公証役場での定款認証の基礎知識を知り会社設立をスムーズに行おう

株式会社を設立する時の手続きで最も重要な『公証役場での定款認証』。定款の手続きをスムーズに行うためには、あらかじめ確認しておきたい内容がたくさんあります。会社設立の手続きを行政書士など専門家に依頼する人も知識として知っておくとよいでしょう。

定款認証について知る

定款の作成後

定款(ていかん)とは何なのでしょうか。聞き覚えのないあまり親しみのない言葉ですね。約款とよく間違われることがありますがまったく違うもので、株式会社を設立する時に必要になってくる書類の事を指します。

定款とは株式会社の規則などを定めたもので、株式会社の発起人同士が話し合って作成するものです。会社設立の準備や書類作成などで忙しい場合は、定款の作成を代理人にお願いすることができ、行政書士などの専門家に手続きを依頼する場合もあります。定款で決められた規則などに従って株式会社を運営していくので、定款は大変重要なものなのです。

定款で定めるもの

☑会社の名前や事業内容
☑会社の所在地
☑取締役の人数
☑代表取締役の決定方法
☑株主総会の開催方法

以上のような内容で、新しく作る株式会社の根本的な規則を定款で決めていきます。発起人はどのような会社を設立したいかを考えながら、定款を作成していくことになります。

発起人が作成した定款を『原子定款』と呼びます。この原子定款は、このままでは何も効力はなくただのメモと同じです。効力のない原子定款を活かすためには、公証役場で公証人の認証を受けることで、初めて効力が生じます。

役場や担当によっては、事前に定款をFAXすればチェックしてくれる場合もあります。公証役場に行く前に、一度管轄の公証役場に事前チェックをしてもらえるか問い合わせてみましょう。また、定款だけでなく他の書類もチェックしてくれる場合もあります。

印鑑証明や委任状などを事前にチェックしてもらえれば当日スムーズに手続きが進みますので、是非一度問い合わせてみましょう。特に問題がなくスムーズに手続きが進めば、30分ほどで受理されて申請がおります。

公証人の認証を受ける

公証人とは各都道府県に置かれている法務省・法務局所管の公的機関の公証役場におり、定款の認証を与える権限を持った人です。公証役場は全国に300ヶ所あり、定款認証を受ける公証役場は株式会社の本店所在地と同一の都道府県にある役場で公証人の認証を受けなければいけません。

同じ県内であれば市区町村が違っても、公証人の認証を受けることができます。発起人の住所は全く関係がないので、間違えて住んでいる公証役場に行ってしまわないように注意が必要です。

公証人以外は認証できない

定款認証とは公証役場での手続きによって定款が作成されたことを公証人が証明する事ですが、この定款認証の行為は公証人の権限になります。ですので公証人以外は定款認証をすることができません。公証人とは法務大臣から任命されており、元裁判官や元検察官など、法律関係の実務経験が豊富な人が公証人として認証を行っています。

公証人によって定款認証を受けた後、法務局にて設立登記の申請を行わなければならないのですが、公証役場で定款認証を受けた定款でなければ受理されません。

定款認証のポイント

定款認証にかかる費用

☑公証人の手数料 50,000円
☑定款の謄本成作 250円×ページ分
☑定款を紙で提出する場合は印紙代 40,000円

定款を紙で作成する場合は印紙代で40,000円支払わなければいけません。しかし、定款をパソコンを使ってデータ化することにより印紙代を払わなくていいので、最近は電子定款を利用する場合が一般的です。ただ個人でデータ化するには、ソフトを購入したり専用のシステムをインストールしなけれならないので専門家に依頼する場合がほとんどです。

必要書類

公証人役場に持っていく必要な書類は、必ず事前にすべて揃えておきましょう。

定款認証の申請時に必要な書類

☑定款 3通
定款は3通とも発起人の署名捺印、割り印が必要になります。公証役場の保存用・会社の保存用・登記用の3通になります。

☑収入印紙 40,000円(定款を紙で提出する場合)
☑発起人、全員の3ヶ月以内に交付された印鑑登録証明書を1通ずつ(実印も必要)
印鑑証明は発起人の現住所の役所で印鑑登録を行った後、取得できるようになります。定款認証の後の設立登記の際にも申請時に必要になってくるので、予め2通取っておきましょう。

☑公証役場へ行けない発起人の委任状
提出する書類のなかで、本庁所在地の番地や号の書き方をよく指摘されることがあります。『○○1‐1‐1』とゆうように省略してはいけません。『○○1丁目1番1号』といったように正確に記入するようにしましょう。

電子定款の場合は電子認証

定款は紙で作成しますが、パソコンを使ってデータ化することもできます。紙でもデータでも内容は全く変わりません。データで作成した電子定款の場合は、紙の定款と違い印紙代がかかりません。電子定款の場合、作成した電子定款を法務省のオンラインシステムを使って公証役場に送信します。

この作業は専門のソフトを購入したり専用のシステムをダウンロードしたりと、一度しか使用しないのにデータ化するためだけの出費が必要になります。できれば、印紙代よりも安い金額でデータ化してくれる専門家に依頼しましょう。

ただ、電子定款認証はデータを送信して終わりではなく、必ず公証役場に行かなくてはいけません。郵送での対応はできないので、必ず事前に公証人と日程を決めてから行くようにしてください。

管轄の公証役場を探す

会社設立時に出向く必要のある役場は公証役場と法務局になります。公証役場は会社の本店所在地と同一の都道府県にある公証役場に行かなければいけません。発起人の自宅の住所とは全く関係がありませんので注意が必要です。

東京都には区ごとに公証役場がありますが、地方によっては県内に2カ所しかない場合があります。事前に場所を検索しておきましょう。また予め書類のチェックをしてもらえる場合があるので、管轄の公証役場が分かったら一度問い合わせをして書類のチェックをしてもらえるか確認しておきましょう。

代理人の場合は委任状を添える

公証役場での定款認証を受けるには、発起人全員で行くのが原則となっています。でも色々な事情により、公証人と約束した期日に会社設立の発起人である全員が行けない場合もありますよね。会社を設立するにあたって一番忙しい時期になりますので、予定が合わずなかなか日程が決められないこともあるかもしれません。

そのような場合は、公証役場に行けない発起人の委任状を持っていけば手続きをすることができます。委任状が必要な場合は公証役場などのホームページよりダウンロードすることが可能です。事前に公証役場へ連絡しておくことで、手続きをスムーズに行うことができます。直接公証役場へ行かずに、必ず事前に公証人の予約をしてから、公証人と発起人のスケジュールを合わせて公証役場へ向かうようにしましょう。

当日になって訂正箇所が指摘されてしまう場合もありますが、その場で訂正することが可能です。訂正の可能性を見越して、あらかじめ定款に捨て印を押しておきましょう。そうすることで、さらにスムーズに手続きを進めることができます。そして定款の認証が公証人によって受理されると、次に会社の設立登記の書類作成に入っていきます。

ここまで来たら、会社設立まであと少しです。今回公証役場にて受理された定款は、今から出てくる色々な書類と混ざって分からなくなってしまわないように大切に保管しておきましょう。

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