定款の原本証明は確実に。いざというときに焦らない知識を得よう

定款は会社にとって絶対に必要な基本的なものです。しかし、定款についての知識をしっかり持っている人は少ないのでは?いざというとき動けるように、しっかり定款について学ぶのです。いつか使うことがある原本証明についても、知っておきましょう。

定款の原本証明について知る

原本証明の意味

定款は会社を設立するときに作成する、会社の基本情報が書かれたものです。定款は、会社がどういったものなのかを端的に表すものですので、会社の成長や社会情勢の変化に応じて、変更が加えられることがあります。その際、公証役場に保管されている、原始定款と呼ばれる会社設立時の定款とは異なってきます。

これは、定款を変更する際には、おおもとの定款を変更するわけではなく、変更を記録するという形で定款変更が行われるためです。原始定款は、公証役場に20年間保管されていますが、その後、変更が行われる可能性があり、変更内容は原始定款には反映されません。

また、変更の内容によっては、法務局で手続きをする必要がないものもあり、そうなると、会社内に残る株主総会の議事録などでしか確認が取れなくなります。このようなケースですと、現行定款の原本証明が必要となります。また、原始定款からの変更がない場合であっても、原始定款のコピーを提出することになるので、同様に原本証明は必要になります。

原本証明が保管される場所

原本証明は、申請先に提出することから、申請先に保管されることになります。申請先は、公的機関や金融機関などです。原本証明は、必要な定款をすべて揃えた後に、「この定款の写しは原本と相違ないことを証明する」といった一文をそえ、日付、会社本店所在地、社名、代表者名を記載し、代表者印を押印します。

以上のことは、一般的な方式です。これ以外に、代表者の直筆署名が求められることなどもありますので、申請先に必要な事項をしっかりと確認してから原本証明を行うようにしましょう。また、現行定款と原始定款が変更によって異なっている場合は、しっかりと最新の現行定款を提出するようにしましょう。現行定款が最新かどうかは、株主総会の議事録で確認できます。必要時には、しっかりと確認を行うようにしましょう。

製本は仕様をしっかり調べてから

原本証明の製本を行う際は、仕様をしっかりと調べてから行うようにしましょう。原本証明は、定款のコピーをすべて揃えたのちに、余白に原本証明をする一文を加えることになりますが、これ以外にも必要事項が生じるかもしれません。したがって、申請先にしっかりと確認をしてから行うようにしましょう。

また、電子定款で会社設立を行った場合は、公証役場に「同一情報の提供請求」をする必要があります。これによって、電磁的に保管されている定款の文章が、公証役場に保管されているものと同一であるという認証になります。この際には、所定の手数料がかかりますので、このことも覚えておきましょう。

また、申請の方法も、窓口で行うほか、郵送などでも可能な場合もあります。この場合は、返信用の封筒の用意なども必要になってきますので、この点もしっかりと確認するようにしましょう。

押印を忘れない

定款の原本証明には、代表者印が必須になりますので、押印を忘れずに行いましょう。押印は、代表者名にかかるように押しましょう。押印には、押印後に文章を改ざんされることを防ぐ役割があります。このため、いずれかの文字にかかるように押す必要があるのです。

押印自体は、文字にかかるように押すこと以外に、特に決まったことはないのですが、業界や会社によって決まりがある場合があるので、こちらも確認しておきましょう。たとえば、官公庁や学校は、最後の文字に半分かける、一般企業の多くは、最後の文字を印の中央にもってくるなど、慣習があるようです。

文字にかからない部分に押すと、押印後も書き直したり、書き加えたりすることができてしまうので、注意するようにしましょう。また、製本する際に数ページにまたがる場合には、割り印も必要となる場合がありますので、これも忘れずに押印しましょう。押印のルールは意外と細かいので、ケースによって必要事項を確認しながら行いましょう。

現行定款か原始定款

定款の原本証明は、現行定款か原始定款で行います。原始定款は、会社設立時に作成した、1番初めの定款です。会社設立時から、定款に変更を加えていないのであれば、この原始定款を使用して、原本証明を行いましょう。

その後、定款に変更が加わっている場合は、現行定款を使用しての原本証明が必要になります。定款に変更が加わっている場合は、必ず株主総会での決議がなされています。現在までに変更があったか知るためには、株主総会の議事録を確認するとよいでしょう。このことから、株主総会の議事録もしっかりと保管しておく必要があります。

原本証明が必要となる主な場所

金融機関での口座開設

定款が必要になる場面はいくつかありますが、金融機関での口座開設の際に使用することは、非常に多いでしょう。金融機関では、口座開設以外にも、借り入れの際など、各種取引の際に定款が必要になります。そして、同時に原本証明も必要になる場合が多いですので、定款はすぐに用意できるようにしておきましょう。

万が一、定款を紛失してしまっていた場合、さらに現行定款の内容が確認できない場合は、定款の再作成が必要になります。これには、株主総会の決議を経る必要があり、時間のかかる作業となります。場合によっては、必要な手続きに間に合わないこともありますので、定款は紛失しないようにしっかりと保管しましょう。

定款に変更があった際は、変更箇所がわかるように、保管しておくことも重要なポイントです。

法務局での登記手続き

法務局での登記手続きの際にも、定款が必要になることがあります。この場合も、原本証明が必要になることもありますので、しっかりと原本証明を行い、手続きを行いましょう。登記は、会社設立時だけでなく、本店の移動などによる変更の際にも、必要な手続きとなってきます。定款が必要になる場面は意外に多いので、原本証明の方法は、しっかりと押さえておきましょう。

また、定款はすぐに取り出せるように保管しましょう。本来は会社法によって、株主などがいつでも閲覧できるように保管する必要があるものです。しっかりと保管をし、変更点もしっかりと記録しておきましょう。

宮官庁に申請をする

宮官庁に申請をする際も、定款は必要になってくることがあります。許認可申請や、助成金の申請などが多いでしょう。この際も、原始定款や現行定款のコピーを用意し、それに原本証明をつける必要があります。宮官庁に申請をする際は、時間的に余裕がないこともありますので、申請がスムーズに行えるように、事前に必要事項を確認してから、臨むようにしましょう。また、独自のルールが多いことも、宮官庁の特徴のひとつです。

また、現行定款の変更がきちんと反映されているかどうかなど、基本的な部分は常に確認しておくようにしましょう。万が一、定款を紛失した場合は、可能な限り現行定款を回復し、株主総会での決議を経て、再作成しましょう。この際も場合によっては、法務局など各所での手続きが必要になりますので、スケジュールもよく考えて、作業しましょう。

申請窓口でしっかりと確認する

定款の原本証明には、一般的な形はありますが、実際の申請時には、イレギュラーなケースも出てきます。必要事項は自分で調べるだけでなく、実際の申請窓口でしっかりと確認しましょう。不測の内容に備えることで、必要な申請がスムーズに進みます。

定款が必要になることがわかった時点で、申請先に入念に確認するようにすると間違いがないでしょう。また定款については、事前に浅く予備知識を得ておくことで、いざというときに焦ることが少なくなりますので、日ごろからあらかじめ勉強しておくことは大切です。

定款について知識を得て、どんなときでも焦らず動けるように準備しましょう。基本的なことですが、定款の知識がある人は意外と少ないです。会社の中で、いざというときに動ける人材でいるためにも、勉強しておきましょう。

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