個人事業主が気になる税務調査。対策や時期をチェックして備えよう

本来納めなければならない税金を納めていなかった場合、税務調査が行われることになります。故意ではないとしても納税をし忘れていた場合にも税務調査が行われることがあります。その対策や時期、準備しておくものなどを徹底的にチェックしておきましょう。

個人事業主が心掛ける税務調査対策

経費と事業の関連性を明確にする

税務調査を受ける以上、気を付けなければいけないのが「詐称」ではないという証明をしなければならないということです。

税務調査が行われることになると、申告内容や過去の調査結果、また事業内容を総合的に見て違法性が伺える場合を含む特定の条件に当てはまる企業には、事前に連絡がなく突然税務調査が行われることもあります。しかし、大抵は事前に余裕をもって決められた日時や場所、調査の対象になる税目や課税期間といった内容の通知連絡があった後に行われます。

この時に必要なのが帳簿の整理です。詐称ではないことの証明として、支払った領収書を保存するほか、納品書や請求書、また帳簿に書かれている必要経費の合理性といったものを確認しておく必要があります。

また、いかなる場合においても脱税志向は捨てるということも大切です。例えば確定申告の際に気づかずに申告忘れていたものが税務調査で見つかり、無申告であるとわかるケースもあります。

その他、税務調査に入られた場合には追徴課税が発生します。以下は税務調査結果をもとに課される税金の割合です。

☑ 1.過少申告加算税:50万円までは10%、50万円を超過した部分には15% (※正当な理由がある、もしくは修正申告を自主的に行った場合には課税されません。)
☑ 2.重加算税:35%(隠ぺいを目的とした過少申告であると明確な場合に課税されます。)
☑ 3.延滞税:原則14.6%(納付期限を超過した日数に応じて日割り計算のもと課税されます。
☑ 4.住民税:10%
☑ 5.国民健康保険税:(その所在地の属する地域により計算が異なります。)
☑ 6.母子扶養手当:(母子家庭である場合には受給している「母子扶養手当」も調査の対象になります。

万が一、帳簿資料の中にプライベート費用の算入が見つかってしまった場合には、絶対に嘘をつかず間違いを素直に謝罪する必要があります。誰にでも間違いはありますので、誤魔化すよりも謝ることを優先しましょう。

また、普段より事業用の口座と個人口座を完全に分離しておくことで着服の容疑をかけられることもなくなります。

税務調査の手法を知っておく

税務調査の内容はその企業の業種により異なるため、一律にどの項目が調査されるのかは実際におこなわれるまでわかりませんが、調査の初日に必ず事業概要の把握をされます。

このため、創業に至った経緯や企業間での取引の全体像、社内での経理体制といったものを答えられるようにしておきましょう。

税務官が注目している項目

☑ 1.売上除外(意図的に帳簿へ売上を計上しないようにすること)をしていないか、また売上の計上漏れはないかといった売上に関する調査が最も重要視される項目になります。
☑ 2.架空仕入をしていないかどうか。
☑ 3.棚卸除外(年度末に一番多い脱税方法がこれを利用したものです。事業内における処理のため、他社と共謀する必要がありません。)をしていないかどうか。
☑ 4.架空経費の不正計算をしていないかどうか。
☑ 5.架空人件費の不正計算をしていないかどうか。
☑ 6.利益調整(別名、利益操作。現在の売り上げの一部を来期の売り上げとして引き伸ばして計上すること)をしていないかどうか。

計上するタイミングは納品日やサービス提供日

その起業において最適となる売上を計上するタイミングを理解しておく必要があります。商品の納品を目的とした事業内容であればその納品日を。物ではなく技術やサービスの提供を事業内容としている場合ならばそのサービス提供日を売上の計上日とするのが基本です。

この際に、納品日や収入金額、またその事業内容に掛かった必要経費等の証明をとっておくことも大切です。

確定申告は正確な情報を基にする

毎年行う確定申告の際に記入する情報は正確なものを記入するようにします。

マイナンバー制度が始まり、各官庁の間での情報共有が可能になったため、国税庁でも情報収集能力が強化されています。税務調査防止策として正しく税金が納付されているか、また社会保障制度による社会保険料の控除といったものに至るまで、申告漏れがないように気を付けなければなりません。

個人事業主に入る税務調査時期と期間

8月下旬から11月が税務調査のピーク

個人事業主に入る税務調査時期は決算処理が行われ、実際に税務署において確定申告が行われる3月から6月は税務署も多忙な期間となります。

7月に入ると、税務署内において人事異動が行われるため、税務署の新年度が始まると税務調査に向けて各企業の確定申告内容の調査準備が始まります。

実際に各企業へ税務調査が始まるのは毎年7月後半からと決まっています。

税務調査は約2日だがその日で終わらない

税務調査にかかる日数は、通常約2日の日程で組まれています。しかしながら、その日程内の調査において不明な点が出てきた場合には後日課題の提出をしなければなりません。

たった2日と予測していてもそれが2〜3ヶ月にも及ぶ場合もあります。このような場合には、より詳細な調査を必要としている場合や、特殊な事情がなく、ただ期間が伸ばされている可能性もあります。そのため、税務調査官に連絡を入れて調査の状況の把握し、可能であれば調査期間の短縮を依頼することも必要です。

2日だけであればその後の事業の運営状況を考えることもできますが、税務調査を受けるというだけでそれにかかる時間や労力は割かれることになりますし、事業の運営ができないと取引先への迷惑になってしまいます。

税務調査における注意点

税務官を偽る詐欺がある

近年では情報化社会ということもあり、今や個人情報は高額な取引の出来る商品となっています。そのため入手した個人情報の売買が行われることも少なくありません。税務調査と称して税務官を名乗り来社する人の中には詐欺を目的として紛れ込む人もいます。

個人情報の流出を防ぐためにも、税務官と対面した際には自発的に税務官の身分証の確認をすることも詐欺を未然に防ぐ一つの方法です。

私用空間に事業に関する書類は保管しない

例えば、個人事業主の住宅が住宅兼自部署であったり店舗であったりした場合には、私用空間と業務空間との行き来が起こります。

そのような場合、万が一私用空間に事業に関する書類を保管していた場合にはその私用空間は調査対象でないために調査を受けることができず、書類の実物が業務空間にない場合には私用空間にあるにもかかわらず嘘をつくことになるという問題が発生します。

また、私用空間と書類の保管場所として使っている業務空間が近いという場合には、書類の整理等で事業に関わる家族のみが扱うようにすることで、他の家族には扱えないようにしておくことも大切です。

書類の管理担当を指名しておくなどの対処をして、常にその書類の保管状況を把握できるようにしておきましょう。

個人事業主は車も税務調査対象となる

個人事業者の所有車は、取引先に行く際に使用する可能性もあります。そのため、その車の中に脱税などの隠ぺい証拠が隠されていないか、現金での売上の場合には領収書の存在が重要な証拠となります。

特に個人の車であれば、私物ということがあるため後ろめたい気持ちになる場合もあります。普段から車も整理しておくことで必要な調査以外に何か気になるという不安を払拭することができます。

相談できる税理士の把握

税務官と最初に出会い、その身分証の確認から始まるのが税務調査。その対面においても、税務官との議論においては素人の知識では追いつけない内容が出てくることも予想されます。

いわゆる対応の限界を迎えてしまうと、実際には虚偽やねつ造の事実がなかったとしても書類の欠陥などで不利な立場になる可能性もあります。そのような場合には相談できる税理士を把握しておくことも重要です。

また、その税理士に税務調査が行われる前に直接来社を依頼し、あらかじめ必要書類に目を通しておいてもらうという方法もあります。

税理士を雇用することでその依頼料を支払う際に経費項目を増やせるというメリットもあります。

そのほか、確定申告の際に税務代理を依頼することで素人判断では見つけられなかった控除を見つけてもらえる場合もあります。

税理士に相談することで依頼料が発生してしまいますが、実際には見落としていた控除額を見つけてもらえることでその控除分から差し引けると、結果その個人事業主に最終的にかかってくる負担は少なくなることが多いのも事実です。

事前準備で税務調査も怖くない

税務調査というと「何を聞かれるわからない」と身構えてしまうかもしれませんが、脱税の事実や隠ぺい工作をしていないのであれば、必要書類や該当するであろう税目に関する情報を事前に準備しておくことで調査に関する質問をされたとしても身構えることなく答えることができます。適切な対応を心がけ、調査内容を真摯に受け止めようとする姿勢を税務官に伝えましょう。

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