくてもよいです。ですが、個人住民税の申告を行うことによって、市町村で非課税証明書を入手することができるようにもなりますので、行っておいた方がよい場合もあります。こういったことから、収入が少なくても、確定申告をするメリットはあるということになります。

純損失の繰越し控除しそびれる

確定申告をし忘れることで、純損失の繰越し控除をしそびれることもあります。確定申告で赤字を繰り越せることは、大きなメリットです。これを行っておくことによって、翌年の税金を下げることができるかもしれません。このため、事業を翌年以降も継続する予定があるのであれば、確定申告をして、純損失の繰り越しをしておくべきでしょう。

確定申告は単年の処理に見えて、翌年以降にも影響していくこともあります。翌年以降のことも考えて確定申告を行いましょう。また、前年に赤字を繰り越している場合は、帳簿作成の際に反映させるようにしましょう。

青色申告特別控除を受けられない

確定申告を行わないことによって、青色申告特別控除を受けられなくなります。青色申告特別控除は、青色申告を正しく行うことによって受けることができる特典です。最高で65万円控除されることから、青色申告の大きなメリットとされています。確定申告を行わないと、こういった税制度上の優遇はすべて受けることができなくなってしまうのです。

利益がほとんど出ていない場合であっても、税金は戻ってくる場合が多いので、確定申告はきちんと行っておいた方がよいでしょう。とくに、青色申告の場合は確定申告によるメリットが大きいので、ひとつでも該当するものがある場合は、確定申告をしておく方がよいでしょう。

少ない所得でも申告した方が得かも

確定申告は、少ない所得であっても申告したほうが得である場合もあります。青色申告で赤字を繰り越すこともできますし、多くの場合、確定申告で税金が戻ってくることになるでしょう。

事業にかかわる部分だけでなく、医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税の寄付金控除など、税制度上有利になるケースもさまざまあります。こういったことにひとつでも該当するのであれば、確定申告はした方が得になるでしょう。

確定申告は手間がかかりますし、帳簿つけ等、ハードルが高く感じることもあるかもしれませんが、正しく行うことにより、得になることも多くあります。こういったことを踏まえて、収入が低くても、なるべく確定申告は行うようにした方が、得になることでしょう。

さらに詳しく知りたい方は
税理士に無料相談LINEChatworkメール

関連記事